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NVIDIA,新型エントリー〜ミドルクラスGPU「GeForce GTX 16 SUPER」シリーズを発表。GTX 1660 SUPERの実力をベンチマークで検証してみた
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印刷2019/10/29 22:00

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NVIDIA,新型エントリー〜ミドルクラスGPU「GeForce GTX 16 SUPER」シリーズを発表。GTX 1660 SUPERの実力をベンチマークで検証してみた

GTX SUPERは「第12世代GPUアーキテクチャ」に相当するTruingベースのGPUだ。ちなみに,「何から数えて第12世代になるのかは分からない」とのことだが,思うに「GeForce 256」からではなかろうか
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 2019年10月29日22:00,NVIDIAは,Turing世代の新型GPU「GeForce GTX 1660 SUPER」(以下,GTX 1660 SUPER)および「GeForce GTX 1650 SUPER」を発表した。GTX 1660 SUPER搭載カードは同日から発売の予定で,北米市場におけるメーカー想定売価は229ドル(約2万4900円,税別)だ。
 一方のGTX 1650 SUPERは,北米時間11月22日に発売という情報があるもののメーカー想定売価は明らかになっていない。

 NVIDIAは,2019年7月にGeForce RTXシリーズで,「GeForce RTX 2060 SUPER」や「GeForce RTX 2080 SUPER」を市場に投入したが,それに続いて,GeForce GTX 16シリーズにもSUPERの名を付けたGPUを投入してきたわけだ。
 RTX SUPERシリーズがそうであったように,今回のGTX SUPERシリーズも,GPUコアアーキテクチャ自体は従来製品を踏襲しつつ,価格対性能を高めた製品となっているのがポイントである。

 本稿では,新GPUの解説に加えて,GTX 1660 SUPER搭載カードを使ったベンチマークテストによる性能検証を行っていきたい。なお,解説パートは米田 聡氏,検証パートは宮崎真一氏が担当している。


GTX 1660+GDDR6=GTX 1660 SUPER


 まずは,上位のGTX 1660 SUPERから見ていこう。主なスペックをまとめたのが表1となる。

※メモリクロック9Gbps相当となった後期モデルでは「GP106-410」(関連記事)。また,末期には上位モデルと同じGP104版も登場した(関連記事
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 GTX 1660 SUPERは,GeForce GTX 1660(以下,GTX 1660)と同じGPUコアの「TU116」をベースとするGPUだ。表1を見て分かるとおりに,実のところGTX 1660 SUPERは,グラフィックスメモリ周りを除けば,GTX 1660と同じスペックとなっている。
 唯一の違いであるグラフィックスメモリは,GTX 1660のGDDR5 DRAMから,GDDR6 DRAM(関連記事)へと変わった。メモリクロックは,GTX 1660の8GHz相当から14GHz相当へと引き上げられ,メモリバス帯域幅も1.75倍と,ほぼ倍増している。

 GPUクロックやGPUコアはGTX 1660から変わっていないものの,NVIDIAによるとGDDR6メモリの採用によって,GTX 1660 SUPERはGTX 1660に対して1.2倍の性能向上を実現するそうだ。さらに,NVIDIAが買い替え対象に想定している「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060)に比べれば,1.5倍の性能を持つという。

NVIDIAによるGTX 1660 SUPERの性能比較グラフ。主要なゲームでGTX 1660の約1.2倍,GTX 1060に対しては1.5倍の性能を発揮するそうだ
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NVIDIAは,「より新しいタイトルほど,GTX 1660 SUPERにおける性能の伸びが大きい」という
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 性能向上の代償は,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の上昇だ。GTX 1660のTDPが120Wなのに対して,GTX 1660 SUPERでは125Wに上昇している。とはいえ,1.2倍の性能で5Wの増加なら許容範囲のレベルであり,これを持って「扱いにくくなった」とは言えないだろう。PCI Express(以下,PCIe)補助電源コネクタの構成は,グラフィックスカードベンダー次第とのことだが,基本的にはGTX 1660と同じ6ピンまたは8ピン×1基で十分にまかなえるはずだ。


GTX 1660と同じTU116コアを採用するGTX 1650 SUPER


 GTX 1660 SUPER以上に,従来モデルとの差が大きいのがGTX 1650 SUPERである。スペックをまとめた表2を確認してほしい。

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 「GeForce GTX 1650」(以下,GTX 1650)は下位モデルのために設計されたGPUコア「TU117」をベースにしたGPUであるが,GTX 1650 SUPERはGTX 1660と同じTU116ベースになった。つまり,GTX 1650とはGPUコア自体が異なるわけだ。
 ただ,GTX 1660と同じスペックではなく,たとえばGTX 1650 SUPERの演算ユニットである「Streaming Multi processor」(以下,SM)数は,GTX 1660よりも2基少ない20基である。おそらく,TU116から2基のSMを無効化した構成なのだろう。シェーダプロセッサに当たるCUDAコア数は1280基で,GTX 1660比で約91%の規模だが,GTX 1650に比べると約1.43倍になる。
 TU116ベースへの変更に加えて,グラフィックスメモリとしてGDDR6 DRAMを採用したことも,GTX 1650 SUPERの大きな特徴だ。メモリインタフェースはGTX 1650と変わらない128bitながら,メモリクロックはGTX 1650の8GHz相当から12GHz相当に向上し,メモリバス帯域幅は同1.5倍となっている。

 GTX 1650に比べるとGTX 1650 SUPERはGPUの規模にして約1.4倍,メモリバス帯域幅が約1.5倍となるので,かなりの性能向上を期待できるはずだ。実際,NVIDIAは,「GTX 1650に比べてGTX 1650 SUPERの性能は1.5倍に達し,買い替え対象と想定する『GeForce GTX 1050』比なら2倍に達する」とアピールしている。

GTX 1660 SUPERの性能は,GTX 1650比で1.5倍,GTX 1050比なら2倍に達するという
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 ここで気になるのは,GTX 1650 SUPERの性能がGTX 1660にかなり接近しそうである点だろうか。GTX 1650 SUPERのTU116は,GTX 1660のダウングレード版とはいえ,メモリバス帯域幅が肩を並べるので,性能差はそれほど大きくないはずだ。グラフィックスカードの価格によっては,GTX 1660の存在意義が問われることになりかねない。

 一方,性能向上にともなって,TDPがかなり大きくなっているのは気になる点かもしれない。GTX 1650のTDPは,PCIeスロットから供給が可能な75Wに収まっており,PCIe拡張電源コネクタを持たないグラフィックスカードも多く出回っている。だが,GTX 1650 SUPERのTDPは100WとされているのでPCIe拡張電源コネクタが必須となるはずだ。

 なお,GTX 1650のGPUコアであるTU117は,Turing世代GPUとしては唯一,Turing世代ではなく,1つ前にあたるVolta世代のビデオエンコーダを採用しており,HEVCのエンコード画質を改善する「Bフレーム」に対応していなかった。だが,GTX 1650 SUPERのGPUコアはTU116に切り替わるため,他のTuring世代GPUとエンコーダも同じになり,HEVCのBフレームにも対応すると思われる。
 同じGTX 1650シリーズでありながら,GPUコアが異なるために,ビデオエンコーダの仕様に微妙な違いがあることは覚えておいてもいいかもしれない。GTX 1650 SUPERでは,それ以外のGPUアーキテクチャは変わってないので,性能とエンコーダ以外で機能面のアップデートはないと見てよさそうだ。

 また,NVIDIAは,GTX 1660 SUPER発売に合わせてリリースする予定のGeForce Driverに,以下の3要素を盛り込むことも発表した。もっとも,これらはGTX 1660 SUPERやGTX 1650 SUPER固有の機能というわけではないので,本稿では説明を割愛する。

  • Ultra Low LantecyモードがG-SYNCに対応
  • ユーザーがカスタマイズできるポストプロセッシングフィルタ「NVIDIA ReShade」がGeForce Experienceから設定可能になる
  • ゲーム映像に対する超解像処理を行う「Image Sharpening」フィルタがNVIDIAコントロールパネルから設定可能になる


ASUS製「TUF 3-GTX1660S-O6G-GAMING」をテスト

ブースト1830MHzのクロックアップモデル


 今回,テストに用いるGTX 1660 SUPER搭載カードは,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)の「TUF 3-GTX1660S-O6G-GAMING」(以下,TUF 3-GTX1660S)である。
 まずはカードそのものについて見ていこう。

TUF 3-GTX1660S-O6G-GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
メーカー想定売価:3万3500円前後(税別,※2019年10月29日現在)
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カード長は実測で約263mm
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 カード長は実測で約263mm(※突起部除く)で,マザーボードに装着すると,ブラケット部から22mmほど垂直方向にはみ出る形をしている。GPUクーラーは,厚めの3スロット占有タイプで,80mm角相当の空冷ファンを3基搭載している。
 GPUクーラーは,ヒートパイプが直接GPUに触れる「DirectCU III」構造を採用。ヒートパイプには,8mm径のものを2本採用している。なお,GPUクーラーにはLEDを備えておらず,アイドル時にファンを停止する機能も有していないなど,流行りの部分をそぎ落としつつも高性能を求めるという,「質実剛健」という言葉が合いそうな「TUF」ブランドらしい印象だ。

3連ファン搭載のわりに長さはそれほどでもないが,厚みがかなりあるのは装着するPCを選ぶ点だ(左)。背面側に放熱板を兼ねる金属製保護プレートを備えるのは今どきのグラフィックスカードらしいところか(右)
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 GPUクーラーに組み込まれた3つのファンは,ASUS製設定アプリ「GPU Tweak II」(Version 2.0.8.0)を使って,センターと左右のそれぞれを個別に回転数の調整が可能だ。設定内容は,自動制御を行う「Default」と,1%刻みで31〜100%の間に固定する「Manual」,さらに温度と回転数の関係を示すグラフ上から,任意のポイントをマウスで選択できる「User Define」の3種類を用意している。

PCIe補助電源コネクタは8ピン×1
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 PCIe補助電源コネクタは8ピン×1で,映像出力インタフェースはDisplayPort 1.4a,HDMI 2.0b(Type A),Dual Link DVI-Dがそれぞれ1基ずつという構成だ。エントリーユーザーを意識してか,まだまだ利用者が多いDVDI-Dを備えている点はひとつのトピックと言えよう。

TUF 3-GTX1660Sのブラケット部には,DisplayPortとHDMI,DVI-Dがそれぞれ1基ずつ並んでいた(左)。右はブラケット部を正面から見た状態で,カードの厚みがよく分かる
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 さて,動作クロック設定だが,ベースクロックは1530MHzでブーストクロックは1830MHzと,ブーストクロックがリファレンスの1785MHzから45MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。なお,メモリクロックは14GHz相当と,こちらはリファレンスと変わらない。

GPU Tweak IIの画面
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 さらに,TUF 3-GTX1660Sでは,さきほどのGPU Tweak IIを導入することで,「Gaming mode」「OC mode」「Silent mode」といった3つの動作モードが利用可能だ。工場出荷時設定の動作モードはGaming modeとなっており,OC modeではブーストクロックが1860MHzまで上がり,「Power Target」(電力目標,以下日本語表記)もGaming modeの100%から110%へ上昇する。
 一方,Silent modeの場合,ブーストクロックは1800MHzとGaming modeから30MHz低下した1800MHzとなり,電力目標も90%まで下がる仕組みだ。なお,メモリクロックはどの動作モードも14GHz相当と変わりはない。
 後述するテスト環境において,工場出荷時設定のGaming modeにおける動作クロックをGPU Tweak IIから追ってみたところ,最大で1965MHzまで達するの確認できた。もちろん,これは評価機での例であって,ほかのTUF 3-GTX1660Sでも同じ動作クロックまで上昇することを保証するものではない。


GTX 1660ファミリーの中における立ち位置を確認

Borderlands 3のテストも実施


 今回,GTX 1660 SUPERのパフォーマンスを見るために,比較対象のGPUとして以下の3種類を用意した。


 つまり,GTX 1660ファミリーとも言える3モデルにおけるGTX 1660 SUPERの立ち位置を明らかにしようというわけである。それに加えて,GTX 1070との比較も行うことで,依然としてユーザー数の多いPascal世代GPUに対して,GTX 1660 SUPERが買い替え対象になるかどうかを確認しようというわけだ。
 また,TUF 3-GTX1660Sは前述のとおりクロックアップモデルであるため,メーカー設定状態でのテストを行うだけでなく,GPU Tweak IIでブーストクロックをリファレンス相当にまで落とした状態でのテストも実施する。

 利用したグラフィックスドライバは,「GeForce 441.07 Driver」で,これはNVIDIAが全世界のGTX 1660 SUPERのレビュワーに対して配布したものだ。それ以外のテスト環境は表3のとおり。

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 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1に準拠。ただし,レギュレーション23を先取りする形で,「Far Cry 5」の代わりに「Far Cry New Dawn」,「Middle-earth: Shadow of War」の代わりに「Borderlands 3」,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の代わりに,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)を利用する。

 それぞれの具体的なテスト方法だが,Far Cry New Dawnでは,オプションから「最高」プリセットに設定したうえで,ゲームに用意されたベンチマークモードを利用。2回テストを実施して,その平均フレームレートと最小フレームレートをスコアとして採用する。
 Borderlands 3もベンチマークモードがあるため,それを利用することになるが,オプション設定はプレイアブルな負荷を考慮して「高」を選択した。ただし,Borderlands 3では,テスト結果には平均フレームレートしか表示されないため,別途,テストのログから最小フレームレートを求めている。
 また,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチのテスト方法は,従来どおり,プリセットに「最高品質」を選択し,結果として表示される整数値のスコアと,同時に記録されるレポートファイルにある平均フレームレートと最小フレームレートを採用する。
 なお,ゲームのテストではいずれも解像度に,3840×2160ドットおよび2560×1440ドット,1920×1080ドットを選択した。


GTX 1660から15%ほど向上して,GTX 1660 Tiに近い性能を発揮


 TUF 3-GTX1660Sの動作クロックをリファレンス相当にまで下げた状態は,
文中,グラフ中とも「GTX 1660 SUPER」と表記することを断ったうえで,「3DMark」(Version 2.10.6799)の結果から順に見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。GTX 1660 SUPERのスコアは,GTX 1660に14〜17%程度もの差を付け,GTX 1660 Tiに2〜4%程度のところまで差を詰めている。一方,GTX 1070に対しては,最大で約24%もの差を付けられており,このあたりはCUDAコア数やメモリ容量の差がスコアに影響を及ぼした格好だ。
 なお,TUF 3-GTX1660Sは,GTX 1660 SUPERから2〜3%程度スコアが高くなっており,クロックアップの効果が表れている。

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 続いてグラフ2は,Fire StrikeにおけるGPUテスト「Graphics test」の結果を抜き出したものになるが,全体としては総合スコアを踏襲するスコア傾向である。GTX 1660 SUPERとGTX 1660の差は14〜15%程度,GTX 1660 SUPERとGTX 1660 Tiの差は3〜4%程度だ。
 TUF 3-GTX1660Sのスコアは,GTX 1660 Tiをわずかに下回る程度となった。クロックアップの効果はここでも見てとれる。

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 Fire Strikeから,物理シミュレーション「Bullet Physics」をソフトウェア実行するCPUテスト「Physics test」のスコアを抜き出したものがグラフ3だ。今回のテストではCPUを揃えているため,スコアはキレイな横並びとなった。

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 CPUとGPUの両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だが,Fire Strike“無印”におけるGTX 1660 SUPERとGTX 1660の差が39%にも達したのは注目すべき点だ。解像度が低い状態では,GPUの動作クロックがスコアに与える影響が大きいので,クロックアップが奏功したのだろう。なお,GTX 1660 SUPERはGTX 1660 Tiに3〜4%届いておらず,このあたりは総合スコアと似た傾向と言えよう。
 一方,TUF 3-GTX1660SのスコアはGTX 1660 Tiとほぼ同等かやや上回る程度となった。

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 3DMarkのDirectX 12テスト「Time Spy」における総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。ここでは,GTX 1660 SUPERとGTX 1660との差は10〜13%程度と,Fire Strikeよりも差が縮まった格好だ。なお,GTX 1660 SUPERとGTX 1660 Tiとの差は2〜4%程度で,Fire Strikeの結果を踏襲している。
 また,Time SpyではPascal世代のGPUに対してTuring世代のGPUが優勢に立ち回る傾向が強く出るのだが,GTX 1660 SUPERもその例に漏れず,GTX 1070に9〜14%程度の差を付けた。
 なお,クロックアップ状態のTUF 3-GTX1660Sであるが,GTX 1660 Tiを約1%ほど下回るスコアとなっている。

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 続いては,Time Spyの総合スコアからGPUテストの結果を抜き出したものがグラフ6である。ここでは,GTX 1660 SUPERとGTX 1660との差が12〜14%程度,GTX 1660 SUPERとGTX 1660 Tiとの差が2〜5%程度といったところで,GTX 1660 Tiに近いパフォーマンスを発揮している点はこれまでと同様だ。
 TUF 3-GTX1660Sでは,GTX 1660 Tiとの差をさらに詰めるものの,逆転するには至っていない。

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 CPUテストの結果がグラフ7だが,CPUが揃っているため,Fire Strikeと同じく横並びの結果となった。

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 では,実際のゲームだとどうなるか。グラフ8〜10はFar Cry New Dawnの結果となる。平均フレームレートで,GTX 1660 SUPERはGTX 1660から10〜17%スコアを伸ばし,GTX 1660 Tiにあと3〜5%のところまで迫っている。また,GTX 1070に対しても,1〜4%まで差を詰めており,GTX 1660 SUPERのスコアはGTX 1070に若干届かないレベルと評して問題なさそうだ。
 一方,TUF 3-GTX1660Sのスコアは,グラフ8〜9でGTX 1660 Tiと同等,グラフ10ではやや下回る結果となっている。

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 「Overwatch」の結果をまとめたものがグラフ11〜13だ。ここでもGTX 1660 SUPERは,平均フレームレートにおけるGTX 1660との差が11〜15%程度と差を付けた。一方で,GTX 1660 Tiには6〜8%程度届かず,GTX 1070にも約12%の差を付けられてしまっている。とはいえ,3840×2160ドットで60fpsを上回った点は注目に値する。
 それに対してTUF 3-GTX1660Sは,GTX 1660 SUPERからスコアを2〜6%程度も伸ばしてきた。

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 グラフ14〜16にまとめた「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)では,GTX 1660 SUPERが伸び悩む結果となった。GTX 1660 SUPERとGTX 1660との差は,平均フレームレートで7〜9%と,これまでの傾向より差が詰まっている。一方,GTX 1660 SUPERとGTX 1660 Tiとの差は9%にまで広がっており,GTX 1660 SUPERのスコアが奮わない。TUF 3-GTX1660Sは,GTX 1660 SUPERより多少スコアを伸ばすものの,傾向は同様だ。
 PUBGにおけるGTX 1660 SUPERの立ち位置は,GTX 1660 TiとGTX 1660の中間よりもやや下といったところか。

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 Fortniteの結果をまとめたのがグラフ17〜19であるが,これまでとまた違った傾向が得られた。
 GTX 1660 SUPERとGTX 1660との平均フレームレートにおける差は,1920×1080ドットでは約3%ほどしかないのに対して,3840×2160ドットでは約21%と,解像度が高くなるにつれてその差が広がっている。これは,GTX 1660 SUPERのメモリバス帯域幅が336GB/sと,GTX 1660の288.1GB/sを大きく上回っている点が高解像度で効いてきたということなのだろう。
 TUF 3-GTX1660Sでもフレームレートはわずかに上がった程度で,傾向は変わっていない。

 なお,GTX 1660 Tiとの差は4〜6%ほどしかないが,GTX 1070に対しては5〜40%なり,3840×2160ドットではメモリ容量の差がネックとなって引き離されてしまっている。

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 グラフ20〜22にスコアをまとめたのが,今回初お目見えとなるBorderlands 3の結果だ。ここでも,GTX 1660 SUPERは,平均フレームレートでGTX 1660を最大18%も引き離した。とくに3840×2160ドットで差が広がっている点は,PUBGと同様だ。また,GTX 1660 Tiに約6%ほど届いておらず,GTX 1070比では,3840×2160ドットで約30%もの開きが見て取れる。TUF 3-GTX1660Sでも傾向は変わっていない。

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 FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチの総合スコアをまとめたものがグラフ23となる。ここでは,1920×1080ドットにおいて,CPUのボトルネックが近いためかスコアが丸まりつつある。そこで,それ以外の解像度を見ていくと,GTX 1660 SUPERとGTX 1660との差は16〜17%程度であるのに対して,GTX 1660 Tiには約5%の差を付けられるといった具合だ。
 TUF 3-GTX1660Sになると,GTX 1660 Tiとのスコア差はわずかとなり,ほぼ同等の性能を発揮できている。

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 グラフ24〜26は,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものにだ。平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっているが,最小フレームレートはCPUの影響が色濃く表れるため,GPUによる差異が比較的現れにくくなっている。
 とはいえ,TUF 3-GTX1660Sを含むGTX 1660 SUPERが,GTX 1660 Tiをわずかに下回る傾向にある点は変わらない。

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 さて,ゲームにおけるテストの最後となる「Project CARS 2」の結果をまとめたものがグラフ27〜29となる。平均フレームレートにおいて,GTX 1660 SUPERのスコアはGTX 1660 Tiに5〜11%程度の差を付けられるといったところ。GTX 1660に対しては10〜14%程度の差を付け,とくに高解像度でその差を広げている。
 また,TUF 3-GTX1660Sは,GTX 1660 SUPERから3〜6%スコアを伸ばしている。

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GTX 1660 Tiより若干低い消費電力

搭載クーラーの冷却性能は申し分なし


 前述したとおり,GTX 1660 SUPERの公称TDPは125Wと,GTX 1660 Tiの120Wから5Wだけとはいえ上昇している。では,実際の消費電力にはどの程度の違いがあるか確かめてみよう。

 「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移をまとめたものがグラフ30となる。
 これを見ると,GTX 1660 SUPERとGTX 1660 Tiは,どちらも110W強のあたりで推移しているようだ。ただ,150Wを超える回数を数えてみると,GTX 1660 Tiは71回であるのに対して,GTX 1660 SUPERは54回とこちらのほうが消費電力が低いように見受けられる。

※グラフ画像をクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 グラフ30から,中央値を求めたものがグラフ31だ。GTX 1660は94Wほどであるのに対して,GTX 1660 SUPERは115Wで20Wほど上昇したものの,GTX 1660 Tiと同程度に収まっている。GTX 1660 SUPER,GTX 1660 Tiともに,今回利用したカードはメーカーオリジナルデザインの製品なので純粋なGPUの比較にはなっていないが,少なくともGTX 1660 SUPERの消費電力は,GTX 1660 Tiと同程度と捉えてよさそうだ。

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 念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の最大消費電力も計測してみた。
 ここでのテストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ32となる。
 ピークを取得するこのテストではスコア差が広がりやすいが,GTX 1660 Tiとの差は2〜16W程度と,こちらでもGTX 1660 SUPERのほうが低い結果となった。TUF 3-GTX1660Sではやや消費電力が上がるものの,GTX 1660 Tiを下回っている点に違いはない。

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 最後にGPUの温度もチェックしておきたい。ここでは,温度を約24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 2.26.0)で温度を取得した。
 その結果がグラフ33となるが,GPUごとに温度センサーの位置は異なり,また,温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価に意味はない。それを踏まえたうえでスコアを見ていくわけだが,GTX 1660 SUPERは高負荷時でも61℃に留まっており,TUF 3-GTX1660Sが搭載するGPUクーラーの冷却性能は,十分高そうだ。

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 さて,筆者の主観であることを断りつつ,TUF 3-GTX1660Sの動作音について触れると,十分静かな印象を受けた。静音性が格段に優れているとまではいかないまでも,少なくともGTX 1660 Ti搭載カードとして利用した「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」と同程度といったところである。


コスパは良好。問題はGTX 1660 Tiとの明確な差


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 以上のテスト結果を見て明らかなように,GTX 1660 SUPERの立ち位置は,かなりGTX 1660 Tiに近いものと言える。ただ,その差があまり大きくないことを踏まえると,わざわざGTX 1660 SUPERを出す必要があったのかと疑問が残ると言わざるを得ない。
 GTX 1660 SUPERの価格は229ドルと,GTX 1660から10ドル上がっているものの,GTX 1660 SUPERとGTX 1660の性能差を見れば,価格対性能比はかなり上がっている。GTX 1660が今後,GTX 1660 SUPERに置き換わると考えれば,NVIDIAの想定売価どおりであれば,なかなかお買い得と言っていいだろう。

TUF 3-GTX1660Sの製品ボックス
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 問題は,国内市場においてGTX 1660 Ti搭載カードが3万円〜3万8000円で販売されていることだ。GTX 1660 SUPER搭載カードに数千円足せば,価格がこなれてきた「GeForce RTX 2060」搭載カードが購入できてしまう。とくにTUF 3-GTX1660Sは,GTX 1660 SUPER搭載カードの中でも高価なほうなので,GeForce RTX 2060搭載カードで最も安価な製品との価格差は1000円程度だ。
 GTX 1660 SUPERにとって,上位モデルたるGTX 1660 Tiの存在がネックになることは間違いない。国内市場におけるGTX 1660 SUPERの価格がこなれて,GTX 1660 Tiとの価格差が明確になれば,GTX 1660 SUPERの立ち位置もしっかりとしたものになるのではないだろうか。

ASUSのTUF 3-GTX1660S製品情報ページ

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  • 関連タイトル:

    GeForce RTX 20,GeForce GTX 16

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