プレイレポート
SRPG「King's Bounty 2」のファーストインプレッションを掲載。シングルプレイRPG風のゲームモードが強化され物語への没入感がアップ
4Gamerでは以前,ローカライズされた「キングズ バウンティ ザ レジェンド 日本語版」(2009年)や,その続編となる「キングズ バウンティ アーマード プリンセス 日本語版」(2010年)のレビュー記事を掲載しているので(※関連記事1,関連記事2),その名前に聞き覚えがある読者もいるだろう。
そんなシリーズの最新作となる本作では,シミュレーションRPGのシステムを引き継ぎつつ,シングルプレイRPGの要素が大きくフィーチャーされている。また,PCだけでなくコンシューマ向けにもリリース予定のためか,ゲーム全体の間口が広く作られている印象だ。今回は,開発中のバージョンをプレイする機会を得られたので,ファーストインプレッションをお届けしよう。
主人公を3名から選択&マルチストーリー展開
本作の物語の舞台となるノストリア王国は,謎の伝染病が国中に蔓延しており,避難民が首都に殺到したことで,資源が枯渇しつつある。さらに国王が倒れてしまい,その隙を狙った各勢力がはびこるなど,国家として存続の危機にあるのだ。
そういったなか,北国の刑務所に捕らわれていた主人公は,ノストリア王国の王子の要請で釈放され,首都へと赴くことになる。
ゲーム開始時にプレイヤーは,異なるバックグラウンドストーリーを持つ3名の主人公,戦士の「アイヴァー」,魔導士の「カタリナ」,パラディンの「エリザ」から1人を選択する。この主人公は部隊を操る指揮官として,世界各地を冒険しながら,故郷ノストリア王国の危機に立ち向かうことになるのだ。
各主人公は,出身や経歴などがかなり細かく設定されている。例えばアイヴァーは,かつてはノストリア王国の騎士だったが,この国で勃発したクーデターに参加することを拒否したことで騎士団から追放されてしまう。その後は傭兵団を率いていたものの,北国にて捕らえられてしまうというプロローグだ。そして,カタリナやエリザには,アイヴァーとはまったく違った出身や経歴が用意されている。
どの主人公を選ぶかによって,NPCとの会話内容やメインストーリーなどの展開は微妙に変化する。例えば,ゲーム序盤でゴーレムが行く手を阻んでいるシチュエーションでは,アイヴァーの場合は基本的に戦って倒すことになる。だが,マップ内をまなく探すことで,このゴーレムを使役している魔導師を発見でき,カタリナであれば彼を説得して戦わずに通過することも可能となっていた。
シミュレーションRPGとシングルプレイRPGが融合
平常時はシングルプレイRPG風の画面で,主人公を直接操作。NPCと会話したり,部隊編成などの準備を整えたりしつつ,ワールドマップ上を探索する。そうしてシンボルエンカウント形式で敵と遭遇し,シミュレーションRPG風のバトルを繰り広げる,というのが主な流れだ。
バトルシステムは従来のシリーズ作を踏襲しており,オーソドックスなシミュレーションRPGのスタイルとなっている。ヘックスで構成されたマップで,行動順序の速い部隊から順番に移動や攻撃を行うというもので,シミュレーションRPGの経験者なら,画像を見れば雰囲気は分かるだろう。
各部隊はアクションポイント(AP)を消費してアクティブアビリティを繰り出せたり,敵ユニットと隣接するヘックスは通過できない“ZOC”(※Zone of Control,支配領域)の概念があったりと,おなじみのシステムの数々も搭載されている。
本作のバトルにおいて特徴と言えるのは,プレイヤーが操る主人公が,他の部隊のようにマップ内には登場しないこと。マップの外側から,魔法による戦闘支援を中心に行うのだ。
なお,味方部隊が行動可能な状態であれば,主人公はいつでも動かせる。そのため,味方部隊が交戦しようとする敵に弱体魔法を打ち込んだり,ピンチに陥った部隊を回復したりと,任意のタイミングで戦局に介入できるのだ。
タレントの選択によって部隊編成やストーリーが変化
主人公には,「秩序」「無秩序」「力」「策略」の4種類のパラメータが用意されている。また,各パラメータにちなんだ“タレント”と呼ばれるスキル群があり,これらはレベルアップの際に得られるポイントと引き替えに習得可能だ。
タレントの習得は,戦闘だけでなく,メインストーリーやクエストの展開にも影響を与える。例えば「秩序」のタレントを多く習得した主人公は,NPCとの会話時に交渉を行うことで,無益な戦闘を回避するといった選択肢も選べる。
さらに,主人公が雇用する各部隊は,上記の「秩序」「無秩序」「力」「策略」のいずれかに属している。そして主人公のタレント選択に応じて,部隊との相性が生じる仕組みとなっているのだ。
「秩序」のタレントを多く習得する主人公は,基本的に兵隊などの規律正しい部隊との相性が良い。逆に「無秩序」の主人公は,蛮族のようなならず者の部隊を編成し,クエストでもとりあえず戦闘といった解決策が得意となる。たとえ同じ主人公でも,タレントの選択によって得意とする部隊が変化し,ゆくゆくはメインストーリーやクエストの選択肢も違ってくるというわけだ。
従来の“シングルプレイRPG”要素が強化され物語への没入感もアップ
従来のKing's Bountyシリーズといえば,比較的オーソドックスなシミュレーションRPGという印象が強かった。厳密に言うと,過去のシリーズ作にも主人公を直接操作するゲームモードは搭載されていたが,クォータービュー形式で地面をクリックして移動するなど,いま振り返るとややシンプルな造りだ。ゲーム全体としての印象も,あくまでも主眼はシミュレーションRPGで,それ以外はオマケという印象である。
その点,今作のシングルプレイRPG部分は,上述した主人公の個性付けやNPCとの会話イベントのほかにも,リッチなグラフィックスや三人称視点でのカメラワークなどにより,物語への没入感が増している。3人の主人公はバックボーンなどがこと細かく設定されているものの,プレイヤーが介入できる余地は思いのほか大きく,あらかじめ敷かれたレールを進むといったネガティブな印象も受けない。むしろ,ベースとなる主人公が個性的なため,タレントや部隊のチョイスに応じて,NPCとの会話やストーリーがどのように変化するのか気になってしまう。極端な話だが,これ単体で“シングルプレイRPG”と称してもとくに違和感は覚えないし,それが今作の最大の魅力になっていると思えるのだ。
最後に「King's Bounty 2」は,従来シリーズのプレイ経験がなくても問題なく楽しめる作品だ。シミュレーションRPGのみならずシングルプレイRPGのファンは,8月24日のリリースをぜひ心待ちにしてほしい。
「King’s Bounty II」公式サイト
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(C)2021 King’s Bounty II is a registered trademark by 1C Online Games ltd. Developed by 1C Entertainment S.A. Co-published and distributed by Koch Media, Austria. Koch Media is a registered trademark. UnrealREngine, Copyright 1998 ? 2021, Epic Games, Inc. All rights reserved. UnrealR, UnrealR Engine, the circle-U logo and the Powered by UnrealR Engine logo are trade¬marks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.
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