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[TGS 2018]SteamのAAAタイトルが動くポータブルゲームPC「SMACH Z」は想像の斜め上をいくマシンだった
SMACH ZはメモリモジュールやSSDどころか,マザーボードすら交換可能!?t0
まずはその名称だ。よく知られているとおり,SMACH Zはもともと「Steamboy」という名前でKickstarterキャンペーンに登場したわけだが,なぜSteamboyからSMACH Zになったのかについて聞いてみると,氏からは「そもそもSteamboyは計画名であって製品名ではなかった。製品化にあたって与えたのがSMACH Zという名称だ」との答えが返ってきた。
SMACHというのは会社名でもあるのだが,SMACHの「S」はSteam,「MACH」はスペイン語のmáquinaを英語読みしたmachina(マキナ)の頭4文字を取ったもので,すなわちmachineだ。つまりSMACHとは「Steam Machine」の意味なのである。なら「Z」は? というと,とくに意味はないとのことだった。「ドラゴンボールZ」みたいなものか(?)。
続いてはコントローラ周りだが,SMACH Zのゲームパッド部は「Steam Controller+α」的な仕様になっているそうだ。Oscar氏いわく「Stream Controllerは仕様が公開されているので,『セットアップ』はSteam Controllerのものを採用している。ただしコンポーネントは我々独自」とのこと。
とくに特徴的なのはSteam Controllerだとシングルッチ対応のがマルチタッチ対応になっているところで,SMACHではマルチタッチに追加の操作を割り当てることができるという。
入力系についてはもう1つ「ゲーマー向け小型PCというコンセプトが同じGPD WINシリーズはキーボードを搭載するが,その点はどう思うか」と聞いたところ「SMACH ZはUSBにもBluetoothにも対応しているので,キーボードを差して利用したければ利用できる。SMACH Zではあくまでも,ポータブルゲーム機の使い勝手を優先した」との回答が得られたことも付記しておきたい。いにしえの「ゲームギア」みたいなものを想像しているとびっくりするくらい大きなSMACH Zだが,その大きさも画面の見やすさと持ちやすさを優先したためだそうだ。
SMACHは現在のところ,メインメモリ容量やストレージ容量,カメラの有無で3つのBTO標準構成を用意しているが,少なくともメインメモリ容量とストレージ容量はあとからなんとかすることもできるというわけである。
そして,より衝撃的な事実として,SMACH Zは将来的にマザーボードを交換できるようになるという情報が得られたことをお伝えしたい。
下の写真はSMACHが2018年3月に公開したもので,これを見るとSMACH Zは2枚の基板で構成されているのが分かると思うが,写真左手前のマザーボードを全取っ替えすることで,SMACH Zは異なるコンピュータに“化ける”というのだ。
氏によると,SMACH Zの基板はプロセッサが載るマザーボードと,I/Oインタフェースの載るサブ基板とがあり,現時点ではマザーボードのほうを交換できるよう計画になっているという。もちろん,2年後に「Intel製CPUとNVIDIA製GPUを搭載して総TDP15W」という構成が現実のものになっているという話ではなく,スケジュール感はあくまでもOscar氏による推測なので,その点に注意してほしいが,それにしても壮大な計画である。
※お詫びと訂正
初出時,「SMACHの想定する消費電力が50W」と記載していましたが,これは筆者の聞き取りミスで,正しくは15Wでした。お詫びして訂正します。
Oscar氏はSMACH Zを「オープンプラットフォームのゲーム機」と位置づけていたが,どちらかというと「将来にわたって遊び続けられるガジェット」感が一気に強まったように思う。
量産はその後だが,未確定ながら,現在はAmazon.co.jpを使っての国内一般販売に向けて動いているとのことだった。
展示機を写真でチェック
以上を踏まえつつ,ブースにあった静態サンプルをチェックしておこう。すでに触れたとおり,現在のステータスは最終チェック中なので,細かい部分でまだ変更は生じうるが,6インチ,解像度1920
気になるのはZ-Padの操作感だが,触れた印象はいかにもSteam Controller互換といった印象で,静態レベルでの違和感はない。本体全体の保持感と重心バランスもよく,ポータブルゲーム機としての仕上がりは良好と言っていいのではなかろうか。ただまあ,この無骨さ,やはりゲームギア的だとは思う。
また,DisplayPort端子の近くにある空気孔が排気孔であろうことも想像可能だ。
また,握ったときの背面のSMACH Zロゴ部下は少し盛り上がっており,ここが吸気孔として機能する気配がかじられた。このあたりに熱源,つまりはRyzen Embedded V1605Bが配置されるのだろう。
なお,SMACHは量産版のSMACH Zが20%引きになるクーポンを配布していた。最大3人までシェアできるので,SMACH Zの存在にズキュンときているのであれば確保しておこう。
SMACH Z公式Webサイト(英語)
※本稿では前半を4Gamerの佐々山薫郁,後半と写真撮影を林 佑樹氏が担当しました
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