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ピカチュウが現実世界を駆け回る未来はすぐそこに。「Ingress」「Pokemon GO」のNianticが作る次世代のARゲームとは
Nianticは現在,Warner Bros Entertainmentなどとの提携により,「Harry Potter: Wizards Unite」という新作ゲームの開発を進めており,詳細は間もなく公開されるようだ。
スマートフォン向けの拡張現実(Augmented Reality,以下 AR)ゲームを開発するメーカーとして知られるNianticだが,現在は機械学習を使った最新のAI技術をARに組み合わせることで,よりリアルな世界を扱えるソリューションを実現しようとしている。そうした技術は,近い将来のゲームにも応用されることになるだろう。
本稿では,今回Nianticが行った報道関係者向けイベントで明らかにされたデモを中心に,彼らが手がける最新のAR技術について紹介したい。なお,デモの風景や説明スライドの撮影は禁止されていたので,デモの画像はすべて,Nianticが公開した動画からの引用となることをお断りしておきたい。
AIを駆使してピカチュウとイーブイが現実世界を駆けまわる
Nianticでシニアエグゼクティブを務めるMichael Jones氏は,「地図サービスというと,カーナビゲーションみたいに目的地までの案内だけで終わってしまう。しかし,現実の空間と仮想空間を重ね合わせることで無限の可能性が生まれる。ゲームという形態は,現実世界という空間を使って,皆が別の楽しみを享受できる方法のひとつだ」と,同社が目指す方向性についてを語った。
実際,IngressやPokémon GOの世界では,現実世界に実在するランドマークが,「ポータル」や「ポケストップ」,「ジム」として見えており,プレイヤーは,現実の地理を巡った攻防を繰り広げている。ゲーム世界では,プレイヤー同士で現実世界の上に重なったゲームの世界観を共有しているものの,プレイしていない人からは,そこで何が起きているのかは分からない。
現実世界を使った陣取り合戦やポケモン収集が,Nianticの提供するARの醍醐味ということになる。
とはいえ,実際のARモードはモンスターボールを的であるポケモンに当てにくという問題があるし,ARといっても,カメラで捉えた映像を背景にポケモンを重ねて表示しているだけなので,実はARならではの臨場感があるというわけでもないと筆者は思っている。
これは,Pokémon GOが備えるAR機能は,カメラに映る映像を立体感のない単なる1枚絵景としか認識できないためだ。映画における字幕のようなもので,単純に重ね合わせることしかできないのでは,臨場感もそれほど優れたものにはなるまい。
だが,遠くない将来のARゲームは,より進化した表現が可能になる。今回,
ピカチュウが背景や人物に隠れたりしながら周辺を縦横無尽に走り回ったり,あるいはイーブイと追いかけっこを繰り返したりと,スマートフォンの画面を通して覗くと,現実の風景をポケモンが駆け回る別の世界がそこに存在している。
Niantic Occlusionは,英ロンドンを拠点にするMatrix Millという会社の技術を組み合わせたものだ。Matrix Millは,「MonoDepth」という技術を持っており,同社をNianticが買収したことで,このデモのような技術が可能となった。
今回のデモは,スマートフォンの単眼カメラでも背景の深度を認識することで,撮影された映像の奥行きに合わせて,リアルタイムでキャラクターの重ね合わせを可能としている。この深度認識における技術的な基盤となっているのが,冒頭でも触れた機械学習によるAIだ。
現実世界をリアルタイムに共有する「Neon」
つい先日,サービス開始から2年も経って,ようやくPokémon GOにポケモンの交換機能が実装された。また,「なぜPokémon GOには対戦機能がない」と考えているプレイヤーも少なくないだろう。
IngressやPokémon GOの世界では,Nianticが管理するクラウドサーバを通じて,何百万〜何千万人というプレイヤーが世界規模で同時に参加するゲームの最新情報が共有されている。実際にプレイしてみると,複数プレイヤーが同時に参加する「ジムバトル」や「レイドバトル」では,通信のラグが酷く,ネットワークの混雑状況によっては,入力したコマンドの反映に時間がかかったり,実際の攻撃とダメージを受けるタイミングがずれていたりといった具合に,リアルタイムで情報が全プレイヤーに共有されているわけでないことが分かるだろう。
つまり,Pokémon GOの基本システムでは,プレイヤー同士のリアルタイム対戦は,なかなかに難しいということは想像できるのではないか。
Nianticによれば,通常のクラウドを介するマルチプレイヤーゲームでは,100ms(100ミリ秒=0.1秒)を超えるラグも普通に存在しているという。しかし,同社が提供する新しい共有システムを使うと,こうしたラグを10ms以下に押さえ込むことが可能になるそうだ。
対戦格闘ゲームの世界では,60分の1〜2フレーム程度の差が勝敗を分けたりする。60fpsで表示するゲームの場合,1フレームの時間はおよそ16.7msであるから,10ms以下というのは1フレーム未満で収まるラグということになるわけだ。
Nianticの共有技術がとくに威力を発揮するのは,プレイヤー同士がリアルタイムで対戦ゲームを行う場面である。それを示したのが,開発コードネーム「Neon」と呼ばれる技術のデモだ。Neonは,最大で8人が参加できるシューティングゲームの形をとっており,一種のサバイバルゲームのようなゲームを簡単に実装できそうだ。
Neonではゲームの処理にクラウドを介さず,プレイヤーのスマートフォン同士がピアツーピアで通信することで,ラグを最小限に押さえ込んでいるという。ただし,当然ゲーム開始前には,ゲーム開始前には,プレイヤー同士の間でセッションを確立する必要がある。理論上は,100人同時プレイでも対応できるというが,超大人数が密集した状態ではリアルタイム通信の維持が困難になると予想しているそうだ。
この技術を使えば,Pokémon GOにおけるリアルタイムの対人戦や,Neonの流れを汲む新しいゲームの可能性まで,いろいろ期待できそうだ。
そのほかにも共有機能を使ったデモとして,開発コードネーム「Tonehenge」(トーンヘンジ)が紹介された。Tonehengeは多人数参加型のパズルゲームだ。Niantic本社前のスペースを使って行われたデモでは,近くにいる他のプレイヤーがアバターの姿で見えており,中央部にあるパズルを複数のプレイヤーが協力して解いていくという内容になっていた。
NeonとTonehengeともに興味深いのは,デモの中枢となる部分は,1日から数日程度で構築され,実際のスマートフォンアプリに実装するまで,それほど時間が掛かっていないという点にある。
Nianticでは,同社が世界最大級のヒットを飛ばしたスマートフォンゲームでの実績をもとに,その仕組みや技術を他社に提供して新しいゲームを開発するプラットフォーム戦略を推進しつつあるそうだ。今後はPokémon 以外のキャラクターやアイデアを盛り込んだ新しいARゲームが,Nianticのシステムをベースに続々と登場することになるかもしれない。
Nianticってどんな会社?
本社はサンフランシスコの観光名所内にあり
世界規模のゲームプラットフォーム提供をにらむNiantic。余談気味のネタではあるが,最後に「Nianticはどんな会社か」というのを紹介したい。
Niantic号は紆余曲折のあげく壊れてしまい,陸の上に引き上げられたうえで放棄されたという。それが,1906年に発生したサンフランシスコ大地震のあとで発掘され,現在ではその跡地がカリフォルニア州の史跡「Cali
そんな由来を持つNianticは,サンフランシスコを代表する観光名所で,米国の「国家歴史登録財」でもある「San
Niantic公式Webサイト(英語)
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(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
(C)2012-2018 Niantic, Inc.
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