プレイレポート
[プレイレポ]ロボットだらけの世界で謎多き事件を追う。「バベルの図書館」は奇妙な世界設定がクセになるステルスアクション
「バベルの図書館(The Library of Babel)」公式サイト
ロボットたちだけの不思議な世界。
しかし,人間の世界と変わらない秩序と混乱がある
本作の舞台は,人類の絶滅から2万年が経過した世界だ。人間のように動いて会話をするロボットたちが生活し,スチームパンクの雰囲気が漂う。
主人公は,「シーカー」と呼ばれる捜索系の仕事に従事するロボットのルドヴィク。彼は「カボール大佐」(これもロボットだ)を追う任務を受けており,ラクダのような機械(“K-ME1 ユニット”と表現される)に乗りながら旅をしていたが,この先の地形がK-ME1に適さないため,いったんK-ME1を置いて徒歩で進むことにする。
横スクロールの画面構成や,出っ張りに向かってジャンプして縁に掴まって上がるアクション,注意深い者だけが気付ける隠し通路。一見,メトロイドヴァニア風の印象を受けるが,本作は似て非なるものだ。なんといっても,主人公は攻撃手段を持たず,戦闘が発生しないのだから。
K-ME1を置いてしばらく進むと,「コロニー データマイニング前哨基地」に到達する。ここは町のようになっていて,ロボットたちが「女神」と呼ぶ存在がいるらしく,ルドヴィクは何かを報告する必要があるようだ。
町の奥には女神との謁見室があり,ルドヴィクはこれまでの旅を報告する。カボール大佐の足取りが消えたのはジャングル付近らしいが,ルドヴィクがK-ME1を置いてきた場所はまさにジャングル。この町も,その近くにある。いよいよ捜査が本格化してくる……といったところで,侵入者が現れ,ちょっとした騒ぎになる。
どうやら,この世界では「カボリストカルト」と呼ばれる集団が無視できない存在になりつつあり,侵入者「赤兵士」は集団の一員。町の警察組織らしきロボットたちが取り囲むが,赤兵士はなんとその場で自害してしまう。
とんだ騒ぎで謁見を中断してしまったが,カボリストカルトはカボール大佐が創設した集団だった。そこの兵士がいよいよ町に侵入してきたとなると,ルドヴィクも無関係では済まない。ルドヴィクは女神から,引き続き任務にあたるとともに,レイ警部に話を聞くよう命じられる。レイ警部は,先ほどの騒ぎで赤兵士を取り囲んだ組織のリーダーだ。
さて,「コロニー」を探索してロボットに話を聞いていくと,この世界のことやカボリストカルトに関することが分かってくる。サブクエストを依頼されることもあり,誰が何を欲しているかはメニュー画面で確認できる。
次の目的地は,レイ警部が向かったらしい「夢見の山」だ。ここで「データベースのコントロールポイントに登録しているかどうか」を問われる。コントロールポイントとはファストトラベル地点のようなもので,この町に限らず,見つけたら登録しておくべきものだ。
コントロールポイントに登録して,衛兵が通してくれたかと思ったら,今度はゲートを通過するためにキーカードが必要だという。キーカードを持っているロボットに会うためにバーに行ってみると,完全に酔いつぶれていて起きる気配がない。「ロボットも酔いつぶれるもんなんだな……」と人間臭さに苦笑いしつつ,彼を起こす方法を探っていくことになる。
コロニーを隅々まで探索すると,意味ありげなアイテムをいくつか拾える。これらを「組み合わせ」ると,新たなアイテムに作り変えることができるのだ。
キーカードを手に入れたら,今度はパズルが待っていた。このパズルは何の説明もなく始まるのだが,なんとなく「画面の右まで道をつなげばいいんだな」ということは分かる。しかし,なぜゲートを通るためにパズル……。さしずめ,ちゃんとした知能のある者しか通さないため……といったところだろうか。
向きを変えられるパネルは背景が薄暗くなっているのだが,筆者はなんとなく十字キーの左右で選択していたため,「左右だけでは選択できないパネルがある」ことに長時間気付かなかった。そのせいで「クリアできないぞ,このパズル!」とプンプンしていたので,しばらくしてから「あっ……」と気付いて頬を赤らめながらクリアした。ち,ちゃんとした知能……。
さて,これでようやくコロニーから出て,外の探索に向かえる。ここまでは,いわばチュートリアルのようなものだ。ロボットしかいない世界ではあるが,まるで人間の世界そのものといった印象を受ける。酔いつぶれてるヤツがいたり,ロボットだったら百発百中で当てられそうなダーツも普通に外す。「正確ではない」ことに,どこか親しみが湧いてくる。
ただし,一方で殺人事件(殺ロボット事件)も起きている。機械が進化すると人間のようになり,そうなると結局は人間の世界のような事件も起きる……というのは皮肉ではないだろうか。
ステルス主体のアクションを駆使して,忍びに忍び,窮地を切り抜ける
コロニーを出ると,ようやく本番だ。カボリストカルトが明確な敵として描かれ,身を隠しながら行動するステルスアクションゲームとなる。
ルドヴィクはカボリストカルトの兵士に見つかって攻撃を受けると,一撃で倒されてしまう。するとリトライポイントに戻され,画面右上に表示される「データクリスタル」が1つ減る。これはロボットの世界ではお金のように扱われており,リトライと引き換えにお金が減るといった感じだろうか。
なるほど,物陰に隠れながら兵士をやり過ごせばいいんだな。ちょろいちょろい……と思っていたら,レーザーで敵を検知する機械が登場。レーザーに触れている間に動くとバレてしまうため,レーザーが通過するまではジッとしている必要がある。レーザーと往復する兵士との合わせ技もあり,徐々に難しくなってくるのだ。
箱を押したり,引っ張ったりして移動させ,それを足場に高い場所へ上がる場面では,足場となる箱を「どうやって,どこまで運ぶか」が問われる。次々に新たなパズル要素が登場するというわけだ。箱を押しながら,レーザーが通過する間は微動だにせず,でも前方から赤兵士が近づいてくる……うおおお,焦る!
下が見えない状況でジャンプしてみたらトゲトゲ! という初見殺しとしか思えない地形もあるが,リトライポイントの位置が比較的親切なこともあり,ストレスを感じるほどではない。大体の難所を乗り越えた先には,必ずと言っていいほどにリトライポイントがある。
また,フィールドには「探知機」を使わないと発見できないアイテムが隠されている。念入りに調べながら進んでもいいし,一度訪れたフィールドを再訪してみてもいいだろう。
さまざまな難関を乗り越えて先へ進むと,意外と早い段階でカボールと邂逅する場面がやってきた。ついにボス敵との戦闘か!? 緊張が走るが……。
奇妙な世界設定がクセになる,ステルスの旅。
海外SF小説を読み解くかのような体験が味わえる
本作は横スクロール型のプラットフォームアクションゲームをベースに,独特の世界設定で繰り広げられるストーリーがプレイヤーをグイグイと引っ張っていく。オープニングから,この世界特有の固有名詞が連発するため,何を言っているのか,よく分からないことも多い。それでも「そういうものなんだろうな」と受け止めて進んでいくと,そのうちなんとなく理解できてくる。
一方で気になってしまったのは,セーブのタイミングだ。基本的にオートセーブとなるが,「セーブ中」といった表示がまったくないため,「今はゲームを中断しても大丈夫なのか」ということが分からない。リトライポイントの機械を触ったときはセーブされているようなので,ゲームを中断するときにはこれを目安にするといいだろう。
特殊な世界設定,それに伴う固有名詞の多さ。決して分かりやすい物語とは言えないが,それでもローカライズはかなり頑張っている印象だ。ところどころに探せば誤字は見つかるものの,海外ゲームに慣れている4Gamer読者ならば許容範囲だろう。
端的にまとめるなら「パズル要素のあるステルスアクションゲーム」ではあるのだが,町でNPCと会話して情報を収集したり,アイテムの組み合わせを考えたりするアドベンチャーゲームの側面もある。ゲームを構成する一つ一つの要素はどれも革新的というわけではないが,それぞれが重なり合うことで,結果として他に類を見ない不思議な作品になっている。
アクションゲームなのに「静」のイメージがあり,海外のSF小説を読み解くかのような体験が味わえる本作に興味を惹かれたなら,この世界に触れてみてもらいたい。
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- ライター:本地健太郎
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