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インディーズゲームのピクセルアートはどのように作られているのか。「Dead Cells」「恐怖の世界」「クロノ・ソード」の開発者が登壇したBitSummitのステージイベントをレポート
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印刷2019/06/01 21:54

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インディーズゲームのピクセルアートはどのように作られているのか。「Dead Cells」「恐怖の世界」「クロノ・ソード」の開発者が登壇したBitSummitのステージイベントをレポート

 2019年6月1日〜2日,京都のみやこめっせでインディーズゲームの祭典「BitSummit 7 Spirits」が開催されている。その初日となる1日,「Pixel Art Game Panel: For the Love of Pixel-art」と題されたステージイベントが行われた。

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「BitSummit 7 Spirits」公式サイト


 これは,多くのインディーズゲームを彩るドット絵,つまりピクセルアートがどのように作られているのかということを直接,開発者に聞くというものだ。ステージには 「Dead Cells」で知られるMotion Twinのベン・ラウラン氏「恐怖の世界」(World of Horror)を制作したpanstasz氏「クロノ・ソード」の制作者であるデイビッド・リー氏が登場し,自分の作品のピクセルアートについて語った。

左からデイビッド・リー氏,panstaz氏,ベン・ラウラン氏
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 イベントは,司会の質問にそれぞれの開発者が答えるというQ&A形式で進められた。最初の質問は,「一画面のピクセルアートを仕上げるのに大体どのくらいの時間を要するか」というもので,これに対してリー氏は,だいたい1つに数時間,panstaz氏は1時間から1か月と答えた。「恐怖の世界」はモノクロのピクセルアートなので,一見すると簡単に思えるかもしれないが,そうではなく,実はかなりの時間を要するのだという。

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 2つめの質問は「インディーズゲームでは外部のピクセルアーティストを使うことも多いが,パネラーの3人は外部アーティストに依頼しているか」というもの。
 これについては,3人共に口をそろえて「ピクセルアートはすべて内製だ」と答えた。ラウラン氏によれば,Motion Twinは一部プロモーション用のアセットについては外部アーティストに頼ることはあるが,ゲーム内のアートはゲームの「魂」であるため,すべて自社のアーティストで描いているという。リー氏も同じく,「ピクセルアートと音楽はゲームの魂なので,私が作っています」と答えた。

 会場を驚かせたのは,「ピクセルアートを描く際に使っているソフトウェアは何か」という質問に対するpanstaz氏の答えだった。ラウラン氏とリー氏は,「Adobe Photoshop」をメインに使っているが,panstaz氏は「Microsoft Paint」を使っているというのだ。言うまでもなく,Microsoft Paintは複雑な機能をほとんど持たない非常に簡単なソフトだ。司会が「私も,もう少し練習してたらあなたみたいなアートが作れたのかな」と聞くと,panstaz氏は笑って,「無理でしょうね」と答えていた。

恐怖の世界のピクセルアートは,すべて「Microsoft Paint」で描かれているという
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 各開発者の特徴が出たのは「コンセプトアートをピクセルアートに描き起こすときにどうしているのか」という質問だった。
 panstaz氏は,コンセプトアートを繰り返し見ながら描いていると答えたが,リー氏は対照的に,ほぼ自分の好きなように描いているという。ただし,一部の重要なキャラクターや大きいキャラクターなどは,いったん3Dモデルを作ってからそれをピクセル化し,それを見ながら手を入れて,仕上げていくそうだ。
 Motion Twinのプロセスは少し込み入っており,例えばそのキャラクターがどういう動きをするのか,どういう能力を持っているのかなどを考えてから,それをベースにアーティストにデザインを作ってもらうという。

Dead Cells
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 続いて,「自分の作品にピクセルアートが(レトロな)ムードをもたらしているか」という話題に移った。リー氏は,「自分はレトロな雰囲気を出したいからピクセルアートを使っているわけではなく,純粋にかっこいいから使っている」と語る。これについてはラウラン氏も,「ピクセルアートのイメージはもはや,『レトロゲーム』や『古い」というだけではなくなってきており,アートの1つのカテゴリとして確立している」と述べる。
 また,ピクセルアートは表現が抽象的なのでプレイヤーに想像の余地が生まれのも良いところだ。「例えば,缶に白いピクセルと赤いピクセルをつけるだけで,多くの人が『コカ・コーラの缶だ』と頭の中で想像してくれる」とラウラン氏は言う。panstaz氏も「私のゲームはホラーなので,プレイヤーが画面に描かれている以上の怖いものを想像してくれることが大切。プレイヤーに想像の余地があるのが,ピクセルアートのいいところだ」と同意した。

クロノ・ソード
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 最後はそれぞれが観客に向かって,コメントを述べた。
 panstaz氏は,「自分のパッションをゲームから感じてほしい。プレイしてくれた皆さんが楽しそうな顔をしてくれたり,怖がってくれたら嬉しい」と語り,またリー氏は,「実は『クロノ・ソード』は3Dモデルでアニメーションを作っています。リアルなモーションのピクセルアートにも注目してください」と語った。
 ラウラン氏は「私が誇りに思っているのは,昨年の東京ゲームショウ2018で『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』を作ったスタッフがDead Cellsを遊んでくれて,絶賛してくれたことです。尊敬している開発者が誉めてくれたことを誇りに思っています」と話して,ステージは終了した。

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