プレイレポート
不気味過ぎるミステリーアドベンチャー「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」プレイレポート
原題は「What Remains of Edith Finch」(イディス・フィンチには何が残されているのか)となる本作では,フィンチ家最後の1人となった主人公の女性イディスが,何年も一族が暮らしていた奇妙な形状の邸宅を舞台に,その家族に起きた不幸な出来事を辿っていき,なぜ自分が最後の1人になったのかの理由を探し求めていくというミステリーが楽しめる。発表当時はトゥーンシェーダーでデフォルメされたようなグラフィックスだったが,その後はデザイン変更があったのか,リアルさを感じられる表現に変更されている。
今回公開されたプレイアブルデモは,久々に邸宅に帰ってきたイディスが,まずは「その過去を知るためには,最初に死んだMolly(モリー)について解明しなければ」と独り言を言いつつ,その死後は固く閉ざされたままだったらしい部屋に侵入するところから始まる。窓べりに残されていた,モリーの日記を読み,その世界に徐々に入っていくというスタイルで,その奇怪なストーリーに引き込まれていくような手法になっていた。
モリーは母親に夕食抜きで部屋に閉じ込められてしまい,空腹からさまざまな妄想を広げていたようだ。最初は,ペット(ウサギ?)のニンジンの残りをかじったり,洗面台に飾られたヒイラギの赤い実を食べてみたりしていたが,やがては自分がネコになって屋外の小鳥を追ったり,フクロウとなってノウサギを食べたり,やがてはサメになって海に落ち,傷付いたアザラシを追い掛け回したりと,だんだんとおかしな妄想になっていく。それでも,満腹感が満たされないモリーは,ついにはタコのようなモンスターとなって,蒸気船の乗組員たちを1人ずつ食べていく。さらに,どこかの家に続く排水溝を見つけて……と,もはや妄想と現実の区別がつかない狂気に陥っていく様子が,非常に不気味だ。
妄想の中の動物の操作はそれぞれ異なっており,獲物を追いかけるのに慣れることそのものが,ゲームプレイの1つとして取り込まれていた。ただ,最後のタコの触手は,DUALSHOCK 4の左スティックで先端の方向をヌルヌルと微妙に変えながら,カメラでは見えない場所にある胴体を,[L2]ボタンを押してずりっと引き寄せるようなスタイルになっており,あまりゲームで酔わない筆者も,その慣れない操作にクラクラした。
デモを終えた後のことだが,ゲーム序盤の野外の森に湿度を感じられたので,日本を思い出すというような感想を筆者が述べたところ,ダラス氏は実際に日本をモチーフにしていると話す。当然ながら,ゲームの舞台はアメリカのワシントン州であるし,日本人キャラクターなど出てこないのだが,その真相を聞いたところ,本作のベースになっているのは,溝口健二監督の映画「雨月物語」やその原作,そしてラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談」といった,日本の古典怪奇文学なのだそうだ。ホラー映画の「リング」や「呪怨」がハリウッドでリメイクされたように,日本の古典文学が,どのように欧米を賑わすインディーズゲームとなるのかも,気になるところである。
「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」公式サイト
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フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと
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