プレイレポート
小さな女の子と妖精の3日間の物語を描くRPG「Who is the HERO? -Lycoris-」デモ版プレイレポート
「Who is the HERO? -Lycoris-」公式サイト
本作は,古き良き時代のRPGをヒントに開発された「ノスタルジックRPG」だ。ビジュアルはボクセル調で,ちょうど昔のドット絵のRPGを“引っ張り起こして”クオータービューにしたような雰囲気の作品となっている。本作の公式サイトによれば,作り手たちの工夫がいっぱい詰まった当時の作品のアートワークや,映画のように引き込まれる物語性が生むプレイ感を目指し,開発を行っているとのこと。
物語の主人公は,とある村で兄のノットと二人で暮らしている少女「リコ」だ。彼女の日課は森の中の小さな広場で花を育てることだが,ある日その花がすべて枯れてしまう。リコはショックのあまりに寝込んでしまうが,その前に不思議な“妖精”が姿を現す。
枯れた花を元に戻すため,リコは妖精の3つの願いを叶えることに。ただし,妖精は大人に姿を見られてしまうと消えてしまうという。リコは妖精の秘密を守りつつ,彼女の願いを叶えるため,村やその周辺を走り回るのだった。
本作のメインストーリーは,リコと妖精を軸にした3日間の物語だ。リコの行動によって結末が変化するマルチエンディング方式になっていて,繰り返し何度も遊びたくなるようなプレイ感が期待できる。また,サブクエストでは村の住人たちにまつわるさまざまなエピソードが描かれるとのこと。
そんな概要を踏まえてデモ版を始めてみると,リコの前にはひとりの少女がいた。この子が妖精さんらしい。さっそく話しかけると,「南の洞窟にいる絵描きさんに絵筆を届けてあげて」と頼み事をしてくる。
これが3つの願いのひとつ目なのだろうか。ともかく家から出発し,南に向かってみることにする。
村から外に踏み出してみると,周囲は魔物だらけとなっている。リコは小さな女の子なので,もちろん戦って倒すことはできない。走って逃げたり,自分の姿を消す魔法を使って逃げ回ったりするしか手はないのだ。ただし,魔法は息を止めていられる短い時間しか使うことができず,一度使うと息が整うまで再使用できない。
幸い,障害物に隠れると魔物はすぐにこちらを見失うので,要領よく隠れられれば先に進むのはそう難しくない。
こうして10分ほど村の外を探索していると,南西の方向に洞窟を発見した。ヒントを頼りに目的地を探す感覚も懐かしい。筆者は「お次は洞窟探検か」と少し身構えたものの,目的の「絵描きさん」はあっさり見つかった。
絵描きさんの話によれば,村にいた行商人から絵筆を買ったが,どこかに忘れてきてしまったらしい。
村へと戻り,広場にいた行商人に話を聞いてみると,絵描きさんは買った筆を受け取り忘れていたという。行商人から筆を受け取り,絵描きさんに届けることで,クエストクリアだ。
絵描きさんは,絵筆を届けてくれたお礼にリコの姿を絵に描いてくれた。なにやら絵の具が足りないらしく,リコの服の色を別の色で描いたというが……。
今度は絵の具を探す? それともこの絵が次なる展開のきっかけに? などと先が楽しみになったところで,今回のデモ版は終了となった。
ほのぼのとした導入部から想像される通りの,女の子の日常のちょっとした冒険を描いたメルヘンなのか,それともこの先思いも寄らない波乱が待ち受けているのか,どちらにしても本編が楽しみだ。
それでは本稿の締めとして,本作の開発元であるアプリファクトリーはるniのIMSC氏に行った,メールインタビューを掲載する。
4Gamer:
「Who is the HERO? -Lycoris-」の開発が立ち上がったきっかけをお願いします。
IMSC氏:
メンバーは全員,ゲーム会社に所属しているのですが,普段関わっているプロジェクトは大きなゲームの一部を担当するという仕事がメインで「いつか自分たちの作品を作りたい」と考えていました。
1年半ほど前に,感性のあうメンバーが4人揃って「懐かしさを感じるRPGを作りたい」という気持ちからプロジェクトを立ち上げました。リーダー以外はゼロからのゲーム開発経験が全くないメンバーで,最初の半年間は試行錯誤ばかりでした。
関わっているメンバーはみんなゲームを作ることが好きで,今回は会社の名前で出展はしていますが,半分くらいは趣味で作ってます。
4Gamer:
アプリファクトリーはるniとはどんな会社でしょうか。
IMSC氏:
アプリファクトリーはるniはゲーム開発事業と教育事業を行なっています。社長が「鹿児島にもゲーム会社を」という思いで設立して5年目になります。関東や関西の会社さんから開発の依頼を請け負い,開発を行なっています。また,小中学生向けのプログラミング教育も行なっています。
社長が鹿児島の中でも田舎の出身で,小学生の頃,プログラミングを勉強するときに周りに教えてくれる人がいなかったらしく「プログラミングで疑問に思うことは何でも答えてあげたい」と,希望する子には本格的なプログラミングまで教えています。あと従業員みんなゲームが好きです。
飲み会みたいなのはほとんどないですけど,ゲーム大会は毎月のようにあります(最近は自粛で飢えています……)。
4Gamer:
今回,BitSummit Gaidenはオンラインイベントとして開催されましたが,オンラインだったからこそ参加しやすかった面もあるのでしょうか。
IMSC氏:
じつはオフラインで参加する予定でした。
例年BitSummitには見る側で参加していまして,「いつかBitSummitに自分たちの作品を出展する」というのがひとつの目標になってました。今回はオンラインという形になって,直接プレイヤーさんたちの反応が見れない代わりに,より多くの人に見て反応をいただける機会になるのではないかと思っています。
4Gamer:
現在,開発の進行状況は何%くらいですか。
IMSC氏:
70%くらいです。プレイするだけならばほとんどできているのですが,せっかくの初作なので,悔いがないように今の自分たちの最高を注ぎ込もうと思ってます。
4Gamer:
こだわっているポイントやアピールしたいポイントは?
IMSC氏:
小さく小さくこだわってます。物語は3日間で,主人公と妖精がひとつの村の周辺を冒険する物語です。ボリュームではなくて,細かい点を丁寧に表現することを心がけています。
4Gamer:
リリース予定時期や今後の展望についてコメントをお願いします。
IMSC氏:
「Who is the HERO? -Lycoris-」のリリースは秋を予定しています。まずはPC版を配信し,続いてスマートフォン向けにも配信したいと思っています。チームとして初めての作品ですが,まだまだ作りたい世界があるので,気が早いですけど続編も作りたいと思っています。
「Who is the HERO? -Lycoris-」公式サイト
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Who is the HERO? -Lycoris-
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