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難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
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印刷2015/12/29 00:15

インタビュー

難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー


吉田さんへの質問やちょっと変わった要望


4Gamer:
 今度は,FFXIVのゲーム内容から少し離れて,吉田さん自身への質問を取りあげたいと思います。初めに,とてもざっくりとした内容ですが,「ゲームを作るという仕事をしていて一番嬉しいこと」を教えてください。

画像集 No.020のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
吉田氏:
 一番嬉しいこと……スタンドアロンのゲームの場合は,やはり自分が作ったゲームが発売日を迎えて,そのゲームをプレイヤーの方が手に取って,買ってくれたのを見た瞬間ですね。

4Gamer:
 迎えた日というか,買ってくれた瞬間なんですね(笑)。

吉田氏:
 ええ,柱の陰からよく見てました(笑)。「あ! あの人が手に取った」「あの人も手に取った!」と。それが,もうすごく嬉しい。
 一方,オンラインゲームの場合はふたつあって,まずひとつめは,イベントや,たまたま私生活でプレイヤーの人に声をかけてもらって「遊んでます!」「めっちゃ楽しんでます!」と言ってもらえると,ものすごい幸せですし,それは仕事をしていて一番嬉しい瞬間ですね。

4Gamer:
 プレイヤーから直接の反応がもらえるのは嬉しいでしょうね。声を掛けるのって,結構勇気が必要だったりしますし。

吉田氏:
 もうひとつは,パッチ直後。僕らは,プレイヤーの皆さんより少しだけ早くサーバーに入れるのですが,メンテナンスが開けてプレイヤーの皆さんが一斉にログインして,だーっと走っていくのを見ているときはやはり嬉しいですね。こんなにパッチを楽しみに待っていてくれたんだなと分かるので。あとは「よしだああああ」って弾幕が出るときですね(笑)。

4Gamer:
 あれって嬉しいんですか(笑)。

吉田氏:
 嬉しいですし,ありがたいです。叱咤激励だと思っています。

4Gamer:
 続いて,昨年,マフィア梶田と対談したときに,“超尖ったMMO”を作りたいというお話をされていました。それをFFXIVのプロデューサーを退いたあとで良いので,ぜひ作ってほしいという投稿がありました。10年待ちますとも書いてあります。

吉田氏:
 10年で作れれば良いですけどね(笑)。FFXIVを10年続けると言ってますが,MMOは簡単に作れるわけじゃないですから。僕らでも開発は相当速いほうだとは思いますが,もし今のメンバーで作り始めても,制作開始から軽く3年はかかるかなと……。

4Gamer:
 海外のMMOにしても,発表からリリースまでかなりの時間を要していますからね。

吉田氏:
 もし作ることになったとしても,10年以上待ってもらうことになるかもしれませんし,その頃には僕の考え方も変わっているかもしれませんよ。もしかすると,ほかの開発がそんなMMOを作ってるかもしれないですし。

4Gamer:
 そう言えば,要望があればPKができるサーバーを用意するという話もあったと思いますが,あれはなくなったのでしょうか?

吉田氏:
 いえ,本当に要望があれば“超”前向きに検討しますよ。

4Gamer:
 実際,どれぐらいの声が集まっているのでしょうか。

吉田氏:
 Lv20になったら,グランドカンパニー(以下,GC)のどれかに所属して,所属した瞬間からほかのGCから絶対に狙われるという状態のワールドを作りたいと以前から話していましたが,海外からはそれに対する要望の声が結構ありました。

4Gamer:
 個人的には,ぜひ実現してほしいところです。

吉田氏:
 エーテライト周りは攻撃不可にしないとテレポキルされてしまいますし,そういった専用のルールも厳密化しないといけないので,そう簡単には実現できないのですが……現在のフィールド上をすべてPvP可能にした状態で,負荷試験のようなものは,ぼちぼちやりたいなとは思っているんですが……。

4Gamer:
 お,それは気になる話です。やはり対人戦となると,常に人がいてほしいですし,その状態に耐えられるかの負荷試験というところですか?

吉田氏:
 そうです。作れても1ワールドかなと思っていますので。あまりにも満員になるようだったら,ほかにPvPサーバーを用意する可能性はあるかもしれませんが。

4Gamer:
 一方で日本のプレイヤーは,対人,とくにPvPコンテンツを敬遠する傾向にありますよね。

吉田氏:
 面白いと思うんですけどね。GCの新人がいたら即確保して「危ないからこっちに!」とか(笑)。

4Gamer:
 GCごとに固まって動かないと危ないですね。

吉田氏:
 レベリングや討伐手帳をひとりでやろうとすると,「何をしているんだ!」と(笑)。ソロでふらふらしてたら,すぐにほかのGCに襲われたり……。

4Gamer:
 モブハントに行くのも大変そうです。

画像集 No.021のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
吉田氏:
 モブ狩りに行くはずが,ただの殺し合いになることもあるでしょうね。でも,ワールドごとに暗黙の了解はきっと出てくるはずなので,「モブハントのときだけは相手を攻撃しない」といったローカルルールが出てくると思います。

4Gamer:
 倒した瞬間に,次の戦闘の幕が切って落とされる……。

吉田氏:
 いや,誰かがフレア打って,「フレアを打ちやがったな!」となり,結局殺し合いになるのでは(笑)。

4Gamer:
 あー,その光景が目に浮かぶ……うっかりアサイズ(※かなり広範囲にダメージ+回復効果を与えるスキル)を撃つ白魔道士とか。

吉田氏:
 そういった展開も面白そうですけどね。

4Gamer:
 ただ,PvPサーバーとなると,プレイヤーの了解は必須になるでしょうね。

吉田氏:
 はい。ですから,最初にそのワールドを選択するときは警告が必須ですね(笑)。「一切責任を負いませんが,よろしいですか」とか。

4Gamer:
 ここから先は自己責任の世界というわけですね(笑)。話を戻して,ゲーマーの高年齢化で,どうゲームが変化していくかという投稿もありました。

吉田氏:
 僕はゲームの内容と高齢化は,とくに関係ないと思っています。僕が年を取ったら,シニア向けと呼ばれる,例えば脳トレ系のゲームばかりやるかって言われたらやらないなと。年をとっても,FPSとかガンガンやると思います。反射神経は落ちても,頑張って遊んでいると思いますけどね。

4Gamer:
 まあ……そうですよね。自分が年を取っても,同じようなゲームをしているような気がします。

吉田氏:
 変化という意味では,もうすでにゲームは変わってきていると思うんです。

4Gamer:
 というと?

吉田氏:
 ソーシャルゲームで短い時間の中で,簡単な操作だけで瞬間的に興奮が得られるというジャンルと,スマートフォンで本格的に遊べて,時間という概念をお金によって短くしたり,長くしたりしてエキサイトメントが得られる2タイプのゲームが登場してきたことは,ゲームの進化だと思っています。

4Gamer:
 なるほど。

吉田氏:
 一方で,コンソールゲームはどうなりますか? と聞かれるとまたそれは別ですね。表現やゲーム性はスマートフォンが追いついてきているので,コンソールゲームは,高いセットトップボックスを買うからこそできる体験や,グラフィックスの品質を突き詰めて,スマートフォンを引き離しにかかるしか生き残る術はないと思っています。ですから,コンソールゲームは,これからかなり先鋭化していくと思いますし,そこに必ずオンライン要素が入ってくると思います。

4Gamer:
 生き残るためには,テレビの前だからこそ体験できるゲームが必要だと。

吉田氏:
 はい。それに,今はソーシャルゲームで初めてゲームに触った人が,コンソールゲームに流れ始めてます。そういう人は,かなり年齢が若いですから,ゲーマーが高齢化してしまうということもないのではと思います。

4Gamer:
 そのサイクルの中で,コンソールからソーシャルまで,ゲームそのものが生き残ってくれることが,一番なのですが。
 さて,読者からの投稿にはさまざまな要望もあったのですが,その中から変わったものをいくつか取りあげたいと思います。まず,自分のキャラクターを3Dプリンタでフィギュアにするサービスがほしいという投稿です。

画像集 No.022のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
吉田氏:
 なるほど。3Dプリンタ……やらないということはもちろんないですね。やっと最近,FFXIVのグッズが出せるようになってきたので,今後いろいろなグッズを出していけると思います。
 海外のMMOでは,3Dプリンターではないですが,フィギュアメーカーさんと組んで,自キャラをモデリングしてもらってフィギュアを作るといったこともやっていますから,うちでもいずれはやりたいですね。いつかと言われると,だいぶ先になると思いますが。

4Gamer:
 期待しています。ちなみに,3Dプリンター用のデータをゲーム上から出力できるみたいなのはできないでしょうか。自分のキャラクターにポーズを取らせて出力できると,自身で製作するにしても,発注するにしても便利そうです。

吉田氏:
 FFXIVの場合は,モデリングがかなり複雑なので難しいのではないでしょうか。専用データの吐き出し口を用意する必要などもあるはずです。それに,現状では,まだそこまで手がまわりません。

4Gamer:
 まあ,そうですよね。でも,これだ!というポーズって,プレイヤーそれぞれにあると思うので,いつかは期待したいところです。
 技術的な話に関連して,PlayStation VRなど,バーチャルリアリティ(VR)関係についてはどう思われていますか?

吉田氏:
 とても魅力的で,体験としては非常に面白いですが,FFXIVというオンラインゲーム上では,まだビジネスにはなり辛いかなとは思います。

4Gamer:
 エンドコンテンツなどに使うのはもちろん厳しいと思いますが,FFXIVのキャラクターを舐めまわすように見たいという投稿もあるんですよね。

吉田氏:
 それなら作れる可能性はあります(笑)。その代わり,別料金になると思いますが……。というのも,フレームレートを上げるために相当手を入れなきゃいけなくて,結構なコストがかかります。60フレームでは,とてもじゃないですが酔って遊べない。

4Gamer:
 TGS 2015で,VRタイタン討伐戦を出展したときも,やはりそのあたりは苦労されたんですか?

吉田氏:
 そうですね。FFXIVはマルチプレイで,もともと可変フレームレートのゲームですが,60フレームに固定にしなきゃいけないですし。本当は120フレームまで上げたほうが良いのですが,そうなるとそれなりのコストをパッチを当てるたびにかけていかなくてはいけなくなるので……。

4Gamer:
 VR用に,余計に作る必要が出てくると大変ですね。

吉田氏:
 ですから,VRの館のようなところを用意して,そこだけで対応するみたいなことになるんじゃないでしょうか。まずVRの館に入るには,別途月額料金をお支払いくださいみたいな(笑)。

4Gamer:
 VRミコッテのためなら! というプレイヤーもいるかもしれません。

吉田氏:
 でも,気に入ったミコッテを呼び出すには,別途指名料が発生すると(笑)。

4Gamer:
 いや,もうそれ,完全に違うお店ですよね(笑)。

吉田氏:
 冗談はさておき,でも,MMORPGで実現しようと思うと,それぐらいじゃないとビジネスにはならないのです。VR専用の楽しさを提供し続けるためには,やはりそれ相応の料金をいただかないと成り立ちません。それでも良いから何とかしてくれと言われたら,誰かが考えるかもしれません。

画像集 No.023のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー

4Gamer:
 要望の声が多ければ,ということですね。

吉田氏:
 そうなりますね。

4Gamer:
 なかなか難しそうですね。楽しいと思うんですけど。

吉田氏:
 確かに,体験としては素晴らしいのですが,今はまだそれぐらい難しいということです。もちろん,VRそのものを否定するものではないのですが,サードパーティーのメーカーとして,巨額を投資して,そこで勝てる目算があるかと言われたら……。だからこそ,(TGSで)まずは「VRでゲーム体験がどう変わるか」をFFXIVで挑戦してみたんですけどね。

4Gamer:
 実際に作ってみて,これから先を考える材料にしたわけですね。

吉田氏:
 はい。それこそ,この体験はワンプレイ500円をいただける内容だと思っています。でも,それならゲームセンターに置いてあったほうがみんな楽しめるし,ワンプレイのお金も気軽に出せるんじゃないかと。ゲーマーとしては,そう考えてしまいます。


今からFFXIVを始めて追いつけるの?


4Gamer:
 本作を未プレイだったり,途中で止めていたと思われる読者から「今から始めて追いつけるのか?」という投稿が何件か寄せられていました。もちろん,“どこに追いつきたいのか”で,回答は全然変わってくると思いますが。

画像集 No.024のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
吉田氏:
 FFXIVの特徴であるストーリーを,最新のものまで追いつきたいというのであれば一番簡単で,ひとつのジョブをシナリオを進めながらレベル上げるだけで,すぐに追いつけます。また,装備の強さを示すILv(アイテムレベル)も,最前一歩手前くらいまでは,かなり短時間で追いつけますね。

4Gamer:
 蒼天のイシュガルド(パッチ3.0)の導入時に,パッチ2.x(新生編)のクエスト経験値が増えたり,とにかくすぐにイシュガルドに到達できるようにしたとおっしゃっていましたが,実際のところイシュガルドには,どれくらいで行けるのでしょうか。

吉田氏:
 いまだとスタンドアロンのRPG1本分ぐらいの時間があればいけると思います。新生編でLv50までは約18時間でいけますし,パッチ2.1から2.55までが約10時間,その段階のクエスト報酬でILvが115になっているので,そのままイシュガルドに進めます。

4Gamer:
 約30時間でイシュガルドに到着というわけですね。1日2〜3時間遊んだとしても,ほぼ2週間分くらいですか。まあ,ほかのクラスやギャザラー/クラフトに手を付けなければという感じではありますけど。

吉田氏:
 そこからイシュガルドの物語を追って,約20〜30時間くらいで最新のストーリーに追いつけると思います。

4Gamer:
 そのあと法典や禁書を集めて,最新の装備を集めていけば,バトルも十分に追いつけますね。

吉田氏:
 Lv60からの装備集めも10時間ほどあれば,ILvはバトルの最前線に追いつけると思います。なので,始める時期はまったく心配せずに,プレイしてもらいたいです。

4Gamer:
 やはりMMORPGというと,EverQuestやFFXIといった,時間を掛けて成長させていく作品をイメージしますからね。これだけレベルがガンガン上がって,最前線にすぐ追いつけるオンラインゲームってなかなかないですし。

吉田氏:
 そうですね,その点は毎回気をつけているつもりです。それと,ネットで検索すると「ギスギス」という言葉が出てくると思いますが……。

4Gamer:
 あー……(笑)。

画像集 No.025のサムネイル画像 / 難度調整から吉田氏本人への話まで。「FFXIV」P&D吉田直樹氏に読者が聞きたいことを4Gamerがインタビュー
吉田氏:
 人と人がコミュニケーションを取るオンラインゲームなので,そういったシチュエーションがないとは言いません。でも,間違いなくそればかりではないですし,皆さんゲームに慣れたので随分そういう機会も少なくなったように思います。先輩である光の戦士のみなさんは,初心者さんに優しい方ばかりですよ。すべてがそうとは言いませんが,手を引いてゆっくりサポートしてくれています。とくに若葉マーク(※プレイ時間が40時間未満のキャラクターに自動で付くアイコンのこと)がついていると,皆さん本当に優しく接してくれますから,ぜひFFXIVに遊びに来てください。

4Gamer:
 なんだか,良い感じに締めのアピールになったような気がします(笑)。まだまだ,お伺いしたいことはあるのですが,今回はこのあたりで時間いっぱいですね。本日は,ありがとうございました。


 ちなみに,今回のインタビューで質問として採用されなかった意見,要望(「メインクエストでルガディンに活躍してほしい」「4KディスプレイでUIが小さい」などなど)も,かなり厳しい声を含めスクウェア・エニックスに伝えている。企業として,もしくは今後の発表予定から回答がもらえなかった質問もあったが,ともあれ,その多くを届けたので,今後,スクウェア・エニックスがどのようにしてプレイヤーの声に応えてくれるのかを期待しよう。

「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」公式サイト

 
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