プレイレポート
「とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)」発売直前インプレッション。バーチャロンの根幹は変わらず,戦いに新たな選択肢が提示される
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「電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機」公式サイト
15年ぶりの最新作は遊びやすく,奥深く
「バーチャロイド」と呼ばれるロボットを操作して,自分も敵もハイスピードで動き回り,さまざまな武器を使い分けて戦う3D対戦ゲーム。それが1995年に誕生したバーチャロンシリーズだ。
15年ぶりのシリーズ最新作「とある魔術の電脳戦機」は電撃文庫「とある魔術の禁書目録」とのコラボに加え,システム面にもさまざまな変革が見られる。なかでも戦場に大きな影響を与えるのが,「スマート操作」「トランジション」「ブースト・ウェポン」「ポイント制」の導入だ。
●ゲームを遊びやすくする「スマート操作」
従来のシリーズ作品では,自動的に敵を画面内に捉え続けることはなく,カメラ視点に関する操作や駆け引きが重要だった。「ダッシュやジャンプを駆使して相手の視界から消える」「ジャンプするとカメラが敵を捉えることを利用して,敵を見失ったときはジャンプ後にキャンセルする」といったテクニックが不可欠となっていた。
その点,今回から導入された「スマート操作」を選択すると,自動的にカメラが敵を捕捉し続けるため,索敵を目的としたジャンプキャンセルは必要ない。バーチャロン初心者にとって,敵を見失わないスマート操作は大きな助けになるはずだ。
一方,「ベテラン操作」を選べば,これまでどおりにも戦える。あえて照準をずらして攻撃する「偏差射撃」をはじめとする従来のテクニックが使えるため,腕に覚えがある人はベテラン操作がおすすめだ。敵機を見失う可能性もあるが,左スティックがニュートラルの状態で[○]ボタンを押せば,自動的に捕捉してくれるのがありがたい。
常に敵機を視界に収めるスマート操作の導入は大きな変革だ。しかし,対戦のセオリー自体は,これまでと変わらないという印象を受ける。例えば「頭上のポジションを取られると回避が困難になる」ことはシリーズ作品と変わらない。スマート操作の相手に対しても,長年培ってきたテクニックは有効だ。
●スムーズかつ変幻自在な「トランジション」
「トランジション」はダッシュ中に[○]ボタンを押すと,敵の周囲を滑り込みつつ移動するという新アクション。ここからダッシュやジャンプといったアクションに移行できる。もちろんトランジション中に攻撃することも可能だが,これをダッシュでキャンセルできる。「トランジション(遷移)」の言葉どおり,「動きと動きをつなぐ接着剤」といったところだ。
操作に慣れれば,「ダッシュ→トランジション→トランジション攻撃→ダッシュ→バーティカルターン→トランジション→ジャンプ→空中ダッシュ→空中トランジション……」といったアクションを流れるようにつなげられる。足を止めずに攻撃しつつ,変幻自在の動きで相手を翻弄したいところだ。
トランジションを交えた動きは隙が少ない。例えば,アファームド系の近接型機はトランジションで回り込んで,至近距離から格闘戦に持ち込める。また,射撃においてはトランジションで有利なポジションを確保しつつ,ダッシュ攻撃につないでいくと効果的だ。 ただし,近接攻撃やダッシュ攻撃は強力だが,これらをトランジションでキャンセルすることはできず,攻撃後に大きな隙を晒してしまう。
「相手に撃たせて隙を狙う」「避けられないように撃つ」というバーチャロンらしい駆け引きはそのままに,新しい選択肢が増えたと言える。熟練者同士の対戦ではトランジションで様子をうかがい,近接攻撃やダッシュ攻撃といった「切り札」の出しどころを探る読み合いが白熱しそうだ。これは,ハイスピード3D対戦ゲームとしての進化として受け止めた。
●禁書キャラクターをリンクさせる「ブースト・ウェポン」
禁書シリーズとのコラボによる新要素が,新たな武器となる「ブースト・ウェポン」だ。攻撃を当てたり,当てられたりするとゲージが蓄積して,MAXの状態になるとブースト・ウェポンを放てる。いわゆる格闘ゲームの超必殺技といったイメージだ。
もちろん,シリーズ作品に存在した「ブルー・スライダー」「S.L.C.ダイブ」「キック・ザ・ダイナミック」といった大技は健在なので,ファンは安心してほしい。
当麻が「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の鉄拳を振るい,美琴が「超電磁砲(レールガン)」を放つ。各機体に設定されているブースト・ウェポンは,いずれも禁書キャラクターの能力にちなんだものになっている。
例えば,ライデンの場合はターボセンターウェポンのビームネットで拘束してから,満を持して超電磁砲を叩き込める。バーチャロンの3Dバトルにおいて,禁書キャラクターの個性が発揮される要素だ。今後は「ブースト・ウェポンを当てる/避ける」ための研究が進むと思われるが,勝敗の鍵を握る超必殺技であることは間違いない。
●新たな戦術を提示する「ポイント制」
「ポイント制」の導入も大きな変革だ。「敵機をダウンさせる」「追い討ちを当てる」といったことでポイントが蓄積され,制限時間内に決着がつかないときはポイントによって勝敗が決まる。
ここで危惧されるのが,初代バーチャロンから存在する「勝ち逃げ」問題だ。攻撃を当てた側が,制限時間が無くなるまで逃げ続けるというスタイルのことだが,「とある魔術の電脳戦機」ではしっかりと対策がなされている。ポイントがリードしている側が一定時間攻撃を当てられないと,「HIT CLOCK VIOLATION」が発生してペナルティ(ポイント減少)を受けるのだ。これにより,アグレッシブな戦いが促されることが予想できる。
ポイント制の攻防において,大きな意味を持つのが新設された「スタビリティゲージ」(STゲージ)。敵を攻撃してSTゲージをゼロにすると,ダウンを奪ってポイントを稼げるからだ。
STゲージの量は機体によって異なり,軽量級のフェイ・イェン・ザ・ナイトはダウンしやすい印象を受けた。これまで以上に慎重に立ち回らないと,あっという間に大量のポイントを献上することになるだろう。また,STゲージは時間経過に応じて回復し,立ち止まると回復速度が速くなる。「障害物の陰に入って静止する」といった選択肢も視野に入りそうだ。
こうしたルールの導入により,接戦時の緊迫感が増している。優位に立ったとしても,HIT CLOCK VIOLATIONや思わぬヒット,ダウンでポイントをひっくり返されるので,最後の最後まで気が抜けないのだ。
このように「とある魔術の電脳戦機」では,さまざまな変革が行われている。しかし,「相手の隙が生まれる行動を見逃さず,避けられないタイミングや位置関係を意識して攻撃する」「武器の特徴を把握して,少しでも有利なポジションを求めてフィールドを駆け回る」といったバーチャロンの根幹は変わらない。そこに至るまでの道筋(手段)として,スマート操作やトランジションなどの選択肢が加わり,ポイント制の導入が戦いを締まったものにしてくれる。
「とある魔術の電脳戦機」は現代のゲームシーンに合わせて,システムの拡張や整理,統合が行われている。しゃがみ(攻撃)やそれに伴うキャンセルテクニックが無くなっているが,トランジションを使いこなせるようになればスムーズな動きが実現できる。ここは研究のしがいがあるだろう。
「ストーリーモード」では,スポーツとしてバーチャロンで競う“祝祭”にバーチャロイド「ブルーストーカー」が出現。禁書らしい波乱の物語が展開していく。昨年刊行された小説「とある魔術の電脳戦機」を読んでいれば,否が応でも引き込まれるはずだ。
また,チュートリアルは禁書キャラクターの会話形式になっていて,基礎の基礎から教えてくれる。原作ネタが随所に盛り込まれているので,禁書ファンならば見逃せない。「とある魔術の電脳戦機」をきっかけに,ぜひバーチャロンデビューを果たしてほしい。
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©SEGA CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
©2017 鎌池和馬
キャラクターデザイン・原作イラスト/はいむらきよたか
Licensed by KADOKAWA CORPORATION ASCII MEDIA WORKS
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