新作MMORPG「ELYON」プレイレポート。ファンタジーとSFの世界観を持つノンターゲティングアクションのファーストインプレッションをお届け

　ゲームオンが国内向けにサービスを予定しているPC向け新作MMORPG「ELYON」。本作は，「Project W（仮称）」というタイトルで発表され，2016年11月にゲームオンとBluehole（現KRAFTON）の間で日本独占配信契約が締結されている。その後，2020年12月に韓国でサービスが始まり，2021年9月に欧米でもサービスインの予定だ。


　日本でのサービス開始時期は発表されていないが，プレオープンテストが2021年9月24日に実施予定で，本日（9月10日）にテスター募集が始まっている。このことから，サービス開始がそう遠くないことを予感しているMMORPGファンも多いのではないだろうか。


　今回，プレオープンテストに先立って本作をプレイしたので，プロローグを中心に「ELYON」のプレイフィールをレポートしよう。なお，クライアントはプレオープンテストに使用するものと同等ではあるものの，まだ開発中の部分もあるので仕様や表記などがプレオープンテスト時と異なる可能性がある。

自由度の高いキャラ作成が可能

　ゲームを開始すると「アカウント名」作成が求められる。これは「クラン」や「住宅」コンテンツで表示される名前となるようだ。あとで変更はできないようなので，よく考えて決めよう。

プロローグから序盤のプレイでは，とくにアカウント名を意識することはなかった

　アカウント名の次は，所属する陣営を選択する。本作ではゲームの舞台となる「ハース大陸」を二分する「オンタリー連邦」と「ヴァルピン評議会」の2大陣営の対立が描かれており，プレイヤーはどちらかの陣営に所属する。陣営を選択すると，そのゲームアカウントでは，選んだ陣営側のキャラクターしか作成できなくなる。

オンタリー連邦はワールドマップの北側，ヴァルピン評議会はワールドマップの南側に位置する陣営だ。選択した陣営によって行けるダンジョンに違いはあるようだが，難度などプレイにはそれほど影響はないと思われる

　陣営決定後は，いよいよキャラクター作成となる。選べるクラスは「スレイヤー（※）」「ウォーロード」「エレメンタリスト」「ミスティック」「アサシン」「ガンナー」の6種類。種族は「ヒューマン」「エルフ」「亜人」「オーク」があり，亜人以外は男女のどちらかを選ぶ。クラスと種族，性別の組み合わせに制限はない。

※プレオープンテストでは「スレイヤー」のみ使用不可とのことだ

スレイヤー。身の丈ほどの大剣を振り回す近接向きのダメージディーラー

ウォーロード。巨大な武器を手に最前線で戦いながら見方を守るクラス。いわゆるタンクに相当する

エレメンタリスト。世界を構成する元素の秘密を解き明かしたことで手に入れた魔法による攻撃を得意とする。範囲攻撃に長けるようだ

ミスティック。自然の力を借りて味方を治療するヒーラー的なクラス

アサシン。短剣を両手に持ち，素早く動きながら敵の弱点を突くアタッカー

ガンナー。二丁拳銃を駆使し，得意なバトルスタイルは遠距離からの銃撃戦。銃だけでなく，爆発物なども扱う

　キャラクターは，髪型や顔の各パーツ，肌の色，身体や頭の大きさ，入れ墨やボイスなど，かなり細かくカスタマイズできる。

キャラクターのプリセットも用意されているので，キャラ作成が苦手な人も安心

髪型は豊富に用意されており，髪の色も全体だけではなく，毛先やその染色で変化する範囲まで調整できる。ただ，オークの髪型がヒューマンやエルフの半分ほどしかないのは残念

顔の調整は，変更できる部分の色が変化し，マウスカーソルを合わせると調整用のウィンドウが表示される。変更できる場所は「簡単形態」と「細部形態」の2つで異なり，簡単形態は鼻や唇，耳など分かりやすい部分，細部形態は唇の上下や鼻翼，眉間などより細かい部分を調整できる

男性キャラクターは髭の有無が選択可能。ヒューマンは短い髭と長い髭，エルフは短い髭，オークは長い髭と種族ごとに違いがある

女性キャラクターは髭の代わりに「頬/チーク」が追加される

体の調整は画面左のバーで変更する。「体の大きさ」は，現在のバランスのまま体全体を拡大縮小する。なので子供っぽいキャラクターを作ろうとして「体の大きさ」を0にしても，「大人が子供の身長になった」といったキャラになるので注意

腕や足の長さといった各部位のバランスを変えたいなら，顔と同様に各部位にマウスカーソルを合わせて個別に調整する必要がある

頭の大きさは，その名の通り頭の大きさのみを変更するもの。やりすぎると違和感があるのでほどほどに

女性キャラクターのみ胸のサイズの変更が可能。臀部は男女ともに同じく骨盤の調整という形になっている

　ヒューマン，エルフ，オークでキャラ作成できる項目はほぼ同じだ。しかし，「様々な種族が集まった連合体」だという亜人の場合は，頭部のデザインを「ウサギ」「犬」「猫」「アライグマ（？）」などから好みのタイプを選ぶことになる。

どの頭もモフモフぐあいが良い感じ。ヒューマンなどと比べて亜人は頭身が低く，小さくてカワイイキャラクターを作成するならこれだろう，といった感じだ

　亜人の主な調整部分は毛の色と顔回りのパーツの変更になる。とくに毛の色は，イメージがガラリと変わる。体の調整についてはヒューマンなどと同じく，体と頭の大きさを変更できる。

毛の色を変えると別の種かと思うほどイメージが変化。毛の色のほかに虹彩の選択，目や耳，口の大きさや位置の変更なども行える

体を見ると肌の代わりに毛のようなテクスチャが貼られ，手足には鋭い爪が生えているのが分かる。亜人のデフォルメされたような体型をより強調するために頭の大きさ変更があるのではないだろうか

キャラクターの衣装やポーズを変更し，その状態でキャラクター作成の詳細を詰められる。カスタマイズ中にその内容をセーブ/ロードできるので，こまめにキャラデータをセーブしておくと，失敗時のリカバリーがしやすい

　今回のテストプレイでは，キャラ作成できるのは3キャラクターまでだった。プレオープンテストでも同数のキャラクターが作れると思われるので，いろいろなキャラクターを作って楽しんでみてほしい。

プロローグは意外とガチなSFの「ELYON」

　キャラクターの作成を終えると，そのキャラがエリオンの彼方に眠るという希望を探すため，方舟「インヴェントゥス」に乗って次元を超えるというシーンが描かれる。しかし，その道行きで方舟は謎の敵である「黒の使徒」の襲撃を受け，大打撃を受けてしまう。このピンチを脱する切り札として，プレイヤーキャラが活躍する。

カットシーンの最後にプレイヤーキャラが登場するのだが，気味の悪い袋に取り込まれていて，そこから生まれ落ちるようにして登場する。ここから方舟内の敵を倒しつつ，ゲームシステムを学ぶチュートリアルがスタートする

　キャラクターの操作はW/A/S/Dキーで移動，攻撃はマウスの左右クリックとショートカットにセットされたスキルで行う。SHIFTキーと移動キーで任意の方向に回避，スペースキーでジャンプ，Wキーで移動中にCtrlキーを押すとダッシュといった，3DタイプのMMORPGとしては比較的オーソドックスなものだ。ダッシュや回避には気力が必要で，これは時間経過で回復する。

ELYONはノンターゲティングのアクションバトルで，筆者が触れた範囲では，左クリックで手早い攻撃，右クリックで威力の大きい攻撃を繰り出していた。なおゲームオンによれば，クラスによって左右クリックボタンに割り振られるデフォルトのスキルは異なるとのこと。スキルの割り振りは設定で調整可能だ。スキルのショートカットは画面下部中央，アイテムなどのショートカットは左下に並んでいる

動けなくなるショック状態やダウン状態からの解除はスペースキーで行う。これによりすぐ復帰できるが，使用には気力が必要となる

　キャラクターの視点は，ゲーム開始時は斜め見下ろしの視点となっているが，マウスホイールで寄せたり引いたりすることが可能で，TPS視点にすることもできる。

上から最も引いた視点，TPSに近い視点，そして正面からとなる。PVではTPSに近い視点での迫力あるバトルシーンが見られるが，カメラの高さなどは調整できないので慣れが必要だ。広い視野を確保しつつ戦うなら，もっとも引いた視点がおススメ。視点はこの3つではなく，マウスホイールの調整でもっと細かく調整できる

　操作性は，ノンターゲティングバトルなので軽快かつ遊びやすい。ただ，軽快さがそのまま反映されているせいか，それとも選んだキャラクター（テストプレイではアサシンとガンナーを使用）によるものなのか分からないが，打撃感があまり感じられなかった。

主に雑魚モンスターとの戦闘では，敵から攻撃を受けても怯まされたり攻撃が中断されたりすることがなくサクサク攻撃し続けられる。常時スーパーアーマーのような感じで，戦闘中もあまり危機感はなかった。もちろん，しっかりHPは減っているので，気づいたら危険な状態……ということもしばしば

主にボスクラスの敵が使ってくる予備動作つきの範囲攻撃などを食らうと，大ダメージを負ったり，ダウンしたりするので回避もしっかり行わなければならない

　攻撃スキルはキャラクターのレベルが一定レベルに達すると習得可能になるものと，アイテムを使って覚えるものの2種類ある。

序盤は，クエストをこなしていくだけでポンポンレベルが上がっていくので，スキルがどんどん増えていく。ざっと見た感じ，レベル40ですべてのスキルが覚えられるようなので，そこからが本番といったところか

　スキルの強化システムとして「特性」がある。1つのスキルにつき4つ用意されている特性は，ダメージがアップしたり，ヒットするとデバフを与えたりするといった効果があり，スキルにセットすることで実際に使用可能になる。これにより個性的なスキルビルドができるわけだ。

特性をアクティブにするにはスキルポイントが必要で，セットできるようになるのは，プロローグを終えたあとになる。セットした特性はいつでも初期化してやりなおせるので，いろいろな特性を試してみよう

　ラストにはプレイヤーは方舟から外の世界へ落とされ，オンタリーの灰色山脈へ墜落する。この落下地点は，ゲーム開始時に選んだ陣営となるので，ヴァルピンを選択したプレイヤーは，おそらく別の場所に落ちるのだろう。

プロローグ終盤のスクリーンショットを紹介。最後のカットシーンは，本当に「放り出される」という表現がピッタリで，思わず「きみはどこに落ちたい？」と呟きたくなる。よくあれで生きてるなあ……

オンタリーの灰色山脈は，なんとなく暗いイメージを持ちそうな地名だが，実は風光明媚で明るい村，もしくは砦といった場所だ

　ここでいよいよゲームの本番がスタートとなるが，少し遊んでみた感じだとストーリードリブンで進行し，クエストクリアでサクサクレベルが上がっていくタイプのようだ。フィールドのモンスターと戦うよりも，クエストを進めたほうがはるかに効率がいいので，メイン，サブクエストをこなしていけば問題ないだろう。

序盤なだけあって，クエスト報酬で装備も手に入る。しっかり装備して，先の戦いに備えたい

装備で注目したいのは，オンタリーに落ちた直後にもらえる「風のウイングスーツ」。これを装備してジャンプ後にもう一度ジャンプすると，空を滑空できる

高いところから滑空すると，大空を飛んでいるかのような爽快な気分になれるので，プレオープンでぜひ体験してもらいたい。ただし，滑空には気力が必要で，気力が切れるとその場で解除されて落ちる。高いところで解除されると落下死の危険もあるのでご注意を

プロローグを終えたあとに新たにキャラクターを作ってゲームを始めると，最初からプレイするか，プロローグを終えたところからプレイできるかを選択できる。複数のキャラを使い分けて楽しみたい人には嬉しい配慮だ

風光明媚なハース大陸を観光してみた

　最後に冒険の舞台となるハース大陸を観光してきたので紹介しよう。

　ハース大陸へ降りたすぐ近くには，移動を阻む半透明の壁があり先に進めなくなっているが，これはワールドマップ外への移動を阻むものだろう。こういった仕様はあるが，その内側のフィールドには区切りがなく，各エリアはシームレスにつながっているため，オープンワールドと言っていいだろう。

フィールドの外周に到達すると，黄色い半透明の壁に行く手を阻まれる。ここが世界の果てか……

ワールドマップは一画面に収まらない広さだが，全体的には横長の長方形となっている。マップは地上と空の2つのレイヤーに分かれ，表示される情報が異なる

ワールドマップ上に表記された地域名をクリックすると，その周辺に出現するモンスターとドロップアイテム，採集できる素材などが一目で分かって便利

惑星を俯瞰したかのような視点のワールドマップもある。美しいグラフィックスで描かれた惑星上には，ハース大陸を中心にダンジョンやポータル先が一望できる

　ゲームはストーリードリブンで進行していくようだが，それらをこなさなくてもフィールドの移動を妨げられることはない。モンスターへの対処さえ可能ならば，どこへでも行くことができるのはオープンワールドの醍醐味だ。
　フィールドマップを歩き回って気付いたのは，どうやら本作では時間経過による朝から夜といった時間経過の演出はなく，また天候の変化もなさそうということだ。その代わりといってはなんだが，シームレスでつながっているフィールドはいくつものエリアに分かれていて，このエリアは夕方のような雰囲気，このエリアは雨が降っているといったように，エリアごとに違いが楽しめるようになっている。

ワールドマップで目標地点を決めて自動移動もできる。移動ルートは自動で決まり，フィールド上に連続した青い矢印で表示される。敵モンスターと遭遇してもほぼ追い付かれることなく移動できたので重宝した

自然豊かに描かれるELYONのフィールドはかなり美しい。エリアごとにさまざまな顔を見せるのも本作の特徴と言えるかもしれない。自然豊かなフィールドにSFっぽいガジェットが見え隠れするのも本作ならではの面白さかも

　フィールドを歩く際にもっとも気を付けなければならないのが，ワールドマップを南北に分断する中央の赤いエリア「紛争地域」で，敵対陣営とのバトル（RvR）が日常的に行われるかなり危険なエリアとなっている。2大陣営の闘争がテーマでもある本作にとって，もっとも重要なエリアかもしれない。

紛争地域に足を踏み入れると両陣営のNPC同士が戦っている姿が見られる

紛争地域内には自陣営の要塞があり，ここで戦いの準備を整えられる

軽快で遊びやすいアクションタイプのMMORPG。生活系コンテンツも期待できそう？

　プロローグをメインに，ハース大陸を少し歩き回ってテストプレイは終了となったが，プレイフィールとしては，軽快なアクションが楽しめるMMORPGといったところだろうか。操作もオーソドックスなため，あまり迷うことなくプレイできたのもその印象を強めている。キャラクターのレベルが低かったので，派手なアクションバトルは体験できなかったが，キャラクターのバトルモーションも滑らかだ。
　気になった点と言えば，前述したように，もう少し打撃感，つまり攻撃がヒットしている，または攻撃を受けている感があればといったところか。これには個人差があると思うので，実際にプレイして判断してもらいたい。


　本作はMMORPGには欠かせない生活系コンテンツも用意されている。今回は釣りや採集などは試せたが，ハウジングや生産など本格的なものはテストプレイでは触れなかった。ハウジングなどはすでに情報が公開されており，ある程度ならばプレオープンで体験もできるのではないだろうか。

とある村ではプレイヤー向けの住宅が販売されていた。勝手に中にお邪魔してみたが，間取りは結構広さそうだ。この住宅を購入してハウジングが楽しめるのだろう

水辺では釣り，特定のエリア内では採集なども行える。釣りも採集もちょっとしたミニゲーム要素が入っている

　今回のプレイレポートは，あくまで序盤のプレイフィールとゲームの印象に留まるもので，ELYONの本質的な楽しさは未知数と言える。この先にある新しさや面白さをいち早く体験してみたいのなら，ぜひプレオープンに応募して遊んでみてほしい。

「ELYON」公式サイト