プレイレポート
「Desperados III」プレイレポート。ガンマンと4人の仲間たちが悪党を撃ち倒すステルス系タクティカルストラテジー
それぞれが,拳銃,罠,狙撃,変装,魔術といった特殊能力を駆使し,ある時は激しく,またある時は静かに戦い悪党を打ち倒していく。敵の視界外や物陰からの奇襲など,地形を利用した戦略性が楽しい本作のプレイレポートをお届けしていこう。
荒野をさすらうガンマンたちが,巨大な悪に立ち向かう
「Shadow Tactics: Blades of the Shogun」で知られる南ドイツのデベロッパ,Mimimi Productionsが13年ぶりにシリーズをリブートしたのが「Desperados III」。砂埃が舞い硝煙の匂いが香る西部開拓時代を舞台に,主人公であるジョン・クーパーと仲間たちの生き様が描かれる。
画面は見下ろし型視点で,ゲームパッドにも対応。操作性も高いので,マウスやキーボードに慣れていない人でも快適にプレイできる。なお,本稿の画面写真はユーザーインタフェースが2種類存在する状態になっているが,これはゲームパッド版とマウス&キーボード版。それぞれのプレイフィールをチェックしたためなので,予めご了承いただきたい。
クーパーたちが活躍する場所は非常にバラエティが豊かだ。荒野や湿地帯といったいかにも戦いが起こりそうな土地があるかと思えば,パーティーや結婚式の会場といった平和な場所が戦場になることもある。
ミッションも「パーティー会場から主賓を拉致する」や「鉱山に捕らえられた状態から脱出する」「平和な街のあちこちにいる悪党の親玉を1人ずつ倒していく」など多彩かつ映画的なものが用意されており,メインストーリーとあわせて奥深い物語を楽しむことができる。
どのステージも登場する敵が多く,騒ぎを起こそうものなら敵が集まってきて蜂の巣にされてしまうことが多いのだが,あえて正面突破を狙い力づくで戦う方法のほか,敵の死角を利用したステルス戦略でのクリアを狙うこともできる。
なお,ステージ内にある箱で補充できる銃弾には限りがあるので,派手な立ち回りをする際には,ステルスでのクリア以上に戦略が必要になる。銃声は敵の注意を引いてしまうこともあり,加えて1人でも仲間が死ぬと即座にゲームオーバーとなるため,初めてのステージで正面突破を試みるのはオススメできない。
戦うとしても,一度に多くの敵を相手にしなくても済むような位置取りや,慎重な立ち回りが必要になるため,まずはステルスでクリアしたり,敵の動きをじっくり観察するなどしてステージに慣れてからの方がいいだろう。
パーティー会場には,悪党だけではなく多くの一般人も参加している。この賑わう場所からターゲットをどう拉致するのかが腕の見せどころ |
敵に見つからずに近づけばステルスキルを決められる。斧を振り下ろしたり,後ろから喉を掻っ切ったりと容赦ないが,キャラクターの表示は小さく,いたずらに残酷過ぎる描写がされるわけでもない |
ステルス行動の際に重要なのは,敵の「ビューコーン」だろう。ビューコーンとは文字通り,“ビュー”を表す“コーン”状のエリアで,その敵の視界を示している。
味方のキャラクターが敵の視界に入ると,敵はその方角を注目し始める。すぐにビューコーンから逃れないと完全に見つかってしまい,敵は警告の叫びを上げつつ射撃してくるのだが,さらにその叫びを聞きつけた敵が周囲からワラワラと集まってくる。
詰め所から増援がやってくることもあり,無限とも思われる敵の襲来にそのままゲームオーバーになることもある。何とか敵を倒せても,次は“死体を隠す”という難題が待っている。崖や水中,タンスの中,茂みなど隠し場所には事欠かないものの,大男で猟師のヘクター以外は死体を運ぶ際に移動が遅くなるため,隠す前に敵に見つかってしまうことも多い。もちろん,死体が見つかれば大騒ぎになり,敵に警戒されてしまう。
なお,ビューコーンは敵との距離が近いと緑色,遠いと縞模様というように塗り分けられている。緑色のエリアは敵から注視される範囲だが,入っても即座に見つかるわけではなく,互いの距離に応じた猶予時間が設けられるといった形だ。また,縞模様のエリアは敵の視線が完全に通っていない場所で,速度は落ちるものの中腰で移動すれば見つからない。ただし,誰かをキルするところを目撃されるとやはり見つかってしまうため,慎重な行動が必要な事は変わらないのだ。
敵の視界を表すコーン状のエリアが「ビューコーン」。敵が辺りを見回すとビューコーンの範囲も動くため,敵が向こうを向いたタイミングに合わせて通り抜けるのも一つの手だ |
敵は茂みの中や物陰を見通すことはできず,さらに背後からの接近にも気づけない。これにより,障害物の陰や茂みを渡り歩き,時にはビューコーンに入るも見つかる前に離脱するといったステルス行動によるスリル満載のプレイが可能になっている。
敵を倒す場合も,ビューコーンの圏外から近づいて安全に仕留めることが理想であるが,敵は互いにカバーし合うように配置されており,誰かを殺そうとして接近したら別の誰かの視界に入ってしまうといったドタバタが起きてしまうことも多い。
敵は会話や交代といった行動で隙を見せることがあるので,慌てず騒がずそのタイミングを待ってから大胆に行動を起こすといったプレイを心がけるといいだろう。また,教会の鐘や岩を落としたり,馬を暴れさせて敵を蹴り殺してもらうといった環境を利用した安全な倒し方もある。これらは事故死と判断されて怪しまれないので,周囲に利用できるものがないかもじっくりと観察しておきたい。
教会の鐘を落として敵を潰せば事故死扱いになる。周囲の敵が怪しんで近くに寄ってくるものの,特に騒ぎ立てたりはしない |
ステルス行動が最も重要になるのは,ステージ内に設けられた「民間エリア」だろう。非武装の民間人たちが歩き回っている平和な区画で,ここでは敵の悪党どもも襲ってくることはない。しかし,誰かをキルしたところを目撃されると,民間人たちは助けを求めて騒ぎ立て,それに応えるように敵であるガンマンたちが殺到してくる。
倒しきれなければゲームオーバーになるので,民間エリアではできるだけ荒事を起こしたくないのだが,民間エリアの中にも敵がいる場所が点在しているような構造になっていることも多い。ステージを進めるうえで,これらの敵を倒さなければならないこともあるので,非常に悩ましい状況に陥る。
民間エリアでは悪党も手を出してこない。民間人たちにもビューコーンが設定されており,キルを目撃するとガンマンを呼ぶ |
拳銃,罠,狙撃,誘惑,そして魔術。5人の力を組み合わせて華麗なキルを決めろ
居並ぶ悪党どもを相手にする上では,自身と4人の仲間の特性を理解するのが重要だ。主人公のクーパーはナイフを投げることで,遠くの敵を音もなく殺すことができる。また賞金稼ぎのマッコイは狙撃による敵の排除,猟師のヘクターは罠を仕掛けることで,通りかかった相手を倒すことが可能だ。若き女性のケイトは変装することで敵の中に紛れ込むことができ,同じく女性のイザベラはブードゥーの魔術で敵を洗脳して思い通りに操れる。
このように,5人とも異なる特徴的なスキルを持っており,誰を軸に進めるかで戦略も大きく変わってくる。スキルを駆使し,敵に見つからないよう,見つかっても最小限度の損害で切り抜けられるよう,いかに工夫するかが本作の面白さに繋がってくるのだ。
○クーパー
主人公のクーパーは典型的なガンマン。2丁拳銃による「デュアルショット」で2体の敵を同時に倒せるが,大きな音がしてしまうので,これは最後の手段になるだろう。「ナイフ投擲」は飛び道具でありながら敵をステルスキルできるが,再度使うにはナイフを回収する必要がある。また,その場を動かない見張りの敵がいる場合などは,「偽コイン」を近くに落とし,その音で注意を引くことで争うことなく通り抜けることもできる。
2丁拳銃やナイフ投げといった荒事だけでなく,偽コインを使って敵の注意を引くような繊細な技もこなせる。万能型のキャラクターがクーパーだ |
○ヘクター
クーパーの相棒である大男。敵の死体を2体まで担ぐことができ,移動速度も落ちないため,敵に見つかりそうなギリギリの局面で役立つ。「ショットガン」でも戦えるが,ヘクターの真髄はトラバサミの罠「レベッカ」の活用だ。レベッカを仕掛けた後で「口笛」を吹けば,敵をおびき寄せて巡回ルートの外で始末もできる。茂みの近くであれば即座に死体を隠せるのも強みだろう。強敵「ロングコート」をステルスキルで倒せる唯一の味方でもあり頼りがいがある。
トラバサミの罠「レベッカ」を仕掛け,「口笛」で敵をおびき寄せるクーパー。いざとなれば「ショットガン」で敵を倒し,「うまい酒」で自己回復までできる。2体の死体を運ぶ様は実に恐ろしく,頼もしい |
○マッコイ
慇懃無礼な医者。長銃身の「コルト・バントライン・スペシャル」は遠くから敵を狙撃できるため,難敵の排除に持ってこい。「往診鞄」にはトラップが仕掛けられており,敵のそばに投げて使う。興味を惹かれた敵が往診鞄を開けるとガスが吹きだし,しばらくの間,目が見えなくなってしまうのだ。仲間を回復することもできるが,ツタを登れない,泳げないといった弱点がある。
「コルト・バントライン・スペシャル」は,かのワイアット・アープも使ったとされる長銃身の拳銃。長距離を狙い撃つことができる |
○ケイト
攪乱を得意とする美女。「変装」すれば敵の中に紛れ込める。立ち入り禁止区域に踏み込んだり,暴力を振るったりと,無茶な行動を目撃されない限り怪しまれることがないため,易々と敵に近づける。そのまま「スリ」のスキルで必要なアイテムを手に入れれば,無血で先へ進めることも。また,「誘惑」すれば相手の注意を一定時間引きつけられるため,仲間との連携が光る。
○イザベル
ブードゥーの魔術師で,奇怪な技を使う。「洗脳」の魔術は,使用回数に制限がある上にHPを消耗するものの,敵1体を自由に操れる。仲間を撃たせたり,アイテムを自分のもとに持ってこさせたりとやりたい放題だ。2体の敵を「連結」の魔術でリンクすれば,片方に起こったことがもう片方にも起こる。片方の敵をステルスキルすれば,もう片方も突如血を吹いて死んでしまうのだから,まさに呪い(まじない)といえるだろう。飼い猫「ステラ」を敵のところへ走らせて注意を引くこともできる上,自己回復のスキルもあるため,使いこなせば強力な仲間として活躍してくれる。
彼らのスキルをうまく組み合わせれば,通常では越えられないような難関も突破できる。
例えば,互いにカバーしあっていて隙がない2人の敵がいたとしよう。使えるキャラクターはクーパーとイザベルの場合,どちらもステルスキルの能力を持つものの,敵はお互いを視野に入れているため,近づいただけで見つかってしまう。
銃で撃っても音で周囲の敵に気づかれてしまうし,ナイフ投げで片方を倒しても,もう片方の敵がこれを目撃して大騒ぎする。これでは八方ふさがりだが,2人をうまく連携させることで活路が開ける。イザベルが猫のステラで片方の敵の注意を引きつけている間に,クーパーがもう片方をステルスキル。そして残った相手をイザベルが始末すれば,問題は解決だ。
ほかにも,ケイトが見張りを誘惑している間に仲間がその場を通り抜けたり,3人の敵をクーパーのデュアルショットとマッコイのバントラインで同時に始末するといった連携もいろいろな局面で役に立つだろう。
また,これらを実行するときには,時間を停止させキャラクターの行動を予約できる「対決モード」の活用が役に立つ。慌てて操作ミスをすることもなくなるうえ,思い描いた通りに連携が成功し,敵がバタバタと倒れた上に誰にも見つかっていない……なんてプレイができれば気分は爽快だ。
しかし,対決モードはあくまで行動を予約するに過ぎない。実際に行動が開始すると時間が流れるため,敵に見つかったり,タイミングがずれるといったハプニングが起こる。こうした際,いかに被害を最小限度に抑えて事態を収拾するかが腕の見せどころ。アドリブでのプレイがうまくいけば,対決モードとは違った満足感を味わうことができるのだ。
ケイトが見張りの敵を「誘惑」している間に,クーパーが後ろから忍び寄る。このまま通り過ぎてもいいし,キルして後顧の憂いを絶ってもいい |
「対決モード」中は時間が停止するので,ゆっくり考えて行動を指示できる。しかし,あくまでこれは予定なので,実際の行動時にはハプニングが起こることもある |
本作はボタン1つでクイックセーブができるため,もし失敗してもすぐにやり直せる。セーブの後に1分ほど過ぎると,警告なのか「時間が経ったのにまだセーブしないのか?」というダイアログも表示される。
つまりはそれくらい頻繁にセーブを推奨される手ごわいゲームなので,クイックセーブはどんどん活用していこう。難度も変更でき,味方のHPや弾薬数,敵がこちらを見つけるまでの時間などが変化するので,初めてプレイする人は迷わず「イージー」を選ぶといいだろう。
逆に,最高難度「Desperado」では,敵の反応が非常に良くなる上に味方のHPは少なく,対決モード中も時間が停止しない(!)のが恐ろしい。
なお,それぞれのステージにはクリア条件のほかに,「敵を殺さない」「水に入らない」「ターゲット3体を同時にキルする」「×分以内でクリアする」「敵を事故死に見せかける」など,様々なお題が用意されている。
スキルや地形の活用が必須のものも多く,達成するにはより洗練された立ち回りが必要となる。また,物語を進めていくと「バロンチャレンジ」が開放される。「敵に見つからずに1人でステージをクリアする」「ターゲットを指定された方法で殺害する」といった,さらに厳しい条件が課せられるので,やり込み派のプレイヤーにはうれしいところだろう。
「バロンチャレンジ」は,非常に厳しい条件を課せられてのプレイとなる |
タクティカルゲームとしては珍しい西部劇という題材。そして,5人のキャラクターがそれぞれのスキルを駆使して強大な敵を倒すという映画的な展開と,本作はなかなかに個性的なゲームといえるだろう。歯ごたえのあるゲームを求めている人,試行錯誤を繰り返して最適なプレイを模索するのが好きな人は,ぜひ本作を遊んでみてほしい。
ステージクリア後には,リプレイを見られる。キャラクターたちの動きだけでなく,どこでセーブ/ロードをしたのかも記録されているので,腕を磨くのに役立つ。このステージでは,開始から16分で20回セーブしているが,これくらいは序の口なのだ |
「Desperados III」公式サイト
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