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「オーバーウォッチ」のキャラクター“マクリー”が次期パッチで名称変更。名前の元になった開発者の過去を発言を受けての判断
8月2日に掲載した連載記事「州政府機関から告訴されたActivision Blizzard」で詳しくレポートしているが,北米時間の7月22日,カリフォルニア州の政府機関である公正雇用住宅局(California Department of Fair Employment and Housing)がActivision Blizzardをロサンゼルス郡上級裁判所に訴えた。Blizzard Entertainmentで常態化していたセクシャルハラスメントを含む劣悪な労働環境と労働差別が主な訴因として挙げられている。A message from the Overwatch team. pic.twitter.com/2W3AV7Pv6X
— Overwatch (@PlayOverwatch) August 26, 2021
「オーバーウォッチ」のキャラクターであるマクリーの名前は,「World of Warcraft」などを経て「Diablo IV」のリードデザイナーを務めていたベテラン開発者ジェシー・マクリー(Jesse McCree)氏の名前に由来する。だが,ゲームメディアKotakuが掲載した記事によると,マクリー氏は,ハラスメントの中心人物として訴状に名前が挙がっているアレックス・アフラシアビ(Alex Afrasiabi)氏を取り巻く,いわゆる「コスビークルー」の1人だった。それを知ったファンの間ではマクリーの名称変更を求める動きが広がり,マクリーのことを「カーボーイ」と呼び変えるゲーム実況者も現れた。
「World of Warcraft」の主要メンバーの多くが携わった「オーバーウォッチ」は,開発当初から「ダイバーシティ」(多様性)や「インクルーシビティ」(包摂性。排他的ではなく,誰でもが参加できること)といった問題に取り組む姿勢をアピールしていた作品だけに,反動は大きい。「開発チームの労働環境は悪くなかった」という従業員のコメントもあるようだが,こうしたダメージの回復を図るため,今回の名称変更という決断を下したようだ。
すでに政府の調査が始まっていた2020年6月の時点で,アフラシアビ氏は退社しており,マクリー氏と同じくコスビークルーの1人で,「World of Wacraft」のレベルデザイナーだったジョナサン・レクラフト(Jonathan LeCraft)氏や,「Diablo IV」のディレクターとして開発チームを率いていたルイス・バリガ(Luis Barriga)氏らは8月上旬に退社。同時期,マクリー氏も同社を去ったことが明らかになっている。
さらに,2018年10月に就任したばかりだった同社CEO,J・アレン・ブラック(J. Allen Brack)氏が責任を取る形で退社するなど(関連記事),Blizzard Entertainmentの改革も進められているようで,同社としても,「オーバーウォッチ 2」や「Diablo IV」といった新作を前にファン離れは避けたいところだ。今後も慎重な舵取りが求められるだろう。
「オーバーウォッチ」公式サイト
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(C)2015 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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