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「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に
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印刷2020/06/01 22:01

インタビュー

「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

画像集#017のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に
 PlayStation 4用ソフト「The Last of Us Part II」(以下,Part II)の新たなゲームプレイ映像が5月28日に公開されたのを受け,開発元のNaughty Dogでゲームディレクターを務めるアンソニー・ニューマン(Anthony Newman)氏への合同インタビューが行われたので,その内容を紹介しよう。

 前作となる「The Last of Us」は,人間をゾンビのような存在“感染者”にしてしまう寄生菌の蔓延によって,文明が崩壊してしまった後の世界を舞台にしたサバイバルアクションだ。同作では,家族を失った中年男性のジョエルと,アポカリプス後に生まれた少女エリーにフォーカスしたストーリーが展開されるが,Part IIは前作から5年が経過(2038年)し,19歳になったエリーがメインキャラクターとなる。

 これまでも,おぞましいほどに残酷なカットシーンや,エリーが同性とキスをするシーンなど,新しい情報が公開されるたびにファンは盛り上がりを見せたが,今回のState of Playでお披露目されたトレイラーの結末を見るに,Part IIでも良い意味でファンの予想を上回るような展開が待っている様子だ。


――よろしくお願いします。Part IIではカート・マージーノさんとニューマンさんの2人で共同ディレクターをされていますが,それだけ規模が大きいのでしょうか。

ニューマン氏
画像集#018のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に
アンソニー・ニューマン(以下,ニューマン)氏:
 前作のゲームディレクターだったブルース・ストレイリー(Bruce Srtaley)が抜けたので,カートと私がそのポジションに入りました。その理由はおっしゃる通りPart IIが非常に大きなゲームだからです。
 テスターの平均的なプレイスルー時間は,だいたい25時間ほどです。細かいところまでプレイして30時間といったところでしょうか。これは,Naughty Dogにとってかつてないほどのスケールであり,我々はディテールにこだわることもあって,1人ではすべてを見られないという判断があったわけです。

――25時間というと前作の倍以上のボリュームですよね。カートさんとニューマンさんとでは見るポイントが違うのでしょうか。

ニューマン氏:
 カートはプレイヤーコントロールの調整に長けていて,エリーをスムーズに操作できるのは彼の功績によるところが大きいです。私は,前作で近接戦闘のデザイナーだった経験から,キャラクターや武器のアップグレード,敵のアクションにこだわりを持って開発しました。もちろん近接戦闘もです。

――近接戦闘は前作以上に過激で暴力的な表現になっているようですね。

ニューマン氏:
 そういう見方ができるかもしれません。暴力性は,過酷な現実を生き残ってきた人々の姿を描くのには不可欠です。また,エリーにとってチャレンジングな場面を作り出していく必要もありました。暴力表現は前作とそれほど変わりはないと思うのですが,テクスチャやパーティクルの細かさから,リアルになったアニメーションまで,グラフィックスエンジンをチューンナップしたことで写実性が高まり,それが多くのゲーマーに過激な印象を与えているのではないかと思っています。

 ただ,「The Last of Us」シリーズのコアになっているのは,そうした暴力的な人間性が剥き出しになる中で,エリー(もしくはジョエル)という1人の人間が,この世界とどのように向き合っていくのかということです。なので,そうした表現には強い信念をもって開発しています。

画像集#012のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

――新しいゲームプレイ映像を見ると,戦術の幅も広がっていそうですね。

ニューマン氏:
 全員を倒すとか1人も殺さないとかではなく,プレイヤーの状況判断によってどうするかを選択できることが重要なのです。ステルスに徹しようとしても,敵対勢力であるWLF(Washington Liberation Front:ワシントン解放戦線)は番犬を使ってくるので,そう簡単にやり過ごすことはできません。ただ,1人も殺さずに通過できるマップも多いですよ。

――「エリーはもっと俊敏だ」と解説されていましたが,あれはドッジ(回避)のことを指していたのでしょうか。

ニューマン氏:
 そうですね。エリーはジョエルほどの体躯は持っていませんから,俊敏な立ち回りで戦います。その中でもドッジは,我々が「コンテクスチュアル・ドッジ」と名付けており,相手がバットを縦に振ろうが横に振ろうが,エリーはその角度や武器に合わせて自然な動きで回避します。このアニメーション作りにはかなりこだわりましたよ。

画像集#014のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

――走り込みながら相手の攻撃を避けて,そのままの勢いで攻撃するような場面もありましたね。

ニューマン氏:
 そうしたナチュラルな操作感とアニメーションは,さまざまな局面で利用されています。例えば,狭い場所に向かって進めば自動的に身を屈めます。そのような多様な移動表現が,アナログスティックと[×]ボタンを押すだけでできるのです。
 自分の横にある壁や家具の隙間に滑り込んで,突進してくる感染者を回避するといったクールなシーンを,プレイヤーの皆さんが体験できると思いますよ。

――人間の敵は,仲間同士で呼び合ったりしており,個々の名前を持っているようですが,顔もそれぞれ異なるのでしょうか。

ニューマン氏:
 顔そのものの使い回しはしていますが,衣服や帽子,武器などでパターン化できていますので,それほど気にならないと思います。主要なキャラクターは,モデルとなる人物の顔をアーティストがスキャンし,そのテクスチャの細部をレタッチするという工程を踏んでいますが,敵の多くはNaughty Dogのスタッフの顔を,テスト用に取り込んでいたものなんですよ(笑)。
 開発の初期段階は2〜3人の顔のパターンしかなく,しかも我々にとっては“顔なじみ”なので,テストプレイではとてもシュールな体験ができました。

――ということは,ニューマンさんの顔も本作には登場するのですか。

ニューマン氏:
 最初はそのつもりだったんですけど,スタッフモデルのキャラクター達が無惨に撃ち殺されたり,刺されたり,殴られたりするのを見てやめました(笑)。それとは別に,我々は敵キャラクターにもこだわっています。棒で殴れば帽子が脱げて禿げ頭が露になったりなど,こだわりのアニメーションで人間らしさを表現しました。本当に生身の人間と戦っているかのような感覚を,プレイヤーにも体験してもらいたいですね。

画像集#015のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

――エリーは本作においても,スイッチブレードをデフォルトの武器として使っていますよね。相手を盾にしたあと,その横腹をグサグサと刺していたのが痛々しくて印象的でした。小柄なエリーだと抱きかかえるのは大変かも知れませんが,ほかに彼女なりの戦い方みたいなのはあるのでしょうか。

ニューマン氏:
 今回はステルスキルを狙うときに相手に見つかった場合,見つかっていない時と異なるアニメーションが再生されるため違和感なく次のアクションに移行できるようになっています。また,本作では新たに「レッグショット・スタン」(Leg shot Stan)というゲームメカニクスも採用しています。
 プレイヤーは,敵キャラクターの膝より下に銃を撃ち込むことで,相手に少しのダメージを与えつつ,一時的に戦闘不能にさせられるのです。そうして倒れた敵を背後から抱きかかえれば,盾として利用できます。前作では,相手を殴ってひるませたところで盾にできましたが,今回はガンアクションにそのアドバンテージが与えられているというわけです。

――ストーリーに注目してみると,どこか西部劇映画のような演出も見られました。

ニューマン氏:
 そうですね。本作の統一された世界観は,ディレクターであるニール・ドラックマンが描き上げたものですが,ノスタルジックなアメリカという時代背景は随所に散りばめられています。ジョエルは,テキサス州の出身者で武骨ですし,エリーはコンバース(のようなシューズ)を愛用しています。BGMにもカントリーウェスタンから強い影響を受けたものを使っていますし,それは前作から受け継いでいる「The Last of Us」シリーズのDNAと言えるかもしれません。

画像集#010のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

――映像で公開されたシアトルの街並みのディテールは素晴らしいものでした。エリーは,定住の地だったジャクソンから1000kmも旅をしてくることになるのですが,ゲームのどれくらいの部分をシアトルで過ごすことになるのですか。

ニューマン氏:
 前作では,ある地点から新しい場所へと移動していくロードムービーのような仕上がりになっていましたが,今回のストーリーの多くはシアトルで始まり,シアトルで終わります。つまり,ジャクソンからシアトルまでの道中はほぼ描かれていません。これは,我々にとって新しいチャレンジであり,非常に興味深い作風であるとも言えます。
 シアトルは,近郊の住宅地からダウンタウンの高層ビル,ウォーターフロントなど非常に魅力的な街並みで,周囲の丘や海などで高低差も感じてもらえるという,本作の舞台として最適な場所でした。

――その高低差を利用して,マップを探検できるような要素は含まれているのでしょうか。

ニューマン氏:
 公開したプレイ映像のほとんどのシーンに言えますが,プレイヤーの皆さんが同じようなゲームプレイを体験するとは限りません。1つ1つのエリアは前作より大きく作られており,プレイヤーによって異なるアプローチを取れるようになっています。それでも,物語における重要なシーンにはちゃんとたどり着けるようになってますよ。こうしてオープンな雰囲気を作り出せたことで,そうした状況をプレイヤー自らが発見したと錯覚してもらい,より感動してもらえるのではと感じています。

画像集#009のサムネイル/「The Last of Us Part II」開発者インタビュー。プレイボリュームは25時間以上。スムーズなエリーのアクションで戦闘も濃密に

 ニール・ドラックマン氏が以前PlayStation.Blogで語っていたように(関連記事),前作がリリースされた2013年の時点で,すでにストーリーの構想に着手していたとされる「The Last of Us Part II」。より良い作品に仕上げることを目標に何度か発売予定を遅らせ,さらにCOVID-19の自粛期間に重なるなどの不運にも見舞われたが,PlayStation 4世代最後の華となるべく,評価の高かった前作以上の出来栄えになりそうなのは疑いのないところである。

 日本では通常版のほか,「スペシャル版」「コレクターズ版」そして「デジタルデラックス版」などが公式サイトで紹介されている。また,エリーのタトゥーに使われているシダを彫刻したデザインが気になる「PlayStation 4 Pro The Last of Us Part II Limited Edition」に加え,同じくシダのデザインがあしらわれた「ワイヤレスサラウンドヘッドセット The Last of Us Part II Limited Edition」が販売される予定だ。7月に発売される「Ghost of Tsushima」とともに,今夏注目のビッグタイトルの発売が今月となり,期待は高まるばかりだ。

「The Last of Us Part II」公式サイト

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    The Last of Us Part II

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