プレイレポート
懐かしい液晶ゲーム機を画面の中に再現した「ピクセルパズル&ウォッチコレクション」を紹介。実物を触っている気分になれる演出にも注目
昔懐かしいモノクロ液晶画面の携帯ゲーム機をオマージュし,3種類の手軽に遊べるロジックパズルを収録した本作。液晶ゲーム機をリアルタイムで触ったことのあるオールドゲーマーから,ヴィンテージアイテムとして知っている若い世代まで,当時の雰囲気を味わいながらパズルを楽しめる内容となっている。本稿ではゲームの内容を紹介していこう。
自宅のテレビにつないで遊ぶ,いわゆる「家庭用ゲーム機」が台頭する少し前,1970年代から1980年代中盤ぐらいにかけて,携帯型あるいは卓上型のゲーム機が子供たちの間で流行した。「液晶ゲーム」や「電子ゲーム」「LSIゲーム」などと呼ばれていたこれらは,電卓などに使われていた液晶や蛍光管の画面を搭載し,電子制御によってゲームを楽しめるおもちゃである。
設計上その内容は簡素なものがほとんどだったが,当時はまだゲームセンターでしか遊べなかったビデオゲームの雰囲気を自宅で楽しめ,ほかのおもちゃよりも高級だったことから憧れの対象でもあった。筆者を含む当時の子供は,誕生日やクリスマスにねだったものである。
本作からは当時の液晶ゲーム機へのオマージュが感じられる。中央のモノクロ液晶画面とメタリックカラーで彩られた外枠,操作用とゲームセレクト用のそれぞれのボタンが配置され,さらに時計機能まで備わっているところなど,こだわりが感じられる。
本作では収録された3つのゲームをそれぞれ初めてプレイするときに,箱を開けて中身を取り出す演出が入っているのが大きなポイントだ。今で言う「開封の儀」的な演出だが,子供のころにこういったゲーム機を買ってもらって,家に帰るのを待ちきれずに電車の中で開けたときのことを思い出させてくれた。細かい話だが,箱を開けると説明書と本体のほかに,注意書きの紙や電池蓋を止めるシールらしきものまで出てくるのは,“分かっている”仕様だと思った。
もう1つ特筆すべきは,本作がタッチ操作とジャイロ操作に対応しているということだ。ゲーム選択後,ボタンが常に画面に表示されているので,それにタッチすることで操作するわけだが,Joy-Conを外してプレイすれば,写真のように当時の雰囲気だけでも味わえる仕組みだ。
そしてジャイロ機能は,意外な演出のために活用されている。筆者はプレイ前に「このゲームにジャイロをどう使うんだ!?」と思ったのだが,ジャイロをオンにした状態でJoy-Conやコントローラを傾けると,なんと画面に映った本体表面の反射エフェクトの色が変わるのである。想像もしなかった演出に思わず笑ってしまったのだが,雰囲気を大事にする本作らしい演出でもあった。
さて本題となるゲームだが,こちらも当時のゲーム機を強く意識した内容となっている。画面内に存在するゲーム機の画面はモノクロの液晶風で,これが単なる見た目だけでなく,実物の液晶ゲーム機と同様に規定のパターンを点灯・消灯して表示する仕組みとなっているのが面白い。
なお収録された3種類のゲームにはそれぞれ「GAME A」と「GAME B」の2つのモードがあり,異なるルールでプレイできるようになっている。
黄色い本体カラーの「Piczle Cross」は,いわゆるお絵かきロジックで,上と左に表示された数字のヒントを元に10×10のマス目を埋めていくもの。数字は縦横の塗りつぶすべきマスの数で,正しくマスを塗りつぶすことができれば何かの絵柄が完成する仕組みだ。「GAME A」は間違ったところでボタンを押してしまうとミスになり,3回ミスをするとゲームオーバーになる。塗りつぶさないと判断した場所に置く「×」の位置を間違ってもミスになってしまうので,注意が必要だ。一方「GAME B」はミスのルールがなく,自由にプレイできる。
問題はAとBで100問ずつあり,クリア時にはタイムが記録されるようになっている。
続いて赤いカラーの「Piczle Pattern」は,カーソルを動かして5×5のマスをすべて黒に塗りつぶすゲームだ。ボタンを押すとカーソル内の白が黒に,黒が白になるわけだが,カーソルが十字の形をしているので簡単にはいかない。「GAME A」はすべてのマスが白い状態から始められるモードで,クリアパターンを探しつつ,その手数を減らしていく楽しみ方となる。「GAME B」は毎回ランダムでパターンが表示され,それをすべて黒にするルールだ。
最後に黄色いカラーの「Piczle Loops」は,6×6のマスの中に表示された数字をヒントに,罫線上にループするラインを引いていくというルールのゲームだ。数字はマスの四辺にラインが何か所接触するかを表していて,その数字に則って正しいラインを引くことができればクリアとなる。「GAME A」と「GAME B」の違いは難度で,それぞれ36パターンの問題が用意されている。
各ゲームの問題数はそれほど多くないものの,800円という価格を考えれば妥当な内容で,昭和の液晶ゲーム機を思い出させてくれるネタ的な面白さも十分に備えたタイトルだ。演出によって“ゲームの中に本体がある”という感覚が面白く,実物を触っているような気分になれるこだわりのデザインも,この手のゲーム機が好きな筆者にとっては魅力的であった。
価格が安く,データサイズも小さめなので,Switchの片隅に入れておける可愛い1本として楽しんでみてはいかがだろうか。
「ピクセルパズル&ウォッチコレクション」公式サイト
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