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12月16日の発売が迫る「ダンジョンズ&ドラゴンズ」戦略発表会レポート。フィート/メートルは併記へ,2024年には“デジタル化”も視野に
1974年の初版発売以来,世界初のRPGとして世界中で愛されてきた「D&D」だが,何度かの改訂を経て,現在は第5版がWizards of the Coastにより世界展開されている。国内向けには2017年からホビージャパンが日本語版の発売を手がけていたが,2022年の契約終了に伴い,今後はWizards of the Coastが改めて日本語版の展開を引き継ぐ形となったわけだ。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」シリーズ商品が12月16日発売へ。入手困難だったソースブック“ザナサーの百科全書”もラインナップ
Wizards of the Coastは2022年9月13日,テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」のシリーズ商品を,12月16日にリリースすると発表した。ラインナップには「スターター・セット」と,コア・ルールブック3冊に加え,ソースブック「ザナサーの百科全書」,新商品「デラックス・プレイ・ボックス」も含まれる。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」公式サイト
新体制でリブートする「D&D」。2023年は4点以上の新製品が登場
発表会では,まず国内展開を担うWizards of the Coastのシニアセールスマネージャーを務める藤田竜也氏,マーケティング担当の岩崎宏美氏,ブランドマネージャーの田中ヒミー氏がステージに登壇。テーブルトークRPGそのものやD&Dについての解説を加えながら,同ブランドの世界的な人気を数字を交えてアピールした。
それによれば,D&Dのプレイヤーは全世界で5000万人を超え,YouTubeでは関連動画の総再生時間が1億5000万時間以上,TikTokでは8.3億PVを記録しているという。数字が大きすぎてちょっとピンと来ないが,とにかく海外では「テーブルトークRPGといえばD&D」と言えるレベルで浸透しているということだろう。
また同作はさまざまな映像作品に登場しており,近年ではアニメ「リック・アンド・モーティ」シリーズとのコラボレーションや,ドラマ「ビッグバン セオリー」「ストレンジャー・シングス」に登場したのも記憶に新しい。会場ではこれらの映像も交えつつ,その影響力の大きさが示されていた。
D&Dの人気ぶりが十分に伝わったところで,続いては12月16日に登場する商品の紹介に話が移る。今回発売となるのは,すぐにゲームをプレイできる初心者向けのボックス製品である「スターター・セット」と「デラックス・プレイ・ボックス」の2つと,いわゆるコア・ルールブックと呼ばれる「プレイヤーズ・ハンドブック」「モンスター・マニュアル」「ダンジョン・マスターズ・ガイド」の3冊,そして中級者向けの追加データを収録されたソースブック「ザナサーの百科全書」が1冊の計7製品だ。
中でも「スターター・セット」と「デラックス・プレイ・ボックス」は国内では初めて翻訳が行われるもので,「スターター・セット」には1〜3レベル向けアドベンチャー「竜たちの島ストームトレック」が,「デラックス・プレイ・ボックス」には1〜7レベル向けアドベンチャー「アイススパイヤ山の竜」を収録。
このほかにも基本ルールブックやダイス,キャラクターシートといった,ゲームに必要なアイテムがそれぞれ付属するので,初めてD&Dに挑戦する人はこのどちらかを購入するのが良さそうだ。
またYouTubeの公式チャンネルでは,発表に合わせて「はじめてのD&D」と題した動画シリーズの公開がスタート。発売に向けたプロモーション活動も積極的に行う予定だという。同チャンネルでは日本オリジナルのブランドムービーのほか,さまざまな動画が公開されているので,今後のコンテンツの拡充にも期待したいところだ。
プレゼンテーションの最後には,2023年には日本初登場のD&D製品を4点以上発売すること,また2025年までの展開プランとして,映画「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」の公開に合わせたプロモーションや,デジタル化の計画などが発表された。今のところ詳しいことは明らかにされなかったが,こちらも続報に期待したい。
最新エラッタが適用されたコア・ルールブック。単位はメートル/フィート併記に
ここからは発表会後に,会場に展示されていた製品を確認してのレポートをお届けする。
まずは,これまでホビージャパンから発売されていた日本語版製品との差異についてだが,「プレイヤーズ・ハンドブック」などをざっと確認してみたところだと,大きな翻訳の差異はないように思われた。今後の翻訳は本国のチームによって行われるとのことだが,少なくとも既存の製品については,新旧混在でプレイしても大きな問題が起こることはなさそうだった。旧翻訳チームの柳田真坂樹氏も,自身のTwitterアカウントで今回の経緯を公表しているので,その点は安心してよさそうだ。
とはいえそれでも違いはあり,その最たるものは単位の違いだろう。これまでのホビージャパン版では,米国表記にならい距離や重さの表記にヤード・ポンド法(いわゆるフィート表記)が用いられていたが,新たに登場するWizards of the Coast版では,メートル法の表記を中心に,フィート換算が併記されるようになった。https://t.co/Za2kZhIXX3
— 柳田真坂樹 (@D16) November 21, 2022
製品発売の時点で公表するつもりだったんですが,まさか動画の一部で明らかになるとは。
ひとまずこの製品については表記の通り翻訳チームが下請けで作業しています(楯野さんはこの時期サイバーパンクの監修でした)。
細かなことは正式の発売日にでも。#DNDJ #TRPG pic.twitter.com/Awn41MRGd1
ただ換算は厳密なものではなく,ある程度キリの良い数字で丸めらるため,どちらかに統一さえしておけば,プレイに支障はないと思われる。
そしてもう一つの違いは,最新のエラッタが反映されていることだろう。誤字や表現の修正はもちろんのこと,2021年末に行われたクリーチャーの“属性”に関する記述の修正がすべて反映されているようだった。最新の版に合わせているので当然だが,一応違いとして指摘しておこう。
同席していたウィザーズ・プレイ・ネットワーク日本担当の鎌田正篤氏と,ブランドマネージャーの田中ヒミー氏によれば,今後の製品展開はプレゼンテーションでも語られたとおり,年ごとに4〜5冊のペースでのリリースを考えているといい,2023年は春にも新製品を予定しているという。またそのラインナップは,日本市場でこれまで発売されていなかったものを重視しているそうだ。
とはいえリリース順はプレイヤーの要望を取り入れたいとも考えているので,Twitterの公式アカウントへのメンションなどで,意見を送ってほしいとのことだった。ちなみに本国で展開しているデジタルルールブック「D&D Beyond」の日本語対応について聞いてみると,「社内で案としては挙がっている」とのことだったので,こちらも楽しみにしておきたい。
このほかWPN(Wizards Play Network)加盟店舗での定期イベントの開催など,本国で展開しているコミュニティ向けのプロモーションも徐々に行っていく予定とのこと。体制変更を受け,日本市場においても覇権を狙わんとする「D&D」の挑戦に期待しよう。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」公式サイト
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