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[E3 2019]おぞましくも魅惑的な吸血鬼の世界にようこそ。「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」のプレイアブルデモが公開
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印刷2019/06/19 20:09

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[E3 2019]おぞましくも魅惑的な吸血鬼の世界にようこそ。「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」のプレイアブルデモが公開

 E3 2019のParadox Interactiveブースに,Hardsuit Labsが開発を進める「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」PC/PlayStation 4/Xbox One。以下,「Bloodlines 2」)のデモが出展されていたので,プレイの模様を紹介したい。

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「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」公式サイト


 2004年にリリースされた「Vampire: The Masquerade - Bloodlines」は,1991年にWhite Wolf Publishingが第1版を発売したテーブルトークRPG「Vampire: The Masquerade」をベースにしたRPGとして高い評価を得たゲームだ。“キンドレッド”と呼ばれるバンパイア達の生きざまに焦点をあてた内容で,クラン同士の闘争や吸血鬼としての葛藤などをテーマに,セクシーで魅惑的ながらもグロテスクでおぞましい世界観が多くのファンに支持された。しかし,それ以降なかなか新作が登場せず,今回の「Bloodlines 2」が待望の続編となる。

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 「Bloodlines 2」の舞台となるのは現代のシアトルで,プレイヤーはマス・エンブレイスという儀式によって生み出された下級吸血鬼チャイルダーの1人となる。チャイルダー達は大規模な戦闘時の雑魚キャラとして鉄砲玉か足軽のように扱われ,命を落とす運命にあるのだが,主人公は記憶を失った状態で戦いを生き延びたという設定だ。プレイヤーは,自分をその地位におとしめた存在を追いつつ,シアトルの裏社会でうごめく吸血鬼達のネットワークに入り込んでいくのだ。

 TRPG版ではプレイヤーの出自として13クランが用意されているが,ゲーム版ではこれまで,ストリートチルドレンのような地位の低い下層クラン「Thinblood」,アナーキストタイプの「Brujah」,黒魔術に傾倒する「Tremere」,文化的エリート集団として地位の高い「Toreador」,企業をフロントに組織化された「Ventrue」,過去の遺産によって少数派ながら地位を保つ王族系の「Malkavian」の6つが発表されていた。

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 本作の世界観でキャラクタークラスに相当する「Disciplines」(修養)は11種類用意されており,今回のデモで筆者がプレイしたクラン「ThinBlood」の場合は,肉体を霧に変化させて隙間を移動できる「Nebulation」,敵やオブジェクトを浮遊させられる「Mentalism」,そして,コウモリの大群を召喚したり滑空ができる「Chiropteran」という3種類のDisciplinesから1つを選んでプレイを始めることになる。
 それぞれのDisciplineは,2種類のアクティブパワーを持っているが,このあたりはTRPGに基づいているので,前作またはTRPGをプレイした経験のある人ならおなじみだろう。プレイヤーがどのような吸血鬼になりたいのか,ミッションでの戦闘やパズルをどのように解決していくのかなど,プレイヤーそれぞれが持つ「理想のバンパイア像」を追求できる仕組みになっているのだ。

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 「アメリカの都市の中でも,シアトルは本作の舞台にたいへんふさわしい」と言うのは,Hardsuit Labsのカーラ・エリソン(Cara Ellison)氏だ。本作のナラティブデザイナーとして会話やストーリーを担当しているというエリソン氏によれば,シアトルはハイテクで進歩的であり,歴史的には成金を夢見るオポチュニストや犯罪組織,文化人などに彩られ,表面からだけでは分からない裏の顔を持つという。もちろん,Hardsuit Labsがシアトルに本拠を置いているということも大きいだろうが,道路や建物を忠実に再現するのではなく,シアトルのエッセンスのようなものをゲームにうまく取り込んでいると述べる。
 「Bloodlines 2」は,日が昇ると部屋に閉じこもるとか棺桶の中で眠りにつくとかの煩雑なプレイを避けるため,夜だけの世界になっているが,シアトルは雨が多い街としても知られており,ケバケバしいネオンサインが水たまりに反射したりなど,大人っぽい艶やかな表現ができる場所としても適しているようだ。

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 今回のデモは,実在するパイオニアスクエア沿いの屋上バーで女性キャラクターから仕事をもらうという場面から始まった。仕事の内容は,どうやら人々を誘拐して食料にしているらしい吸血鬼,Sluggを始末することだ。Sluggは,ゲーム版に登場することが新たに分かったクラン,Nosferatuのメンバーで,容貌がかなり醜いため,夜でも地上に出てくることはほとんどないとのこと。「マスカレード」とは仮面のことだが,人間に「なりすます」という意味で使われている。すべての吸血鬼にとって最重要の掟が「自分が吸血鬼であることを人間に悟られないこと」なので,Nosferatuにとっては非常に生きにくい。おそらくSluggはその掟を破り,本能のままに行動しているのだろう。

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 Sluggの居場所を突き止めるために,最初に会いに行ったNosferatuは,もとはITエンジニアだったが,バンパイアになったために地下水路から出てこないという,ちょっとシャイな男だ。彼との話の中で,「バーの女を裏切ってこちら(Nosferatu)に協力すれば,より多くの報酬が得られる」という話を持ちかけられるが,それを了承するか拒否するかはプレイヤー次第で,このあたりにクラン同士の関係が見られる。
 Nebulationを選択したプレイヤーキャラクターは,ステルス行動に向いている印象で,敵の多い場所で霧に変化して通気口の中から建物に潜入したり,背後から窒息させたりするといったプレイができた。また,面白いのは,人間達の「血脈」を透視できるというシステムで,そのキャラクターが怒っているとか恐怖を感じているといった状態によって,異なる色に見える。この情報をプレイヤーの行動に生かすことで,より効率的なプレイができるとのことだった。

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 Paradox Interactiveは2015年にWhite Wolf Publishingを買収したこともあってか,「Bloodlines 2」の開発は前作のTroika Gamesから傘下のHardsuit Labsに変わっているが,前作で脚本を担当したブライアン・ミッソーダ(Brian Mitsoda)氏が今回も参加しているのは多くのファンにとって嬉しいところだろう。リリースは2020年3月が予定されており,字幕とテキストが日本語に対応するとのこと。日本でも注目される作品になりそうだ。

「Bloodlines 2」のデモを紹介してくれたHardsuit Labsのナラディブデザイナー,カーラ・エリソン氏(左)と,Paradox Interactiveのプロデューサー,ニカット・アリ(Nikhat Ali)氏(右)。エリソン氏は,鹿児島で英語の先生をしていたこともあるという
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