プレイレポート
[プレイレポ]BitSummitに出展された“目に見えるもの/見えないもの”をテーマにしたアイデアあふれる2つのタイトルを紹介
そのタイトルは,Toyota Ryuto氏の「Out of the World」と,Wonderland Kazakiriの「CASSETTE BOY」だ。「Out of the World」は「この世界は“目に見えているモノ”だけが真実」,また「CASSETTE BOY」は「見えていないモノは存在しない……」というキャッチコピーを掲げており,実際にプレイしてみると,開発者がゲームに込めたテーマを感じることができた。
せっかくの機会なので,本稿でこの2タイトルのプレイレポートをお届けしよう。
「Out of the World」は,真っ黒い画面がインパクトの強いパズルアクションだ。プレイヤーは頭が目玉のキャラクターで,頭からは視界を表す扇形の赤い光が見えている。ゲームを始めると,真っ黒なステージに自分と足元,そして出口となる明かりが見える。
キャッチコピーの「この世界は“目に見えているモノ”だけが真実」に則り,彼(?)が視線を向ける(=赤い光を当てる)ことで,ステージに用意された足場が現れる仕組みだ。この足場を移動して出口に向かうことになるのだが,すべてに視線を向けて出現させてしまうと,ゴールへのルートが閉ざされてしまうことがある。
そのためプレイヤーには,「目を閉じる」というアクションがあり,これを行うと,出現していた足場が消えてしまうのだ。消えた足場は再び視線を向ければ現れるので,この法則を駆使して,ステージに足場を出したり消したりしながらゴールを目指すのが,このゲームの基本になる。
プレイをしてみると,初回プレイ時に足場がどこにあるのか,キョロキョロして(視線は右スティックで全方向に動かせる)全体の形状を把握し,障害物になりそうな足場があるときは,目を閉じて消していく。
ステージによっては,乗るだけでミスになるトゲトゲの足場が出現する場合もあるが,ミスをしても最初からやり直しになるだけなので,トライ&エラーを繰り返して正しいルートを模索していくという,パズルゲームの面白さもしっかりと備えた内容だった。
なお,本作は現在Steamで体験版を配信中だ。体験版で,この独特な手触りを確認してほしい。
一方の「CASSETTE BOY」は,ボクセルテイストのグラフィックスと,液晶画面を思わせるモノクロの色使いという,こちらも見た目が特徴的なアクションRPGだ。
フィールドは斜め見下ろし型の箱庭のような雰囲気で,特定の場所で隣のエリアに切り替わる仕組み。序盤でプレイヤーは「ヘッドホン」を手に入れ,その力でカメラを左右に回転させられるようになる。実はこれが,本作の真骨頂ともいえる大きなポイントなのだ。
「CASSETTE BOY」公式サイト
仕組み自体は,単純にカメラ視点を変えるだけなのだが,フィールドは3Dで構築されているので,角度によって見えなくなるところが出てくる。
そこで,例えば通路で通せんぼをしているキャラクターがいた場合,カメラを回転させ,そのキャラクターを壁の背後に隠して見えなくしたとたん,“存在しない”ことになり,通路を通れるようになるのだ。
あるいは,プレイヤーが乗るとスイッチを押したことになるギミックを作動させたとき,通常は降りるとギミックが解除されてしまうのだが,カメラを回してそのスイッチを見えなくすることで,スイッチが“存在しない”ことになり,降りてもギミックが解除されないといった具合だ。
これが「見えていないモノは存在しない」というコピーをゲームに落とし込んだもので,開発者はこれを「シュレディンガーシステム」と名付けている。
フィールドを回転させるシステムは,だまし絵のように重なったフィールドを確認するためにも使える。また,カメラをグルグル回転させることで,特定の場所に粒子が飛び交い,ギミックが発動するといった仕掛けも用意されていた。
やがてプレイヤーは,剣や弓を手に入れて攻撃ができるようになり,強敵の大型のボスが登場するなど,アクションRPGの様相も見せてくれるが,ゲーム全体の仕様については,現在検討中とのことだった。
偶然にも似たテーマを掲げつつ,それをまったく違うゲームへと昇華している2タイトルだが,どちらもしっかり作り込まれた,面白い作品だった。こうしたインディーらしい個性的なタイトルに出会えるのもBitSummitならでは。今回紹介した2タイトルを含め,いろいろなゲームとの出会いを楽しんでほしい。
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- 関連タイトル:
Out of the World
- 関連タイトル:
CASSETTE BOY
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