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[TGS 2015]ゲームデザイナー桝田省治氏の生前葬が執り行われた「勇者死す。」ステージイベントレポート。新キャラクターも発表に
このイベントでは,本作を手がけたゲームデザイナーである桝田省治氏の生前葬という体裁でトークが繰り広げられ,声優の五十嵐裕美さんや松井恵理子さんが演じる新キャラクターの紹介や,ボイス収録時のエピソードが披露された。本稿では,イベントの概要をレポートしたい。
最初のテーマは,「勇者死す。」とはどういったゲームなのかという話だ。桝田氏は「面倒くさいゲームですかね」と述べたうえで,「ゲーム内で発生した問題の解決手段が1つではなく,また,何かを解決すると別の困ったことが持ち上がったり,同時に解決できない問題があったりします。そうやって,自分なりに折り合いや妥協を見つけていくゲーム」であると説明する。
なお,勇者が時間の経過によって衰えていく姿には,加齢によっていろいろと身体に不調も出てきたという,桝田氏自身の状況を反映している部分もあるそうだ。
また,「繰り返す5日間」というゲームの内容に関しては,1回や2回プレイしただけではクリアできないので,「今回はこうするから,次回は別のことをやってみよう」と,考えながらプレイすることを想定しているという。
続いて,新キャラクターとして,五十嵐さんが演じる「サラ」と,松井さんが演じる「メリーアン」が紹介された。
五十嵐さんによると,自分が演じたキャラの中では,サラは珍しく“普通”であるとのこと。一方,松井さんはメリーアンを,「頭が良すぎて,普通の人の気持ちが分かっていない」と評した。
しかし,桝田氏によれば,2人のイメージはゲーム内の登場人物から見たそれとは異なるそうで,メリーアンは,皆から詐欺師だと思われているそうだ。
また,「勇者死す。」は携帯アプリとしてリリースされたゲームだが,今回PS Vita版としてリメイクするにあたって追加したキャラが2人おり,プレイヤーがある程度ゲームの進行を把握した頃に登場して,ルールを変えてしまうようなキャラクターなのだという。
ただ,サラの“普通”は,誰に対しても,何が起きても,一切スタンスが変わらないので,五十嵐さんは徐々に怖くなってくるという。桝田氏曰く,「戦争が終わって,街が壊れたり,人が死んだりしても“普通”でいられるキャラ」として描いているのだそうだ。
これについて桝田氏は,「松井さんは,掘り起こされていない才能を多く持っている声優なので,常に斬新な役を提供しているんです。今回のケースは,収録したそのときこそ面白かったけれど,帰って聞いてみたら,やりすぎだと感じてしまった」と説明していた。
2007年に携帯電話向けのオリジナル版がリリースされてから,実に8年の歳月を経て復活した本作であるが,今風(いまふう)の要素として取り入れたのは,ビジュアル的な部分と音楽,ボイスの3点であるそうだ。つまり,核となるゲーム部分は,そのまま継承されていることになる。
伊藤賢治氏が手がける音楽は,PS Vita向けのゲームであることを意識して“盛っている”そうで,またクロサワテツ氏の描くキャラクターは,「可愛い女の子よりも,滑稽な男に注目してほしい」(桝田氏)とのこと。そしてボイスが入ったことにより,ゲームが分かりやすくなっている側面があるそうだ。
最後に桝田氏は,「2016年2月には,香典代わりにぜひゲームを買ってほしい」という言葉を残し,天使(役のスタッフ)に連れられてステージを去り,イベントは幕を閉じた。
「勇者死す。」 公式Webサイト
4Gamer「東京ゲームショウ2015」特設サイト
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勇者死す。
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