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[GDC 2024]「Marvel's Spider-Man 2」でマイルズやヘイリーの手話コミュニケーションはどう作られた?
「Animation Summit: Thwips and Hugs: The Animation of 'Marvel's Spider-Man 2'」というプログラムでは,本作の開発会社であるInsomniac Gamesのアニメーションチームによる講演が行われた。そのなかからひとつ,ASL(=American Sign Language。アメリカ手話のこと)のアニメーションの知見が語られたプレゼンテーションをレポートしよう。
Associate Animation DirectorのLindsay Thompson氏は,メインストーリーのシネマティクスを担当するなかで,聴覚障害者のキャラクターやASLを正確に表現するためのロジスティックスに向き合うことになった。
ASLの仕事をするための重要な柱となるのが,ASLのコンサルタントと通訳だ。本作の現場に参加することになったのが,Jules氏とJosh氏。両者ともに聴覚障害者であり,ASLを救い,知見を与え,相談できる場所となるべく,エンターテイメントの世界に従事している。
台本や通訳の伝え方,舞台上での確認,手話が正しいかのチェックといった業務はもちろん,聴覚障害者に関するいろいろな質問に答えてくれる優秀な人物だ。
モーションキャプチャの現場では,対象のキャラクターに聴覚障害者のキャストが入った。それぞれに通訳がつき,ほかのキャストと一緒に台本を解釈したり,手話パフォーマンスの計画を立てたりする。
手話パフォーマンスで難しいのが,手話のうまさだ。Marvel's Spider-Man 2の物語には,流暢にサインを送るヘイリーもいれば,一生懸命に勉強中の人,手話を学び始めたばかりの人など,いろいろな段階の人物が登場する。したがって,どの程度うまくやるか,あるいはぎこちなくするかの演技プランが難しいのだ。
また,より長く複雑な会話では,すべての動きが正確であることを求められるため,そういう場面はデッキパフォーマーを頼ったという。
そして,何より難しかったのは,複雑な動きをする指のキャプチャだ。指の動きをあとからキーフレーム化するために,より正確なデータでスタートできるよう,照準俳優にマーカーを追加するといった工夫も行われた。実際にデータを取り込むときは,腕と手の動きをあとから合成することもあるという。
Thompson氏は,彼らとの出会いや協業から多くのインスピレーションをもらい,またそれは,本作の主要キャラクターであるヘイリーへのさらなる理解につながったと話す。
彼らは感情や声に関する物語を解釈するユニークな方法をもっている。実際に,主要人物である聴覚障害者をテキスト会話のあるキャラクターとしてに登場させる今回の取り組みは,開発陣にとっても実にユニークな体験を作り上げる結果となったようだ。
「Marvel's Spider-Man 2」公式サイト
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