プレイレポート
能力者達の恋を描いた「ノルン+ノネット ラスト イーラ」のプレイレポートをお届け。前作の内容を補完しつつ,新たな物語も楽しめる1本です
なお本作は,「NORN9 ノルン+ノネット」と,その移植版にあたるPS Vita用ソフト「NORN9 VAR COMMONS ノルン+ノネット ヴァール コモンズ」のネタバレが多く含まれています。ネタバレを見たくないという方は,ご注意ください。
ただし前作は,全員のルートをクリアしても多くの謎が残ってしまい,やきもきしていた人も多いのではないでしょうか? とくに,能力者達に旅をするように指示をしていた世界について,あまり深く語られることはありませんでした。そういった謎が本作の各ルートで,少しずつ解明されていきます。前作のプレイ後に,結局あれって何だったの? と思うことも多かった筆者も,本作をプレイしてすっきりした気持ちになれました。
本稿では,本作の各所に盛り込まれている前作を補完してくれる内容に触れつつ,収録されている4つのシナリオの内容を紹介していきます。
●メインキャラクター
[主人公]
こはる ※名前変更可
CV 藤村歩
能力:『炎』を操ること [こはる攻略キャラクター]
結賀 駆(ゆいが かける)
CV 梶裕貴
能力:『緑』を生みだすこと
[こはる攻略キャラクター]
市ノ瀬 千里(いちのせ せんり)
CV 下野紘
能力:『水』を操ること [こはる攻略キャラクター]
遠矢 正宗(とおや まさむね)
CV 佐藤拓也
能力:『過去』を視ること
[主人公]
久我 深琴(くが みこと) ※名前変更可
CV 高垣彩陽
能力:『結界』を張ること [深琴攻略キャラクター]
吾妻 夏彦(あづま なつひこ)
CV 小野大輔
能力:特になし
[深琴攻略キャラクター]
二条 朔也(にじょう さくや)
CV 斎賀みつき
能力:『未来』を視る [深琴攻略キャラクター]
加賀見 一月(かがみ いつき)
CV 遊佐浩二
能力:『夢』を見せること
[主人公]
不知火 七海(しらぬい ななみ) ※名前変更可
CV 瀬戸麻沙美
能力:『記憶』を消すこと [七海攻略キャラクター]
宿吏 暁人(しゅくり あきと)
CV 杉山紀彰
能力:『水』を操ること
[七海攻略キャラクター]
室星 ロン(むろぼし ろん)
CV 杉田智和
能力:特になし [七海攻略キャラクター]
乙丸 平士(おとまる へいし)
CV 吉野裕行
能力:テレパシー
前作の前日譚を楽しめるプレリュード
このシナリオでは,前作で知ることができなかった本編前,主人公の1人であるこはるがノルンに乗り込むまでの物語が楽しめます。前作の本編前に攻略対象キャラ達がどんな生活をしていたのか,どうやってノルンに乗ることになったのか……といったことが描かれており,キャラ達のことをより深く知ることができます。
また,プレリュードでは遊べる順番が決まっています。好きなキャラからできないのか……なんて思う人もいるかもしれませんが,順番が決まっていることで,時系列が分かりやすくなっています。
世界がある「島」に住む人々――主に科学者達は,能力者達の旅の目的を知っています。プレリュードは,能力者でありながら,島の人間でもある正宗の物語から始まります。
正宗は,科学者としての才には恵まれず,平々凡々と自分を評していますが,7人の能力者の1人として選ばれ,旅をすることになります。これまで島の人間から能力者が選ばれることは,正宗が選ばれるまで一度もなかったようです。
ほかにも千里のあざについてなど……前作で詳細が語られなかったようなことも,ほかの話で説明されていたりするので,いきなり疑問が解消される人も多いであろうシナリオでした。
前作のその後,恋人同士になった2人を描いたコンチェルト
このコンテンツでも,前作で謎のまま終わった部分のフォローがあります。ルートによっては,世界や島のことが語られたり,キャラ自身の秘密などが明かされたりします。
日輪と月影の内容は,大きく異なります。日輪では,恋人同士になった2人の生活について描かれている一方,月影は,さまざまな困難に立ち向かっていくような,シリアスな内容になっています。
さらに,日輪と月影には,それぞれいくつかの選択肢があり,どれを選んだかによってエピローグに進めるかが決まります。
たとえば一月のルートでは,プロローグの次に月影シナリオが始まり,一月の双子の姉である和葉について掘り下げていきます。夢の能力者だった和葉は,幸せな夢を売って生計を立てる夢売りでしたが,14歳の頃にはやり病にかかり死んでしまいます。そんな和葉が,ある日突然,深琴の夢の中に現れるようになります。死んだ人間が夢に出てくる,しかも妙な夢だった……ということで深琴は怯えてしまう,といった内容です。
さらに,一月が他人からの“ある相談”に答えている姿を深琴は何度か目にしていましたが,これにもある理由が隠されていたというのが,このシナリオで明らかになります。
また,ノルンを降りたあととはいえ,ほかのキャラも各ルートに登場して,相変わらず賑やかなのも楽しいです!
前作のストーリーを攻略対象キャラの視点で楽しめるフーガ
フーガは,前作のストーリーを攻略対象のキャラ達の視点で楽しめるというもの。作中で彼らがどう思い行動したのかが描かれているので,主人公3人の視点では分からなかったことが,ここではっきりすることも。
彼の能力は,人の心を読み取ることはできなくても,他人の感情をいろいろな形で感じ取ることができます。色や感触として伝わってくるほか,平士にはとくに音として聞こえることが多いらしく,ほかのキャラ達の感情をよく音で表現しているのが面白いです。
平士の場合,世界や島との直接的な関わりがないので,そういったことについて語られることは多くないですが,他人のために感情を隠し,明るく振る舞っていた彼の本来の心情を知ることができるフーガの平士ルートは,彼の明るさに癒やされてきた人にはとくにおすすめしたいお話になっています。
小さくなったキャラ達の賑やかな様子を描いたファンタジア
本作に収録されているシナリオの4つめがファンタジアです。このシナリオは,ノルンで旅をしていた頃の賑やかな様子を描いたifストーリーです。シリアスなシーンも多い本作ですが,ノルンでの生活は個性的なメンバーが集まっているおかげで,とにかく賑やか。その様子が一番よく分かるお話になっています。
ほかのシナリオとは違い,シリアスな展開もないので,肩の力を抜いてプレイできるお話でした。あと,七海ルートに出てくるひよこさん達には注目です!
ミニゲームやショートストーリーなどが楽しめるEXTRA
EXTRAで最初から選べるのは,1度見たCGがいつでも閲覧できる「GALLERY」と,OPムービーや各キャラのEDムービーを見られる「MOVIE」の2つのみ。ほかに3つの“???”と書かれた項目があるのですが,そのうち2つは9人中1人でもコンチェルトのエピローグを見れば,開放されます。
キャラとの交流でもらえるチケット。大量にもらえることも…… |
操作している主人公によって,登場するサブキャラが異なります |
個性的なキャラや世界観などがとても魅力的で,さまざまな謎を散りばめたストーリーでも注目を集めたノルン+ノネット。本作には,前作でのいろいろな疑問点を解消してくれる内容が詰まっており,4つのシナリオがそれぞれ9人分楽しめるという,ボリュームも文句なしでした。PSP版や移植版を遊んだきりという人に,ぜひおすすめしたい一本です。
「ノルン+ノネット ラスト イーラ」公式サイト
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