インタビュー
[TGS2023]ファンタジー世界のシミュレータを目指して――「ドラゴンズドグマ 2」開発者インタビュー
今回話を聞いたのは,プロデューサーの平林良章氏とディレクターの伊津野英昭氏の2人。物理演算による直感的な遊びや,主人公の「覚者」とNPCの「ポーン」のゆるやかなつながりなど,本作が目指すところについて聞いた。
「ドラゴンズドグマ 2」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「ドラゴンズドグマ」ファンにとっては待望の続編ですが,制作が発表されてからの反響はいかがでしょうか。
平林良章氏(以下,平林氏):
国内外問わず,大きな反響をいただいています。「ドラゴンズドグマらしさが感じられる」という好意的なお声も多く,皆さんが「ドラゴンズドグマ」の続編に期待していたことを感じていますね。
4Gamer:
開発はどれくらい前から始まっていたのでしょうか。
伊津野英昭氏(以下,伊津野氏):
「デビル メイ クライ 5」の発売直後からチーム作りを始めています。
4Gamer:
今回出展されている「Exhibition Version」をプレイしましたが,「ドラゴンズドグマ」らしいプレイ感を楽しめて,かなりいい感触を得られました。
伊津野氏:
「ドラゴンズドグマ」は我々にとって初のオープンワールドRPGでした。やり残したことや,「取り組んでみたはいいが,思い通りの成果が出なかった」という部分もあり,それらに変化を与えています。
例えばクエストにしても,開発時点では「とにかく数があったほうがいい」と考えていましたが,いざ遊び込んでみると「数を多く作るよりも,作り込みにこだわったほうがいい」という結論に至ったこともありました。
それらの意識をシフトして「2」の開発に臨んだわけです。また,「ドラゴンズドグマ」の発売後はボリューム不足をご指摘いただいたことも多かったこともあり,今回はできるだけ体験の密度を上げてあります。
4Gamer:
シリーズの特徴であるポーン※にはどのような変化を加えましたか。
※ポーン:主人公である覚者を助けるNPC。容姿の設定や育成など,プレイヤーの好みを色濃く反映できる。ほかのプレイヤーと貸し借りすることができ,ポーンを通して相手の人となりが見えてくるようなことも
伊津野氏:
ポーンが持つ「1人でもわずわしいことがなく,皆で冒険している感覚を楽しめる」部分を強化しました。どんな相手と冒険したいかは人によって違うと思います。
「ゲームを先にプレイしている友達が,いい感じにアドバイスしてくれる」というスタンスがいい人がいれば,「面倒な部分を全部かわりにやってくれる部活の後輩」的な相手がほしい人などさまざまですが,それらの要望に応えられるよう時間を掛けて,しっかり作り込んでいます。
4Gamer:
1人でも皆で冒険している感覚を楽しめる。「ドラゴンズドグマ」の良さはしっかりと受け継がれているわけですね。
伊津野氏:
その通りです。本作でもほかのプレイヤーとポーンの貸し借りができますが,そのうえで,ポーンを育てたプレイヤーごとの思いがしっかり出るよう,性格ごとに行動の違いなどを明確化にしています。
また,本作では最大3人のポーンを連れ歩けますが,覚者がダウンや息切れしている時もそれぞれ行動が違いますし,命令に対する反応も変わってきます。状況に応じてポーンが何をするかにも,育てた人の好みや方針が大きく出るようになっているわけです。
4Gamer:
ポーンへの愛着がより深くなりそうです。
伊津野氏:
性格が違う3人の友達と一緒にいるような感じにしたいんです。「ドラゴンズドグマ」でポーンを借りた方は「親(覚者)の顔を見たい」という思いを抱いてこられましたが,「ドラゴンズドグマ 2」ではこうした思いがより深くなるようにしています。
4Gamer:
戦闘面での変化について聞かせてください。
伊津野氏:
魔物の身体をつかんだ状態から押し引きができるようになり,体勢を変化させたり崩したりできます。つかめるのは魔物に限りませんので,いろいろと探して見つけてほしいですね。
4Gamer:
今回は物理演算による遊びがアナウンスされていました。直感的にできそうなことが実現できるということでしょうか。
伊津野氏:
ええ。前作から物理演算を強化し,「できそうなことを試してみたら,ちゃんとできた!」という体験をできるだけ多く実現できるようにしました。
例えば,モンスターの身体をつかんでよじ登った際も,その面が地面と平行であれば立つことができます。立っているので,つかんだ状態では使えなかった「カスタムスキル」も自由に使えますし,つかんでいる間に消耗したスタミナも回復しますが,大きく動くとバランスを崩して落ちてしまいます。
また,岩をつかんで魔物に投げつけるにしても,頭や胴体などどこに当てるかで体勢の崩しやすさが変わります。身体の中心に当てるよりも末端に当てたほうが体制を崩せそうと考えると思いますが,そういった常識が通用するわけです。
平林氏:
ゲームの中身の質を見直し,今使える最新の技術と情報量を詰め込んでいったのが「ドラゴンズドグマ 2」です。伊津野が挙げた例ですと,バランスや体幹という概念を実現するために物理演算の精度を上げた,ということですね。
「坂の上に巨躯のサイクロプスが立っていたとしたら,坂の上と下,どちらから攻撃すれば崩しやすいか? 飛びついたらどうなるか?」という自然な想像の結果がしっかりと表現できるシステムになっている訳です。
伊津野氏:
結果としてファンタジー世界のシミュレータになればいいなと。アクションにしても,NPCとの人間関係にしても,この世界に生きている僕らが,自分たちの常識のまま「ドラゴンズドグマ 2」の世界に飛び込んでも,なんとかなりそうなものにしたいと考えています。
4Gamer:
ジョブに関してはいかがでしょうか。
伊津野氏:
すべてのジョブを0から見直しています。例えば前作の「ストライダー」は遠距離も近距離もこなせてしまうため,特性付けが難しく,プレイヤーがどのレンジで戦えばいいのか迷うことがありました。
「ドラゴンズドグマ 2」では遠距離に強い「アーチャー」と,近距離に強い「シーフ」というジョブを作り,それぞれの得意距離をハッキリさせています。
4Gamer:
今回の出展バージョンには,ファイター,アーチャー,シーフが登場しましたが,ほかにはどんなジョブが存在しているのでしょうか。
伊津野氏:
話せる範囲ですと「魔剣士」でしょうか。両方に刃が付いたナギナタ状の「魔槍剣」と魔法を駆使して戦います。剣と魔法を使い,アクションの巧みさに特化したジョブになっていますので,楽しみにしていてください。
あとは前作で大人気だった「マジックアーチャー」は今回も登場します。我々としてもリストラする選択はありませんでしたが,カプコン社内でも「マジックアーチャーは絶対に外さないでくれ!」という意見が多く出ていました(笑)。
平林氏:
魔剣士とマジックアーチャーは覚者専用のジョブとなります。
4Gamer:
「ドラゴンズドグマ オンライン」から継承された要素はありますか、
平林氏:
「ドラゴンズドグマ 2」は「ドラゴンズドグマ」の正統続編です。「揺さぶり」など「ドラゴンズドグマ オンライン」の多人数プレイを前提としたシステムは継承されていません。1人用ゲームとしてプレイヤーに楽しんでいただけるシステムを強化したのが本作になります。
4Gamer:
今回獣人のキャラクターが発表されていますが,本作における獣人とはどういった存在なのでしょうか。
伊津野氏:
獣人は人間と違った価値観や宗教を持っており,本作では彼らがメインの国が登場します。覚者が獣人であるかどうかでイベント内容が若干変化するようなこともありますね。
4Gamer:
なるほど。人間にするか獣人にするか,今から考えておくのがよさそうですね。ちなみにナンバリング最新作となる「ドラゴンズドグマ 2」ですが,本作から遊んでも問題なく楽しめますか。
伊津野氏:
もちろん大丈夫です。ポーンという人のようで人でない存在がいて,たくさんの並行世界を行き来しているというところを抑えていただければOKです。
平林氏:
物語の流れは「ドラゴンズドグマ 2」の中だけで完結していますから,ぜひ本作からプレイしてみてください。世界観に興味を持っていただけるようであれば,「ドラゴンズドグマ:ダークアリズン」を遊んでみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ドラゴンズドグマ 2」公式サイト
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