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「荒野行動-Knives Out-」(
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「荒野CHAMPIONSHIP-王者の絆」決勝戦を,2020年5月31日に実施した。
本大会では,全国予選(オンライン)や選抜戦,西日本/東日本の王者決定戦といった激戦区を勝ち抜いた18チームと,荒野High Leagueの上位2チームの計20チームが,“日本最強王者”の座をかけて戦った。
賞金総額は2500万円にものぼる。優勝チームには1000万円の賞金と「ゲーム内特製チャンピオンアイテム」が贈呈された。そんな大会の内容を本稿でレポートしよう。
※画像は配信映像をキャプチャしたものです。
今回の大会はオンラインを介しての開催となり,出場選手は自宅から対戦に参加し,観戦者はYouTube Liveの配信で大会の様子を見守る形となった。実況などが行われるスタジオの豪華っぷりは過去大会と比較しても遜色はなく,画面越しでもその迫力は十二分に感じられた。
また,今回は1試合ごとに観戦者(視聴者)の中から抽選で“ラッキー観戦者”を選んでプレゼントが進呈される企画や,SNS連動企画なども合わせて実施されており,視聴者を飽きさせない仕組みが多数展開されていた。
MCを務めたのはタレントの百花繚乱さんと,コスプレイヤーの篠崎こころさん
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えなこさんは残念ながら体調不良で欠席となったが,応援メッセージのビデオレターが届いていた
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荒野行動の大会ではもはやお馴染みとなりつつある,実況役の柴田将平さん,解説役のBockyさんのコンビも登場。多くの大会やトーナメントを見守ってきた両名は,その知識量を活かした軽快なトークで場を盛り上げる
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ゲストの超無課金さん,月野モモさん,夢幻さんは,視聴者と同じ目線で試合を楽しむ形で配信に参加。超無課金さんは本大会にも出場している「TeamαD」,夢幻さんは「芝刈り機っす」の所属ということもあり,試合展開で一喜一憂する様子が見られた
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まずは,簡単にレギュレーションを紹介しておこう。本大会はポイント制で,全5試合で獲得したポイントの合計を競う形式が採用されている。ポイントにはチームの最終順位による“順位ポイント(生存ポイント)”のほかにも,チームメンバーが敵プレイヤーを撃破するごとに得られる“キルポイント”も設定されているのが特徴だ。
観戦のポイントは,各チームがどちらのポイント獲得に焦点をあてているかだ。以前に行われた同レギュレーションでの大会においても,順位ポイントを稼ぐために潜伏を選ぶチームや,リスクを冒してでもキルポイントを稼ぐチームなど,各チームの強みを生かした戦い方が見られた。アーカイブを観戦する際には,そういったチームの個性にも注目してみるとより面白くなるだろう。
順位ポイントは1位が50ポイント,2位以下は30ポイント,25ポイント,20ポイントと続く。対してキルポイントは一律で5ポイントなので,単に生き残るだけでは上位に入賞するのは難しい
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参加チームは以下のとおり。東日本予選と西日本予選で結果を残したチームはもちろんのこと,2019年8月に行われた「荒野Championship-元年の戦い」(
関連記事)を制した「ちーむえーけー!!」や,過去大会でも上位の成績を残し続けている「TeamαD」をはじめとして,荒野行動のトッププレイヤーが集結している。まさに日本最強を決定するにふさわしい顔ぶれと言える。
東日本 |
西日本 |
TeamαD |
ちーむえーけー!! |
【FG】Mantis |
AnG |
Appleπ |
Apostel666 |
Raccoon |
BD |
Кαr❀ |
BsTgrizzly |
モブ吉家 |
No.name |
今日好き~佐渡島編~ |
RisKy |
時代は |
ちーむリア友(笑) |
芝刈り機っす |
鶴田家 |
祝祭 |
梶原家 |
こちらは予選での平均キル数,平均ダメージ量,最長距離キルのランキング。西日本予選の1位通過チーム「Apostel666」,東日本予選の1位通過チームは「モブ吉家」の両メンバーが上位に入っているのを見ると,順位だけでなくキルポイントも大切になることがよく分かる
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また,今回は以前の大会に比べて各種情報が見やすく調整されており,試合中もキル数のランキングや残りメンバーの人数をすぐに確認できる仕様になっていた。
それに加えて,試合後にはV3氏による具体的なハイライトの解説が行われた。視聴者のコメントも拾われつつ見どころが分かりやすく紹介され,誰でも楽しく試合を観戦できる工夫が見て取れた。荒野行動で高みを目指している人にとっても,大いに参考となったことだろう。
V3氏による細やかなハイライト解説のおかげで,初心者であっても試合の中でどんな意思決定が行われていたのかが理解できる仕組みになっていた。解説を聞いた後にもう一度試合をチェックすれば,新たな発見があるかもしれない
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柴田将平さん&Bockyさんによる「荒野いこうや!」の掛け声も健在。来年はぜひ,来場者と声を合わせて試合開始の掛け声を行う両名を見たいところ
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わずか5ポイントが勝敗を分ける大激戦
2020年の最強チームがついに決定する
それでは,実際の対戦の様子を見ていこう。第1試合の舞台は「激戦野原」で,平地が多い激戦野原は射線を切るための起伏や建物がやや少なく,局地戦を避ける移動ルートの選択など,各チームのマップ研究がモノを言う戦いとなった。
降下航路はマップ右端を縦に貫く形となったが,安全地帯はマップ中心下部に収束。海や離島に安全地帯が食われなかったためか,序盤から戦闘が発生しやすい激戦野原としては比較的落ち着きのある立ち上がりとなった。
TeamαDは初動からBsTgrizzlyが立てこもる建物に狙いを定め,ハイレベルな連携で制圧。序盤から4キルを稼ぐなど,ベテランの実力を見せつけた
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安全地帯の収束が4段階目に達すると各所で戦闘が頻発しはじめ,直前までリスクを最小化しつつ安全地帯内の強ポジションを確保していた,モブ吉家や祝祭といったチームが一気にキルを稼いでいく。
最終盤では疲弊したTeamαDとモブ吉家が激突し,TeamαDが勝利を収めるも,フルメンバーを生存させた状態で待ち構えていた今日好き~佐渡島編~がそれを撃破。東日本予選ではギリギリの本戦通過となった今日好き~佐渡島編~が,シード権を持つTeamαDを抑えて勝利を掴む展開となった。
惜しくも最後の戦いに破れたTeamαDだったが,キルポイントで猛追して得点では1位の今日好き~佐渡島編~に並んでいるのが注目点だ
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勝利者インタビューには,今日好き~佐渡島編~のリーダーを務めるCo'粟島*選手が出演。その中では「荒野行動が始まって間もない頃から一緒に遊んでいた仲間同士でチームを組み,少しずつ練習を重ねて本大会の出場に至った」という経緯が語られた
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続く第2試合のマップは「嵐の半島」で,こちらは先程とは打って変わって激しい起伏が特徴のマップだ。右上を斜めにかすめる航路に対し,初期時点の安全地帯はマップ西南に収束したため,序盤は多くのチームが長距離移動を強いられることに。
序盤に取り囲まれてしまったAπのぷーさん選手。卓越した射線管理で屋根の上でBDを翻弄し続け,一瞬のスキを逃さず逆に撃破。その後には倒されてしまったが,窮地にあっても諦めないプレイングで観戦者を沸かせていた
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安全地帯の収束が第4段階に入るまでに局地戦によって多くのチームがメンバーを失っていたが,第5段階に入ると一気に乱戦が発生。安全地帯は複雑な形状が特徴の水工場に収束し,乱戦を生き抜いた各チームは建物の中に身を潜めながら戦う格好となる。
そんな中でも緻密な連携で4人生存状態を維持したちーむえーけー!!が有利に戦いを進めるかと思われたが,不意のグレネードで人員を2人まで一気に失ってしまう。
最終局面では生き残ったAk_えけえむ選手&Akるぅきぃ選手が遮蔽物から追い出される形となり,それを梶原家のふりふりず選手&こあえら選手が迎え撃つ構図となる。煙幕を利用したAk_えけえむ選手&Akるぅきぃ選手がふりふりず選手を撃破するも,生き残ったこあえら選手によるカウンターショットが見事に決まり,最後には梶原家が勝利を掴む結果となった。
第2試合を制した梶原家のこあぼる選手は,勝利者インタビューで「総合優勝以外狙ってない」と力強いコメントを残してくれた
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予選で1試合平均15キルという恐ろしいキル数を叩き出した梶原家の火力が,ここで本領を発揮。一気に105ポイントを獲得し,優勝候補へと駆け上がる
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第3試合のマップは「東京決戦」。高層ビルが林立している東京決戦ではチーム間の距離の把握が難しく,不意の遭遇戦が起こりやすい。同時に総力を上げてのぶつかり合いは発生しにくいのが特徴だ。
今回は降下地点が極端に南に寄ったこともあって小競り合いが頻発したものの,エリア縮小が第3段階に入ってなおチームの脱落は発生せず,序盤はやや静かな立ち上がりとなった
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エリア縮小に伴って戦闘が激化し,多くのチームがメンバーを失う中でTeamαDはフルメンバーを保持。最後の戦いではその人数を活かして残りメンバー2人の今日好き~佐渡島編~を殲滅し,第1試合の借りを返した。
TeamαDと今日好き~佐渡島編~の戦いが始まる頃,壊滅したかと思われていたちーむえーけー!!のAk_めろちゃ選手が1人だけ安全地帯内に息を潜めていた。安全地帯が縮小するタイミングで各々が別々の角度からエリア内に入り,生存ポイントの獲得を狙ったのだ
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TeamαDのαDblue選手は「東京マップは正直不安だった」と冷静に語りつつ,この結果を導いたチームメンバーに「最高のパフォーマンスを見せてくれた」とコメント
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TeamαDはこの試合で135ポイントを獲得。生存ポイントで1位を獲得するだけでなく,キルポイントでも他の追随を許さない
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第4試合のマップは,第1試合でも使用された「激戦野原」。しかし展開は第1試合とは異なり,降下地点はマップを斜めに突き抜け,初期地点の安全地帯はマップ中央のやや東寄りに配置される形となった。特に上位陣と中位以降のチームの点数差も広がってきていただけに,安全地帯の縮小が第3段階に入る直前には5チームが脱落。人数は54人にまで絞られる文字どおりの“激戦”が展開される。
多くのチームがメンバーを失う中,これまで最終局面まで生き残るものの目立つ結果を残せなかったちーむえーけー!!,そして鶴田家がフルメンバーで生存。
安全地帯の縮小が始まる直前,ちーむえーけー!!のメンバーは一斉に煙幕を張って鶴田家が立てこもる家屋へと突入を仕掛ける。そしてわずか数秒のうちに鶴田家を殲滅し,ちーむえーけー!!がメンバーを4人残して第4試合をモノにした。
勝利チームインタビューでは「勝った時はもう泣きそうでした」と語るAk_えけえむ選手。ちーむえーけー!!は一糸乱れぬ連携で最後の攻撃を成功させたが,本人はかなり緊張していたようだ
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この結果,ちーむえーけー!!は一気に115ポイントを獲得。今まで地道に稼いできたポイントと合わせて,一気にトップ争いに食い込んだ
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最後の戦いの舞台は,第2試合でも採用された「嵐の半島」だ。離島や海方面に降下したチームはかなり少なく,各チームの降下位置がそのまま初期の安全地帯に重なる形となる。
終盤戦に入る直前に優勝候補のTeamαDは脱落してしまうが,αDblue選手は脱落直前に安全地帯の外から2キルをもぎ取る執念を見せる。このプレイには息を呑んだ視聴者も多かったのではないだろうか
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安全地帯の収束が第5段階に入った時点では,ちーむえーけー!!と鶴田家,Raccoon,時代は,Apostel666の5チームが残存していたが,多くのチームがメンバーを失う中でちーむえーけー!!は5人全員が生存。数の優位を活かして次々に敵チームを撃破し,ちーむえーけー!!が第4試合に続いて第5試合をも制する結果となった。
これらの試合を経て,合計380ポイントを獲得したちーむえーけー!!が優勝。2年連続で“荒野王者”に輝いたちーむえーけー!!には,賞金1000万円と「ゲーム内特製チャンピオンアイテム」が進呈された。
375ポイントを獲得して第1位にわずか5ポイント差まで迫ったTeamαDが第2位に。荒野High Leagueの上位2チームがワンツーフィニッシュを決め,その実力を見せつけた
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最多キル獲得者に贈られるキルマシーン賞は,18キルを獲得したTeamαDのAk_CRAZY選手が獲得。賞金は20万円だ
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優勝インタビューでAk_えけえむ選手は「このゲーム(荒野行動)は“えけえむゲー”なんですよ」と力強くコメント。さらに「俺がいれば勝てるってことが証明されましたよね。俺に勝てるヤツはいないです」と,その実力をアピールした
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レポートは以上となる。大会全体の様子はYouTube Liveで配信(
https://youtu.be/1Nt3t1spYWA)され,現在はアーカイブを確認できる。気になる人はぜひチェックしてみてほしい。