プレイレポート
「Zenith: The Last City」プレイレポート。剣と魔法の王道MMORPGを全身で体感できるVRゲームが登場
しかし,現在日本語に対応しておらず,読者の中にはそれを理由にプレイを控えている人もいるかもしれない。本稿では,「Zenith: The Last City」に興味があるがVR機器を所持していない人や,英語が苦手でプレイしあぐねている人などに,本作の魅力を紹介していこう。
「Zenith: The Last City」公式サイト
VRならではの操作を活かした2種類のクラス
MMORPGといえばやはり,まずはキャラクタークリエイトだ。本作のクラス(職業)は現在のところ,両手に剣を持ち近接メインに戦う「Blade Master」と,遠距離からエネルギー弾を飛ばしたり魔法で範囲攻撃したりする「Essence Mage」の2種類が用意されている。
さらにその2クラスの中にも,DPS,サポート,タンクと役割(ロール)があり,全部で6通りのプレイスタイルが存在することになる。なお,ロールに関してはキャラクター作成後にも変更可能(レベルはロールごとで別枠)なので,近接か遠距離のどちらをやりたいかくらいで選んでいいだろう。
戦闘はもちろんVRならではの操作方法となる。
Blade Masterは,腰に剣を2本携えているので,それを両手で掴み,振ることで通常攻撃を行える。ただ闇雲に振り回せばいいわけではなく,剣を掴んで少しすると剣が光るので,その状態で振ることでダメージが入る。振る速さもダメージに影響しており,剣先を小刻みに振るような戦い方はできない仕様になっている。
スキルの発動はやや特殊で,剣で敵を攻撃する際の方向と,トリガーを組合わせた条件で発動される。例えばDPSが最初に覚える攻撃スキル「Vorpal Strike」は,トリガーを引いた状態で縦に斬ると発動し,2番目の攻撃スキル「Cleave」は,戦闘中の3の倍数回目の斬撃が横斬りだと発動する。
といった感じなので,Blade Masterを使いこなすには少々慣れが必要そうだ。
また,Blade Masterは,敵の攻撃を弾くことができる。トリガーを引いた状態で敵の攻撃に合わせて剣をかざすと,攻撃をガードして弾き返すことが可能だ。しかし,ガード時にはスタミナを消費するほか,ガード不可の攻撃もあるようなので,頼り切らないように注意しておこう。
一方Essence Mageの戦い方は,基本的に遠距離攻撃のみとなる。腰にはエネルギー弾を飛ばす銃のような武器を装備しており,そのまま撃つとダメージの低い弾を,溜めることでダメージの高い弾を発射できる。弾数には限りがあり,時間によってチャージされていく。初弾を溜めて撃ち,残りの弾を溜めずに撃ち切ったらスキル発動に移行するとスムーズにダメージを与えられそうだ。
スキルの発動は比較的シンプルで,グリップボタンを握った状態で手を振ると,その方向に対応した魔法を発動できる。DPSが最初に覚える攻撃魔法「Lightning Strike」は,上から下に向かって手を振ることでサークルが出現,そしてグリップを離すとサークルの位置に雷を落とすといったスキルだ。
その他のスキルは手を振る方向が変わるだけで,基本的に発動の手順は変わらない。ただしMPの消費が激しいので,あまり乱発はできない点に注意だ。
Essence Mageはスキルの発動がシンプルな反面,武器を持った状態ではスキルを使えないというデメリットがあり,武器で攻撃→武器を手放しスキル攻撃→また武器を掴んで攻撃……と忙しかったり,スキルを発動させようとして武器やアイテムを掴んでしまったりと,こちらは別の意味で慣れが必要そうだった。
ここまで2つのクラスについて大まかに紹介したが,先程もお伝えしたように,ここからさらにDPS,サポート,タンクの3つのロールを選ぶことになる。それら全てを詳しく紹介することはできないが,基本的にDPSはどちらのクラスも火力スキルが多めになっている。
そして,Blade Masterのサポートは味方へのバフを,タンクは敵からのヘイト稼ぎを得意としており,Essence Mageのサポートはヒールを担当しているようだ。Essence Mageのタンクは今回のプレイではよく分からなかったが,相手の攻撃をBlade Masterのようにガードできるスキルがあったので,ある程度近接でも戦えるロールとなっているのかもしれない。
クエストをこなしながら飛行やクライミングを駆使して世界を探索しよう
MMORPGの醍醐味の1つといえば,世界の探索だろう。本作には広い世界を探索するにあたって,大きな特徴となるシステムが存在する。飛行システムとクライミングシステムだ。その名の通り,このゲームでは滑空で移動したり,さまざまな場所を掴んで登ったりできる。クエストの行き先にもこれらのシステムを利用しなければ行けない場所が指定されることもあり,必須のテクニックとなっている。とはいえ操作方法は簡単で,空中で手を横に広げることで滑空,壁や柱などをグリップボタンで掴むことでクライミングだ。
また,序盤から受けられる反復クエストの1つに「Arama's Tears」という収集アイテムを探すものがある。このアイテムはマップの至るところに設置されており,場合によってはしっかりと探索しないと見つけられない場所に隠されている。そして,Arama's Tearsを一定数集めると,スタミナの最大値がアップするという大きな恩恵を受けられる。マップを探索することにメリットが用意されているので,寄り道する楽しみを心置きなく感じられるのはうれしいポイントだ。
本作は日本語に対応していないが,クエストの目的地は常に大きなエフェクトが表示されているため,それを頼りに進めることが可能だ。また,タスク一覧やジャーナルを見ることで文章としても確認できるので,簡単な英語さえ分かればほぼ問題なくクエストを進められるようになっている。
自らの手を動かして調理! 地味に楽しい料理システム
本作にはさまざまな材料を使った料理システムが用意されている。それ自体は別に珍しいものではないのだが,これはVRゲーム,調理も自らの手を動かして行うことになる。
例えば,最初に覚えている料理「クッキー」を作る手順は,まず牛乳を鍋に入れ火を付ける。鍋の下にあるつまみを正しい位置に調節すると,材料の1つが完成。次に砂糖をフライパンで炒めるのだが,この時にちゃんとフライパンをあおるように動かして,食材が焦げないようにしなければいけない。しばらく炒めると2つ目の材料が出来上がるので,それらを右にある機械に投入する。これでクッキーの完成だ。
料理によっては材料を切る必要があったり,切ったあとに調理する必要があったりと,手順はさまざまだ。料理を作るにはそれぞれのレシピを覚える必要があるようだが,序盤のレシピは料理システム用のNPCのクエストを受けることでもらえるようだ。
この料理システムが地味に面白く,ついついクエストそっちのけで料理に没頭してしまうことも。料理はさまざまなバフ効果を与えてくれるため,有用な料理は作りだめしておくといいだろう。
序盤に覚えておいたほうがいいこと
開始直後はチュートリアルとしてナビNPCがいろいろと教えてくれるのだが,全て英語なので,もれなく理解するのはちょっと大変だ。そこで本作をプレイするうえで序盤に知っておいたほうが良いと思われることをいくつか紹介しよう。
まず,敵との戦闘で死んでしまった場合だ。デスペナルティはぱっと見では無いようだが,復活するためのUIは出現しない。どうするのかというと,拝むように両手を合わせることで特定の位置にリスポーンできる。また,協力してくれるプレイヤーが近くにいるならば,死んだ場所に出現する紐のようなエフェクトにしばらく手を触れてもらうことで,その場で復活することも可能だ。
次にスキルの強化だ。少々分かりづらいが,本作のスキルは装備品のような扱いになっており,最初に覚えるのは“素”のスキルで,強化ができない。覚えているスキルと同じものを敵がドロップすることがあり,こちらは強化可能だ。
強化内容は,純粋に威力がアップしたり,クールタイムが短くなったりとさまざまで,どの強化が付くかはランダムなようだ。また,ドロップするスキルにもレア度があり,高レアなものほど強化の種類が多く付いている。
そして,スキルを装備した状態で経験値を得ると,装備したスキルがレベルアップしていき,強化に使用するポイントが得られるという仕組みになっている。この仕様を知らないと,強化できないスキルを使い続けることになってしまい,非常にもったいない。敵がスキルをドロップしたらすぐに付け替えよう。
最後にキャラクターの育成だ。クラス紹介の際,DPSやサポートといったロールは好きに変えられると書いたが,レベルはロールごとに別となっており,それぞれ育てないといけない。しかし,クエストの進行度はキャラクターで共通で,メインクエストなどは2度と受けられない仕様だ。
しかし,各エリアには敵が落とす収集アイテムを納品する反復クエストが存在する。こちらは何回クリアしても再度受けられるので,メインロールでアイテムを収集し,サブロールでクエストクリアすると,スムーズに育成できるだろう。
ゲームをしばらくプレイしてみた感想だが,本作は,至極まっとうなMMORPGを,見事にVR化した作品という印象を受けた。ロール分けされた戦闘や,マップを開拓する楽しさなど,MMORPGならではの魅力をVRという没入感ばっちりの環境で楽しむことができる。「ソードアート・オンライン」に影響を受けているというのも納得がいくクオリティだ。
まだアーリーアクセスタイトルということもあり,クラスの少なさやレベル上限の低さ(現在は40レベルとのこと),UIの未完成さは否めないが,すでに今後のロードマップが公開されており,2022年内にはハウジング機能や3つ目のクラス「Cyber Ninja」が登場,コンテンツも多数追加予定と,意欲的なアップデートが計画されているようだ。
VR専用かつ日本語未対応なので,プレイするハードルは決して低いとは言えないが,VR機器を所持している人は,遊んでみる価値のあるタイトルと言える。
なお,今回筆者はHTC ViveとMeta Quest 2にてプレイしてみたが,本作は比較的Quest向きに開発されているようだ。というのも,グリップボタンを多用する関係上,グリップボタンの使いやすさがそのままプレイしやすさにつながっているからだ。Viveのグリップボタンはあまり多用には向いていないので,やや操作難度が上がってしまっているように感じた。
また,Viveコントローラーは現在,デフォルト状態だと一部操作ができないというバグ(仕様?)があるが,設定の変更で対応できるので,プレイできないわけではない。
一方,Quest 2でのプレイはこれといって問題に感じる点はなかった。Viveでも慣れてしまえばそこまでプレイに支障はないが,両機種所持している人は,よほどのこだわりがない限りQuestでのプレイをおすすめしたい。
なお,Valve Indexでのプレイは未検証だが,Indexでプレイしている友人は特に問題を感じている様子はなかったので,Viveほどの懸念点はなさそうだ。Oculus Riftに関しても,コントローラの造形がQuestとそれほど変わらないので問題ないだろう。
「Zenith: The Last City」公式サイト
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