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「Flyers\' Lab #4 『3Dアート編』」聴講レポート。「#コンパス」「武器よさらば」などの事例を挙げ,ゲームにおける3D表現が語られる
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印刷2018/03/01 14:23

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「Flyers' Lab #4 『3Dアート編』」聴講レポート。「#コンパス」「武器よさらば」などの事例を挙げ,ゲームにおける3D表現が語られる

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「Flyers' Lab #4 『3Dアート編』」聴講レポート。「#コンパス」「武器よさらば」などの事例を挙げ,ゲームにおける3D表現が語られる
 2018年2月26日,Wright Flyer Studios(以下,WFS)は,東京都内で業界交流イベント「Flyers' Lab #4 『3Dアート編』」を開催した。
 イベント前半では,ゲームにおける3Dアートについて,NHN PlayArtの藤田大介氏と,WFSのルイス・パオリーノ氏が各社の取り組みを紹介し,後半では両者が意見を交わす座談会が行われた。

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「#コンパス」における新しい表現を目指すための3Dキャラクターメイキング


 藤田氏は,NHN PlayArtとドワンゴによる共同プロジェクトとして始動し,2016年12月にリリースされたスマートフォン向けゲームアプリ「#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜」(以下,「#コンパス」。iOS / Android)における事例を紹介した。
 本プロジェクトが発足したのは2015年秋で,藤田氏によると,最初に「一目で『#コンパス』だと分かるビジュアルを目指す」ことを決めたそうだ。当時のスマホ向けゲームは高品質の3Dグラフィックスが当り前になっており,それだけをアートワークのセールスポイントにするのが難しかったという。さらに開発費の高騰に伴い,トレンドのタイトルを参考にクオリティラインを決定し,効率的な開発を行う傾向が業界内で強まっていたため,なにかと差別化を図ることが難しくなっていたからだ。

NHN PlayArt 藤田大介氏
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 そこで競合タイトルとの差別化を図るべく,藤田氏らは,「#コンパス」でやりたいことを決める前に「やらないこと」を明確にした。すなわち新規性とは無縁であろうことをピックアップしたわけで,それが以下の3点である。

1.市場にあふれた題材,世界観,意匠など(剣,魔法,ドラゴン,ファンタジーなど)
2.キャラクターを3頭身にデフォルメされた3Dモデルに統一すること
3.テクスチャの描き込みクオリティの上げ方


 このうち2と3に関しては,当時普及していたスマホのスペックを鑑みるとむしろ正しい手法なのだが,そうであるがゆえに採用している競合タイトルも多かった。「#コンパス」では,それらのタイトルとは差別化を図ることを目指していたため,最初から異なる手法を求めたのである。

 そうやって決めたやらないことを踏まえたうえで,本プロジェクトでは,新規性の高いスマホ向け3Dアクションゲームにふさわしいビジュアルについて,モックアップのクラッシュ&ビルドを繰り返しつつ決めていった。その方針が,以下の3点となる。

1.世界観を統一せず,さまざまな個性や事象を許容できるデジタルルックなSNS世界
2.キャラクターはセルルック(2Dのセルアニメ調),かつ主に3〜8頭身とし敢えて統一しない
3.キャラクターも背景も描込みで勝負するのではなく,シンプルなデザインで空気感と光を演出する


 このうち3の空気感と光による演出は,コンシューマゲームの手法であり,その時点ではスマホゲームでの採用例がほとんどなかったという。藤田氏によると,当時のスマホのスペックで実現するのは若干ハードルが高かったそうだ。しかし,開発期間が1年かかり,かつ配信後もサービスを続けることを考えた結果,「#コンパス」での採用を決めたと振り返る。

 そうしたアートワークのコンセプトに沿って,具体的に「#コンパス」に登場するヒーロー達のキャラクターメイキングを進めていく。その方針は,「我々はデータを作っているのではない。ヒーローを誕生させているのだ」というもの。そのためヒーローの制作は,ワークフローこそ効率化が図られているものの,クリエイティブな部分に関しては1体1体泥臭く作っているため,その制作期間は1体あたり約2か月におよぶという。

 また,ヒーローのキャラクターデザインには,共同開発するドワンゴのサービス「ニコニコ動画」の文化をアートワークに落とし込んでいるという。すなわち,「やってみた」に代表されるようなニコニコ動画の特徴である「フットワークの軽い自己発信エネルギー」を,可能なかぎり注入しているとのことで,具体的に以下の3点が挙げられた。

1.発想を重視して作家性を削らない
2.絵柄を矯正・統一しない
3.癖を含めて味として残す


 藤田氏はこれらをまとめて,「ユーザーが参加しやすいよう,個性を活かし,間口を広くしたSNS時代のアートワーク」と表現。その一方で,技術面ではアートワークをセルルックに落とし込んでいるため,作家性と統一感の両立を実現できたという。

 しかし自由な作家性を担保するとはいっても,「#コンパス」のゲームデザインに反するアートワークはさすがに許容できない。そこで最低限のレギュレーションとして,以下の3点が設定された。

1.シルエットが明確であること(塗りつぶしても判別できる)
2.テーマカラーが明確であること(各キャラの身体の6〜7割程度の面積が指定したテーマカラーになっていること)
3.ワンフレーズで分かるテーマがデザインに反映されていること(“セクシー”“イケメン”“慈愛”など)


 これらは,「#コンパス」のバトルで混戦になったとき,プレイヤー各自が自身の操作するキャラクターをきちんと認識できるようにするための配慮である。とくにスマホの画面サイズは,テレビやPC向けディスプレイのそれと比べて小さいため,コンシューマゲームやPCゲームよりも意識する必要があるというわけだ。
 それと同時に,シンプルで明確なキャラクターデザインは,プレイヤーの認知度や愛着がわきやすく,かつ二次創作もやりやすくなるといったメリットがあるとのこと。

スマホの画面で見やすいデザインのディテールの目安も示された
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 藤田氏は,キャラクターの頭身についても言及した。とくに3頭身モデルは,サイズや端末のスペックといった点でスマホゲームとの相性がよく,日本では採用されやすいデフォルメ表現だが,実はキャラクターのプロデュースやゲーム自体が目指す方向性においてはデメリットもあるという。

 たとえば,元々のキャラクターデザインがリアルな頭身なのに対し,バトルで登場するキャラクターモデルがデフォルメされた3頭身である場合は,かつてのドット絵であれば,プレイヤーが足りない情報を頭の中で勝手に想像して補完することで,元々のキャラクターデザインと齟齬なく愛着を抱くことができた。
 しかし現在,スマホで表現できる3頭身モデルはドット絵よりも具体的で,精妙な演技も可能である。そのため愛着という点では,元々のキャラクターデザインとは別の独立した価値を獲得してしまう可能性が生ずるのである。

 そうした意味では,「#コンパス」は自分の操作するキャラクターで対戦するバトルゲームの側面と,キャラクターデザインをそのまま反映させた3Dモデルの相性がよく,プレイヤーからしっかりとした愛着を得ることができたとのこと。その結果,二次創作やグッズ制作といった多方面への展開も視野に入ってきているという。
 藤田氏は,「決して3頭身モデルが悪いと言いたいのではなく」と前置きしつつ,「プレイヤーに何を届けたいのか,どんなキャラクタービジネスをしたいのか」を踏まえてデフォルメ表現をどう扱うか,プロジェクトの初期にきちんと設計しておくことが重要だと説いた。

イラストレーターに渡す資料と,それらを踏まえて描かれたラフ案も披露された
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 そしてキャラクターデザインが完成したら,続いてヒーローのモーションやエフェクトを作っていく。これらは,共通部分をのぞき1体ずつ専用のものが作られるのだが,その過程では,プロデューサーやモーションデザイナーを含めスタッフ全員がイメージを共有し,実際に玩具の武器などを使って演技したり,アイデア出しをしたりしてヒーロー像を組み立てていくという。

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 ただし,この手法がほかのスマホゲーム開発に応用できるかというと,必ずしもそうではないと藤田氏は述べた。というのも通常,ゲームに3Dモデルを採用するのは,共通モーションを作ってコストカットを図るといったように効率化が目的だからである。
 それではなぜ「#コンパス」がこの手法を採用したかというと,「プレイヤーが世界で1体だけのヒーローを望んでいるから」とのことで,藤田氏は「だからこそ短期的なコストカットではなく,長期的な運用を踏まえた結果」と説明。これもデフォルメ表現同様,なにを目指すのかによって変わると話していた。

 また,ヒーローの個性を表現するためには,外見だけでなく各キャラクターのパーソナリティを設定することも重要である。会場では,同タイミングで追加された「グスタフ」「テスラ」という対照的な2体のヒーローを例に話が進められた。彼らを魅力的に演出するために以下のような対比を定義していったという。

1.グスタフは大人。テスラは子ども
2.グスタフはコンプレックスがある。テスラは自信がある
3.グスタフは人に愛されずに育った。テスラは人に愛されて育った


(左から)グスタフとテスラ
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 藤田氏は,ヒーローのパーソナリティにコントラストをつけることで,それぞれが引き立つとする。さらに「#コンパス」では,各ヒーローが互いに持っていないものを補完し合うことで魅力が増すように設計していると説明。
 カメラワークによる演出も施されており,グスタフのシーンは暗い運命に抗いなにかを求め続けていることを表現するため,カメラは主に下手から上手に向かう。一方,自信家で上から目線の発言が多いテスラだと,カメラは上手から下手に向かうことが多いとのこと。

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 藤田氏は,こうしたカメラワークによるパーソナリティの演出を「3Dグラフィックスのゲームならでは」とし,「演劇論などを意識して入れることにより,プレイヤーはキャラクターに対してより愛着を抱くようになる」と語った。

ヒーローのキャラクターデザインのテイストによって画角をある程度制限することにより,それぞれの世界観を表現していることも明かされた
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 最後に紹介されたのは,実在感の演出だ。「#コンパス」ではヒーローをホーム画面の3D空間に配置し,バトルと地続きであることが表現されている。具体的に説明すると,表示されているヒーローをタップすれば5種類のリアクションが返ってくるし,画面遷移時もヒーローがパッと消えるのではなく,フォグの奥に遠ざかるような演出が見られるのだ。ガチャを引いたときも,ヒーロー自身がカードを選び出したかのような演出となっている。
 藤田氏は,こうした演出について,プレイヤーに世界の実在感とヒーローへの親近感を抱かせるものと説明していた。

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 また,「#コンパス」のユーザーインタフェースは,デザインこそ新規性の高いものにしているが,機能自体はオーソドックスなものが心がけられている。これはデザインも機能も目新しいものにしてしまうと,プレイヤーの学習コストが高くなり,結果としてプレイされなくなる恐れがあるための対策になる。藤田氏は「新しいものとオーソドックスなもののバランスが大事」と話していた。

スマホのスペックに合わせたグラフィックスレベルの設定も紹介された
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 藤田氏はプレゼンテーションのまとめとして,「スマホゲームに3Dグラフィックスが採用されるようになって数年,当初は2D的なゲームデザインはそのままに,アセットだけが3Dに置き換わるような表現だったが,今後は3Dの特長を活かした新しいスマホゲームを生み出していく必要がある」と述べたうえで,「3Dを表現の柱として利用することで広がる部分もある」と語り,プレゼンを終えた。


「武器よさらば」と「釣り★スタVR」における3Dグラフィックスの作例


 藤田氏に続いてプレゼンを行ったWFSのルイス・パオリーノ氏は,同社が配信するスマートフォン向けゲームアプリ「武器よさらば」iOS / Android)ならびに,グリーが配信するDaydream向けVRタイトルの「釣り★スタVR」における3Dグラフィックスの作例を紹介。それぞれのキャラクターや背景について,コンセプトアートから3Dモデルに落とし込んでいく過程を紹介した。

Wright Flyer Studios ルイス・パオリーノ氏
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「武器よさらば」キャラクターの作例
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「武器よさらば」背景の作例
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「釣り★スタVR」キャラクターの作例
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「釣り★スタVR」背景の作例
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「釣り★スタVR」竿の作例
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キャラクターの髪やマント,竿の飾りなどのいわゆる“揺れもの”はUnityのアセット「Dynamic Bone」で作成しているという
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 最後に,パオリーノ氏はWFSの今後の展開について言及した。それによると,同スタジオのスマホゲーム開発のワークフローはどんどんコンシューマゲームのそれに近づいているとのことで,昨今ではモーションキャプチャを使ったり,Unreal Engineに取り組んだりしているという。パオリーノ氏は,2018年に同スタジオからリリースされるタイトルにも,ぜひ期待してほしいと語っていた。


ゲームグラフィックスの未来は,必ずしも3D表現だけにあるわけではない


 座談会には,プレゼンを行った藤田氏とパオリーノ氏に加え,モデレータとしてWFSの下田翔大氏が登壇した。

Wright Flyer Studios 下田翔大氏(写真左)
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 最初のテーマは,「スマホだからこそ,VRだからこその3D表現について」
 藤田氏とパオリーノ氏は,3D表現のクオリティを最大限に引き上げるためには,「必要スペックが高くなりすぎるから」というダメ出しを怖れず,とにかく手を動かして作ることが重要だと主張する。とくにパオリーノ氏は「作って出してみて,ダメだと言われても,ゲーム開発の最終フェイズでは必ずクオリティアップを求められる。そのとき,ダメだと言われたものがOKになることがあるのでキープしておくといい」と指摘。藤田氏も,現状の「#コンパス」のコラボキャラの中には,プロジェクト初期には考えられなかったほどの数のジョイントを持たせているケースがあることを明かした。

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 さらにパオリーノ氏は,スマホゲームもVRタイトルも,どの程度までスペックの低い端末に合わせてゲームを作るのかということに言及。今どきのハイクオリティとされるゲームは,iPhone 6s並みのスペックがないと十分な動作を保証できないとのことで,それ以下の端末に対応させるためには全体のクオリティを下げるか,低スペック端末用の3Dモデルを別途用意するかという対応が必要になるという。

 ふたつめのテーマは,「費用やスケジュールの制限がある中で,どのようにクオリティ上限を設定しているか」
 藤田氏は,スマホは画面が小さいので,全体的にリッチな表現を目指すのではなく,核となる部分に特化することを心がけているという。たとえば氏が制作に携わった「#コンパス」であれば,バトルにフォーカスしてコストを割いているとのこと。
 とくに最初のバトル用マップには3か月かけて試行錯誤を重ねて,量産体制を整えたという。「#コンパス」をローンチするまでの開発期間が1年間なので,実に4分の1の期間を費やしたことになる。

 最後のテーマは,「ゲームグラフィックスの今後」
 藤田氏は,必ずしも3Dグラフィックスだけがメインになるのではなく,「あくまでも主力のひとつ」に留まるのではないかと持論を展開する。すなわち,本当に3Dグラフィックスだけが主力になるのであれば「Live2D」のような2Dグラフィックスの技術は生まれてこなかったわけだ。藤田氏は,「各パブリッシャやスタジオの得意不得意や目指す表現に応じて取捨選択できるようになっている」と述べていた。

 パオリーノ氏は,自身がレトロゲームのドット絵のファンであることを明かす一方で,3Dグラフィックスなどの技術を用いてドット絵風のグラフィックスを再現するくらいなら,普通に3Dグラフィックスのゲームを作ればいいのではないかという個人的な見解を披露。「一昔前ならともかく,今やアニメであっても多くは3Dグラフィックスで作られているし,ハードウェアのスペックも十分に足りている。それらの技術を使って,わざわざドット絵を再現する必要はあるのだろうか」と疑問を呈した。

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 そうしたパオリーノ氏の意見を受けて,下田氏は,藤田氏に「なぜ『#コンパス』のヒーローを3Dモデルで表現しようとしたのか」と質問する。藤田氏は「作りたかったバトルが先にあり,それが3Dでしか表現できなかったので,ヒーローも必然的に3Dになった」と回答。さらに3Dモデルにした付加価値として「演出のしやすさ」と,前述した「プレイヤーのシンクロ度(愛着)が高くなる」ことを挙げた。スマホは常に持ち歩き触っているものなので,そこで展開するゲームは,ほかのプラットフォームよりもプレイヤーとキャラクターの距離が近くなることもいい方向に働いたという。

 またパオリーノ氏は,「3Dグラフィックスを作るためには,絶対に2Dのコンセプトアートが必要になる」ことも指摘。「コンセプトアートがないと,どんなゲームを作りたいのか,ゲームがどんな見た目になるのかが分からなくなる」「いきなり3Dで作り始めると,好きなように作り込めてしまうので,恐ろしいほどの時間がかかる可能性が生じる」と,コンセプトアートの重要性を語った。ただし,コンセプトアートを手がけるスタッフが3Dグラフィックスに詳しくないと,やたらに“揺れもの”を増やしてしまい,結果3Dモデルのジョイントが増えて実現不可能となるので,そこはきちんと知識を持っておいてほしいとも補足していた。

 座談会の終盤には,下田氏が「3Dと2Dのどちらがいいのかという議論ではなく,やりたい表現を実現するために3Dを選択する,あるいは2Dを選択するという考え方が大切」と発言。藤田氏も「このまま開発フローがコンシューマゲームに近づいていくと,果たして運営の速度についていけるのだろうかという疑問がある」とし,あらためて3D表現だけがゲームグラフィックスの今後を担うわけではないことを示していた。

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