インタビュー
[インタビュー]「アサシン クリード ミラージュ」のアニメーションディレクターに聞く,主人公バシムのアクションの見どころ
ミラージュは,前作「アサシン クリード ヴァルハラ」(以下,ヴァルハラ)にも重要な役どころで登場しているバシム・イブン・イスハークを主人公にし,舞台を前作より20年前の9世紀中ごろのバグダッドに移し,ペルシャ生まれの彼がどのようにマスターアサシンに成長していったかを描いている。
中東が舞台となるのは,2007年11月にリリースされたシリーズ第1弾「アサシン クリード」以来であり,この壮大なストーリーの原点回帰とも言える内容になることで,非常に期待されている。現在明らかにされているストーリーやゲームプレイについては,当日の速報記事で紹介しているので,合わせてチェックしてほしい。
今回,Ubisoft Forwardの会場で,ミラージュのアソシエイト・アニメーションディレクターであるベンジャミン・ポッツ(Benjamin Potts)氏にインタビューを行った。
ポッツ氏は,本作の開発を主導するUbisoft Bordeauxが2017年にフランスのボルドーに創設されたときからのメンバーだ。「ゴーストリコン ブレイクポイント」や,ヴァルハラの大型拡張コンテンツ第1弾「ドルイドの怒り」(関連記事)を経て,2021年5月からミラージュの開発に参加してきたという。今回,ミラージュのアニメーションについて興味深い話を聞くことができた。
4Gamer:
今回のUbisoft Forwardでは,ゲームプレイ動画などさまざまな情報も公開され,開発は順調に進んでいるようですね。前作ヴァルハラに登場したバシムというキャラクターを次回作に登場させることは,元々計画されていたのでしょうか。
ベンジャミン・ポッツ(以下,ポッツ)氏:
いえ。ミラージュがプロジェクトとして計画された時点では,実はヴァルハラのダウンロードコンテンツになる予定でした。ヴァルハラ本編では,バシムが十分に描かれていないと感じており,彼のストーリーを練り込んでいくうちに,ダウンロードコンテンツとしてではなく,スタンドアローンとして15周年作品そのものにできるのではないかとなったのです。
4Gamer:
バシムはどのようなキャラクターなのでしょうか。
ポッツ氏:
バシムはバクダッドの貧民として成長してきた“ストリートキッズ”で,狡猾なコソ泥ではありますが,チャーミングなところもあって多くの人に好かれています。バシムは,バグダッドに正義をもたらす機会を得る一方で,彼には謎めいた過去があり,それが彼の心をむしばんでおり,ときおり現れる悪夢のような幻影に悩まされています。
4Gamer:
ミラージュでは,ヴァルハラよりもさらにバシムの内面を描いているんですね。
ポッツ氏:
そうですね。それと同様にマスターアサシンへと成長していくという旧来のストーリーは崩さず,バシムが冒険していくに連れて,青年から大人へと成長していく“カミング・オブ・エイジ”というナラティブモデルを絡めています。
4Gamer:
15年という歴史を誇るアサシン クリードのフランチャイズですが,アニメーション部門のこだわりを教えてください。
ポッツ氏:
バシムがバグダッドの街を俊敏に動き回り,さまざまなアサシンツールを使いこなし,どれだけスムーズでシームレスにそれぞれのアクションをつなげていけるかに重点を置いて開発しました。
4Gamer:
バシムの俊敏性が,武器の扱いにも生かされているようですね。
ポッツ氏:
はい。バシムは湾曲した刀シミター(Scimitar)を使いますが,これは当時の一般的な西洋の直刀よりも軽く,早く振り回せるものです。シミターのほかにも,吹き矢やスモークグレネード,投げナイフ,そして腕の内側に取り付けてある暗殺用のヒドゥンブレードなども,バシムの豊かなアクションと戦法の特徴になると思います。
4Gamer:
新たなフィーチャーとなる,事前にマークした複数の敵を一気に暗殺する「アサシンフォーカス」という強力なアビリティについて教えてください。
ポッツ氏:
アサシンフォーカスは,バシムの集中力によって近接している複数のターゲットにアプローチする流れをコントロールするという,ダブルアサシネーションに似たメカニックです。スキルアップすることで2人以上の暗殺も可能になります。
アサシンフォーカスもバシムの俊敏性を表現するために,これまでに見たこともないような主人公の動きとして編み出したものです。ここに到達するまでには,さまざまなアイデアを練り,いくつものプロトタイプ作りました。当初はあまりにもパワフル過ぎましたが,ステルスを成功させることでゲージを溜めてから使用できるようにして,うまくアサシン クリード的なスキルに昇華させられたと思っています。
4Gamer:
スローモーションでバシムのアクションを堪能するにはピッタリなアビリティですね。
ポッツ氏:
そうですね。アニメーターの視点でいうと,アサシン クリードの主人公は人間であってスーパーヒーローではないので,地上での身のこなしを重視しつつ,複数の暗殺をスムーズなトランジションで行えるように,これまでになかったアニメーションを加えたりしています。
また,アサシンフォーカスはアビリティ終了時のことも考えて発動する必要があります。ステルスを継続したい場合や,脱出経路に近い場所で終わるようにするなど,よりストラテジックに考えながら使わなければなりません。
4Gamer:
アニメーションについてですが,シリーズで使い回しはできないのでしょうか。
ポッツ氏:
もちろん,一部のアセットは流用できますが,戦闘アニメーションを中心に作り直しています。シミターを使う独特のアクションとなりますから,そうした武器を専門とするトレーナーや振付師などを交えたモーションキャプチャーを行っています。そうしたノウハウが生かされ,我々アニメーターだけでは思いもつかなかったムーブセットができていくのは楽しいプロセスでした。
4Gamer:
では最後に,ゲーマーに向けて一言お願いします。
ポッツ氏:
はい。ミラージュは,1作目の舞台に戻る原点回帰でありながら,新しいキャラクターを使い,15年という我々のノウハウを詰め込んだアサシン クリードらしい特徴を備えた作品になっています。
ミッションを遂行するにあたり,「調査」(Investigate)し,特定の人物を「付け狙い」(Hunt),タイミングを見計らってターゲットに「ストライク」(Strike)を仕掛け,そして追手をかく乱するために「逃走」(Evade)する。こういった,アサシン クリードのコアメカニックをしっかり表現したことで,多くのファンが楽しめると思うので,ぜひ発売を楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「アサシン クリード ミラージュ」公式サイト
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(C)2023 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Ubisoft and the Ubisoft logo are registered trademarks in the US and/or other countries.
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