連載
東京で再会した2人が紡ぐ,淡く優しい物語。iOS向けサウンドノベル「佐倉ユウナの上京・上」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第533回
スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが,「じゃあ,どれが面白いの?」「そもそも,数が多すぎて好みのタイトルが探せない!」と思っている人も少なくないはず。 そんな問題を解決すべく,スタートした連載が「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで,スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして(ほぼ)毎日お届けする。
本日の「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」では,iOS向けサウンドノベル「佐倉ユウナの上京・上」を紹介しよう。本作はジャンルでいえばサウンドノベルに当たるタイトルだが,ビジュアルは挿絵程度で,テキストのみが表示されるページも多いという,電子書籍寄りのシステムとなっている。それだけに,より強く「読書している」感じが味わえるはずだ。
iOS版「佐倉ユウナの上京・上」ダウンロードページ
本作の主人公,咲間鷹司は,福岡から上京し,都内にある聡桜大学に通う男子学生。とくに大きな目的や将来の展望もなく,ただ何となく日々を過ごしていたが,そんな彼がちょっとしたきっかけから,ひとつ年下の幼馴染み,佐倉ユウナと再会するところから物語は始まる。ユウナは鷹司と同じ聡桜大学を受験するも失敗し,大学の近くにある予備校の寮に住み込むため,上京していたのだった。
鷹司は,ユウナから受験勉強のちょっとした息抜きとして,ときどき顔を合わせるようお願いされる。東京に来て変わってしまった鷹司と,昔と変わらないユウナ。2人はどのような道を歩むのか……。
本作は前述の通り,電子書籍に似たスタイルで,キャラクターの立ち絵などは表示されず,手描き風のフォントが使用された縦書きの文章を読み進めていくことになる。ページをめくるだけではなく,一文ずつタップして文章を表示させていくところが,あえて言うならサウンドノベル的だろうか。この文字に集中する感覚が新鮮だ。
すでに読んだ文を確認できる「読み返しモード」や「しおり」,さらにセーブやロード,スキップといったサウンドノベルに必要な機能は一通り揃っている |
2本指でタップすれば,読んでいるページにしおりを挟める。また,読み返しモード時に2本指でタップすることで,読んでいたページまで戻れる |
本作で特徴的なのが,物語の途中でときおり表示される「挿絵」だ。ライトノベル風に,1ページを使ったイラストが挿入されており,重要なシーンを盛り上げてくれる。絵のタッチは最近の流行とは異なるが,暖かく柔らかい,非常に印象深いイラストばかりだ。
かなりボリュームのある作品なので,自分のペースでじっくりと読み進めていってほしい。ゲーム性はほとんどなく,目を見張る演出や度肝を抜く展開といったものもないのだが,鷹司とユウナの切なくも暖かい物語を最後まで見届けたくなるはず。
一度楽しんだ挿絵BGMはトップメニューからいつでも確認できるので,気に入ったイラストや曲があれば読書の合間に楽しむのもいいだろう。読書から離れて久しいという人などはぜひ,通勤中や就寝前のひと時に触れてみてはいかがだろうか。
著者紹介:トリスター/目代将規
ゲームやアニメの書籍企画,編集,シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや,一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。
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