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印刷2022/12/15 08:00

プレイレポート

[プレイレポ]「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」は,クラシック音楽モチーフのキャラクターたちによる儚くも美しい物語

 DeNAとバンダイナムコフィルムワークスが手がけるスマホ向けRPG「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」iOS / Android)が2023年春にリリースされる。

 本作は楽譜(スコア)を身に宿し,音楽を力に変えて戦う兵器「ムジカート」たちの物語で,本稿は,12月15日から事前応募者限定で遊べるクローズドβテスト版を先んじて遊んだものだ。

 今回は事前プレイで感じたインプレッションをお伝えしていこう。

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「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」公式サイト


記憶喪失のコンダクター,「運命」に導かれ戦いの舞台へ


 舞台は西暦2067年の音楽が失われた世界。地球に降り注いだ黒い隕石「黒夜隕鉄」から生まれた異形の怪物「DespairDolls(通称,D2)」は,この地で破壊と殺戮の限りをつくしていた。

 D2殲滅と人類救済を目的とした組織「シンフォニカ」は,人間を素体にして作られた,音楽の名楽曲をその身に宿す対D2用兵器「ムジカート」を用いて人類を守護。各地に組織名と同じ名を冠する防衛施設を建設した。

 ある日,ムジカートの力を引き出す者たち「指揮者」(コンダクター)が不在のベルリン・シンフォニカにD2が侵入してしまう。これを討つべく,ムジカートの1人である「運命」は,音楽堂の地下に眠る指揮者「朝雛タクト」を呼び起こす。

かつて世界のために戦い続け,致命的な傷を負ったタクト。その傷を癒すために20年の眠りについたが,その弊害で記憶を失ってしまったようだ
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 「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」を起動して驚くのは,その美しさだ。主題とされている音楽はもちろん,ゲーム内画面を構成するモーショングラフィックス,キャラクタービジュアルのどれを取っても雰囲気が洗練されている。

キャラクターの育成画面。音の波形を思わせるグラフィックスが特徴的で,シンプルな画面構成が美しい
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 それもそのはず。主題歌には歌手の中島美嘉さんが,音楽には「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」のメインテーマ「命の灯火」で作編曲を務めた坂本英城氏が,キーピアニストはYouTubeでチャンネル登録数188万人を超えるまらしぃさんが務め,キャラクター原案は「テクノロイド」などの作品で知られるイラストレーターのLAM氏が担当するなど,著名人がこれでもかというほどてんこ盛りで投入されているのだ。
 さらに,原作は「サクラ大戦」で知られる広井王子氏が務めており,申し分なく重厚な世界観でのストーリーが体験できる。

 作中の音楽にはクラシックのアレンジ曲や,名曲のフレーズを散りばめた曲が使用されており,聞いたことのあるメロディに思わず耳を傾けてしまう。そして主役のムジカートたちも“クラシックの名曲をモチーフにデザイン”されている。「運命」「木星」「ワルキューレ」「カルメン」「ボレロ」と聞けば,同時に有名なフレーズが思い浮かぶのではないだろうか。そしてプレイヤーは朝雛タクトとして,彼女たちを指揮して,D2と戦うことになる。

タクトを呼び起こしたムジカートの「運命」。落ち着いた言動や立ち居振る舞いが印象的だが,意外にドジな一面もある
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無邪気な「きらきら星変奏曲」。星と本が大好きで,難しい本も好んで読む
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「木星」は快活で腕っぷしが強いムジカート。トレーニングルームでの自主訓練を怠らない
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みんなのお姉さんポジションの「カルメン」。難民キャンプの子どもに踊りを教えるなど面倒見のいい性格
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「ワルキューレ」は真面目で頑固な性格のムジカート。過去の出来事からタクトには強い嫌悪感を抱いている
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「人間を素体に生み出された兵器」という設定の彼女たちは,少女の姿形をしていながら,どこか人間離れした無機質な美しさがある
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人類の存亡をかけた死闘が繰り広げられる世界の緊張感と,兵器として生まれたムジカートたちとのやり取りが印象的なストーリーだ
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「スキルポジション」が勝利のカギとなる戦闘パート


 ホーム画面は“フィールド型のベルリン・シンフォニカ内部”となっており,ストーリー中の会話・戦闘以外ではタクトを操作し,自由に歩き回って探索することができる。またクエストもフィールド探索型であり,移動中に敵に接触するとバトルが始まる。

 戦闘はシンプルなコマンド選択型バトルを採用しており,最大4人のムジカートで組んだパーティで戦う。パーティには「ポジション」が存在し,左側2人が前衛,右側2人が後衛となっている。
 本作の特徴として「スキルポジション」というものがあり,前衛でしか発動できないスキル,後衛でしか発動できないスキルが存在する。さらに,攻撃可能な敵側のポジションも決まっているため,好きな位置の敵を好きな時に攻撃できるわけではないのだ。

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 スキルには敵のポジションを移動させるスキルもあるため,後衛の厄介な敵を無理やり前衛に引き出すなどの工夫が求められる。全体攻撃スキルもあるので場面によって使い分ける必要があるだろう。なお,通常攻撃は一番前のポジションの敵しか狙うことができない。代わりに,1番手前の敵を倒したら,2番目のポジションの敵,その次は3番目,といった風に,順番にはなってしまうが最後衛まで狙うことは可能だ。

スキルポジションは,戦闘画面でムジカートを長押しした時に表示されるスキルの詳細画面で確認できる
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敵のポジションを移動できるカルメンのスキル
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 また,コマンド欄に色のついたスキルを使用すると,各色に対応した必殺技アイコン「エフェクトコード」が蓄積され,より威力の高い攻撃「ミュージカルエフェクト」が発動できるようになる。発動した際は,ムジカートのモチーフになっている楽曲も流れてくる。

画面上部の棒状のアイコンがエフェクトコードだ。画像では赤が3つ青が1つたまっている
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運命のミュージカルエフェクト。発動の際には有名な「ダダダダーン」のフレーズが流れる
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シンフォニカ内を自由に探索


 シンフォニカ内部には,ムジカートたちが常駐しており,話しかけてお茶に誘ったり,プレゼントを渡して親睦を深めたり,ムータカード(ババ抜き)を一緒に遊んだりできるほか,ムジカートごとに用意された特別なエピソードも楽しめる。

 また,フィールド上には「読譜の間」(ガチャ)をはじめ,自主訓練・定期指令の課題に挑戦することで育成素材などを得られる「トレーニングルーム」や,ムジカートをティーブレイクに誘うために必要なドリンクを作れる食堂などが備わっている。
 各種機能には,画面右上のメニューアイコンをタップすることでアクセスすることも可能だ。

シンフォニカ内のBGMを好きな曲に変更できる,「ジュークボックス」も設置されている
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ムータカードやドリンクづくりのようなミニゲームも楽しめる
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 本作に触れてみたところ,音楽や美術や映像などから繊細なこだわりが感じられ,ひとつの彫刻作品を手に取ったときのような感覚を覚えた。ただ美しいだけでなく,記憶を失った主人公が,新たにムジカートとの関係を構築しつつ,目の前の人間を救おうとまい進する物語も興味をそそる。未視聴で恐縮だが,本作には関連作品として,2021年放送のアニメ「takt op.Destiny」が存在する。これを視聴すれば,さらに世界観を堪能できるのかもしれない。
 メインストーリーだけでなく,ムジカートごとに用意された特別なエピソードも,ひとつひとつ見ごたえがあり,ティーブレイク中に話題となるたくさんのキーワードも用意されている。読み物として十分なボリュームがあるゲームだ。
 バトルも手ごたえの感じられる難度で,育成のための自主訓練では仕掛けを解いて進んでいくダンジョンのような要素も見られた。こういったミニゲームなども含めて遊びが豊富で,ひとつの作品としての完成度がうかがえる。

 冒頭で書いた通り,本作は2023年春のリリースが予定されている。今後は公式サイトやTwitterでの情報をチェックしつつ,指揮者としての目覚めを待とう。


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