ホラーRPG「OMORI」世界初のコンサートをレポート。原作愛に溢れた演奏と構成で，満場のファンも大満足。11月には発売3周年公演も決定

　MUSICエンジンは2023年5月5日，東京都の三鷹市芸術文化センターにおいて，「MUSICエンジン 第十一回演奏会『OMORI』」を開催した。話題のインディーズホラーの楽曲を世界で初めてプロが演奏するということで話題を呼んだ本公演，昼の部の様子をお伝えしていこう。

会場となった三鷹市芸術文化センター

MUSICエンジン公式サイト

原作愛に溢れた演奏と構成で，満場のファンも大満足

　引きこもりの少年が，消えた友達を捜すため不思議な世界を旅するホラーRPG「OMORI」（PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PlayStation 4 / Xbox One / Nintendo Switch）。2020年に発表されて以降，心を打つ物語とアートワーク，そして印象的な楽曲も高く評価されてきた。
　今回の公演は，そんなOMORIの楽曲が，世界で初めてプロによって演奏されるOMORIオンリーのコンサートということで話題を呼び，前売り券は発売後数分で完売。急きょ夜公演も追加で行われることになったのは，先日お伝えしたとおりだ。

会場ではさまざまなグッズも販売された

「MUSICエンジン 第十一回演奏会『OMORI』」昼公演セットリスト
●前半
・M1「Title」「WHITE SPACE」「Lost At A Sleepover」「By Your Side.」「A Home For Flowers（Tulip）」
・M2「Trees...」「Sugar Star Planetarium」「I Will Catch Up!」「Stardust Diving」「Three Bar Logos」
・M3「Lovesick - 80,000 Lightyears」「Space Boyfriend's Tape - I Want Nothing More」「Trouble - NEVER/ALWAYS」「You Were Wrong. Go Back.」
・M4「Finding Shapes in the Clouds」「Where We Used To Play」「Just Leave Me Alone」「Cram It Wad」「It Means Everything.」「A Home For Flowers （Empty）」
・M5「How...sad!」「Sweetheart's Quest for Hearts」「Eternal Dungeon」「Wandering Rose」「Splintered Sweets In The Castle」「Valour Against All Odds」
・M6「World's End Valentine」「I Just Love The 50s!!!」

●後半
・M7「Lost Library」「Thrifted Tchotchkes」「Swirly 1000x」「Dear Little Brother...」
・M8「Clams Clams Clams」「Gator Gambol」「Jawbreaker」「GOLDENVENGEANCE」「THE VENGEANCE OF THOSE FORGOTTEN IN DARKNESS」
・M9「Underwater Highway」「Squall」「Underwater Prom Queens」
・M10「WHITE SPACE」「Dear Little Brother...」「Welcome Again.」「Distance」「Glade」Come and See」「56-12-2」「5ths」「Orchard」「Do You Remember?」
・M11「By Your Side.」「Treehouse - Here We Are, Together Again」「See You Tomorrow」
・M12「A Home For Flowers（Daisy）」「Crossroads」「Title」「You Must Carry On.」「Remembrance.」「OMORI」「Try Again Little Brother」「DUET」「Gone」「Wake Up」「Clean Slate」「The Truth」「Good Morning」

●アンコール
・「Flouring With You」
・「BREADY STEADY GO」
・「My Time」

　MUSICエンジンのほかのコンサートと同様，今回もトークコーナーなどは挟まず演奏が連続する形式で，M1「Title」「WHITE SPACE」「Lost At A Sleepover」「By Your Side.」「A Home For Flowers（Tulip）」の演奏が終わった時点で場内からは大きな拍手が。初のOMORIコンサートということで注目度の高かった本公演，演奏のクオリティが期待どおりであったことは，この拍手が証明している。


　M3の「Space Boyfriend's Tape - I Want Nothing More」では，このために用意されたラジカセから曲が流れ，ツボを押さえた演出に観客達からは暖かい笑いが起こる。
　M4「Just Leave Me Alone」では，原曲どおりの激しいドラムとエレキギターが，オーケストラと共演するというコンサートならではの光景を見せてくれた。
　スイートハート関連の曲を演奏するM5ではジャズテイストの「Sweetheart's Quest for Hearts」と，ノリのいい戦闘曲「Splintered Sweets In The Castle」で盛り上がる。
　M6「World's End Valentine」では，原作でのイベントシーンを再現。歌声を「オタマトーン」で表現した「婚礼の合唱（ワーグナーの結婚行進曲）」の後に「World's End Valentine」が流れるという原作愛の深さに，来場者から笑いのような感嘆のような声が漏れていたのが印象深い。
　そして，前半最後の曲はどこか懐かしい「I Just Love The 50s!!!」で，演奏終了後にはまたしても大きな拍手が起こり，まるでコンサートのフィナーレのようですらあった。休憩時間に入るやいなや，それまで静かだった会場には，感想を話し合う興奮した声がウワッ，という感じで広がっていた。

コンサートで使用されたラジカセとオタマトーン

　後半はピアノの生音が美しい「Lost Library」「Dear Little Brother...」，オーケストラ演奏が原曲とひと味違う風合いを醸し出す「Thrifted Tchotchkes」「Swirly 1000x」で組まれたM7，金管楽器の力強い響きがカッコイイ「Clams Clams Clams」，テンポ良いジャズ「Jawbreaker」で構成されるM8で，来場者達は再び「OMORI」の世界に引き戻される。
　M9は一転して「Underwater Highway」「Squall」「Underwater Prom Queens」といった神秘的な曲。このあたりになると観客の盛り上がりっぷりもかなりのもので，演奏が終わるたびに大きな拍手が巻き起こる。


　M10は，原作の音色を再現するためにフライパンを厳選したという「Welcome Again.」や「Glade」「56-12-2」など不穏な空気を含みまくった曲ぞろい。
　そしてM11では「By Your Side.」「Treehouse - Here We Are, Together Again」「See You Tomorrow」と心暖まる曲が続き，感情を揺さぶられる。
　ラストのM12，「You Must Carry On.」からは，舞台上が暗くなってヴァイオリンの河合晃太氏に真っ赤なスポットライトが当たる演出で，原作同様にコンサートもクライマックスに。そして「OMORI」「Try Again Little Brother」「DUET」「Gone」「Wake Up」「Clean Slate」「The Truth」「Good Morning」といった，ゲームを解いた人には思い出深い曲が演奏され，コンサートはひとまず締めくくりとなった。
　アンコールはアップテンポな「Flouring With You」と「BREADY STEADY GO」。そしてとある衝撃的な場面で流れる，奇妙な明るさと暗さを含んだ「My Time」。原作愛に溢れた演奏と構成に，来場者は万雷の拍手で喝采を贈り，ロビーでも熱く感想を語り合っていた。

「Welcome Again.」では，原作の音色を再現するために厳選したフライパンが使われた

　コンサートの最後には，河合氏から「OMORI 3周年記念コンサート」の開催が告知された。2023年11月22日，ミューザ川崎 シンフォニーホールにて「OMORI」の発売3周年を祝うという趣向で，その公演の模様は後日の配信も予定されているという。

世界初の「OMORI」コンサートに続き、
11月に「OMORI 3 周年記念コンサート」の開催決定！

プロの音楽家によるゲーム音楽の企画・演奏団体 MUSIC エンジンは 2023 年 11 月に「OMORI 3 周年記念コンサート」を開催することを発表しました。
「OMORI」はアメリカのインディーゲームスタジオである「OMOCAT」が開発・発売。
一度プレイしたら忘れられない濃厚でユニークなストーリーやその可愛らしい絵柄とは裏腹な恐怖体験など、独特の世界観で世界中にファンを持つ作品で今年12月に発売から3周年を迎えます。

本公演はその「OMORI」の3周年を記念して開催され、5月5日に「OMORI」世界初のコンサートを成功させた MUSICエンジンが主催・企画・演奏を担当。
開発元である OMOCAT、そして Fangamer Japan の協力を受け、フルオーケストラによる演奏で「OMORI」の発売 3周年を祝います。
また本コンサートの映像は後日配信を予定しています。

演奏会名称：「OMORI 3周年記念コンサート」
（英語名称：「OMORI 3rd Anniversary Concert」)
日時：2023年11月22日（水）夜開演
会場：ミューザ川崎 シンフォニーホール
主催・企画・演奏：MUSIC エンジン
協力：OMOCAT、Fangamer Japan
公式Webサイト https://musicengine-info.net/
公式Twitter @musicengine_tw
※公演内容や開演時間、チケット販売時期他詳細については追って発表いたします。

【MUSIC エンジンについて】https://musicengine-info.net/
MUSICエンジン（ミュージックエンジン）はヴァイオリン、ヴィオラ奏者の河合晃太が2016年に設立したプロの音楽家による演奏団体。有名タイトルからインディーゲームまで、ゲーム音楽を中心に河合自身が心を掴まれた、思い入れのあるタイトルを音楽で表現し続けています。

これまでにゲーム音楽で十回以上の公演を開催、のべ一万人以上の観客を動員してきた他、2020年に開催された「UNDERTALE 5th Anniversary Concert」の演奏動画は全世界で1,800万回以上再生。
2023年5月には世界で初となる「OMORI」のオーケストラコンサートを開催し、好評を博しました。

【OMOCATについて】https://www.omocat-shop.com/
OMOCAT（オモキャット）は2014年にアーティスト OMOCAT によって設立され、ロサンゼルスをベースに活動。様々な分野に秀でたクリエイティブなメンバーによって構成され、ゲーム、音楽、ファッション、アニメーションなどの多方面のプロジェクトを進めている。2020 年にリリースした「OMORI」は全世界で販売本数100万本を超えるヒットを記録した。

【Fangamer Japan について】www.fangamer.jp
Fangamer（ファンゲーマー）は、2008年にアリゾナ州ツーソン市で設立されたゲームグッズ制作会社。自分でも使いたいゲームグッズを作る、をモットーにデザインから出荷まですべて自社で行っている。2017年に、日本支社にあたるFangamer Japanを設立。数々のゲームの販売やゲームグッズの制作、販売に携わっている。

MUSICエンジン公式サイト