プレイレポート
レトロゲーム愛に溢れた手応え満点の横スクロールアクション,「バトルプリンセス マデリーン」プレイレポート
王女マデリーンのモデルは,本作を手がけたゲームクリエイターのChristopher Obritsch氏の娘であるMadelynちゃんだ。「ゲームに出たい」というMadelynちゃんの夢を叶えるべく,Obritsch氏はKickStarterでプロジェクトを展開(関連リンク)。約2000万円の資金を集めて開発は進み,このたび,無事に発売されたというわけだ。
前述のとおり,本作は横スクロールアクションの名作である「大魔界村」をリスペクトしており,プレイ感覚も非常に近いものがある。マデリーンがダメージを受けると鎧が脱げてしまう辺りなどは「大魔界村」と同じ。ただ,パンツ1枚になるようなことはなく,パジャマのような衣装になる。服装の違いはあるものの,ここで攻撃を食らうとやられてしまうので気をつけよう。
本作には「アーケードモード」と「ストーリーモード」という2つの遊び方が存在している。
「アーケードモード」はその名の通り,アーケードゲームようなステージクリア型の遊びができる。謎解きなどの要素はなく,敵とのバトルに集中できるのがポイントだ。
もう1つの「ストーリーモード」はマップ内を探索して先へと進んでいく。武器を自由に入れ替えられるほか,街の人から頼み事をされたり,謎を解いて先へ進んだり,ボスを倒して2段ジャンプなどの特殊能力を手に入れたりとアクションRPG風の味付けがされている。
本作に登場する武器の種類はさまざまで,真っ直ぐに飛ぶ「槍」を基本に,速射できる「ナイフ」,接近戦しかできないが威力の高い「魔法の杖」など,それぞれ射程や攻撃範囲が異なる。
また,一見扱いが難しそうな武器でも,鎧を手に入れるとパワーアップし性能が激変する。例えば「剣」の場合,通常だと斬りつけることしかできないが,鎧を手に入れると高威力のファイヤーボールが出るようになる。「魔法の杖」だと貫通レーザーを撃て,「ナイフ」は三方向に飛ぶようになるなど,めざましいパワーアップが見られるので,必ずゲットするようにしたい。
さらに,ユニークで面白いのが右上にある“フリッツィーのゲージ”を利用するシステムだ。ゲージは敵を倒すと蓄積されていき,「溜め撃ち」と「復活」という2つの使い道を持っている。
「溜め撃ち」は,ゲージを消費してフリッツィーが敵を攻撃してくれるというものだ。武器の中には,攻撃範囲にクセのあるものが存在し,位置関係によっては敵を倒すのが困難な場合もあるが,フリッツィーなら地形を無視して襲いかかってくれるのでありがたい。
もう1つの使い道である「復活」は,マデリーンが倒れてしまった際,ゲージが一定値以上あれば自動で蘇ってくれるというもの。一撃死の要素が珍しくない本作においてはかなり強力な効果だ。敵に追い詰められたときはついつい逃げ回りたくなるものだが,あえて危険を冒して敵に立ち向かえば,ゲージが回復し復活の機会が得られる。このように戦えば状況を打開できることもあり,ギリギリの状態で敵に向かっていくのはスリルを感じられて面白い。
しかし,プレイしていていくつか気になる箇所もあった。例えば,「ステージを進めていると行き止まりにぶつかり,進めずに迷っていると,実は下に道がある」といった順路の分かりにくい箇所があったり,「足場になる地形と単なる背景の区別が付きにくく,確かめようとして飛んだら投身自殺になってしまい,かなり手前のチェックポイントへ戻されてしまう」といったことがあった。順路が分かりにくい場所に看板を配置するなり,足場になる地形に縁取りをするなり,アップデートで改善してほしいところだ。
どちらのモードも,全体的に難度は高めだ。マデリーンは空中制御が可能な2段ジャンプを持っており,運動性能が低いわけではないのだが,それでも突破しづらい局面が多々登場する。波が上下する荒れた海面に紛れて人魚が迫ってきたり,坂道の上から岩が転がってきたり,無数のトゲが浮遊する中を動く足場に乗って進んだりと,危険なシチュエーションが続出するのだ。さらに,「攻撃を受けて吹っ飛んだ先に別の敵が待ちかまえていてトドメを刺される」「苦労して登ってきた崖を一気に突き落とされる」といったこともあり,なかなかに苦労させられる。
しかし繰り返し遊んでいるうちに,最初はビビリながら進んでいた難所も余裕で越えられるようになった自分に気づくことだろう。こうした上達の楽しさは「古き良きゲーム」と言った感じで,好きな人にはたまらないはずだ。慣れないうちは煮詰まることもあると思うが,そんなときはゲームの電源を切って一休みしてから再挑戦するのも手だろう。
筆者がプレイした印象だと,特にアーケードモードのステージ2(ストーリーモードで言うと「郊外の沼地」のあたり)が難しい。その先はとんとん拍子に進められたので,まずはそこを越えるのを目標に頑張ってみよう。
ゲームを進めていくと,要所要所にはボスが待ち受けている。巨大なスケルトン,画面を覆う巨木の精,火を吐くイノシシ,ニンジン爆弾を落としてくるメカウサギなど,どのボスも大きく迫力満点だ。巨体を生かしての突進や,いやらしい軌道で飛んでくる攻撃,特定の手順を踏まないと出てこない弱点など,それぞれ個性がある。
最初は「こんなのどうやって避けるんだよ!」と思うかもしれないが,もちろんどんな攻撃にも対応法がある。試行錯誤を繰り返しつつ避け方を見いだし,攻略方法を編み出していく過程もまた「古き良きゲーム」といった感じで,それだけに勝てたときは嬉しいものがある。動画を撮るなりして思いっきり自慢するといいだろう。
個性的なボスの面々だが,筆者が特に面白いと感じたのが巨大な猫のボスだ。普通に撃ってもダメージを与えることができないうえ,素早く動く難敵だが,天井に吊られている肉を落とせば夢中で食べ始めるので,そこに攻撃を撃ち込めばいい。
通常時の手強さと肉に気を取られるというマヌケさのギャップ,そしてギミックの面白さがうまく融合しているボスだが,なんとMadelynちゃんが出したアイデアだという。小さい頃からレトロゲームを見て育ってきた英才教育の成果と言えるだろう。
本作はレトロゲームへのリスペクトに満ちあふれており,詳しい人ならニヤリとできるところも多い。例えば,パワーアップ版の鎧のデザインと配色は「ザ・キングオブドラゴンズ」のファイターを模したものだし,無数の柱を飛び渡っていく独特のステージ構成は「ブラックドラゴン」からヒントを得たものだろう(ご丁寧に柱には紫色の蛇まで巻き付いている)。また,雪のステージで狼が駆けてくる辺りは「ストライダー飛竜」のステージ2,せり上がるエレベーターに乗っての強制スクロールは「大魔界村」のステージ3……と,結構な頻度でオマージュが散りばめられているので,元ネタを探すのも楽しいだろう(前述した“ステージ2がやたら難しい”というのも1990年代のカプコンゲームによく見られる光景だったりする)。
音楽をオーケストラ風とFM音源風から選べ,スキャンライン(走査線)の有無も設定できる。FM音源かつスキャンライン有りにすれば,昔のゲームを遊んでいるような気分になれるのも嬉しいところだ。1980〜1990年代のアクションゲーム,「魔界村」シリーズが好きな人は特に楽しめるだろう。
なお,4GamerではObritsch氏とMadelynちゃんにメールインタビューを行っている。「Madelynちゃんが火を吐く敵キャラばかり描いてきて困った」など,ユニークなエピソードも語ってもらえたので,こちらもぜひ一読してほしい。
パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー
3gooから本日発売となった「バトルプリンセス マデリーン」は,ユニークな生い立ちを持っている。ゲーム開発者であるChristopher Obritsch氏が,娘のMadelynちゃんの「ゲームに出たい」という夢を叶えるために作った作品なのだ。今回はそんな本作についてObritsch氏とMadelynちゃんに聞いてみた。
「バトルプリンセス マデリーン」公式サイト
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バトルプリンセス マデリーン
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バトルプリンセス マデリーン
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Battle Princess Madelyn(C)2018 Causal Bit Games Inc., All Rights Reserved.
Global Marketing by Hound Picked Games. Published and distributed by 3goo K.K.
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