企画記事
同一タイトルのPS5版とPS4版で,グラフィックスの違いを調べてみよう。3つのゲームで,空想世界,現実世界,人の描写を比べてみた
4GamerではPS5発売からこれまで,ロード時間やフレームレート,DualSenseの触覚表現については[こちら]や[こちら]の記事で紹介してきたが,グラフィックスについてはPS4との違いや変化をあまり触れられていなかった。
「このままでは2021年を迎えられない!」ということで,SIEの「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」,ユービーアイソフトの「ウォッチドッグス レギオン」,エレクトロニック・アーツの「FIFA 21」(PS5版は「FIFA 21 NXT LVL EDITION」)という3タイトルのPS4版とPS5版で,「空想世界」「現実世界」「人」に注目してその違いをチェックしてみたので,それをお届けしよう。
ゲームのプレイはPS4版もPS5を使用。比較画像は4KやHDR設定はなしで,“PS5本体とテレビ(モニター)があれば誰でも体験できる環境”で撮影したものだ。
※レイトレーシングや120Hz出力は採用タイトルのみ
PlayStation 5公式サイト
空想の世界はどう“リアル”に描かれる? 「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」のクラフトワールドを冒険
まずは,毛糸や布,紙,文房具などの日用的な素材で作られたクラフトワールドを舞台とした「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」で,空想の世界はどのように描き出されているかをチェックした。
ゲーム開始すぐで,縫い目がくっきりしていることでより手ざわり感が伝わるリビッツ,陰影がくっきりしている箱といった描写や,絨毯のような草原や風に舞ったり散らばったりする葉っぱなどのオブジェクトが増えていることなどに驚かされる。
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注意深く見ないとスルーしてしまいそうだが,ネジのようなポールやジャンプ台なども風景が反射する素材となっている。ビー玉のような「オーブ」も,PS5版ではリビッツの動きが映っていた。
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美しいと感じたのが,光の差し方。これは床の反射するオブジェクトを比較するため撮ったものだが,それよりも繊細に差し込んで影を落としている光の表現に見入ってしまった。
リアリティよりも独特の雰囲気みたいなところが重要な作品だと思っていたので,実際に比べるまでは「正直,そこまで大きく違いはないだろうな」と考えていたのだがそれは大違い。PS5のビジュアル,光と影,反射の表現によって「どこかに本当にあるかもしれない」と思える“現実感”が増した印象だ。
「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」公式サイト
PS5版「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」インプレッション。布と紙で作られた世界で,リビッツが大冒険
PS5版「リビッツ!ビッグ・アドベンチャー」のインプレッションをお届けする。2020年11月12日に発売される本作は,「リトルビッグプラネット」シリーズでおなじみの「リビッツ」が冒険を繰り広げるアクションゲームだ。説得力のあるグラフィックスで描かれた,ステージの数々が魅力となっている。
現実に近い街はどれくらい“現実的”? 「ウォッチドッグス レギオン」でロンドン散策
空想の世界に続いて気になったのが,現実に近い街並みや風景,物はどのように描かれているのか,だ。情報化が進んだ近未来のロンドンを舞台とした「ウォッチドッグス レギオン」でチェックしてみた。
ロケーションに選んだのは,観光地としても有名なロンドンの繁華街・ピカデリーサーカスだ。まずはTUBE(チューブ)の愛称で親しまれているロンドンの交通の要,地下鉄の駅に降りたところ。ここで注目したいのは,光の入り方。時間帯は昼過ぎで天候も一緒だが,PS5版は暗いところは暗く,光が当たっているとのコントラストが生まれている。
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地下鉄の駅から出ると視界に広がるメインストリート。PS5版の方が遠くの建物や自動車などがクッキリしているが,水たまりに自動車が反射して映っているところなどはどちらも“リアル”だ。
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通り沿いにあるみやげ物屋では,ショーウインドーに反射する風景に注目。PS5版の画像をよく目を凝らしてみて見ると,店の前にいる2人組や電話をしながら歩いている人,店の前を通過する自動車,そしてみやげ物屋の前に飾ってある,黒い帽子と赤い服でおなじみの衛兵のホログラムが映っている。
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こちらは街中をたくさん走行している,ロンドン名物のタクシー・Black Cab(ブラックキャブ)。運転手になるには,世界有数の難度を誇るという交通局の試験をパスしなければならないことでも有名だが,未来のロンドンでは無人タクシーとなっている。そんなBlack Cabを見てみると,車体に周囲の風景が映し出されているのはもちろん,「TAXI」という表示灯にキャラクターが映し出されていた。
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ロンドンの交通の要である,ロンドンバスのDouble decker(ダブルデッカー / 二階建てバス)。大きな車体で狭い道でもぐいぐい進むその姿は,ロンドンの風景には欠かせない名物の1つだ。
車体の前後や側面はもちろん,天井にも注目してほしい。PS4版でも大型ビジョンに映し出された映像などは反射しているが,PS5版はそれに加えてフラッグやドローンなどもしっかり映っている。
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そんなロンドンバスのバス停留所は,昔ながらのデザインを保ちつつ,デジタルサイネージ広告が浮かび上がる薄いガラスボードで作られた,なんとも近未来な作りとなっている。
筆者がロンドンの街を撮影していて最も感動したのがこれで,薄いガラスボードの向こう側とデジタルサイネージの広告,反射して映る車や人,物が,とてもリアルに映し出されていたのだ。
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しっかりフォイさんも映っている(PS5) |
こちらはバス停を背に,止まっているバスに向いているところ。フォイさんやバス停のベンチのほか,向かい側にあるみやげ物屋のホログラムがバスの窓越しに見えている(PS5) |
ウォッチドッグスの世界ではWi-Fiスポットとして利用されている,ロンドン名物の赤い電話ボックス。現実でも,ロンドンのアイコンの1つである赤い電話ボックスを残すため,ATMやお店,仕事場(!?)としてさまざまな形での再利用が検討されており,Wi-Fiスポットというのはあながちフィクションではなかったりする。
PS4版ではガラス面が真っ暗だが,PS5版を見るとしっかり対面の風景が映し出されており,キャラクターとバイクの後輪,道を挟んだところの看板と思しき赤いものが映っている。
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こちらはおまけとして,ピカデリーサーカスから東に離れ,シティと呼ばれる金融の中心地で撮影した30セント・メリー・アクス。ガーキン(キュウリのピクルス)という愛称で呼ばれるその形状と,ガラス張りの外観が特徴となっている。撮影位置や天候,時間帯によって見え方は変わるが,PS5版のほうが陰影が段階的に表現されていたのが印象的だ。
「ウォッチドッグス レギオン」公式サイト
選手はもちろん声援を送るサポーターたちの描写にも注目。「FIFA21」でリアルなサッカー観戦
「FIFA 21」では,「ウォッチドッグス レギオン」の舞台でもあるロンドンにあるスタンフォード・ブリッジで,選手や観客といった“人”に注目してビジュアルやグラフィックス表現をチェックしてみた。
まずは,彼らがいるスタジアムの全景や雰囲気の違いを伝えておこう。撮影場所となったスタンフォード・ブリッジは,ロンドン中心部の西側にある,チェルシーFCの本拠地として知られるスタジアムだ。設立からおよそ140年という歴史を持ち,収容人数が4万2000人弱と世界的なクラブの本拠地としてはこじんまりとしているが,地元サポーターや国内外のファンに愛されている。
後述する雪の描写のチェック部分を除き,どちらも季節は秋,天候は曇り,試合開始時間は13:00で撮影。遠近の表現の違いや遠くの観客や特徴的な屋根などがくっきり見えるなどの違いが分かるが,遠近の表現以外はPS4版でも十分に“リアル”な印象だ。
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試合中のピッチを見てみると,芝の粗さや選手の鮮明さなどの違いはあるが,こちらもPS4版でも十分に綺麗で,時間経過によるコンディションの変化もそこまで大きな差はない印象だ。
しかし,季節を冬にして天気を雪に設定すると,ピッチの表情はガラッと変わる。PS4版はまばらだが,PS5版は全体的に雪が広がっているのだ。雪の面が広い分,時間経過によるコンディション変化にもはっきり違いが出てくる。
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そんなスタジアムで声援を送る観客たちはどのように描かれているのだろうか。アップになったシーンを見ると,PS5版では人物モデルの顔立ちがどれも違っていることがハッキリ分かる。着用しているユニフォームの素材感もしっかり出ているのも確認できた。
シュートを決めた際,ゴール裏のサポーターと喜びを分かち合うというシーンもよくあるので,選手だけではなく観客のモデルも向上しているのは,対戦を楽しむ人はもちろん,とくにキャリアモード(単年〜複数年のクラブ運営や試合をシミュレートするモード)をプレイする人には嬉しい点かもしれない。
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主役である選手の前に,クラブを指揮するマネージャー(監督)をチェックしよう。こちらはチェルシーFCの若き指揮官・フランク・ランパード監督。現役時代はイングランドを代表する選手の1人で,同クラブのレジェンドプレイヤーでもあった。
PS5版ではキャラクターモデルがより緻密になり,髪の毛や髭,肌質などもより正確に描画されるので,PS4版に比べて年齢を感じさせる描写となっていた。とはいえランパード監督は42歳。監督としては若く,現役当時から今も変わらない端正な顔立ちもあり,“若くてカッコいい”という印象は変わらない。
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あらためて,主役である選手たちにスポットを当てよう。ランパード監督のときに触れた髪の毛や髭,肌質のほか,ユニフォームのシワや素材感などからも違いがはっきり分かる。
試合中の引きの絵ではそれほど気にならなくても,シュート時や選手交代といった際のフォーカスやリプレイなどでアップになったときに,選手モデルの鮮明さや光の当たり方などの違いに気がつくだろう。
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一番驚いたのが,ボールをキックしたときの筋肉の動き。下の画像の,振り上げた右足太ももに注目してほしい。リプレイで目を凝らしてみないと気付かないレベルかもしれないが,一度意識すると細かい動きが気になって何度もリプレイしたくなる。試合終盤から終了時の汗の描写も,試合の過酷さを感じさせるリアルな表現の1つだ。
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