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ハロー!Steam広場 第99回:長距離運転の楽しさと厳しさが同時に味わえる硬派なトラックシミュレーション「American Truck Simulator」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,投げナイフで戦闘機を撃墜する上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第99回は,トラックシムシリーズの最新作「American Truck Simulator」をメインに紹介しよう。プレイヤーはトラックの運転手となり,リアル時間で1時間ほどかかる運搬ルートをひたすらトラックで走り続けるのだ。このほか,「フロントミッション」を彷彿とさせるメカ系シミュレーション「DUAL GEAR」もあるので,お見逃しなく。
国道を黙々と走り続ける時間泥棒なトラックシミュレーション「American Truck Simulator」
読者のみなさんは,チェコの開発会社SCS Softwareが手掛ける「Truck Simulator」シリーズをご存知だろうか。「とらっくしみゅれーた」と言われるとピンと来ないかもしれないが,これまでにリリースされたシリーズ作品それぞれの名前,「UK Truck Simulator」や「German Truck Simulator」,そしてSteamセールの常連タイトル「Euro Truck Simulator 2」などの名前を挙げれば,本連載を愛読している上級Steamerの方なら反応してくれるはずだ。
今回取り上げるタイトルは,そんなTruck Simulatorシリーズの1つで,その名も「American Truck Simulator」。ここ最近では◯◯シムと聞くと,「Goat Simulator」や「Surgeon Simulator」などを代表とするイロモノ作品なイメージが先行してしまいがちだが,American Truck Simulatorは長距離輸送にスポットライトを当てた,至極真面目なドライブシミュレーションゲームである。
全体的なゲームのデザインは従来作と同じで,トラックの運転手になったプレイヤーが積み荷を目的地に届けるべく,トラックをひたすら走らせるといったものだ。前述したとおり,本シリーズは長距離輸送に焦点を当てたゲームになっているので,今回のアメリカにおいては「ロスからラスベガスまでオモチャを運ぶ」といった仕事が,プレイヤーの主な稼ぎ口となってくる。
おそらくゲーム内の国道を黙々と走らされるゲームは,このシリーズくらいだろう。プレイヤーはあまり速度の出ないトラックを運転し,緩やかに流れるカリフォルニアの景色を横目に,ときおりやってくる睡魔と戦いながらも国道を走り続けなければならないのだ。
荷物の運送中はビックリするほど何も起こらず,警察とカーチェイスを繰り広げたり,現金輸送車に体当りしてお金を強奪したりといった現場を見たければサンアンドレアスへ,といった感じである。
カーチェイスはないが,交通ルールはしっかりと用意されているので,スピード違反や信号無視をすれば当然罰金を支払うことになる。ゲーム序盤はただでさえ資金が少ないため,こういった交通違反は致命傷になりかねない。
また,プレイヤーには休憩が必要になるまでの時間が設定されており,カウントが0になる前にパーキングエリアなどで睡眠をとらないと,画面が暗転して大変なことに。とはいえ,納品期限のことを考えるとあまりのんびりとしてはいられず,運搬中はこのあたりの管理をシビアにしていかなければならない。
このように本作では,長距離輸送の酸いも甘いもを嫌というほど噛み分けることになる。ゲーム的な楽しさや面白さは少ない一方で,シビアなゲームバランスによる没入感が高く,免許すら持っていない筆者が言うのもなんだが,これぞドライブシミュレーターといった感じだ。なにより,積み荷を納品して多額の報酬を得た時の達成感は格別で,次はもっと長い距離の仕事を受けようと思ってしまうはず。
プレイヤーの最終的な目標は,お金をたくさん稼いで輸送会社を設立し,やがてその会社をビッグカンパニーに育て上げることにある。ゲーム序盤は雇用者であり,仕事を選ぶこともままならない。当然,カリフォルニアとネバダをゆっくりドライブして楽しもうなんてことはできないが,がんばって資金を稼ぎ,自分のトラックさえ手に入れれば,ちょっとラスベガスに足を運んでみようかといった感じで,気の向くままに観光する余裕も出てくるはずだ。ちなみに,本作を購入したプレイヤーの間では,街並みの再現度が高いともっぱらの評判である。
ゲーム自体は日本語にも対応しており,キーボードやコントローラでも十分にトラック運転の臨場感を楽しめる。ゲームの雰囲気が確認できるDEMO版も公開されているので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
「American Truck Simulator」Steamストア(2299円)
「フロントミッション」を彷彿とさせるメカ系シミュレーション「DUAL GEAR」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回は,タイのインディーズチームが手掛ける「DUAL GEAR」を紹介しよう。
本作は,一見すると「アーマード・コア」のようなメカアクションゲームに見えるが,戦闘はターンベースであり,自機に搭載されている兵器を選択して攻撃を開始するといった流れになっている。戦闘が始まると映画のようなカメラワークで攻撃が演出されるので,ターンベースとはいえ迫力は満点だ。
開発者によると,本作はメカが活躍する日本のストラテジーゲームに影響を受けているという。その話を聞いて筆者が思い浮かべたのは,大好きな「爆走戦記メタルウォーカー」だったが,リアル寄りなメカデザインを見る限り,おそらく「フロントミッション」の影響であるようだ。メタルウォーカーもいいぞ!
ゲーム内には,100以上のパーツと60種類の武器が用意されており,これらを組み合わせることでオリジナルのメカが作れるようだ。また,装甲やパーツは一定のダメージを与えると破壊できるので,部位破壊をうまく戦略に組み込むことが攻略の鍵になるだろう。また日本語に対応している点も嬉しいポイントだ。
本作は,INDIEGOGOでのクラウドファンディングキャンペーンを展開しており,目標金額は6万ドルに設定されている。現時点で達成率は15%程だが,残りの期限が1か月以上もあるので,メカ好きにうまくアピールできれば,キャンペーンの成功も見えてくるだろう。
なお,IndieDBなどでは,ゲームの雰囲気が掴めるアルファ版も公開されているので,興味のある人はダウンロードして遊んでみよう。参考までにだが,ファイルは海外のサーバーにあるうえ,容量も3.5GBとそれなりに大きめなので,時間に余裕があるときに落とすのがオススメだ。
「DUAL GEAR」GREENLIGHTページ
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