プレイレポート
「BLUE REFLECTION TIE/帝」序盤のプレイレポートをお届け。RPGとして遊び応えがあるシステムと,少女たちの内面を描く物語に注目
儚げで生々しい少女たちの青春群像
本作は,2017年に発売された「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」(PS4/Vita/PC)に続く,シリーズ最新作だ。「BLUE REFLECTION」は2021年にリブートしており,アニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」,スマートフォン/PC用の「BLUE REFLECTION SUN/燦」,家庭用ゲーム機/PC用の「BLUE REFLECTION TIE/帝」の3作品で展開されている。
今回プレイできたのは,そんな「BLUE REFLECTION TIE/帝」の序盤である第0章〜第2章となる。
本作の主人公である星崎愛央は,平凡な自分自身と代わり映えのない日常に退屈している少女だ。ある夏の日,補習を受けに学校に向かった愛央は奇妙な世界に迷い込んでしまう。そこは真夏の景色に広がる水面に学校の校舎がポツンと建つ,現実離れした空間。学校には優しい靭 こころ,ムードメーカーの金城勇希,自分にも他人にも厳しい宮内伶那という,記憶を失った3人の少女がいて,日々を静かに暮らしていた。
奇妙な境遇に疑問を抱くこともなかった3人だが,愛央が「元の世界に戻りたい」と働きかけたことから,学校を拠点に世界を探索し始める。その舞台となるのは,学校のそばに突如出現した不思議な場所「ココロトープ」だ。現代日本を思わせる事物が浮かぶ心象風景のようなこの空間では,謎のモンスターが襲いかかってくる。愛央たちは「リフレクター」に変身し,想いを具現化した武器で戦っていく……というのが,本作のあらすじとなる。
「BLUE REFLECTION」シリーズといえば,岸田メル氏が描く少女たちが大きな魅力だが,本作ではグラフィックスも強化されている。少女たちは透明感に溢れており,抜けるような夏の青空と物憂げな光線と合わさって,儚げにも生々しくも見える。キリリと引き締まった顔で真面目な話をしていたかと思えば,瞳孔の開いた目で妙なこだわりを力説する萌えマンガ的シーンもあるなど,表情は豊かだ。瞳にイラストのテイストが再現されているのも印象的で,岸田氏のファンにはたまらないものがあるのではないだろうか。
そんな彼女たちが,ほかに人のいないポストアポカリプスを思わせる世界で,明るく日々を過ごす。今日の献立に頭を悩ませ,力を合わせて雨漏りを修理し,学校を“魔改造”するなど,寮生活や夏のキャンプのようでもある。こうした奮闘はゲーム内のクエストとして表現されており,孤島の学校が充実していく様に,軽い無人島ものジュブナイル的なテイストが感じられて面白い。
ゲームはこの世界の新参者である愛央の視点で進んでいく。こころ,勇希,伶那,詩帆はいずれも本作が初登場なため,何者なのかまったく分からない状態からのスタートとなるが,イベントや会話を通じて彼女らの人となりや過去が明らかになっていく。どこまでも前向きで,平凡な自分を変えたいと願う愛央。皆に優しいが,とある過去がその心に陰を落とすこころ。明るさとユーモアで場を和ませるが,自分だけリフレクターに変身できないことを気に病む勇希。共同生活を引き締めるため皆に厳しく接するが,その実は誰よりも仲間を思っている伶那。生真面目で模範的な学生ではあるが,そうした自分に窮屈さも覚えている詩帆……と,少女たちは複雑で人間臭い内面を持っており,探索を経てどう変化していくのか楽しみになる。
特に注目したいのが「デート」イベントで,条件が揃えば愛央と誰かの2人で学校内を散策し,少し踏み込んだところまで内面を知ることができる。例えば伶那は皆の生活態度を厳しく戒め,孤島のような学校でも勉強会を開く優等生的な人物だが,デートイベントではなぜかオタク趣味のガレージキットに詳しい一面が見られたりするため,キャラクターたちの内面をもっと知りたくなってくる。互いの親密度が上がると,散策中にいろいろと会話を交わしたり,手をつないだりするようになるそうだが,今回のテストプレイの範囲ではそこまで体験することができなかったので,こちらも製品版が待ち遠しい。
リアルタイム式のスリルと,コマンド選択式の戦術性が同時に楽しめるバトル
皆が探索するココロトープは不思議な場所だ。途中で途切れた線路,同じ喫茶店の看板が大量にかかったビル街,無数の行灯が支えもなく浮かぶお寺など,見慣れた事物がありえない形で組み合わさっており,まるで夢の中のよう。電線に掴まって川の上を渡ったり,細い梁を平均台のように歩いたり,建物の軒下をはって見張りのモンスターを避けたりとアスレチック的なアクションがアクセントになっている。
電線を伝って綱渡りのように進む |
建物の軒下を進めば,モンスターに見つからずに済む |
ココロトープにはモンスターがうろついており,視界内に入ると襲いかかってくる。戦闘はリアルタイム進行+コマンド選択式のハイブリッド型とでも言えるスタイルだ。
時間の経過とともに,スキルを使うために必要な「エーテルポイント(EP)」が3人それぞれに蓄積され,必要量に達したのを見計らって戦闘メンバー3人に割り振られたボタン([L2][○][R2])を押せば,時間が止まってコマンドを選択できる。戦闘メンバーは攻撃や回復といったすべての行動でエーテルを必要とするため,この管理が重要だ。
もちろん敵もリアルタイムにエーテルを蓄積し,こちらに攻撃してくる。中には危険な「強攻撃」もあり,これが放たれる前に防御や回復のスキルで臨機応変に対応しなければならない。そのためには,エーテルが溜まってもあえて使わず,対応用に取っておくような戦術も必要なのが面白い。
敵味方のエーテルがどれ位蓄積されているかは,画面右下の「タイムライン」で分かるが,これがドキドキを掻き立ててくれる。例えば,手ごわいボスとの戦いで,仲間のHPが減って危険な状況では「敵より早くこちらのエーテルが溜まって,回復スキルが間に合いますように……」と見守ることになるわけで,なかなかスリリングだ。
本作のバトルは尻上がりに派手になっていく。スキルを使うごとに味方の「エーテル回復速度(エーテルが増えていくスピード)」が上昇し,これが一定値に達すると「ギア」が上がって,より多くのエーテルを溜められるようになるからだ。最初はスキル1つを使う1000ポイントしかエーテルを溜められなかったものが,ギアが上がれば上限が2000,3000となり,1000ポイントのスキルなら一気に2つ3つを同時発動できるようになる。つまりは,コマンド選択式RPGの華である2回行動や3回行動がゲーム序盤から楽しめるということ。仲間を回復しつつ敵を攻撃したり,特定属性への耐性を下げるスキルと同時にその属性で攻撃するスキルを使ったり……と縦横無尽に活躍できて爽快だ。
ギアが3になった者はリフレクターに変身し,より強力なスキルが使えるようになる。変身前はボスの強さにビビっていたが,変身すると上昇したエーテル回復速度と強力なスキルで余裕になっていた,なんてこともあるのが面白い。
リアルタイムでの判断がより重要になるのが「インファイトバトル」だ。強敵が張り巡らせるバリアを破壊すると,仲間と強敵が1対1でやり合う特殊なインファイトバトルに突入する。
ここでは,リアルタイムで時間が流れる中,「攻撃」「補助」「回避」「カウンター」コマンドで敵と戦うことになる。コマンドは一度使うと再使用に時間がかかるため,無駄打ちは厳禁だ。
インファイトバトルで重要になるのが,回避とカウンターのコマンド。敵の攻撃に合わせて使えば,これを避けたり迎撃したりできるが,タイミングがややシビアなため,敵のタイムラインや動きをしっかり見て使わなければならないし,下手に空振りすると肝心なときに使えないということが起こる。時間が止まらない分,通常モードよりも難度は高いが,うまく回避やカウンターが決まると殺陣を見ているような気分になる。
ココロトープの探索を通じて,さまざまな素材を入手できる。これを使って行えるのが,学校の“魔改造”だ。拠点となる学校では,いろいろな施設を作れる。例えば,今回は「海の家」を作ってみたのだが,学校の中庭に「かき氷」の幟はためく海の家が建ち,皆が焼きそばやかき氷を食べたりするあたりが,なんとも文化祭的なシュールさがある。海の家にはこの世界が持つ不思議な力でなぜか食材が揃っているという,大変都合の良い設定だ。今後も,プールを温泉にしたり,中庭に南国気分なビーチパラソルを設置したりと,子どもの夢のような魔改造が揃っているようで,学校がどれだけヘンな場所になるかが気になってくる。
儚げでいて人間臭い少女たちの日常や,敵が強いほど楽しさが増すバトル,ユーモラスな学校開発など,前作以上に物語とシステムの両面で面白くなっていきそうだ。10月21日の発売を楽しみに待ちたい。
8月9日には,実機プレイを初公開する生放送も用意されているので,動いているところが早くみたい人はチェックしてみよう。
「BLUE REFLECTION TIE/帝」公式サイト
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