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印刷2012/12/03 00:00

インタビュー

「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー

 2012年9月1日,2日に行われたFF25周年記念のイベント「FINAL FANTASY展」(以下,FF展)で,「FINAL FANTASY XIII」(以下,FFXIII),「FINAL FANTASY XIII-2」(以下,FFXIII-2)の“続編”となる最新作「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」(以下,LRFFXIII)が発表された。

画像集#006のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー

「LIGHTNING RETURNS: FINAL FANTASY XIII」公式サイト


 FFXIII-2では,舞台の裏側で活躍していたライトニングだが,そんな彼女が再び主役となり,よりアクション性の高い爽快な戦闘が楽しめるというのが本作の見せどころだという。ではなぜ「FINAL FANTASY XIII-3」ではなく,“完全新作”として発表されたのか。また,前作,前々作で好評だった戦闘システムを大きく変えてきた理由とは?

 今回,スクウェア・エニックスの開発チームから,LRFFXIIIのプロデューサー 北瀬佳範氏,ディレクター 鳥山 求氏,ゲームデザインディレクター 阿部雄仁氏,アートディレクター 上国科 勇氏の4名に取材に対応してもらい,本作のコンセプトから,FFシリーズの制作に関する話まで,多岐にわたって話を聞いてきた。
 まだまだ公開されていない情報も多く,今後の情報公開が待たれる本作だが,開発チームを束ねる彼らは何を考え,どこを目指して制作に取り組んでいるのだろうか。

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「LIGHTNING RETURNS FINAL FANTASY XIII」のプレゼンテーションをリポート。ライトニングであるからこそ生まれるゲーム性とは

今回,取材に対応してくれたLRFFXIIIの開発スタッフ。写真左から,鳥山 求氏,北瀬佳範氏,上国科 勇氏,阿部雄仁氏
画像集#014のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー


完全新作として発表されたLRFFXIII。どうして“3”ではなかったのか


4Gamer:
 本日は,よろしくお願いします。
 まずお聞きしたいのですが,本作は「FINAL FANTASY XIII」シリーズの最新作――つまり「FINAL FANTASY XIII-3」という位置づけの作品だと思います。しかし,あえて“完全新作”として発表した,その意図は何だったのですか。

プロデューサー 北瀬佳範氏
画像集#027のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー
北瀬佳範氏(以下,北瀬氏):
 大きなところで言うと,まず前作(FFXIII-2)や前々作(FFXIII)を遊んでいない人でも,十分に楽しめる/プレイできる作品であることを強調したかったのです。
 確かに本作のキャラクターや神話を軸とした世界観は,FFXIII,FFXIII-2の流れを受け継いだ「ライトニングの物語」の完結編として制作されています。しかし一方では,「世界の余命時間」をテーマにした新しい遊びの軸だったり,よりダイレクトで,アクション性が高まったバトルシステムだったりと,まったく新しい体験が出来る作品になっています。

4Gamer:
 大枠のコンセプトという意味でいえば,FFXIIIは「ストーリードリブン(物語主導)」,FFXIII-2は「プレイヤードリブン(プレイヤー主導)」だというお話をされていましたよね。そして今回は,「ワールドドリブン」という概念だとお聞きしていますが。

鳥山 求氏(以下,鳥山氏):
 はい。物語でプレイヤーを引っ張っていくのが「ストーリードリブン」,プレイヤーが自分の進む道を選んでいくのが「プレイヤードリブン」というコンセプトだったのですが,今回の「ワールドドリブン」というコンセプトでは,文字通り,世界そのものが刻一刻と変化していき,そのめまぐるしい変動のなかで,プレイヤーは自身の行動を選択していくことになります。

4Gamer:
 世界が変化していくというのは,具体的にはどういうことですか。

鳥山氏:
 つまり,プレイヤーが選択するしない以前に,世界そのものが24時間の時間推移によってリアルに動いていて,変わりゆく状況や環境に対してプレイヤーが右往左往する。そういう状況を想定したコンセプトですね。「時」によって動く世界に対して,“時間を増減させる”という概念を加えてシステム化したのが,タイムマネージメント要素を取り入れたゲームデザインです。

4Gamer:
 タイムマネージメント要素を取り入れたゲームデザインとは?

鳥山氏:
 まずLRFFXIIIでは、世界滅亡の「13日前」から物語が始まります。主人公のライトニング(プレイヤー)は,世界の滅亡を阻止すべく,さまざまなアクションを行っていくわけですが,プレイヤーの行動によって,世界の余命そのものも変化していくので,プレイヤーによっては13日目に到達できたり,できなかったりします。

阿部雄仁氏(以下,阿部氏):
 また,ゲームの世界には“時間の流れ”があって,朝,昼,夕方,夜など,リアルタイムで時間が経過していきます。そして時間帯によって,街の人々の行動が変わったり,プレイヤーの行ける場所も変化していきます。そうした“動いている世界”のなかで,プレイヤーが自分自身の意思で自由に関わっていける――LRFFXIIIはそういうゲームを目指しているんです。

4Gamer:
 極論すると,例えばプレイヤーが何もしなくても,タイムリミットが来れば自動的にゲームが終わるということですか?

ディレクター 鳥山 求氏
画像集#050のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー
鳥山氏:
 そうです。一方で,敵を倒したり,クエストを達成したりすれば,世界の余命を伸ばしたりできます。逆に,ある人を助けるために世界の余命を減らすという決断を迫られる,そんなシチュエーションも存在するのかもしれません。

4Gamer:
 ちなみにゲーム内の1日は,現実時間でどのくらいになるのですか。

阿部氏:
 まだ調整中ですが,今のところは1〜2時間程度を考えています。

4Gamer:
 13日という余命から逆算すると,一回のプレイは(RPGにしては)比較的短時間になりますよね。

鳥山氏:
 限られた時間をどのように使っていくかが肝となるゲームプレイです。もちろん,時間の推移により,1度のプレイでは全部のイベントを見ることはできませんので,プレイするたびに新たな体験ができるようなゲーム構造となっています。

4Gamer:
 なるほど。

鳥山氏:
 とにかく重要なのは,“リアルタイムに世界が動いている”という部分を中心にゲームが構築されて,時間が流れていくなかで,プレイヤーが体験できるのは,いまプレイヤーがいる場所で起こることだけという部分です。そのとき,ほかの場所でもいろいろなことが起こっています。しかし遠い場所に対して,プレイヤーはアクセスできないわけですね。

4Gamer:
 必然的に,すべてを体験しようと思ったら,周回プレイが必要になると。

阿部氏:
 はい。繰り返し遊んでいくなかで,世界で起こっているさまざまな出来事を発見していける――そんな面白さを表現できればと思っているんです。それに,周回プレイのモチベーションという意味でいうと,例えばプレイヤー同士で「あ,俺はそのイベント知らないな」といった会話が発生するような,話題が“ゲームの外”に広がる仕掛けを設けられればいいなとも考えています。

鳥山氏:
 一度見たイベントであっても,タイミングによってその見え方が変わったりする。そういう仕掛けを随所に盛り込んでいきたいですね。だからイベントを見逃さないために,プレイヤーの間で情報のやりとりをしてもらって,「そっちはあのイベント見た?」みたいな会話が生まれればいいですよね。

4Gamer:
 それにしても,いわゆるFFシリーズという意味で見ると,今回は相当に異質な作り方ですよね。

北瀬氏:
 そうですね。例えばFFXIIIのときは,プラットフォームが当時の次世代機に移り変わるタイミングでもありましたから,遊びづらいと言われるゲームにはしたくなかった。だから,従来のFFシリーズのファンがすんなりと入っていけるもの――魅力的なキャラクターと,ドラマティックなストーリーが主体の遊びやすい作品にしたという経緯があるんですね。
 そして続くFFXIII-2では,「もっとゲーム部分を遊びたい」というプレイヤーさんからの声を受けて,その意見を取り入れる形で,プレイヤー主導の方向へと舵を切ったわけです。

ゲームデザインディレクター 阿部雄仁氏
画像集#032のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー
阿部氏:
 これまでのFFシリーズというのは,一通りプレイで「スタッフが見せたいところはすべて見せる」という作り方が基本でしたから,その意味でもLRFFXIIIは,これまでのFFシリーズのなかで異質な立ち位置の作品だと思います。なにせ,スタッフが頑張って作ったものを見てもらえるかどうかは,すべてプレイヤー次第ということになりますから。

4Gamer:
 今回,FFシリーズのナンバリングタイトルでありながら,ある種“尖った形”を取ることになった背景にはどういった考えがあったんですか?

北瀬氏:
 もともと,伝統的なFFシリーズの作り方というのは,料理に例える,オードブルのお皿をいっぱいテーブルに並べて,とにかく豪華な食べ物を次々とお皿に乗っけていくようなイメージといいますか,そういう作り方をすることが多いんです。それに対して今回は,言ってみれば,オードブルのお皿の中から一つを選んで,そこにいろいろなモノを盛りつける感じに近くなりました。

鳥山氏:
 最初に一つのお皿(土台)をしっかりと作って,そこに乗る(合う)料理だけを作るってイメージですよね。コンパクトに作る……と言うと語弊を生みそうですが,スタッフ全員にコンセプトの概念図を見せながら,プレゼンをして。そのお皿(コンセプト)に合うアイデアなら乗っけるし,合わないなら乗っけないという部分をかなり徹底したんです。

北瀬氏:
 だから今回は,コース料理として豪華さ(横の広がり)ではなくて,一品モノとしての完成度(縦の高さ)を重視しています。同じFFシリーズであっても,そういうコンセプトの違いがあるんです。


伝統的なFFシリーズの作り方と,そのアンチテーゼとしてのLRFFXIII


4Gamer:
 伝統的なFFシリーズの作り方,という部分はとても興味深いですね。もう少し詳しくお聞きしてもいいですか?
 例えばですが,FFシリーズの企画を立てるときって,一番最初にどういったやりとりをするんでしょうか? 企画の発端になる,最初の“熱”みたいなものがあると思うんですが,FFシリーズの場合,そこが世界観なのか,システムなのか。“どこから入るんだろう”っていつも思うんです。

鳥山氏:
 スタッフのみんなが乗ってくる段階という意味では,そこは「コンセプトアート」になるでしょうね。もちろん,企画段階では,世界設定やプロットを詰めたり,ゲームの軸となるシステムを考えたりといった作業をしていくわけですが,本格的に制作を開始するにあたっては,最初に象徴的な絵を用意することが多いんです。それって,スタッフ全員に「このゲームはすごくなる!」という共通認識を与えるためなんですけど,これは,割とFFシリーズの伝統的なやり方かもしれません。

「ファイナルファンタジー」の生誕25周年を記念したイベント「FINAL FANTASY展」で公開された一枚
画像集#013のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー

4Gamer:
 絵,ですか。

鳥山氏:
 FFシリーズでは,僕達が見たことのある世界を作ることはなくて,ほとんどが想像の世界をベースとしています。だからイメージを共有しようにも,写真も撮れませんし,どこかに取材に行くことはあっても,それは現実世界の範囲内で見られるものでは,あくまでも小さな素材になるものにしかなりません。

4Gamer:
 確かに。

鳥山氏:
 だから,開発するにあたって,スタッフの意識を統一するために,そのゲームを象徴する強力な“一枚の絵”が必要になるんです。今回でいえば,それがFF展で発表した油絵だったりするんですけど。

アートディレクター 上国料 勇氏
画像集#051のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー
上国料 勇氏(以下,上国料氏):
 アートというのは世界観を表現する一つの要素です。世界観というのは,設定だったり,シナリオだったり,その時代,場所,ひいてはその世界の中に生きる人達の生き方だったり――いろいろな要素が絡み合ったトータルなものです。だからアート側のスタッフは,企画サイドから上がってくるもろもろの情報を噛み砕く,というところからスタートします。そのゲームにはどういう絵がふさわしいのかを,模索していくのです。

4Gamer:
 以前,FFシリーズは,デザイナー発のアイデアをゲームに盛り込もうとする傾向が強い,みたいなお話を聞いたことがあるのですが,そういうものなんですか?

鳥山氏:
 絵を見ると,想像が広がるんですよ。触発されて,いろいろとアイデアが浮かんでくるし,どれくらい無茶ができそうか,こんなことがしたい,あんなことがしたいなど,スタッフのテンションももの凄く上がってくる。だから,できるできないはいったん置いておいて,みんなのアイデアを刺激するような,テンションの上がる絵を描いてくれと,いつもお願いしています。

上国料氏:
 そうですね。確かに制作に入ると,とにかく「まずイメージになる絵を描いてくれ」というオーダーが多いですね。

北瀬氏:
 あと作り方って意味でいえば,さっき言った「たくさんのお皿を並べる」って思想が強くあります。お皿から多少料理がこぼれようとも,昨日思いついた面白いアイデアがあるなら,もうとにかく,どんどん盛り込んでいこうよっていう。

鳥山氏:
 ありますね。開発の初期のアイデアを盛っていく段階では勢い重視です。

北瀬氏:
 結果として,個々の要素で衝突が起こってしまうことも少なくないんですが,「でも,豪華だからいいじゃん」という。それが良くも悪くも,FFシリーズの伝統的な制作スタイルだった。だけどFFXIIIを作っているとき,ここにいる阿部なんかは,結構衝突というか……いろいろあったよね?(笑)

阿部氏:
 え。ま,まぁ……(苦笑)

北瀬氏:
 今だから言えますが,例えばゲーム全体の遊びのサイクルという意味では,FFXIIIでは,バトルをやってフィールドを移動して,というサイクルがあります。そしてゲーム全体の作りとして,このバトルとフィールドが一体になって初めて,“遊びの転がし方”,遊びのサイクルが生まれるわけですよね。

4Gamer:
 はい。

北瀬氏:
 ところがFFXIIIでは,阿部には,主にバトル部分を担当してもらっていたのですけど,一方ではフィールド担当がいて,ここの2者間の遊びの連携がうまくいかなかった部分があったんですね。

鳥山氏:
 バトルとフィールドを行き来するところで,遊びのサイクルがチグハグだったところもあったかもしれません。ただ,伝統的なFFシリーズというのは,さっきも話したとおり,お皿からこぼれてもいいから,思いついた面白いアイデアをどんどん盛り込んでいこうって考え方なので,それはそれで「良い」と割り切ってしまうわけです。

4Gamer:
 なるほど……。いや,もの凄く興味深いお話です。

鳥山氏:
 その一方でLRFFXIIIでは,てんこ盛りの作品というよりも,遊びのサイクルとしての不満だったり,FFXIII,FFXIII-2で成し得なかった部分を研ぎ澄ました作品を目指しました。

北瀬氏:
 そのためにも,阿部がゲーム全体にわたってディレクションをするという体制を敷いています。一つの頭脳,一つの意思で統一されたゲームデザインを構築するのが今作の目標です。

画像集#043のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー

4Gamer:
 今回は目指しているものが違うというか,本当に作り方からして違うわけですね。

鳥山氏:
 ライトニングのシリーズの3作目だからこそできる挑戦だろうと思っています。プレイヤーの皆さんがFFXIII,FFXIII-2と遊んできて,より遊びの部分の完成度を求めていることは分かったので,LRFFXIIIは,ゲーム全体の遊びのサイクルを重視することにしたんです。

4Gamer:
 遊びの部分の完成度という意味でいえば,FFXIII,FFXIII-2の戦闘システムは,プレイヤーからの評価がとても高い箇所でしたよね。

阿部氏:
 ありがとうございます。

4Gamer:
 LRFFXIIIでは,その戦闘システムに大幅な変更が加えられています。パーティシステムがなくなり,ライトニング1人を操作するタイプの,よりアクション性の高いバトルシステムになっていますよね。

阿部氏:
 はい。そうです。

4Gamer:
 評価の高かった部分に対して,ここまで大胆な変更に踏み切った理由というのは何でしょうか?

阿部氏:
 今回は,あくまで「完全新作として発表する」ということで,私としては,まず戦闘の感触を変えたかったんですよ。それにFFXIIIでは,リアルタイムアクションとコマンドRPGの中間的なものを目指して作っていたんですが,その本質を残したうえで,より気持ちのいいものにするにはどうすればいいのか,という部分にも挑戦したかった。

4Gamer:
 これまでのシリーズ(の戦闘システム)で言えば,リーダーだけじゃなくて,ほかのキャラクターも動かしたい,もしくは指示を出したいといった意見もあったと思うんですが,従来のシステムをより強化する方向性というのは問題があったんですか?

画面は「FINAL FANTASY XIII-2」より
画像集#052のサムネイル/「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」は,同じFFシリーズであってもコンセプトが違う作品。中核スタッフ特別インタビュー
阿部氏:
 そうですね。問題という意味でいえば,例えば「FINAL FANTASY」という作品は比較的ライトな方も遊ばれるタイトルですよね。実際にFFXIIIの開発中に既に試した経験も含め,複数のキャラクターがリアルタイムで動いて,それらすべてを一人で把握するという複雑な遊び方にしてしまうのも,それはそれで本末転倒だろうと考えたんです。

4Gamer:
 確かにリアルタイムで3人を動かすとなると,操作も思考も追いつかなくて,かなり大変になるでしょうしね。

阿部氏:
 だから,FFXIIIからして,そこは意図的に割り切った設計にしていました。できるだけシンプルにしながら,戦略性や駆け引きが楽しめる――そういった要素を洗練させたものが,FFXIIIのバトルシステムだったんです。
 だけど,今作を作るにあたっては,もっともっとシンプルでいいんじゃないかな?と考えて。LRFFXIIIでは,よりダイレクトなプレイ感覚を実現させるために,プレイキャラクターを1人に集約して,プレイの思考を一本化したんです。

北瀬氏:
 あと,今回のLRFFXIII制作スタイルの特徴としては,阿部が作っている非常にシンプルな――“だるま落とし”というゲーム全体を表す図があって。

4Gamer:
 だるま落とし?

阿部氏:
 先ほど,お皿の話をしましたが,例えば,FF展で紹介した時計(時間)というテーマが,ゲームの根底の一番大きなお皿としてあって。そして,その上にフィールドで発生する要素だったり,バトル要素だったりが乗っかっているわけです。そしてそれらの要素の上に,こういったものが必要だよねというのを,さらに積んでいく――というものの概念図を作ってあるんです。

4Gamer:
 その図の見た目が,だるま落としのようなものなのですか。

阿部氏:
 はい。

鳥山氏:
 これがあると,「あ,今日すごいアイデア思いついた」というときに,そこに乗っけようとして,崩れないかどうかが判定できるんですよ。この説明は,GDCのときにやりたいですね。木で作った模型を持ちこんで(笑)。

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