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そうだ アニメ,見よう:第125回は「蜘蛛ですが、なにか?」。蜘蛛のモンスターに転生した女子高校生の異世界サバイバル
異世界で蜘蛛のモンスターに転生した女子高校生のサバイバルを描く,馬場 翁氏のライトノベル「蜘蛛ですが、なにか?」(カドカワBOOKS/既刊14巻)。小説投稿Webサイト「小説家になろう」で発表された本作は,主人公が“蜘蛛”というインパクトと,緻密な戦闘描写で人気を博した作品だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第125回のタイトルは,同作をアニメ化した「蜘蛛ですが、なにか?」。制作はミルパンセ,シリーズ構成は馬場 翁氏と百瀬祐一郎氏が担当し,監督は「コップクラフト」や「ベルセルク」(関連記事)の板垣 伸氏が務めている。
「蜘蛛ですが、なにか?」
「私」は食糧確保のため,大迷宮を探索し,カエル型や蛇型のモンスター達とギリギリの死闘を繰り広げ,なんとか生き残る。持ち前の敏捷さと蜘蛛の糸,毒を駆使して,さまざまな強敵に打ち勝って徐々にレベルを上げていくが,人間のパーティや巨大な地龍などに遭遇し,命からがら逃げだすのだった。
いっぽう,同じ世界の人間社会では,「私」のクラスメイト達が転生し,旧交を温めていた。アナレイト王国の第4王子に転生したシュン(CV:堀江 瞬)は,“勇者”である兄ユリウス(CV:榎木淳弥)に憧れを抱き,彼をサポートできる日を夢見て精進の毎日。そんなシュンを,レグザンド王国の王太子に転生したユーゴー(CV:石川界人)はこころよく思わず,彼をライバル視する。
そんな中,ユリウス率いる冒険者一行が,大迷宮に足を踏み入れた。人間の脅威となる蜘蛛のモンスターを討伐することが目的なのだが……。
「転スラ」にインスパイアされた作品
お馴染み“なろう”発の異世界転生ファンタジーとなる本作。今回は,女子高校生が蜘蛛型のモンスターに転生するという,なかなか奇抜な作品だ。魔物への転生というと,同じく“なろう”作品の「転生したらスライムだった件」(関連記事)を思い浮かべるが,それもそのはず,原作者の馬場氏は同作にインスパイアされ,本作を生み出したのだとか。
「なぜ蜘蛛なのか?」はストーリーの重要なポイントとなる |
しかし,こちらは転生モノ特有のチートスキルがなく,孵化直後は蜘蛛族の中でも最底辺な“スモールレッサータラテクト”レベル1からのスタート。ここから蜘蛛子さんこと「私」は,持ち前の毒と蜘蛛糸,そして生前のゲームの知識に加え,最大の武器ともいえる“異常な程のポジティブさ”を駆使して,大迷宮内の強敵達に挑むことになる。
物語は,そんな蜘蛛子さんの悪戦苦闘と対比する形で,人間界での転生者達の生活が描かれている。一見,何不自由のない生活を送っている彼らだが,こちらはこちらで波乱含みの模様。2つの物語がクロスする日はいつなのか,その時が待ち遠しい。
「モンハン」ライクな攻め攻めのアクション
主人公の蜘蛛子さんは,元女子高校生ということもあってか,アニメでは可愛らしい姿で描かれている(リアル路線でなくて本当に助かった)。持ち前の明るさと,声を担当している悠木さんのバイタリティ溢れる演技と相まって,蜘蛛とは思えないほど動作もキュートだ。
とても蜘蛛とは思えないほどキュートな蜘蛛子さん |
ところが,いざ戦闘となると鬼神のような動きと蜘蛛糸を使った3次元殺法で,大迷宮内の強敵達に挑んでいく。本作のメインとなるこの戦闘シーンを,ベテランの板垣監督は3Dを使ったダイナミックな手法で表現。アクロバティックな蜘蛛子の動きに目が回りそうだ。
原作の馬場 翁氏は,「モンスターハンター」シリーズのファンで,蜘蛛子の“攻め攻め”のバトルスタイルは,そこから影響を受けているとインタビューで明かしていた。人間とは異なる,蜘蛛ならではのアクションに注目してほしい。
悠木 碧さんが八面六臂の大活躍
大迷宮で孤軍奮闘する蜘蛛子さんには,今のところ仲間となるキャラクターは登場していない。当然ソロでの戦いがメインとなり,主人公のモノローグがお話の大半を占めてしまう。蜘蛛子さん役の悠木さんは,そんな“1人語り”を説明口調にならないよう,ハイテンションな演技で演じ切り,まさに“蜘蛛子さん劇場”となっている。
並列思考を手に入れてからは,自分がツッコミ役に |
さらに,悠木さんが歌唱するエンディング曲「がんばれ!蜘蛛子さんのテーマ」がスゴイ。この楽曲は,BPM(1分間の拍数)が最高400超とも噂される超ハイテンポな楽曲で,血管が切れそうな歌詞を悠木さんはきっちりと歌い上げている。ファンならずとも必聴の一曲だ。
サル達の猛攻や溶岩地帯のモンスターをしのぎ切り,順調にレベルアップを重ねる蜘蛛子さん。可愛らしい姿から凶悪なシルエットに変化してきたが,強大な地龍と比べるとまだまだ貧弱と言わざるを得ない。本作は2クール連続で放送されることがアナウンスされているが,今後,大迷宮の強敵達に立ち向かえる強さにまで成長するかどうか,気になるところ。
いっぽう,人間界サイドも勇者や魔王(CV:上坂すみれ)が登場し,シュンらの周囲もきな臭くなってきた。蜘蛛子さんやクラスメイト達の運命がどうなるのか,彼らが集団で転生したのはなぜなのか。謎をはらんだままストーリーは展開していく。
ともあれ,ひたすら戦い続ける蜘蛛子さんに安住の地と,美味しい食料が手に入る日を祈るばかりである。
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」公式サイト
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」公式Twitter
放映データ |
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2021年1月〜 |
キャスト | |
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「私」:悠木 碧 | |
シュン:堀江 瞬 | |
カティア:東山奈央 | |
ユーゴー:石川界人 | |
スー:小倉 唯 | |
フェイ:喜多村英梨 | |
フィリメス:奥野香耶 | |
ユーリ:田中あいみ | |
ユリウス:榎木淳弥 | |
ハイリンス:興津和幸 | |
バルト:梅原裕一郎 | |
魔王:上坂すみれ | |
ソフィア:竹達彩奈 |
スタッフ |
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原作:馬場 翁 |
『蜘蛛ですが、なにか?』(カドカワBOOKS刊) |
原作イラスト:輝竜 司 |
監督:板垣 伸 |
シリーズ構成:馬場 翁 百瀬祐一郎 |
キャラクターデザイン:田中紀衣 |
モンスターデザイン:鈴木政彦 ヒラタリョウ 木村博美 |
チーフアニメーター:吉田智裕 |
美術監督/美術設定:長岡慎治 |
色彩設計:日比智恵子 |
撮影監督:今泉秀樹 |
編集:櫻井 崇 |
CGディレクター:山口一夫 |
CGアニメーション制作: exsa(制作協力ENGI) |
音楽:片山修志 |
音響監督:今泉雄一 板垣 伸 |
助監督:上田慎一郎 |
アニメーション制作:ミルパンセ |
製作:蜘蛛ですが、なにか?製作委員会 |
■Blu-ray&DVD情報
【Blu-ray&DVD BOX】
蜘蛛ですが、なにか? 第1巻
2021年4月28日(水)発売
品番
BD:KAXA-8061
DVD:KABA-10961
価格
BD:18,000円(税抜)/19,800円(税込)
DVD:16,000円(税抜)/17,600円(税込)
収録内容
第1話〜第6話
毎回特典
1.特製アウターケース
2.原作イラスト・輝竜司描き下ろしデジパック
3.キャラクターデザイン・田中紀衣描き下ろし表紙スペシャルブックレット
・原作:馬場翁書き下ろし小説
・原作:馬場翁解説付きシナリオ(第3話)
・コミカライズ:かかし朝浩描き下ろしイラスト(1P)
・作品世界を解き明かす、年表/キャラクター相関図【完全版】などを収録
4.オーディオコメンタリー(第1話)
映像特典
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