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「アルゴナビス Acoustic Tour 2021 -Spring Session-」レポート。“大変な状況だからこそ,今この時代にArgonavisがあるとしか思えない”
2021年4月4日から5月2日,ARGONAVISプロジェクトのアコースティックツアー「アルゴナビス Acoustic Tour 2021 -Spring Session-」が行われた。本ツアーは静岡からスタートし,大阪,京都,愛知,神奈川,埼玉を周り,東京で千秋楽を迎えた。千秋楽を含む東京での2日間のライブは,残念ながら有観客が中止となってしまったが,無観客配信という形で全国のファンが演奏を見守った。
本稿では,最終日である5月2日の夜公演の模様をレポートしていこう。
ステージに現れた伊藤昌弘さん(七星 蓮役)と日向大輔さん(五稜結人役)が,カメラの向こうの観客に向かって深く頭を下げ,静かにポジションにつく。記念すべき初のアコースティックツアーの千秋楽は,「逢のうた」で幕を開けた。
伸びやかなボーカルと優しいギターの音色,という平凡な表現では申し訳ないほどの美しさ。静かなホールに響き渡る,声とアコースティックギターという2つの色。それは溶け合ってひとつの波になり,穏やかに広がっていく。伊藤さんは,「気持ちいいねえ,みなさんにも届いていますか?」と,画面越しでも全力で音楽を届けると言い,ギターを抱えた日向さんも,手が振れない代わりに体を揺らして気持ちを伝えていた。
アカペラから始まる「流星雨」は,2人のハーモニーの美しさや優しさだけではなく,聴く人の背中を押してくれる力強さがある。雨のように星の粒が降り注ぐ中,パッと空気を明るくした,次の「星がはじまる」では,ナビたちの手拍子やコーラスが聴こえたような気がしたし,Argonavisのメンバーの笑顔が見えたようにも思えて,グッと込み上げてくるものがあった。
突き抜けるような高音ボーカルに吸い込まれる「雨上がりの坂道」では,心地いい軽快なリズムに合わせ,ステージの照明が虹色に変わっていく。いくつかの曲で伊藤さんが披露しているカズーの音色も,楽しい気分を盛り上げてくれる。
「ありがとうございます,3曲続けてお聞きいただきました。みなさん楽しんでますか?」と伊藤さん。そして,「千秋楽のゲスト……呼ぶ?」とおどけると,日向さんが「呼ぼう!」と笑って応え,Argonavisのキーボード・桔梗凛生役の森嶋秀太さんが大きな拍手で迎えられた。
3人によるMCコーナーで,森嶋さんは「Twitterで楽しそうにしている2人を見て,いいなあと思っていた」と明かす。また,今回のアコースティックツアーについて,伊藤さんからは「何回演奏する曲でも,(会場ごとに)毎回感じ方が違う。どの会場もあたたかくて,単発のライブではできない経験をさせてもらった」と,スタッフやナビに感謝の言葉を述べた。
続いて,森嶋さんがキーボードで加わって演奏したのは「Starry Line」だ。3人になることで,バンドとはまた異なる厚みが生まれる。ときに音楽を支え,ときにメロディの合間で踊るような鍵盤の音が心地いい。
曲が終わり,森嶋さんが「どえらい緊張した。心拍数がBMP300くらい」と打ち明けると,伊藤さんから「早すぎる!」とツッコミが入り,笑いが起きる。日向さんは「普段のバンドの練習とはまた違って,楽しくて笑顔になってしまった。『仲間だ!』って感じがした」と話し,2人も「楽しすぎるね」と微笑みあった。
そして,初めて披露するという「DAYS」のカバーでは,森嶋さんがリードボーカルをとったり,森嶋さんと伊藤さんがラップを披露する箇所もあり,美しい波はまた色を変えてみせた。
次の曲に入るリズムが流れ始め,やけに3人の気合いを感じるな……と思いきや,披露されたのは「What-if Wonderland!!」だった。
これは,伊藤さんが以前のインタビューで「『この曲ができたらまた僕たちレベルアップするね』となるような難しい曲です」と語っていた曲だ。さわやかな風のような疾走感ある本曲は,聴いているこちらは楽しいことこの上なく,「ナビは“とけないまほう”をかけられてしまった!」なんて言葉が頭に浮かび,思わず笑顔になってしまう。
演奏を終えると,森嶋さんは「ジャングルだよねこれ?」と曲の要素の多さを表現する。日向さんは,「(このツアーでは)伴奏を1人でやっていたけど,森嶋さんがいることによってこれまでとは全然違う安心感があった」と言いつつ,「でも,おかわりは無理そう」と笑顔を見せた。また,伊藤さんから森嶋さんへは「公私ともにお世話になっている森嶋さんだからこそ,先輩としてではなく仲間として,より良い音楽にするために話をしている。それを受け止めてくれて感謝しているし,これが『仲間』なんだって感じている」と伝えていた。そして,日向さんは「京都のライブの前日に森嶋さんに『何してる?』って電話したら,『練習してる』って答えてくれて,それが嬉しくて泣いてしまった」とのエピソードを披露した。
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「アルゴナビス」伊藤昌弘さんが語るArgonavis。彼らと同じように,僕たちも運命的な出会いをした―― ボーカリストインタビュー企画第5弾
ブシロードは2020年12月26日,「BanG Dream!」発のボーイズバンドプロジェクト「ARGONAVIS from BanG Dream!」に登場するバンド・Argonavisの配信ライブイベントを開催する。今回はArgonavisのボーカリストである七星 蓮役の伊藤昌弘さんへのインタビューを実施したので掲載しよう。
3人は始まりの曲であり,思い入れも深い「ゴールライン」を演奏した。森嶋さんの歌のパートの前には,伊藤さんが「森嶋さん!」と声をかける。5人がキャラクターとして演奏に徹するいつものライブとは異なるが,形が変わっても“Argonavis”なのだと感じる,心に残る1曲となった。
ゲストパートが終わると,次はTVアニメ「カードファイト!! ヴァンガード overDress」のエンディング曲である「Y」の演奏だ。
サビには“振り付け”があり,各地方公演では異なるアクションも披露されたという。今回はベーシックに,両手を上げる「Y」のポーズがレクチャーされた。フロアにはスタッフと共に演奏を終えた森嶋さんが現れ,曲に合わせて楽しそうに手を上げる。この曲では伊藤さんもアコースティックギターを披露,2台のギターと2人の声が美しく絡み合い,楽しくもエモーショナルな時間が届けられた。
小粋なギターで始まる,次の「君じゃなきゃダメみたい」のカバーは,今回初めて披露する楽曲だったそうだ。日向さんによるスラップギターや,伊藤さんのロングトーンは圧巻! これもぜひまた生で聴いてみたいと思わせる1曲だった。
最後に,伊藤さんと日向さんから,画面の向こうのナビたちに向けてメッセージがおくられた。
日向さん
「伊藤ちゃんと2人で,スタッフの皆さんに支えてもらいながらツアーを回り,無事最終日を迎えることができました。これまで,ナビのみなさんとステージを作れたことに感謝の気持ちでいっぱいです。ただ正直,最後のライブは(無観客であることが)寂しいです。次は必ず,会場でお会いできるのを楽しみにしています。たくさんの応援ありがとうございました!」
伊藤さん
「ひゅーすけが言ってくれたように,みなさんのおかげで無事にツアーファイナルまで来ることができました。今見てくださっているみなさん,会場で会ってくれたみなさん,本当にたくさんのパワーやあたたかい気持ちをありがとうございます。この大変な状況だからこそ,Argonavisがこの時代にあるとしか僕には思えなくて……。何年か前は想像もしなかった,ライブが無観客になることも珍しくなくなりました。これから自分の人生も世界も,未知の経験にぶち当たることがあるかもしれませんが,絶対最後までまっすぐに歌ってやろうと,今回のツアーで自分の中に“誓い”が生まれました」
そして「どんなときでもきっとやり直せる」という約束の歌,「リスタート」が最後に演奏された。言葉ひとつひとつ,音色のひとつひとつを大切に噛みしめるように込められた想いは,きっと聴く人全員に届いたのだろう。2人は歌を終えると,立ち上がって深くお辞儀をした。
そして,万感の思いでいっぱいの表情を浮かべ,ハイタッチで手を握り合い,初のアコースティックツアーは閉幕となった。
◆出演 ※敬称略
伊藤昌弘(七星 蓮 役)
日向大輔(五稜結人 役)
・ゲスト
森嶋秀太(桔梗凛生 役)
◆セットリスト
01.逢のうた
02.流星雨
03.星がはじまる
04.雨上がりの坂道
05.Starry Line
06.DAYS(Cover)
07.What-if Wonderland!!
08.ゴールライン
09.Y
10.君じゃなきゃダメみたい(Cover)
11.リスタート
「アルゴナビス from BanG Dream! AAside(アルゴナビス フロム バンドリ! ダブルエーサイド)」公式サイト
「アルゴナビス from BanG Dream! AAside(アルゴナビス フロム バンドリ! ダブルエーサイド)」ダウンロードページ
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Photo:西槇太一