テストレポート
Motorolaの新型スマホ「moto z3 play」テストレポート。ミドルクラス相応の性能だが,合体オプション「moto mods」に魅力を感じるならアリ
すでに販売もスタートしている製品だが,ゲーマーが選ぶに値する製品となっているのだろうか。10月12日に行われた発表会で実機をテストした結果をレポートしたい。
先代モデルを踏襲しつつ,ディスプレイをより縦長に
指紋認証センサーはベゼル下側から右側面へ移動
ざっくりいえば,2017年に登場した前世代にあたる「moto z2 play」と外観は非常に似通っており,前モデルのディスプレイ部分をアスペクト比9:18の縦長に変更したような外観だ。そのためか,縦長パネルを採用した端末のなかでは,妙に収まりのいいビジュアルだ。moto z2 playを手にしたことがあるのならば,持ち心地はそのまま変わらないと思っていい。
ただ,moto z2 playと似たデザインであるのは,moto zシリーズ共通の外付け周辺機器「moto mods」に対応するためでもあるので,デザインを大きく変えようがないのだろう。
そんなmoto z3 playは,6インチサイズで解像度1080×2160ドットの有機ELパネルを採用するスマートフォンだ。公称本体サイズは約76.5(W)×156.5(D)×6.75(H)mmで,重量は約156gと,6インチ級としては薄くて軽い。6インチ台の端末は総じて重い――200gを超えるものもある――ので,実機を手に持ったときのインパクトは大きい。
moto z2 playでは前面下側のベゼルにあった指紋認証センサーは,画面の縦長化によって置き場所がなくなったのか,右側面に移動していた。センサー面は縦長タイプである。
ちなみに,Motorolaの指紋認証センサー搭載スマートフォンには,端末操作をサポートする「ワンボタンナビ」という独自機能がある。moto z2シリーズのワンボタンナビは,前面下部にある指紋認証センサー上で指を動かすことで,ホームボタンや「戻る」ボタン,「タスク」ボタンの代わりにできるもので,ハードウェアボタンを備えない端末の使い勝手を向上させるという便利な機能だった。
しかし,moto z3 playには前面の指紋認証センサーがないので,ワンボタンナビという名前のままで,画面の最下段に表示される横長のソフトウェアボタン「ジェスチャーバー」をタップしたりスワイプしたりする操作に変わってしまった。
横長のジェスチャーバーはAndroid 9.0で導入されたもので,Google純正端末の「Pixel 3」も似た操作体系を採用している。moto z3 playのプリインストールOSはAndroid 8.1なので,Android 9.0のユーザーインターフェースを先取りしたわけだ。ただmoto z3 playも将来的にAndroid 9.0へアップデートされるそうで,そうなると機能的に被ることになるワンボタンナビは廃止されてしまうかもしれない。
周辺機器のmoto modsについても,簡単に触れておこう。
Motorolaによると,moto modsでは,とくにバッテリーパック「moto power pack」の人気が高いそうだ。USBケーブルいらずで,背面にバッテリーパックを取り付けるだけで充電できるのは楽である。
一方で,ゲーマー向けの「moto gamepad」(関連記事)は,対応するmoto zシリーズをはめ込んで使うタイプのゲームパッドなのだが,対応するゲームアプリが多いとは言えないのがツラいところだ。とくに「フォートナイト」や「PUBG MOBILE」が非対応なのは痛い。このあたりのタイトルに対応すると,人気が出そうなのだが。
ミドルクラス相応の性能
PUBG MOBILEは設定を落とせば快適に
moto z3 playのスペックも簡単に触れておこう。moto z3 playは,Qualcomm製のミドルクラス市場向けSoC(System-on-a-Chip)「Snapdragon 636 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 636)を採用し,容量4GBのメインメモリと容量64GBの内蔵ストレージを搭載している。ミドルクラス市場向けの端末としては,メインメモリやストレージの容量が多いほうであるが,ミドルクラス市場向けSoCでも上位の「Snapdragon 660 Mobile Platform」を搭載する端末も登場しているので,スペック面ではそれほど高いものではない。
moto z3 playの主なスペックは以下のとおりだ。
●moto z3 playの主なスペック
- メーカー:Motorola Mobility
- OS:Android 8.1(Oreo)
- ディスプレイパネル:6インチ有機ELパネル,解像度1080×2160ドット,アスペクト比 9:18
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 636」
・CPUコア:Kryo 260(最大1.8GHz)×8
・GPUコア:Adreno 509
・モデム:Snapdragon X12 LTE - メインメモリ容量:4GB
- ストレージ:内蔵64GB+microSDXC 最大2TB
- アウトカメラ:有効画素数約1200万画素,F1.7(カラー)+有効画素数約500万画素(モノクロ)
- インカメラ:有効画素数約800万画素,F2.0
- 対応SIM:nanoSIMカード,デュアルSIMデュアルスタンバイ対応
- 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/3/4/5/7/8/12/17/18/19/26/28,TDD LTE Band 38/40/41
- 対応3Gバンド:Band 1/2/4/5/8/19
- バッテリー容量:3000mAh
- 待受時間:確認中
- 連続通話時間:確認中
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:5.0+LE
- FeliCa対応:×
- USBポート:USB Type-C
- スピーカー:未公開
- 公称本体サイズ:約76.5(W)×156.5(D)×6.75(H)mm
- 公称本体重量:約156g
- 本体カラー:ディープインディゴ
それではベンチマークテストによる性能検証と,プレイフィールのチェックを進めていこう。
今回ベンチマークテストとして,「PCMark for Android」からStorage test,「AnTuTu Benchmark」のアプリ版とHTML5版「AnTuTu HTML5 Test」,「CPU-Z」,そして「ぺしぺしIkina」を実行した。
いつもの「3DMark」が入っていないのは,Sling Shot Extreme UnlimitedプリセットがPhysics testに入った途端に,端末がリブートするという不可解な現象が3回連続で発生したため,計測を中止するしかなかったからだ。放熱の問題かと思ったのだが,並みのベンチマークアプリよりも負荷の高い「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)のMV再生ではなんら問題がなかったので,moto z3 playと3DMark間の問題と思われる。
PCMarkの結果から見ていくと,スコアは「5998」と,ミドルクラス市場向け端末としては高い。ただ,ランダム読み出しやランダム書き込みの性能は低めであり,細々としたデータの読み書きが多いゲームタイトルでのロード時間は,どうしても長くなるだろう。
AnTuTu Benchmarkはどうだろうか。スコアは以下のとおりとなるが,ミドルクラス市場向け端末としては相応のスコアであり,特筆すべき点はない。3Dグラフィックス性能の低さは気になるが,2Dグラフィックス主体だったり,3Dでも負荷が軽めのゲームタイトル中心であれば,おおむね問題はないだろう。
またHTML5版の結果は,ミドルクラス市場向け端末としては優秀な部類で,
CPU-Zにより,CPUコアの動作を確認してみたが,big側CPUコアが4基,
ぺしぺしIkinaによる連打応答性の確認も,93〜96になるよう連打して「85」と平均的なもの。飽和は連打の後半に集中していたので,実際のゲームプレイにおける悪影響はないだろう。
ゲームにおけるプレイフィールはデレステとPUBG MOBILEで行った。
まずはデレステからだが,搭載SoCがSnapdragon 636であることを考慮すると,最高設定でのプレイは現実的ではない。1段階落とした「3D標準」でも,描画にもたつきが続いたうえ,取得漏れも多発と苦しい状態だった。ただ,「2D標準」では取得漏れを起こさなかったので,moto z3 playでは3Dでのプレイではなく,2Dでプレイするのがいいだろう。
デレステ同様にグラフィックス設定を調整できるリズムゲームタイトルであれば,moto z3 playでもプレイできそうだ。
デレステのタイミング調整で確認したところ,変換ケーブルを付けない状態(サウンドは内蔵スピーカーで再生)では「+16」が適当だったのに対して,変換ケーブルを使用した場合は「+20」となった。わずかに遅延が増えたわけだが,「意外と遅延が少ないものだな」というのが筆者の印象だ。
次にPUBG MOBILEのプレイフィールを確認してみた。
「クオリティ」や「フレーム設定」を最高に設定した状態でのプレイは,さすがに厳しく感じたが,クオリティを「標準」,フレーム設定を「中」,演出を「CLASSIC」にしてアンチエイリアスも無効化したほどほどの画質設定であれば,動作に問題は感じなかった。
大きめの画面サイズとボディの軽さのおかげで,プレイしやすい端末になりそうだ。
ゲーマーがmoto z3 playを含むmoto zシリーズとmoto power packの購入を検討しているのであれば,普段のプレイスタイルとマッチしているかの確認を推奨する。
まとめに入ろう。当然のことながら,2018年のハイエンド市場向け端末と比較してしまえば,moto z3 playが非力であることは否めない。テストで確認できた性能からしても,カジュアルゲーム中心のゲーマーに適した端末だと言えるだろう。ただ,縦画面時に持ちやすい筐体,シンプルなホームアプリと,ゲームを中心とした運用において,邪魔になる要素は少ない。
唯一,気になるのは,スペックの割にやや高めの税込6万1344円という価格だろうか。
moto modsも含めて魅力を感じているのであれば,moto z3 playには笑顔で飛び込んで問題ない。一般的なミドルクラス市場向けのAndroid端末とは少し違ったスマートフォンライフを堪能できるだろう。
Motorolaのmoto z3 play製品情報ページ
- 関連タイトル:
Moto
- この記事のURL: