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印刷2023/09/12 21:00

プレイレポート

[プレイレポ]「アサシン クリード ミラージュ」はステルス・暗殺を前面に押し出したプレイフィールで,シリーズの“原点回帰”を思い起こさせる

 ユービーアイソフトの代表作とも言える「アサシン クリード」。その最新作である「アサシン クリード ミラージュ」PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)が,2023年10月5日に発売される。

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 歴史上の様々な時代を舞台に,緻密な考証によって作り上げられたフィールドと,フィクション要素を融合した人気シリーズの最新作ということもあり,発売を心待ちにしているアサシンも多いだろう。そんな中,先日,国内ゲーム媒体向けにプレビューイベントが開催され,4Gamerも参加したので,“蜃気楼”の名を冠する本作のデモプレイのインプレッションをお伝えする。

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 先に断っておくと,今回プレイできたのは壮大な物語の極一部のチャプターであり,ゲームプレイ全体を通したものではない。今回はPC版(開発ビルド)でのプレイとなったため,スクリーンショット,各表記もそれに準じている(操作はDualSense ワイヤレスコントローラーを使用した)。また,ストーリーについては可能な限り触れていないが,どうしても必要になる部分については記させていただいた。この点をご了承いただければ幸いだ。


イスラムの黄金時代,9世紀のアッバース朝バグダッドへ降り立つ


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 本作の舞台となるのは,イスラムの黄金時代,9世紀のアッバース朝バグダッドである。プレイヤーは主人公であるバシムとなり,細部まで作りこまれ,まるでそこに“ある”かのように活き活きとしたフィールドを駆け巡り(もちろんフリーランに代表されるアクションは健在だ),彼がその日暮らしの小賊から偉大なアサシンへと成長するストーリーを体験することとなる。

街中には猫! しかもなでられる!
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 今回のデモは大きく分けて3つのパートを体験できたのだが,それぞれのパートを紹介しつつ,アクション面や気づいた点を紹介していこう。

 物語の冒頭,チュートリアルを兼ねており,基本的な操作方法を習得可能だ。フリーランに代表されるシリーズの名物アクションはもちろん,「イーグルビジョン」という敵やアイテムを強調するアクションも学べる。

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フリーラン。これぞ“アサクリ”という感じだ
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イーグルビジョン。アイテムや敵が強調表示される

 そしてここでいきなり,バシムの小賊らしさを感じられるアクションを体験できる。それが“スリ”だ。暗殺して金品を奪うとかではなく,街行く名も知らぬ人々から「ほいほいちょっくら失礼しますよ」というノリで,ディルハム(ゲーム内通貨。当時の実際の通貨だ)や,いろいろなアイテムを頂戴するのだ。スリの被害者であるNPCは「〇〇がなくなった!」と慌てる様子を見せるなど細かい反応が面白く,ついニヤついてしまう。

スリ成功。スマートに立ち去ろう
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 その後,バシムに課せられるミッションは“暗殺”ではなく“窃盗”だ。兵士によって守られた港へ向かい,とある代物を頂戴してくるミッションを受けるのだが,ここで筆者は,小賊バシムを,スパルタの英雄かヴァイキング一族の首領かと勘違いしていた。「全員殴り倒して障害を片づけてから盗めばOK」と,剣も何も所持していない小賊に課せるには,あまりに重すぎる役割を彼に授けてしまったのだ。結果,続々と集まる兵士にタコ殴り(斬り)にされたわけである。

全力で逃走する筆者。刀には勝てない
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 そう。バシムは正面きっての戦闘では弱く,敵は強い。ここで「ステルス」の重要性を改めて感じたのだ。確かにプレイ前の解説で,担当者より「本作はシリーズ原点へのオマージュを現代技術で再現しており,ステルスをフィーチャーし……」と言及があったのだが,筆者の頭がイマイチ戦闘民族から抜けきっていなかった。草むらから口笛で敵をおびき寄せ,時には気絶させたうえで,その体をしっかりと隠し,戦闘は極力回避しながら進むという,本作におけるステルスの重要性を体感させる素敵なチュートリアルであった。

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せっかくだしスリをしてから気絶させることにしよう
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無事に窃盗……。いや,回収できた


原点回帰の「アサシン クリード」。陰に潜み,一瞬で敵を葬る


 次にプレイしたのは,バシムがアサシンへとなる課程のチャプターだ。ここでは剣や短剣を入手したバシムが,ステルスだけではない,より直接的な戦闘を学んでいく。詳細な経緯は省くが,このあたりは「バシムが成長する物語」「プレイヤーが得られる選択肢の拡大・成長」が非常に綺麗に融合している印象だった。イーグルダイブを習得し,初めて得られるスキルポイントに胸を躍らせるのだ。伝統のアサシンブレードを手に入れるのもこの段階だった。

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おなじみのイーグルダイブ
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近接戦闘も時には選択肢に入る。しっかりと操作を習得しておこう
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スキルツリー。バシムはアサシンとしての第一歩を踏み出したばかりだ

 最後に体験できたのは,「アサシン クリード」過去作へのオマージュが込められたブラックボックス型のミッションだ。ここでは遂に“暗殺”を行うのだが,標的へのアプローチは自由。集めた情報を駆使し,単独での潜入もよし,陽動をかけての潜入もよしと,プレイヤーによって自由なアプローチが行える。

 話は前後するが,先ほどのスリで「キドマーコイン」(〇〇のコイン)というアイテムを入手することがある。これはフィールドの様々な場所で使用可能なアイテムであり,たとえば傭兵集団に渡すとバシムと共に戦ってくれたり,街中の商人に渡すと販売価格を値引いてくれたりする。本作では“第三者に目撃されている状態での殺人”で手配度が上昇するのだが,コインを渡すことで,こうした手配度を低くしてくれる人物もいる。あると便利な場面が多いので,群衆からひたすらスリまくるのがオススメだ(これが次の目的地までの移動中にもコンテンツを与えている。非常にいいアイデアだと思う)。

学者のコインをスることができた
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 このチャプターの第一段階では守りがかなり強固な場所へ潜入することになるため,筆者は傭兵を雇い,陽動を掛けることにした。HPは有限なので無限に戦ってくれるわけではないが,ある程度の時間は稼いでくれるし,後に戦闘をすることになったとしても,敵の戦力を削いだ状態で戦える。剣と短剣を装備し,戦闘を行える状態のバシムであっても,多数の敵に囲まれると苦戦は避けられない。やはり,ステルスと暗殺が重要だ。

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傭兵集団に託してみると…
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一目散に突撃していく

 第二段階はいよいよ暗殺。ターゲットがいる要塞に近づき,まずは相棒であるワシのエンキドゥで上空から偵察……。と思いきや,なんとエンキドゥが飛べない。上空へ目を光らせる射手がおり,すぐさま撃ち落されてしまうのである。周囲には強固な兵士,上には目を光らせる射手とターゲットへの接近もままならないが,落ち着いて周囲を観察してみよう。

射手を排除しないと上空からの偵察ができない
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 本作の特徴として,立体的なマップの構造が挙げられる。単純な壁登りでの突破ではなく,何らかのオブジェクトを登った先から行ける場所(行きやすい場所)があるという,一種のパズル的な要素を備えたマップの作りになっている場所が所々にある。そして,必ずどこかに敵の穴はある。

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 さて,画面左下に注目してほしいのだが,白いゲージのようなものが見えないだろうか。これは通常の暗殺などで蓄積していくのだが,これを消費することで,視界内でロックオンした複数の敵を一瞬で暗殺できる「アサシンフォーカス」を発動できる。ゲージ一つにつき敵を一人暗殺できるので,最大で3人の同時排除が可能ということである。

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ロックオンして
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発動! 瞬時に,複数の敵を葬る
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おなじみの死亡確認。アサシンは確認を怠らない

 こうして厄介な射手を排除した筆者は,ターゲットを確認し,アサシンフォーカスを用いて護衛ごと暗殺した。正面での戦闘では苦戦を免れないネームドであっても,暗殺であれば一発で排除できる。ここは,強敵を一撃で暗殺しきれない「アサシン クリード オリジンズ」「アサシンクリード オデッセイ」とは異なる部分だった。すべての敵を一撃で暗殺できるかは不明だが,少なくともこの段階では,暗殺=一撃という認識であったことは記しておく。

 第三段階は完全なブラックボックス型のミッションであり,エリアを探索しながら,品を集めたり,通行人の会話に耳を傾けたりして得た情報をもとに動いていくことになる。「あれをするためにはあれが必要」「これをするためには……」と動き回り,時に敵をおびき寄せ,時に排除し,群衆に紛れ込んだり,話を盗み聞きしたり――。もちろん盗みも欠かせない。常に動く状況の中,少しずつターゲットに迫る没入感が素晴らしい。この段階は完全に自由行動である(アプローチ方法は各々が自由に選択できる)ため,プレイヤーごとに異なるバシムの物語を体験していくことになる。

群衆に紛れて聞き耳を立ててみよう
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装甲を身に着けている敵には,投げナイフ(所持数有限の飛び道具)が弾かれてしまう。別の方法を考える必要がある
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美しい街並み。ついついエンキドゥ(本作の相棒となる鳥)を呼び出してしまうが,新しい発見があるかもしれない
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 短い時間であり,かつ限られたパートでのプレイではあったが,率直な感想で言うと,めちゃくちゃ楽しかった。だからといって「アサシン クリード オリジンズ」から導入されたRPG的なメカニクスを否定するつもりはないし,「アサシン クリード オデッセイ」での壮絶なバトルも,「アサシン クリード ヴァルハラ」で描かれたヴァイキングの世界も好きだ。

 ただし,これはあくまで筆者の主観ではあるが,この「アサシン クリード ミラージュ」は,「アサシン クリード」と聞いて思い浮かべるであろう「アサクリってこういうゲームだよね」というシリーズへのイメージに,先に並べた3作のどれよりも近かった。進化を続けるシリーズとして,直近の作品で得られた要素を融合しつつ,「シリーズ原点へのオマージュ」という点にクローズアップする作品作りは,間違いなく果たされたと言っていいと思う。

「アサシン クリード ミラージュ」公式サイト

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