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[プレイレポ]ロボットだらけの世界で謎多き事件を追う。「バベルの図書館」は奇妙な世界設定がクセになるステルスアクション
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印刷2023/04/06 08:00

プレイレポート

[プレイレポ]ロボットだらけの世界で謎多き事件を追う。「バベルの図書館」は奇妙な世界設定がクセになるステルスアクション

 Neon Doctrineは2023年4月7日,Tanuki Game Studioが開発を手がける「バベルの図書館」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One。原題:THE LIBRARY OF BABEL)をリリースする。ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説「バベルの図書館」にインスパイアされたという本作を,リリースに先がけてプレイする機会を得たのでレポートしよう。

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「バベルの図書館(The Library of Babel)」公式サイト



ロボットたちだけの不思議な世界。

しかし,人間の世界と変わらない秩序と混乱がある


 本作の舞台は,人類の絶滅から2万年が経過した世界だ。人間のように動いて会話をするロボットたちが生活し,スチームパンクの雰囲気が漂う。
 主人公は,「シーカー」と呼ばれる捜索系の仕事に従事するロボットのルドヴィク。彼は「カボール大佐」(これもロボットだ)を追う任務を受けており,ラクダのような機械(“K-ME1 ユニット”と表現される)に乗りながら旅をしていたが,この先の地形がK-ME1に適さないため,いったんK-ME1を置いて徒歩で進むことにする。

荒廃した世界を旅するルドヴィク。カボール大佐は「任務放棄」「殺人(殺ロボット?)」「武装カルト団体設立」といった,さまざまな犯罪に関わる危険人物のようだ
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K-ME1はコブの部分が光る,面白いデザインが特徴。沼にハマッてしまったのか,単に動きたくないのか,本物のラクダのようなシーンも
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 横スクロールの画面構成や,出っ張りに向かってジャンプして縁に掴まって上がるアクション,注意深い者だけが気付ける隠し通路。一見,メトロイドヴァニア風の印象を受けるが,本作は似て非なるものだ。なんといっても,主人公は攻撃手段を持たず,戦闘が発生しないのだから。

しゃがみ移動を使うと,隠された通路を発見して潜り抜けられることも
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 K-ME1を置いてしばらく進むと,「コロニー データマイニング前哨基地」に到達する。ここは町のようになっていて,ロボットたちが「女神」と呼ぶ存在がいるらしく,ルドヴィクは何かを報告する必要があるようだ。

住人はもちろん,全員ロボット。町の雰囲気にはスチームパンクっぽさがある
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 町の奥には女神との謁見室があり,ルドヴィクはこれまでの旅を報告する。カボール大佐の足取りが消えたのはジャングル付近らしいが,ルドヴィクがK-ME1を置いてきた場所はまさにジャングル。この町も,その近くにある。いよいよ捜査が本格化してくる……といったところで,侵入者が現れ,ちょっとした騒ぎになる。

これが「女神」。この地域のマザー・コンピュータといった存在だろうか
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突如,現れた「赤兵士」。この町の住人らしきロボットを射殺して,何事かを叫ぶが……
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 どうやら,この世界では「カボリストカルト」と呼ばれる集団が無視できない存在になりつつあり,侵入者「赤兵士」は集団の一員。町の警察組織らしきロボットたちが取り囲むが,赤兵士はなんとその場で自害してしまう。

「バカタレ!」とは,なかなかスゴい翻訳
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 とんだ騒ぎで謁見を中断してしまったが,カボリストカルトはカボール大佐が創設した集団だった。そこの兵士がいよいよ町に侵入してきたとなると,ルドヴィクも無関係では済まない。ルドヴィクは女神から,引き続き任務にあたるとともに,レイ警部に話を聞くよう命じられる。レイ警部は,先ほどの騒ぎで赤兵士を取り囲んだ組織のリーダーだ。

 さて,「コロニー」を探索してロボットに話を聞いていくと,この世界のことやカボリストカルトに関することが分かってくる。サブクエストを依頼されることもあり,誰が何を欲しているかはメニュー画面で確認できる。

町の中は,外のフィールドと同様に左右のスクロールに加え,上下にも広がる。かなり広い
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フルートを落としてしまったNPC,ショップを開店できなくて困っているNPCなど,さまざまなクエストがある。後者の悩みを解決すると買い物が可能になる
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メニュー画面では本編のストーリーに加え,現在進行中のサブクエストの内容も確認できる
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町のロボットからは「そもそも謁見室に簡単に侵入できること自体がおかしい」という興味深い話も
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 次の目的地は,レイ警部が向かったらしい「夢見の山」だ。ここで「データベースのコントロールポイントに登録しているかどうか」を問われる。コントロールポイントとはファストトラベル地点のようなもので,この町に限らず,見つけたら登録しておくべきものだ。

上下の矢印マークがある機械がコントロールポイント。必ず調べておきたい
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一度登録した場所には,メニュー画面からいつでもファストトラベルが可能
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 コントロールポイントに登録して,衛兵が通してくれたかと思ったら,今度はゲートを通過するためにキーカードが必要だという。キーカードを持っているロボットに会うためにバーに行ってみると,完全に酔いつぶれていて起きる気配がない。「ロボットも酔いつぶれるもんなんだな……」と人間臭さに苦笑いしつつ,彼を起こす方法を探っていくことになる。

異なる文字色で表示される部分は重要な箇所。ふーむ,ダーツの高得点の音か……
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 コロニーを隅々まで探索すると,意味ありげなアイテムをいくつか拾える。これらを「組み合わせ」ると,新たなアイテムに作り変えることができるのだ。

町で拾った「注射器」と「羽」を組み合わせると……ダーツの矢になった!
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さっそくバーで投げてみる……が,ルドヴィクはダーツがあまり得意ではないらしい。その結果は,君の目で確かめてみてくれ!
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 キーカードを手に入れたら,今度はパズルが待っていた。このパズルは何の説明もなく始まるのだが,なんとなく「画面の右まで道をつなげばいいんだな」ということは分かる。しかし,なぜゲートを通るためにパズル……。さしずめ,ちゃんとした知能のある者しか通さないため……といったところだろうか。

つなぐだけではダメ。右のメーターが中央まで来るように調節する必要がある
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 向きを変えられるパネルは背景が薄暗くなっているのだが,筆者はなんとなく十字キーの左右で選択していたため,「左右だけでは選択できないパネルがある」ことに長時間気付かなかった。そのせいで「クリアできないぞ,このパズル!」とプンプンしていたので,しばらくしてから「あっ……」と気付いて頬を赤らめながらクリアした。ち,ちゃんとした知能……。

 さて,これでようやくコロニーから出て,外の探索に向かえる。ここまでは,いわばチュートリアルのようなものだ。ロボットしかいない世界ではあるが,まるで人間の世界そのものといった印象を受ける。酔いつぶれてるヤツがいたり,ロボットだったら百発百中で当てられそうなダーツも普通に外す。「正確ではない」ことに,どこか親しみが湧いてくる。
 ただし,一方で殺人事件(殺ロボット事件)も起きている。機械が進化すると人間のようになり,そうなると結局は人間の世界のような事件も起きる……というのは皮肉ではないだろうか。


ステルス主体のアクションを駆使して,忍びに忍び,窮地を切り抜ける


 コロニーを出ると,ようやく本番だ。カボリストカルトが明確な敵として描かれ,身を隠しながら行動するステルスアクションゲームとなる。

しゃがむと物陰に潜むことができる。兵士がこちらを向いていない瞬間を狙って,サササッと移動しよう
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 ルドヴィクはカボリストカルトの兵士に見つかって攻撃を受けると,一撃で倒されてしまう。するとリトライポイントに戻され,画面右上に表示される「データクリスタル」が1つ減る。これはロボットの世界ではお金のように扱われており,リトライと引き換えにお金が減るといった感じだろうか。

画面右上に表示されているのが,データクリスタルの残量。最初からある程度持っていて,道中でも拾えるので,よほどリトライしまくらない限りは無くならないだろう
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水色のアイテムがデータクリスタルだ。フィールドにはこのようにして転がっているほか,宝箱からも大量に入手できる
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 なるほど,物陰に隠れながら兵士をやり過ごせばいいんだな。ちょろいちょろい……と思っていたら,レーザーで敵を検知する機械が登場。レーザーに触れている間に動くとバレてしまうため,レーザーが通過するまではジッとしている必要がある。レーザーと往復する兵士との合わせ技もあり,徐々に難しくなってくるのだ。

だんだんハードに……!
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移動する足場や,特定の位置でしゃがまなくてはならないといった場面も登場し,アクションゲームらしさが増してくる
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 箱を押したり,引っ張ったりして移動させ,それを足場に高い場所へ上がる場面では,足場となる箱を「どうやって,どこまで運ぶか」が問われる。次々に新たなパズル要素が登場するというわけだ。箱を押しながら,レーザーが通過する間は微動だにせず,でも前方から赤兵士が近づいてくる……うおおお,焦る!

おそらく右端の箱は押して落とせるのだが,レーザーの存在が厳しい。合わせ技にも程がある!
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 下が見えない状況でジャンプしてみたらトゲトゲ! という初見殺しとしか思えない地形もあるが,リトライポイントの位置が比較的親切なこともあり,ストレスを感じるほどではない。大体の難所を乗り越えた先には,必ずと言っていいほどにリトライポイントがある。

下のほうが見えないが,先に進むには降りるしかない。……てやっ!
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トゲトゲ! 即死! ドイヒー!
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フィールドの各所にあるコントロールポイント風の機械。これに触れると,次回のリトライポイントとして設定される
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 また,フィールドには「探知機」を使わないと発見できないアイテムが隠されている。念入りに調べながら進んでもいいし,一度訪れたフィールドを再訪してみてもいいだろう。

コロニーの「バザール」で探知機を購入すれば,隠されたアイテムを見つけられるようになる。まずはバザールを開店させるために,店主の悩みを聞こう
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近くにアイテムがあると,探知機が知らせてくれる。音が最も大きくなった場所で探知機を操作すると……隠しアイテム発見!
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ポイントに近付くことで,初めてアイテムの存在が分かる場所も。一見,ただの行き止まりのようだが,アイテムが隠れている
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 さまざまな難関を乗り越えて先へ進むと,意外と早い段階でカボールと邂逅する場面がやってきた。ついにボス敵との戦闘か!? 緊張が走るが……。

雑談中の兵士たちを上空から急襲しながらの登場。強キャラ感に満ちあふれているが……
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カボールはルドヴィクをスキャンした際に何かに気付いたらしく,何もしないで立ち去ってしまう。この事件には,ルドヴィクの知らない何かがあるのか?
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奇妙な世界設定がクセになる,ステルスの旅。

海外SF小説を読み解くかのような体験が味わえる


 本作は横スクロール型のプラットフォームアクションゲームをベースに,独特の世界設定で繰り広げられるストーリーがプレイヤーをグイグイと引っ張っていく。オープニングから,この世界特有の固有名詞が連発するため,何を言っているのか,よく分からないことも多い。それでも「そういうものなんだろうな」と受け止めて進んでいくと,そのうちなんとなく理解できてくる。

オープニングからこんな感じ。プレイヤーにはよく分からないまま始まることになるが,ある程度まで進めるとその意味が分かってくる
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 一方で気になってしまったのは,セーブのタイミングだ。基本的にオートセーブとなるが,「セーブ中」といった表示がまったくないため,「今はゲームを中断しても大丈夫なのか」ということが分からない。リトライポイントの機械を触ったときはセーブされているようなので,ゲームを中断するときにはこれを目安にするといいだろう。

 特殊な世界設定,それに伴う固有名詞の多さ。決して分かりやすい物語とは言えないが,それでもローカライズはかなり頑張っている印象だ。ところどころに探せば誤字は見つかるものの,海外ゲームに慣れている4Gamer読者ならば許容範囲だろう。

文章にコードらしき表示が混ざっていることもあったが,ロボットなので会話能力に少しエラーが出ている……と解釈できないこともない?
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 端的にまとめるなら「パズル要素のあるステルスアクションゲーム」ではあるのだが,町でNPCと会話して情報を収集したり,アイテムの組み合わせを考えたりするアドベンチャーゲームの側面もある。ゲームを構成する一つ一つの要素はどれも革新的というわけではないが,それぞれが重なり合うことで,結果として他に類を見ない不思議な作品になっている。
 アクションゲームなのに「静」のイメージがあり,海外のSF小説を読み解くかのような体験が味わえる本作に興味を惹かれたなら,この世界に触れてみてもらいたい。

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