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2年ぶりに芽吹いた待望の「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」をレポート。相馬主計を通してたどる新選組隊士たちの軌跡

2021/04/06 12:00 　大人気乙女ゲーム「薄桜鬼」シリーズのミュージカル「薄桜鬼」。2012年の初公演以降，毎年，新選組や鬼たちの生き様を描き，ステージの上から観衆を熱く魅了し続けてきた。今回の公演は，昨年2020年に公演される予定だった「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」（以下，薄ミュ）だ。新型コロナウイルス感染症の影響によって残念ながら延期されていた本公演が，満を持して幕をあげることになった。今回から「真改」を原作とした物語になっており，これまでの「薄ミュ」とはまた違った新たな顔を見せる。本稿では，過去の公演を趣味で足を運び続けた筆者が見どころをレポートしよう。


　物語は池田屋事件から始まり，おなじみの隊服姿の新選組がステージに現れる。そして始まるオープニング。「薄ミュ」と言えばやはり欠かせないのは，歌いながらの殺陣だろう。隊士や風間たち鬼側のメンバーが，自己紹介よろしく歌に想いを込めて激しい斬り合いを見せてくれる。久し振りに風間を演じている鈴木勝吾さんの圧倒的な歌唱力は健在で，風間のラスボス感がオープニングからヒシヒシと伝わってきた。これには過去の公演を見てきたファンも武者震いしたことだろう。ちなみにオープニングで注目したいのは，今回から羽織が「真改」バージョンになっていること。白と黒で彩られた羽織姿で動き回る隊士たちは，これまでともまた違った演舞の様相でファンの心をくぎ付けにしていく。


　池田屋事件で風間に見せつけられた圧倒的な力の差。鬼の存在。新たな難題が突きつけられた出来事から，物語は少しさかのぼる。今回の公演の主役である相馬と新選組の出会いだ。相馬は武家出身の身でありながら，真の武士とは何か……ということに思い悩んでいた。そんなある日，新選組の心意気に触れ，立派な武士になりたいと入隊を願い出る。生真面目で一本気な相馬は，同期の野村とともに小姓を命じられ，ヒロインの千鶴の後輩として生活をともにすることになるのだった。

沖田から訓練を受ける相馬と野村。ヘロヘロになりながらも，何度も立ち向かう小姓コンビの歌唱パートは必聴だ

　小姓としての生活を通して相馬と千鶴は絆を深めていくが，平和な時間は長くは続かない。新選組内部の思想の違いから分裂。そして別れ。怒濤のように変化する状況の中，翻弄されながらも懸命に隊士たちについていく相馬や千鶴の姿は心打たれるものがある。

世の情勢や人々の思惑により変わっていく環境。家族のような暖かさに包まれていた新選組の絆も，少しずつほころび始める

相馬ルートでカギを握る三木とのやり取りも必見!!　タイプの違う2人だけど，それぞれが抱える想いの強さは同じ。激しくぶつかり合う相馬と三木から目が離せない

　休憩を挟んで後半になると，戦闘はより苛烈さを増していく。相馬や千鶴の目を通して，新選組の行く末をどうか見守ってほしい。燃え盛る炎のような命の華を咲かせ，真の想いを貫き続けた武士たち。思わず息を飲んでしまう展開の数々を，ぜひその目に焼きつけよう。

敵に囲まれながらも，戦いを楽しんでいるようにも見える風間。この不適な笑みを浮かべる鈴木さんをぜひ見て！！

「薄桜鬼」といえば洋装も楽しみの1つ。もちろん「薄ミュ」でもバッチリ登場する。おなじみの羽織りのときとは違った刀さばきも必見！

　約2年ぶりとなる「薄ミュ」。今回は，演出・脚本・作詞を西田大輔さんが手がけている。「真改」の物語が描かれているということもあり，楽曲の雰囲気や物語の構成もガラッと一新されたように感じた。個人的に激しくオススメしたいのは，山南の歌唱シーン。彼が胸に秘めた苦しさや絶望などがすべて詰め込まれたものになっていて，山南がステージにいる……！　と，筆者は思わず心の中で涙した。

　ちなみに物語は，どの登場人物が推しの人でも見せ場がガッツリ用意されているので，ご安心あれ!!　彼が主役のルートだったっけ……？　といい意味で思えるぐらい活躍してくれる。美声が会場に響き渡る藤堂の歌唱シーンや，山崎のアクロバティックな動きなどなど，語り出したら切りがないほどだ。これには，今後の「薄ミュ」では誰が主役のルートが描かれるのかにも期待が高まる。

　なお今回の「相馬主計篇」の模様は，8月18日にBlu-rayとDVDの発売が決定。ブックレットの封入特典のほか，メイキング映像の特典もあるので，一度ご覧になった方も，残念ながら足を運ぶことはできなかったという方も，円盤で楽しんじゃおう！

【公演概要】
「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」
●日時・会場
［東京］2021年4月2日〜4月4日・日本青年館ホール
［兵庫］2021年4月8日〜4月11日・AiiA 2.5 Theater Kobe
●原作
オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
●主催
ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会
●出演者(敬称略)
相馬主計：梅津瑞樹/雪村千鶴：松崎莉沙/土方歳三：久保田秀敏/沖田総司：菊池修司/斎藤 一：大海将一郎/藤堂平助：樋口裕太/原田左之助：川上将大/永倉新八：小池亮介/山南敬助：輝馬/山崎 烝：椎名鯛造/三木三郎：砂川脩弥/野村利三郎：園村将司/近藤 勇：井俣太良/天霧九寿：横山真史/不知火 匡：末野卓磨/雪村綱道：川本裕之/風間千景：鈴木勝吾
アンサンブル：佐藤佑樹/坂本和基/来夢/榮桃太郎/藤希 宙/徳留達也/工藤純一朗/伊藤智則

■「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」公式サイト
https://www.marv.jp/special/m-hakuoki/
■著作権利表記
（C）アイディアファクトリー・デザインファクトリー／ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会

（C）IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY