［gamescom］「MARVEL SNAP」を何十年も続くゲームに。Second DinnerのBen Brode氏にサービスの状況や展望を聞いてみた

　ドイツで2023年8月23日から27日まで開催されていた「gamescom」では，「MARVEL SNAP」の特設ブースが出展されていた。


　MARVEL SNAPは，12枚のカードで構成されるデッキを使って，3つのロケーションを奪い合う対戦型カードゲームだ。ゲームごとに変化するロケーション効果を活用した戦略や，賭けるコズミックキューブを倍にできる「SNAP」の仕掛けどころなどが特徴となっている。

　サービスは2022年の10月に始まっていたが，8月23日にPC版が正式にリリースされた。これまでもPCで遊べたものの，スマホ版（iOS / Android）と同じ縦長画面をPCで動作させるというものだった。晴れて正式リリースとなったPC版は，UIが最適化され，より遊びやすくなっている。


　会場には試遊台やデビルダイナソーの巨大オブジェなどが用意され，多くのファン達がゲームや写真撮影を行っていた。そんなMARVEL SNAPのブースには，本作の開発元であるSecond Dinnerの創業者であり，クリエイティブチームを統括するBen Brode氏も訪れていたため，gamescomの印象などを聞いてみた。

4Gamer：
　よろしくお願いします。早速ですが，このタイミングでgamescomに出展した理由を教えてください。

Ben Brode氏（以下，Brode氏）：
　PC版の正式ローンチが重なったというのが一番の理由です。私たちにとってPC版のローンチは大きな目標でした。実際にPC版の出来はものすごく良いと感じているので，これをいち早くファンと共有し，その反応を見たかったからです。

4Gamer：
　なるほど。実際のところMARVEL SNAPのビジネスに手応えは感じていますか？

Brode氏：
　素晴らしいといえますね。むしろできすぎというか。PC版も正式リリースしましたし，ワイドスクリーンでプレイした人達も増え，これからさらに盛り上がっていくと思いますよ。

4Gamer：
　サービスイン前の予測よりもうまくいっているという感じでしょうか。

Brode氏：
　正直，これほど評価を受けるとは思っていませんでした。本当に多くの人達がゲームを楽しんでくれていて，ありがたいことに多くの賞も受賞しました。


4Gamer：
　スマホ版は1年近くサービスが続いていますが，どこの国のプレイヤーが多いのでしょうか。

Brode氏：
　それははっきりとしたデータを持っていないんですよ。

4Gamer：
　やっぱりアメリカですかね。

Brode氏：
　どうでしょうね，そうかもしれません。

4Gamer：
　日本のプレイヤーは想定したよりも多いと思いますか？

Brode氏：
　あくまでも体感ですが，日本のプレイヤーには楽しんでもらえていると思います。日本はカードゲームの文化が根付いている国ですので，そこでプレイしてもらえているのはとても嬉しいですね。

4Gamer：
　国や地域で好まれるカードやデッキの差なども聞きたかったですが，そういったデータはないんですよね？

Brode氏：
　とても良い質問なので答えたいところなですが，MARVEL SNAPはグローバルに展開しており，そこまで細かなデータは分からないんですよ。

4Gamer：
　なるほど。では，国や地域という話から急に範囲が狭くなって恐縮ですが，私はセラ・コントロールデッキを使うことが多いです。

Brode氏：
　おお，いいですね。


4Gamer：
　もちろんほかのデッキを使うこともありますが，ランク80あたりからインフィニティ（ランク100）に到達するあたりでは，一番頼りになると思っています。

Brode氏：
　それはなぜですか？

4Gamer：
　相性の悪いデッキの数が少なく，相手のデッキによって対処方法を変えられるので，なんだかんだで勝率が高いと思っています。Brodeさんはどんなデッキを使っていますか？

Brode氏：
　私は以前，プロフェッサーXを軸にしたロックダウンデッキでしたね。ですが，スパイダーマンの能力が変更されたときにやめました。今はシルバーサーファーデッキです。

4Gamer：
　確かにスパイダーマンの能力が修正される前のロックダウンデッキは強力でした。しかも，やられたほうはちょっとイラっとします。

Brode氏：
　そうですね。強いうえに対戦相手に不快感を与えてしまっている側面があったので，スパイダーマンの能力を大胆に変更しました。今の能力のほうがスパイダーマンっぽいですし。


4Gamer：
　そういったプレイヤーの声を受けてバランス調整を行っているんですね。では，今のMARVEL SNAPで最大の課題は何だと思っていますか。

Brode氏：
　私たちは今，興味深いフェーズにいます。コンクエストモードを実装したばかりですし（関連記事），PC版も正式ローンチしました。今の段階でプレイヤーが本当に求めているものは何かを適切に判断し，それを迅速に提供することが一番重要だと考えています。
　ですから，ゲームを常に新鮮でエキサイティングな状態に保つ，それが私たちの最大の挑戦でしょうね。

4Gamer：
　コンクエストモードの実装はかなり大きな変化でした。実際のところ評判はどうでしょう？

Brode氏：
　コンクエストモードの評判も良く，私たちも楽しいと思っています。とくにシーズンの最後の週は盛り上がりますね。インフィニティランクに到達したプレイヤーの新しい挑戦の場としても機能していると思います。

4Gamer：
　確かに最終週は盛り上がりますね。


Brode氏：
　ええ，コンクエストモードを完了できるかどうかを見守る実況配信も盛況で，エキサイティングな場面を作りだしています。

4Gamer：
　そんなコンクエストモードを改良する予定などはありますか？

Brode氏：
　コンクエストモードは，MARVEL SNAPにとって最初の大規模な追加アップデートだったといえるでしょう。そこから学ぶことは多く，その報酬について実験をしている段階です。そして，コンクエストモードを改良するのか，次のゲームモードにコンクエストモードで学んだことを活かすのか，とても多くの可能性が考えられます。

　MARVEL SNAPはまだ長い道のりの途中で，追加する内容はたくさんあります。今後も学びつつ，本当にエキサイティングなものを追加していきたいと思います。

4Gamer：
　では，個人的に興味があることを聞かせてください。MARVEL SNAPのランクマッチで最高ランクとなるインフィニティに到達する人は，毎シーズンどれくらいの割合でいるのでしょうか？

Brode氏：
　明確な割合はいえませんが，ものすごく少ないですね。というのも，インフィニティに到達する人は少なくなるように，意図的に調整しているからです。インフィニティは，世界で最も優れたプレイヤーの一人である証となるべきですからね。

4Gamer：
　調整というのはどんなことをしているんですか。

Brode氏：
　私たちは各ランクのプレイヤー数を均等にしようと思っています。ですので，ランクアップに必要なキューブ数を変更したり，新しいティアにランクアップする条件を緩和したりして調整しています。いずれにしろ，インフィニティに到達する人はかなり少ないですね。そしてそれは私たちの意図通りです。

4Gamer：
　なるほど，私はここ数か月，毎シーズンでインフィニティに到達していたので，インフィニティに到達する人はけっこう多いのかと思ってました。ランクが上がりやすくなりましたし。

Brode氏：
　それは凄い！　さっきも言ったとおり，なかな到達できないですよ。私なんか，だいたい60〜70ぐらいですから。

4Gamer：
　では，インフィニティランクに到達した人に向けて，さらに上のランクを用意するといった計画はありますか。

Brode氏：
　その議論はスタジオでも何回が話題にあがりました。確定はしていませんが，自分が世界で何番目のプレイヤーかが分かるような仕組みは入れたいですね。


4Gamer：
　それがあればインフィニティに到達したあともプレイするモチベーションを維持できそうです。では，そのほかに計画中のアップデートなどはありますか。

Brode氏：
　ここで先に漏らすわけにはいかないので，具体的なことはいえませんが，十年単位でサービスが続いているゲームを見ると，プレイヤーが楽しんでいる内容に変化があります。最も楽しいゲームモードがローンチから10年経って発見されるなんていうこともあります。

　私はMARVEL SNAPが何十年も続くゲームだと思っているので，新しいエキサイティングなものを追加し，何が定着し，何が本当に楽しまれているのかを見つけ出すために実験し続けます。ですので、私たちが仕掛ける実験や，新しいアイデアを期待してください。その中にはうまくいくものもあれば，うまくいかないものもあるでしょう。ですが，新しいことを実験して試して，プレイヤー楽しめるものを提供しつづけます。

4Gamer：
　なるほど。期待しています。では最後に，日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。

Brode氏：
　MARVEL SNAPを受け入れてくれて本当にありがとうございます。日本のコミュニティがゲームのためにどれだけのことをしてくれたかを見るのは，本当に嬉しいです。これからも楽しんでください。

4Gamer：
　ありがとうございました。

Second Dinnerの創業者であり，クリエイティブチームを統括するBen Brode氏

「MARVEL SNAP」公式サイト

「MARVEL SNAP」ダウンロードページ

「MARVEL SNAP」ダウンロードページ

「gamescom」公式サイト

4Gamerの「gamescom 2023」関連記事