プレイレポート
日本ファルコムが放つ「東亰ザナドゥ」プレイレポート。誕生30周年を迎える「ザナドゥ」が,爽快な3DアクションRPGとして生まれ変わる
日本ファルコム初の現代を舞台にした作品として,そして特定の世代のゲームファンなら一度は耳にしたことがある1980年代の名作アクションRPG「ザナドゥ」の名を冠した作品として,大いに注目を集めている。そんな本作を発売に先がけてプレイする機会を得たので,序盤のプレイレポートをお届けしよう。
「東亰ザナドゥ」公式サイト
序盤に名作「ザナドゥ」の気配はなし
2014年12月,日本ファルコムが完全新作として「東亰ザナドゥ」を発表したとき,筆者のように「えっ!?」と驚いてしまったオールドゲーマーは多いはずだ。もちろん,その名を聞いて思い出すのは,1985年に同社が発売し,今年30周年を迎えるPC用アクションRPG「ザナドゥ」だろう。革新的なゲームシステムと高い難度,目を見張るドット絵のグラフィックス,そして独自の世界設定が評価され,当時のPCゲーマーを夢中にさせた名作として,アラフォー世代以上のゲームファンに広く知られている作品だ。
冒頭で結論から述べてしまうと,今回プレイした序盤(2章まで)では,かの名作を彷彿とさせるような要素を確認することはできなかった。30年前のファンタジーRPGが,2015年に発売される学園ものアクションRPGとリンクするのか,大いに気になるところではあったが,そうした「つかみ」の要素がなかったとしても,筆者は十分に楽しめたので,まずはその点をお伝えしておきたい。
現実の東京に似た「東亰」
ここに突如,謎の「異界」が現れる
本作は,「都市型神話アクションRPG」と銘打たれており,近年のゲームでは定番となった「学園+ダンジョン」という系譜の新作といえる。東京ではなく,架空の都市「東亰」が舞台になっていることで,現実のようで現実ではない独自の世界が構築されているのが特徴だ。
東亰を襲った大震災から10年が経過した2015年,復興を遂げた東亰郊外の杜宮市で,主人公の時坂 洸(トキサカ コウ)をはじめとする登場人物達は学園生活を送っていた。「東亰ザナドゥ」は,学園や街で物語を進めていく「アドベンチャーパート」と,突如出現した「異界」のダンジョンで化け物を相手に立ち向かう「アクションパート」で構成されている。
平凡な生活を送っていた高校生が,ある日を境に非日常に引き込まれていくというストーリーは,さほど珍しくはなくなってきたが,その意味では世界に入り込みやすいともいえる。
そのストーリーを描くイベントなどの会話シーンは,キャラクターのバストアップのイラストを使ったものではなく,キャラクターCGにモーション付けされた演出になっている。日本ファルコムの代表作「英雄伝説 閃の軌跡」にも同じ演出が見られるが,ゲーム中のキャラクターCGのクオリティが高いため,こうした演出のほうが物語を楽しめると感じた。
序盤の舞台となっている杜宮市は,駅前のオブジェやモノレールが通っていることなどから,東京都下の立川市とその周辺がモデルと思われる。オフィスビルや商業施設が建ち並ぶ中心部,そこから少し外れると閑静な住宅街や緑豊かな公園が広がり,一方ではランドマークである巨大な「アクロスタワー」がそびえ立つ。まさに現代の東京のようであり,それでいて現実と空想の中間のような雰囲気を漂わせている。
アドベンチャーパートでは,杜宮市にある学園や駅前などを中心に活動することになる。さまざまなエリアにあるスポットに移動して,3Dマップを探索していくのだが,キーイベントが発生するスポットにはマップ上に「!」マークが表示される。さらにイベントを進めると戻れなくなる場合には注意も促されるので,うっかり物語を進めてしまって「まだやりたいことがあったのに!」と後悔しないで済むのは嬉しい。
また,特定のキャラクターには,入手数が限られる「縁(えにし)のカケラ」という特殊アイテムを消費することでイベントが見られる「キズナエピソード」が用意されている。これにより,本編では描かれない各自のバックボーンをうかがい知れるほか,アクションパートでの戦いに影響する「ソウルLV」を上昇させることも可能だ。いわゆる“推しキャラクター”との関係を深めるシステムであり,誰とのキズナを深めるのかはプレイヤー次第というわけだ。
そのほかにも,スマートフォンの掲示板に現れる依頼(クエスト)や,本編とは別の異界へとつながるゲートを探して攻略する「異界サーチ」などがあり,これらはアドベンチャーパートの「フリータイム」の間に自由に楽しめるようになっている。
もちろん,ただの“寄り道”ではなく,攻略することでとくにアクションパートにおいて恩恵が得られるという仕組みで,物語をより深く楽しむためにも,じっくりと挑みたいところだ。
キャラクターを瞬時に切り替えて戦うアクションパート
アドベンチャーパートで異界への入り口「門(ゲート)」を発見すると,いよいよアクションパートに突入する。プレイヤーの敵となる「怪異(グリード)」は,ダンジョン内のそこかしこに出没するので,コウをはじめとするキャラクターを操作して,その腕に現れる兵装「ソウルデヴァイス」を武器に戦っていくのだ。
異界につながるゲートは,ストーリーの進行や異界サーチなどで現れる。ダンジョンの構造や出現するグリードはランダムではなく,場所によって決まっているようだ。クリア済みのダンジョンにも再挑戦できるので,キャラクターを育成したり,クリアランクの更新に挑んだりできる。
異界へ出撃する直前の準備画面。場所によっては,一緒に探索する仲間を選ぶことも可能 |
グリードの情報は,初めて潜入する場所では属性のみ確認可能。クリアすれば,さらに詳しい情報が得られる |
ソウルデヴァイスを使った通常攻撃は,コウやアスカの場合はソード状の斬撃,ソラの場合は連打可能な打撃,ミツキの場合は魔法弾の射撃といったように,キャラクターによって大きく異なっている。
この通常攻撃のほかにも,「スキルポイント」を消費して繰り出す3種類のスキル(射撃/飛翔/剛撃)や,キャラクターの能力を一時的に引き上げる「X(クロス)ドライブ」,そして必殺技「X(クロス)ストライク」「ストライクチェイン」があり,戦闘時におけるプレイヤーの選択肢は豊富だ。
さらに注目してほしい点として,「東亰ザナドゥ」では複数のキャラクターがチームとして出撃し,操作キャラクターは瞬時に切り替えられる。各キャラクターの攻撃とグリードには属性が設定されているため,状況に応じて,より相性のいいキャラクターで戦うと有利になるというわけだ。
属性が異なるグリードが同時に現れたときや,ころころと属性が切り替わるグリードを相手にしたときなどでは,キャラクターの交替自体が重要なアクションといえる。画面内に複数のキャラクターが登場しないのは少々寂しいが,思いどおりにキャラクターを切り替えて,スムーズに敵を倒せたときの爽快感は高い。
戦闘中に△ボタンを押すと,画面右下に表示される操作キャラクターとパートナーが切り替わる |
画面には表示されないが,3人めの仲間はサポートに回る。このときHPが自動回復するので,ダメージを受けたキャラクターを休ませておこう |
アクションの操作性は快適で,リアルタイムにキャラクターを切り替えていく要素はちょうどいいアクセントになっている印象だ。ただ,アイテム使用時はRPGのようにメニューを開いてから選択するシステムになっているため,よく使うアイテムを特定のボタンにアサインできれば,もっとテンポよくプレイできたのではないかとも思う。
老舗 日本ファルコムが提示する“新世代のザナドゥ”
冒頭でも述べたとおり,今回は序盤しかプレイできなかったのだが,いざ遊んでみると,実在の都市をモチーフにした舞台背景,そして高いアクション性に強く心を惹かれた。近年の日本ファルコム作品とは対照的なイメージもあり,それは新たなファン層を開拓しうる魅力を持っているともいえるだろう。
この「東亰ザナドゥ」の登場によって,新たな「ザナドゥ」シリーズが展開するのか,ますます気になるところだ。ちなみに,千葉・幕張メッセで9月17日(一般公開日は19日,20日)に開幕する「東京ゲームショウ2015」にて,試遊出展されることが決定している(関連記事)。会場に足を運ぶ人は,完全新作として生まれ変わった本作のアクションをぜひ味わってみてほしい。
「東亰ザナドゥ」公式サイト
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