プレイレポート
[TGS2023]理由が説明できない怖さがある「CultureHouse」のルーツは,モダニズム建築とシュールレアリスム
本作は,失踪した生化学者,イプセ博士が暮らしていた住宅兼研究施設「カルチャーハウス」で7日間過ごしながら,「ジェニオ」と呼ばれる謎の生命体を育てるゲームである。出展されているデモ版でプレイできるのは,初日の夕方までだ。
プレイを開始すると,イプセ文化再生機構のノモス=ゾーイから,カルチャーハウスや今回の実験についての説明を受ける。
カルチャーハウスは,住宅を兼ねているにも関わらず,生活感のない,無機質な印象の建物。なぜここに泊まり込んで実験を……という疑問が浮かぶが,ここでしか実験がうまくいかないという,原因不明の理由があるとのこと。
説明と契約が終わると,さっそくジェニオの培養実験に取りかかる。ジェニオの原型となるスポロゾアを採って培地に移し,しばらく待つ……というところまでは何となく理解できたのだが,ここでノモス=ゾーイから「何か“違和感があるもの”を探して撮影してください」という指示が来た。それによって手に入る「境界結晶」が,ジェニオの培養に欠かせないのだという。
何だかよく分からないままカルチャーハウスを探索すると,中庭に謎の球体が浮かんでいたので,これを撮影し,入手した境界結晶をノモス=ゾーイに渡す。これで数時間後には幼体が形成されるとのことで,昼寝をすることになった。
目覚めると日が傾いており,カルチャーハウスはオレンジ色に染まっている。そして実験スペースには,ジェニオの幼体が鎮座していた。
ここでノモス=ゾーイが不吉な言葉を残して去り,夜を迎える……というところでデモは終了。
本作には,理由がはっきりしない怖さや不気味さがある。カルチャーハウスは美しいデザインなのに,人の気配がないからなのか,なぜか怖さを感じるし,建物が無機質だからこそ,生命体であるジェニオの不気味さも増しているように感じられる。
そのあたりはfuturala氏の狙い通りのようで,本作を開発するきっかけは,氏が好きな20世紀モダニズム建築に,どこか怖さを感じていることに気づいたことだという。また,たとえば怪物やゾンビといった存在の怖さとは違い,その怖さの理由がうまく説明できないことが,とても興味深かったそうだ。
そして,「“違和感があるもの”の撮影」については,シュールレアリスムから影響を受けているという。futurala氏はルネ・マグリットの絵画や「手術台の上のミシンとこうもり傘の出会い」という言葉を挙げて,関係性のないものが一緒に存在することが,美しさや怖さを生むことを説明してくれた。
本作には,futurala氏の好みが存分に詰め込まれているので,刺さるひとには深く刺さるだろう。また,futurala氏がほぼ1人で開発しているところも,実にインディーゲームらしい。リリース時期は2025年とのことで,まだ先だが,Steamのプロダクトページが公開されているので,気になる人はウィッシュリストにいてておくといいだろう。
「CultureHouse」公式サイト
4Gamer「東京ゲームショウ2023」記事一覧
- 関連タイトル:
CultureHouse
- この記事のURL: