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東京レトロゲームショウ2016:第49回 31年ぶりに「道化師殺人事件」に再挑戦したら,犯人がついに分かってしまった!
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印刷2016/05/19 12:00

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東京レトロゲームショウ2016:第49回 31年ぶりに「道化師殺人事件」に再挑戦したら,犯人がついに分かってしまった!

画像集 No.001のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第49回 31年ぶりに「道化師殺人事件」に再挑戦したら,犯人がついに分かってしまった!

今週のテーマ:殺人事件の犯人を追って,正しい文字列を探し続ける

 今週の「東京レトロゲームショウ2016」は,1985年にPC-8801版がシンキングラビットから発売されたアドベンチャーゲーム「道化師殺人事件」を取り上げたい。
 本作は,1983年にリリースされた同社の推理アドベンチャーゲームシリーズ第一弾「鍵穴殺人事件」に続くタイトルで,パソコン雑誌の広告や,ショップに並ぶパッケージに描かれた,「悲しげにこちらを見ているピエロ」の姿が,個人的にとても印象に残っている。

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プロジェクトEGG「道化師殺人事件」(PC-8801版)紹介ページ

プロジェクトEGG「道化師殺人事件」(X68000版)紹介ページ

(C)THINKING RABBIT CO., LTD.
(C)2016 D4Enterprise Co.,Ltd. / (C)2016 MSX Licensing Corporation.


 アドベンチャーゲームは筆者が中学生の頃にハマっていたジャンルで,シンキングラビットはそんな筆者のために(?)「鍵穴殺人事件」「道化師殺人事件」「カサブランカに愛を」「THE MAN I LOVE」,そして「マデリーン 〜亡き王女のためのパヴァーヌ〜」などを立て続けにリリースしてくれたメーカーだ。
 そのほか,エニックス(現スクウェア・エニックス)の「ポートピア連続殺人事件」,ボンドソフトの「タイムシークレット」「タイムトンネル」,ハドソンソフトの「デゼニランド」「デゼニワールド」「サラダの国のトマト姫」など,今でも有名なアドベンチャーゲームもこの頃にリリースされている。要するに1980年代半ばから後半にかけては日本のアドベンチャーゲームの絶頂期で,筆者もこれらのアドベンチャーゲームを次々にプレイしたというわけだ。

名詞+動詞(逆も可能)を入力しながらゲームを進めていく。日本語,英語のどちらを使用しても大丈夫だ
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 当時のアドベンチャーゲームの特徴を言うなら,子供向け,あるいはカジュアル向けではなかったためにそれなりに難度が高く,筆者がエンディングを迎えられなかった作品も多いということだろう。入力方法は,現在のように会話の内容を選択肢から選ぶものではなく,いくつかのキーワードを1つ1つキーボードで打ち込んでいくという形式だった(「コマンド入力式」とも呼ばれる)。例えば「ドア アケル」「カベ シラベル」といった感じに名詞+動詞(逆も可能)を組み合わせて入力し,その反応を見ながら進めていくわけだ。

 もちろん,ピント外れな文字列を入力すると「イミガ ワカリマセン」的な反応しか返ってこないのだが,それだけに打ち込んだ言葉が見事にヒットして次の展開に進んだときは非常に嬉しかった。画面内の情報を元に単語を推理して入力していくのは,ある意味,言葉探しゲームに近いのかもしれない。

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 なお,日本語と英語,両方に対応しているゲームが多いが,一部では英語のみのモノもあって,英語力に定評がなかった筆者は,英語の辞典を片手にプレイしていた。おかげさまでキーボードの入力スピードは格段に上がり,英単語もたくさん覚えられたりして,ゲームから得られるものが多かった。筆者のブラインドタッチと英語の理解力は,当時の努力の賜物なのだ。なんかの広告みたいだが,ホントの話だ。

 ちなみに,現在のアドベンチャーゲームは,用意された会話を選択肢から選んでいくスタイルが多いが,それは必ずしも最近の発明ではなく,道化師殺人事件のリリース以前から同タイプの作品は存在していた。それに対してシンキングラビットはコマンド入力式のアドベンチャーばかり発売しており,使い慣れたシステムでどのゲームでプレイできたことも,筆者がシンキングラビットのゲームを気に入っていた理由の一つだ。
 さて,冒頭から話があさってに飛んでいったので,このへんで道化師殺人事件に話を戻そう。とはいえ,いかに発売後31年が経過したとはいえ,ゲーム情報サイトとしてネタバレは御法度なので,そのへんはお含み置きを。

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 設定はこんな感じだ。1932年8月6日,イギリスのブライトンで殺人事件が起きた。同地にはサーカス団が訪れており,興行のためのテントも張り終え,あとは開幕を待つばかりだったその日の21:00頃,ピエロのシャルル・デュボワがシャワーワゴンで死んでいるのをブランコ乗りのメリー・マッコーランが発見して警察に通報したのだ。デュボワは背中からナイフで心臓を一突きされており,流れるシャワーによって,血液はほとんど洗い流されていた。凶器はナイフ投げの曲芸で使用されているものだった……と,こんな感じの殺人事件が用意されており,プレイヤーはロンドン警視庁の刑事として,解決に向けて奮闘することになる。
 ちなみにストーリーは,シンキングラビットの代表であり,有名なパズルゲーム「倉庫番」の作者でもある今林宏行氏が担当している。

ゲームは開幕を控えたサーカステントの入り口から始まる。何の説明もなく,いきなり放置されるので途方に暮れるが,さっそく捜査開始だ
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 ゲームはサーカステントの入り口からスタートする。これからどうすればいいのかなどの説明はいっさいなく,唐突に,ポンとゲームの世界に放り込まれるので,最初は何をどうしていいのか,右も左も分からない状態だ。テンキーで前後左右に移動できるので,まずは周辺を探索すべし。どこに何があり,どの道とどこの道がつながっているなどが分かるマップは存在しないので,必要があればノートにメモっておく必要がある。もちろん,登場人物も新たに名前が判明したらメモっておけば,捜査は確実に楽になるはずで,ああ,これだ。このプレイスタイル。懐かしすぎて涙が出てくる。

画面が切り替わると,常に北を向いている。これ,試験に出るので要暗記だ。舞台の街はそれほど広くないので,そのうち覚える
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 今回筆者がプレイしたのは1988年に発売されたX68000版だが,グラフィックスは当時としては非常にクオリティが高かった。日本語も英語もオッケーなので,たとえば「カベ ミル」「ベッド ミル」「バケツ トル」といった感じで,気になる部分を次々に調べていくと「ウゴカセソウデス」的な反応があったりするので,さらに次のコマンドを入力するのだ。捜査の過程でフラグが立つと新たな展開へと進み,ここで「やった!」となるのがアドベンチャーゲームの醍醐味だ。

 ただし,いつの間にか詰まっていることも多く,それに気が付かずに必死に捜査を続けたあげく,にっちもさっちも行かなくなることも起きる。例えば,ドアを開ける際にはノックをするのがマナーだが,ノックせずにドアを開けて部屋に入ろうとすると,それ以降,会ってくれなくなったり,警察が嫌いな店主に手帳を見せたら何も買えなくなったりなど,クリア不可能な状態になってしまうのだ。もっとも,任意のタイミングで最大10か所セーブできるので,途中で失敗に気づいてもなんとかなったりする場合もある。

登場人物から,事件当夜のアリバイを聞いているところ。解決のためには地道な取り調べしかないのだ
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意外とユニークな反応が返ってくるので,いろいろ入力してみたくなる
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 上記のとおり,このゲームは自分でコマンドを打ち込むのだが,同時期のほかの多くの作品が,失敗したときに「ソレハデキマセン」的な,割と無味乾燥な答えを返すのに比べて,本作にはいろいろな返事のパターンが用意されており,中にはユーモラスなものもある。いろいろ試してみるのも面白いだろう。

 というわけで,懐かしさを感じながらプレイした筆者だったが,やはり新たな展開へ進んだ際の嬉しさは変わっておらず,今回,これまで迎えた記憶のないエンディングに無事たどり着いてしまったのだ。今回紹介した道化師殺人事件のほか,上に書いたシンキングラビットのアドベンチャーシリーズは,レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」で購入できる。興味のある人は,ぜひ挑戦しちゃってほしい。

プロジェクトEGG「道化師殺人事件」(PC-8801版)紹介ページ

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