インタビュー
いよいよ稼働を開始した最新作「pop'n music ラピストリア」。ビジュアルを一新し生まれ変わったその狙いをPON氏とTAG氏に聞いてみた
前作から実に1年半ぶりのシリーズ最新作となる本作は,キャラクターのビジュアルが一新されるなどの大幅なイメージチェンジが図られており,ファンからも熱い注目を集めるタイトルだ。また奥深いストーリーの追加や,ゲームシステムにも細かく手が加えられているなど,トピックにはこと欠かない。
今回4Gamerでは,その思い切ったイメージチェンジの秘密に迫るべくKONAMIを訪れ,本作のサウンドディレクションを務めるPON氏とTAG氏に話を聞いてみた。本作のコンセプトやさまざまな新要素の意図について語ってもらったので,新作に期待するファンは,ゲームセンターに出かける前にぜひご一読いただきたい。きっと,ラピストリアの世界をより堪能できるはずだ。
「pop'n music ラピストリア」公式サイト
キャラクターをもっと身近に。そんな思いが込められた「pop'n music ラピストリア」
4Gamer:
前作から1年半ぶりとなる新作「pop'n music ラピストリア」が稼動となります。まず,このラピストリアというのは,どういう意味なんですか?
ラピストリアというのは,宝石や石を意味する「ラピス」という単語と,歴史や物語を意味する「ヒストリア」という単語を組み合わせた造語なんですが,本作の中では主にアナザーワールドを表す言葉として登場します。本作のストーリーは,おなじみのポップンワールドと,アナザーワールドである「ラピストリア」という二つの世界が舞台となっているんです。
4Gamer:
なるほど。ストーリーにちなんだタイトルだと。
PON氏:
ええ。この二つの世界は「ラピス」という宝石を通して行き来できます。サブタイトルには,この「宝石をめぐる物語」という意味も込めてあります。
4Gamer:
つまり,本作の見どころはこのストーリーにあり,ということでしょうか。
PON氏:
まさにその通りです。ポップンシリーズは,とくにキャラクター人気が高いシリーズですから,より深くキャラクターを知ってもらうべく,今作ではストーリー部分に力を入れています。プレイヤーの皆さんが気になっているだろうキャラクターデザインの変更も,それと連動した仕掛けの一つなんですよ。
4Gamer:
これまでの絵柄のキャラクターが登場するポップンワールドと,新しい絵柄のアナザーワールド,というわけですね。
PON氏:
はい。JAEPO2014のステージで公開したPVを見て,驚かれた方も多いと思うのですが,多面的なキャラクターの魅力を引き出すのが,新しいキャラクターデザインを加えた一番の理由です。
4Gamer:
ラピストリアでの姿は,頭身がグッとあがって少し大人っぽくなりましたね。
PON氏:
そうですね。今作はラピストリアという世界の構築に重点を置いています。ラピストリアという世界に触れるたびに,新しい刺激を味わえるようになっています。
TAG氏が「pop'n music」に吹かせる新たな風
4Gamer:
今回新たにサウンドディレクターとして参加したTAGさんの役割を教えてください。
僕が制作に参加した理由は一つで,ラピストリアという新しい世界を構築する上で,新たな要素が必要となったので,声がかかりました。でも,僕の色がゲーム内に出てくるのはまさにこれからだと思っています。今後の追加曲で“TAGらしさ”が加わることで,そこで初めて真のラピストリアになると思ってください。
4Gamer:
なるほど。ではTAGさんご自身は,ポップンチームに参加してみていかがでしたか。「GITADORA」から始まり,「DanceDanceRevolution」「DanceEvolution ARCADE」と楽曲を提供されてきたわけですが,何か違いを感じるでしょうか。
TAG氏:
「pop'n music」シリーズって女性のプレイヤーが多いんですよね。デザイン的にもですが,そこがどうも慣れないというか(笑)。自分の良さをどう発揮するか苦労してます。
4Gamer:
それは意外ですね。TAGさんの楽曲は,女性にも人気が高い気がしますけど……。
TAG氏:
そ,そう? だったら嬉しいな(笑)。
PON氏:
ほら。やっぱりミステリアスな魅力があるんですよ(笑)。
TAG氏:
ミステリアス……かなあ? まあそれはともかく,曲の作り方という意味でも,ほかの機種とは違いがあるんです。キャラクターが立っているので,それに合わせた楽曲――いわゆるキャラソン的な作り方をすることが多くて。そこに難しさを感じる半面,逆にインスピレーションをもらうこともあったりで,そういうところが面白いですね。
PON氏:
そうそう。普通に作るときとはフローが違うんですよね。想像力とか,頭を使う部分が全然違うんです。
4Gamer:
「pop'n music」の楽曲制作は,イメージするキャラクターを先に決めることが多いのですか?
PON氏:
ケースによりますね。ジャンルだけ決めて,コンポーザーさんが出してきた曲から,キャラクターを生み出すこともあります。ただ,今作の場合はキャラクターに合せて作ってもらう形式の方が多かったです。
TAG氏:
ストーリーにフォーカスしているだけあって,次はこのキャラクターを出しましょうというのが先に決まるんです。で,じゃあこのキャラにはどういう曲をつけようかって。そんな流れですね。
4Gamer:
確かにほかのBEMANIシリーズでは,あまりない作り方という気がしますね。ところで,JAEPO2014のステージでは,本作のマスコット役としてwacさんのお名前が挙がっていたようですが……マスコットって一体何なんです?
PON氏:
これはですね,作中のカワイイ部分をwacさんのマスコットパワーによって補っているんです。……というのは冗談で(笑),wacさんには「pop'n music」らしさについてのアドバイスをもらっています。だから,実制作にもちゃんと関わってますのでご安心ください。
TAG氏:
アイコンとしてのwacさんの存在というのは,やっぱりどこか特殊なところがあって。後ろにいてサポートしてくれているというだけで,僕等としてもすごく安心するんですよ。それはたぶん,プレイヤーの皆さんにとっても同じだと思うので。
新たなストーリーの追加配信も。広がり続けるポップンワールド
4Gamer:
これまで新しくなった「pop'n music」についてお聞きしてきましたが,これまでを引き継ぎつつ追加された楽曲,そして今後についても少しだけ聞かせてください。
稼働直後のバージョンでは,PONさんが「煌-灼熱の裁き」,TAGさんが「春風ブローインウィンド」という楽曲をそれぞれ提供されていますが,これらについてそれぞれコメントをいただけますでしょうか。
PON氏:
「煌(きら)-灼熱の裁き」は,烈というキャラをイメージした炎の楽曲の第2弾です。前作に引き続き,テンションMAXでいった楽曲なので,ぜひプレイしていただければと。
TAG氏:
「春風ブローインウィンド」は,風雅くんをイメージした楽曲の,こちらも第2弾です。
第1弾の「Cosmic Hurricane」は“嵐”がテーマでしたが,今回は彼のクールでお茶目な一面をイメージし,“穏やかな風”がテーマになっています。PONくんの曲とは対照的な,まったりテンポのゆるやかな曲に仕上がっています。
PON氏:
“穏やかな風”といいつつ,前の曲にはなかったダブステップの要素を入れてきたりして,変化を狙っていますよね。「春風ブローインウィンド」はもちろん,TAGさんの今後の楽曲に注目していただければと。
4Gamer:
PONさんがまず土台を作り,そこにTAGさんが柱を立てて築いていく,新しい「pop'n music」ワールド,といったところでしょうか。ほかに,とくにオススメの楽曲とかはありますか?
PON氏:
僕らのほか,Des-ROW組や常盤ゆうさん,村井聖夜さんにフレディ波多江さんといったベテラン組,それからred glasses feat. 秋成やマッカチン企画 feat. sisiといった公募企画組まで,幅広い楽曲が入っています。その辺りにも注目です。
TAG氏:
僕はAkhutaくんの「空に抗い堕つるとも」がオススメですね。個性的な曲が特徴の彼ですが,それと「pop'n music」というゲーム自体が持つ個性が合わさって,新たな一面が見えたように思います。あと,この曲にはラーズという宇宙人のキャラクターが登場しますが,これがまた曲に合っていて,不思議な世界観を作っています。
4Gamer:
それは楽しみです(笑)。ではラピストリアの今後についてですが……イベントなんかも,もちろんあるわけですよね?
PON氏:
そこは秘密ということで(笑)。ただ,当然イベントや隠し曲は必要だと思っていますので,やっていきたいとは思っています。でも,まずは今あるストーリーを楽しんでほしいですね。
4Gamer:
ストーリーって,今あるので全部なんですか? 例えば,その後が語られるようなエピソードが後から追加されたりとか……。
TAG氏:
追加する予定です。ストーリーが広がっていくことが,ゲームセンターに足を運ぶ切っ掛けにもなると思うので。ストーリーを軸に,ラピストリアを長く遊んでいただけると嬉しいですね。
4Gamer:
分かりました。それでは最後に,お二人から「pop'n music」ファンに向けてメッセージをお願いします。
TAG氏:
今回から「pop'n music」シリーズに参加することになり,色々楽しみながら作らせていただきました。2つの世界に初めはビックリすると思いますが,遊んでいただければいつもの「pop'n music」だと分かってもらえると思うので,まずは遊んでみてください。
PON氏:
皆さんが想像している以上のラピストリアが,今まさに始まろうとしています。先ほども言いましたが,ラピストリアにふさわしいサウンドを用意しました。そのサウンドとともにラピストリアという世界を存分に味わってください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
■稼働時収録曲リスト
曲名 | アーティスト |
---|---|
空に抗い堕つるとも | Akhuta |
徒然 My world | MY STRANGE LIFE |
Realize Maze | movies (moimoi×Xceon×Dai.) |
春風ブローインウィンド | TAG |
煌-灼熱の裁き- | PON |
illumina | DJ TOTTO feat. *spiLa* |
戦場のアップデート | H.B.Saver feat.秣本瑳羅 |
火風陸空 | Des-ROW・組 |
Shock Me | dj TAKA feat.Fuuu囎ka |
ベルガモット組曲 | 常盤ゆう |
TWINKLING | 猫叉Master feat.ミミニャミ |
ラピストリアの約束 | positive MAD-crew |
終末の序曲〜オワリノハジマリ〜 | フレディ波多江とエレハモニカ |
Perverse Heart 〜あまのじゃく〜 | EGOISTIC LEMONTEA |
紅蓮の弓矢 | Linked Horizon |
メニメニマニマニ | 高宮なすの(鳴海杏子) |
脳漿炸裂ガール | れるりり feat.ぐるたみん |
ローリング・サバイバー | ゆうゆ feat.ぐるたみん |
クノイチでも恋がしたい | みきとP feat. 松下 |
ロストワンの号哭 | Neru feat.松下 |
恋愛勇者 | Last Note. feat. GUMI |
いーあるふぁんくらぶ | みきとP |
零と弌の鍵の唄 | red glasses feat.秋成 |
運命のパラドックス | CapsColte |
うさぬこぬんぬんファンタジー! | ARM(IOSYS) feat. 普透明度 |
今夜ボクがキミの救世主っ! | 岩橋星実(Elements Garden) feat.小林正典 |
徹頭徹尾Thrive at Perfect Fourth | DTO vs PON 勝利の方程式 |
地の記 獄編 | あさき |
NINE PIECE | SOUND HOLIC |
そこに或るヒカリ | マッカチン企画 feat.sisi |
「pop'n music ラピストリア」公式サイト
- 関連タイトル:
pop'n music ラピストリア
- この記事のURL:
(C)Konami Digital Entertainment