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印刷2017/07/13 00:00

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SRPGとサンドボックスゲームを融合させた意欲作「ハコニワカンパニワークス」をレビュー

 日本一ソフトウェアは,PlayStation 4専用タイトル「ハコニワカンパニワークス」を本日(2017年7月13日)発売する。ブロックの世界を舞台にしたサンドボックスゲームらしいクラフトシステムと,ストーリー性の強いシミュレーションRPGを融合させた意欲作だ。SRPGの開発が得意な日本一ソフトウェアがブロックを題材にすると,どのようなものが生まれるのか。レビューをお届けしよう。

日本一ソフトウェアが「魔界戦記ディスガイア」シリーズ以外で,リメイクではない新作SRPGを出すのは久しぶり。以前はさまざまなSRPGを展開していたので意外かもしれないが,最後に発売されたのは2010年の「BLUE ROSES 〜妖精と青い瞳の戦士たち〜」なので,実に7年ぶりとなる
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地形を壊したり形作ったりすることがSRPGの攻略にもつながっていく


 本作の舞台となるのは,幾多の島々が空に浮かぶ「クラウズエンド」と呼ばれる世界。島々は空によって隔絶され,独自の文化が発展している。そんな島同士をつないでいるのが「カンパニー」と呼ばれる存在だ。自らの志のため,自由に空を飛び回るカンパニーには,人々の役に立つ仕事をする者もいれば,略奪や破壊を行う者も存在する。
 主人公であるプレイヤーは,ある島で平凡な生活を送っていたが,悪のカンパニーに襲われて島を追われたことをきっかけに,建築・開拓などを請け負うカンパニーのリーダー「オヤカタ」となることに。パートナーの「メメ」とともに島を渡り歩き,住人からの依頼を受けて,カンパニーを大きくしていくのだ。

悪のカンパニーに襲われた主人公は,新たな拠点となる島へとたどり着く
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オヤカタとなった主人公。キャラクターは頭・体・腕の3パーツで構成されている。また,既存のパーツだけでなく,中盤からはお絵かき機能で作った自分のパーツを使って,見た目を変更できる
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 住人からの依頼の内容は,主に特定の物資の納品だ。物資を作るには素材が必要なので,これを依頼受諾時にオープンする「戦闘ステージ」で調達していく。

ワールドマップを移動し,島で依頼を受けたら必要なものを集めて納品することで依頼が完了する
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 本作最大の特徴となるのが,この戦闘ステージでのゲームシステムだ。この場所での行動はすべてターン制のSRPGに組み込まれていて,素材の調達や登場する敵とのバトルを,SRPGとして行っていく。
 ステージ上には,主人公を含めて最大5人までのキャラクターを出撃させられる。一方,敵側は敵対する人間や野生動物などが規定の数だけ登場し,ターン制で戦闘が展開。基本的には,敵を全滅させると勝利となる。

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キャラクターのターンでは,白く表示された「MV」(移動力)の範囲内を移動できる
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攻撃やスキルを使うには「AP」(行動力)を消費する。APを残してターンを終えると防御力が上昇する

 本作では,キャラクターだけでなくステージ自体もブロックで構成されていて,1マスが1ブロックで表現されている。
 また,ブロックだけあって高さの概念も存在し,キャラクターは通常,ブロック1個ぶんしか上がることができず,さらに一定以上の高さを下りようとするとダメージを受けてしまう。そのため,高さがある場所は移動が制限されるわけだが,ここでポイントとなるのは,キャラクターはステージの地形を変化させられるという点だ。手持ちの武器やスキルを使えば地形を破壊でき,ステージで手に入れたブロック(素材)を置けば地形を作り出せる。これを戦闘中にうまく利用すれば,ステージに近道や安全地帯を作るといった戦略を組み込むことが可能となるのだ。

攻撃や破壊のスキルは広範囲に効果があるものも。破壊の能力を持つスキルは,範囲内の地形を壊せる
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地形を破壊すると,ブロックが派手に吹き飛ぶ。これがなかなか気持ちいい
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地形を破壊して手に入れたブロックはキャラクターの目の前に1個ずつ置いて足場や障害物にできる
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 地形の破壊は,依頼や後述する「クラフト」で使用する素材やアイテムを集めるための行動としても重要となる。それぞれの戦闘ステージは,敵を全滅させて一度クリアをすると,最初に挑んだときとは敵の配置が一部異なった「採取ステージ」へと変わる。ここではターン制のルールは変わらないものの,ステージ上にいくつかの出口が現れ,ここから出ることでいつでもステージクリアできる。依頼に必要な素材は,戦闘ステージではすべて揃わないことがほとんどで,自分が欲しい素材などを調達するためにも,採取ステージには何度か挑むことになるだろう。

出口が設置された採取ステージ。敵も存在しているが,接近しなければ積極的には攻撃してこないので,じっくり素材を集めよう
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入手した素材やアイテムは1種類につき99個まで持てる
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ステージごとに5つのジョブのキャラクターを使い分けよう


 カンパニーを率いるプレイヤーは,拠点にて「リクルート」をすることで仲間となるキャラクターを募れる。リクルートにはステージクリア時にもらえる「メダル」が必要で,どんなキャラクターが出てくるかはランダムという,いわゆる「ガチャ」に似た仕組みを採用している。出てくるキャラクターを選びたいというときは,リクルート前にセーブしてやり直すという手も有効だ。

リクルート時は画面右下のメダルを1枚消費する。ジョブと性別はランダムで決定。見た目と名前は変更可能だ
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 キャラクターには5種類の「ジョブ」があり,うち1つは主人公専用の「オヤカタ」,そして「アタッカー」「ラウンダー」「ボーラー」「キャリー」が仲間専用となる。オヤカタは全体のバランスが取れたタイプ,アタッカーは攻撃特化タイプ,ラウンダーは防御&補助タイプ,ボーラーは地形を破壊することを得意とするタイプ,キャリーは素材回収に特化した輸送タイプといった役割をそれぞれ持っている。
 ジョブによって装備できる武器が異なるほか,攻撃力や防御力,修得できるスキル,そして持てるアイテムの数が異なっている。戦闘に行くならアタッカーやラウンダーを,採取に行くならボーラーやキャリーを連れていくというのが基本となるので,まずはすべてのジョブが揃うぐらいまでリクルートをしてみるのがいいかもしれない。
 なお,リクルート用のメダルは1ステージにつき手に入れた素材ブロックの数が50個以上で1枚,100個以上で2枚,300個以上で3枚もらえるので,人員が欲しいときは採取ステージでとにかくたくさんブロックを手に入れるといいだろう。

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オヤカタは攻撃と破壊の両方に長けたオールラウンダー。彼がやられるとそこで敗北となる
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アタッカーとラウンダーは攻防時の前衛となる。アタッカーのスキルは敵に効果が高い一方,ステージの破壊には向かない
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ボーラーはステージの破壊を得意とする。スキルの効果はアタッカーと逆で,敵への威力は低いがステージを大きく破壊できる
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大量にアイテムを持てるキャリー。移動力が大きく,破壊によって散らばったアイテムを一気に移動して回収するのが役目だ


拠点の住居を充実させて仲間を強化


 カンパニーの拠点となる「ワールドワイドホエール」は,空中を移動できるクジラの形をした巨大な浮遊船だ。この船の半分を占める「クラフトエリア」を,手に入れた素材で自由にカスタマイズできるようになっている。
 依頼をこなしていくと,手に入れた素材を消費してインテリアや設備,武器などをクラフトできる「レシピ」を入手でき,これに基づいたものをクラフトして,納品やクラフトエリアの改築をするのである。

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レシピは住人から話を聞くと手に入る。依頼で作れないものがあったら,片っ端から話しかけてみよう
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クラフトは「作業台」をクラフトエリアに設置しておくと行える。作業台のほかに設備が必要なものもある

 このクラフトエリアで必ずやらなければならないのが,自分を含めた仲間キャラクターの居住空間作りだ。ゲーム中に入手した「権利書」を使用すると,それを配置した一定の空間が住居となり,そこにリクルートで仲間にしたキャラクターを住まわせることで,ステージに出撃するときのメンバーとして登録できるという仕組みだ。
 またそれぞれの住居に特定のインテリアを置くことで,キャラクターのパラメータにボーナス効果を付加できるので,戦闘時に強敵が出てくるようなときは,手持ちの素材を使ってインテリアをクラフトして設置することで対抗できるかもしれない。
 単純に自由な形を作ってクラフトエリアを飾るだけでなく,作ること自体がキャラクターの強さに影響してくるので,見た目と効果の両方を満たした空間作りをしていくのはかなり楽しい。

自身も含め,戦闘に出すキャラクターは必ず入居が必要だ。人員の交代は入退居で行う
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住居にインテリアを置くとパラメータがアップする。効果はクラフト時に表示される
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気になる点はあるが,サンドボックスゲームの新たな方向性の開拓は好印象


 プレイしていて,気になった点もいくつかある。とくにSRPGのスタイルを踏襲しているだけに,ステージでの素材採取が自由に動いて行えるアクションゲームのスタイルではないことに違和感を覚える人はいるだろう。筆者も慣れないうちは,実際に戦闘ステージと採取ステージでの立ち回りの違いや,それぞれに対応したキャラクター編成をすることに戸惑うことがあった。
 またゲームプレイ中のインタフェース面にいくつか粗があったり,必要な情報がすぐに見られなかったりする点も気になったところだ。とくに後者において,ステージ中の地形にどれだけの耐久値があって,破壊するとどんな素材になるのかが見た目でしか分からなかったり,現在受諾中の依頼内容をステージ中で確認できないので,拠点で事前にしっかりと確認しておかなければならなかったりと,微妙に痒いところに手が届いていない仕様で,ターン制のSRPGという行動がある程度制限された中で進めていくゲームだけに,細かいところでストレスがあったのは事実だ。アップデートなどで対応してもらえれば嬉しいのだが。

敵のターンはトップビューになり,こちらがやられたことが分かりづらいのも難点
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 ただ,サンドボックス+SRPGという独自の方向性を開拓した点は高く評価したい。ファンタジーにSFテイストを散りばめた,見た目よりもハードなストーリーをSRPGスタイルで追いつつ,多少余裕が出てきたらクラフトエリアを自由に設計するというゲームの流れや,ユニットとなるキャラクターの数が5人までという制限があり,戦闘がダラダラと長くならずテンポ良く進んでいくことなども好印象だ。
 欲を言えば,クラフトエリアだけでもオンラインのプレイヤーと行き来できるような要素でもあれば,より熱中してクラフトできたかと思う。

 慣れるまで戸惑う部分があったことは否定できないものの,基礎をある程度理解できてからは,SRPGがそれほど得意ではない筆者でも進めやすく,十分に楽しめた。サンドボックスの新しい形を味わってみたい人は,ぜひプレイを検討してみてほしい。

ライバルカンパニーの台頭や古代遺跡の存在など,ストーリー展開も気になる内容だ。あくまでSRPGなので,クラフトだけでなくこういった部分も楽しめるというのは,本作の大きな魅力だろう
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