プレイレポート
[プレイレポ]ハマりすぎにはご注意を。放置と操作のバランスが絶妙,やり込める放置系MMO「IdleOn」のススメ
なお,記事内の記述やスクリーンショットは英語版のものを使用しているが,直近のアップデートで日本語にも対応している。英語は苦手と言う人でも問題なく遊べるので安心してほしい。
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「IdleOn」ダウンロードページ
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採取や戦闘など,アカウント内の全員で協力しながら強くなる放置系MMORPG
PCやスマートフォンで遊べる「IdleOn - The Idle MMO」(以下,IdleOn)は,タイトルの“Idle”という単語が示す通りの放置系MMORPG※だ。基本プレイは無料で,プレイヤーは1日に30分〜1時間ほどログインすれば十分に楽しめる。しかし,マップの探索や新たな狩り場の開拓,ダンジョンでのバトルといった要所では自力でのプレイが求められ,両要素のバランス感が面白い。そして,そのいずれにもキャラクターを強くしていく楽しさがあるのだ。
※Idle Game(アイドルゲーム)は放置系ゲームを意味する
本作の操作は非常にシンプル。移動したい先をクリック(スマホ版はタップ),攻撃したいモンスターをクリック,使いたいタレント(スキル)をクリック……とこれだけだ。
モンスターを倒したり,クエストをクリアしたりすれば経験値を獲得でき,これが一定値に達するとレベルアップする。そうするとキャラクターは強くなり,より強力な装備を身に付けられるようになるため,よりモンスターが強くて効率の良い,次の狩り場を探していく。ちょうどいい狩り場が見つかったら放置を開始。キャラクターの能力が足りていれば,ガチ放置(ログアウト)をしてもいい。1日に1回,戦果を確認する程度でも大丈夫だ。
そもそもメニューには「AFK INFO※」というぶっちゃけた項目があり,「1時間あたりで稼げる経験値やお金」「レアドロップであるカードの取得率」「ノーダメージで稼げるようになるために必要な防御力」「敵に100%攻撃を当てるのに必要な正確さ」といった,普通のMMORPGだと外部Wikiに頼るような情報がゲーム内で確認できる。
※AFKはaway from keyboard(キーボードから離れる)を意味する
こうして放置していると,自動でがっぽりと金や素材を稼いでくれる。次にログインした際,インベントリに入りきらなかったアイテムがマップにぶちまかれ,これが快感なのだ。
しかしながら,本作は放置するだけのゲームではないし,放置しているだけでは強くなれない。各種キャラクター強化や,ダンジョンのボスといった高難度コンテンツは自力で操作する必要がある。そして,放置と自力操作のバランスが良く,放置ゲーでありながらしっかりとMMOでもあるのだ。
本作で強くなるためには,装備を作らなければならない。装備を作るための素材は,「鉱石」「材木」「虫」「魚」といった種類があり,マップ上の特定ポイントで採取しなければならない。得られた素材を金床に持っていき,装備をクラフトするDIY精神が重要なのだ。
そして,採取の腕前を示す採取レベルは素材の種類ごとに存在し,これを上げるには放置して採取経験値を稼ぐしかない。もちろん,採取には道具が必要で,鉱石にはツルハシ,魚には釣り竿というように素材にあったものをクラフトし,適宜グレードアップしなければならない。
素材を採取できるポイントはマップのあちこちに散らばっており,良い素材は奥地のマップでしか取れない。奥地に行くにはモンスターを倒して,自分で道を切り拓く必要がある。つまりは戦闘と採取が密接に絡み合っているわけだ。しかしプレイヤーが遊べる時間は有限であり,モンスターを倒してレベル上げに費やすか,採取レベルを上げるために使うべきか悩まされるのである。
奥地のマップへ進むために新たな装備が要る。装備を作成するための素材が採れるポイントまで,手動で旅をしてから放置する。得られた素材で装備を作る。できた装備で先のマップに進む。さらに先へ進むために新たな装備が必要になる。そのために手動で奥地に分け入っていく……このように操作と放置のサイクルがいい感じにクルクル回る。気が付いた時にはIdleOn沼に足を踏み入れ,サイクルが一回りするたびに身体は深みへとはまっていくのである。
採取すべき素材の種類は多く,正直身体がいくつあっても足りない。そこで役立つのがサブキャラクターだ。プレイを進めると課金をせずともアカウント内のキャラクター枠が増えていくので,どんどん新キャラクターを作成していこう。
「Warrior」なら鉱石の採掘,「Mage」は伐採,「Archer」はクラフト,「Barbarian」は魚釣り,「Shaman」は錬金術,「Bowman」は虫取りというように,キャラクターはクラスによって戦闘以外の得意分野を持っている。どんどんキャラクターを作り,それぞれの得意分野に従事させ,素材を溜めて装備を作っていくのだ。
主力のBarbarianは最先端のマップで狩りをし,Mageはジャングルの奥で伐採,Bowmanは砂漠で虫取り,次の装備には鉄鉱石が要るのでWarriorに加えてShamanも鉱山へ派遣。新キャラクターが奥地の狩り場へ行けるようにするための新人育成も必要なので,お下がり装備を与えて適切な狩り場を見繕う。
やることは山ほどあり,MMORPGのはずが経営シムのような人材派遣をしている自分に気付く。市場(狩り場)開拓,それに合わせた装備作り,変化していくニーズに合わせた原材料(素材)調達……皆が得意分野で貢献する様子は,まるで会社のようだ。“IdleOn社”のすべてをプレイヤー1人が担当し,隅々まで自分の意志を反映させつつ同時進行できるのは,放置ゲーだからこその魅力と言えるだろう。
さまざまな強化システムで,キャラクターを育てる楽しさを思う存分楽しめる
ここまでは放置と自力操作を繰り返して進めていく,「IdleOn」独自のスタイルを説明してきたが,次にキャラクターを育成する強化システムを紹介しよう。
本作ではキャラクターを強くする方法が多岐にわたり,それぞれが狩りやレアドロップ,お金稼ぎといった,異なる面白さを味わえる。そのため,少しずつ強くなっていく楽しさがあり,プレイが単調になりにくい。この導線の巧みさと多彩さが「IdleOn」の面白さを支えているのだ。
適切なタレントの割り振り,「Stamp(切手)」や「Card」のセット,「Statue(彫像)」の納入や「Bribe(賄賂)」の購入,「Merit」の活用,そして「Alchemy(錬金術)」といったシステムを駆使すれば,装備はそのままでも少しずつ強さを底上げしていける。
狩りの楽しさを味わえるのがタレントだ。キャラクターには大別して戦闘用タレントと採取用タレントがあり,レベルアップすることで得られるタレントポイントを割り振っていく。
戦闘と採取を両立しようとすると,どっちつかずになってしまうので,基本は一方に寄せていくのがいいだろう。幸い,タレントの割り振りは3つまでセッティングを作れて,街で切り替えられる。あらかじめ戦闘用と採取用のセッティングを作っておき,その日の目的に応じて切り替えればいい。
3つまでセットを用意できるということは,“1回のレベルアップは一粒で3度おいしい出来事である”ということ。普通のMMORPGならレベルアップでスキルポイントを1回振って終わりだが,本作では3つのセッティングに振れるため,少しずつではあるが,それぞれの分野でより活躍できるようになっていくのだ。
レアアイテムが出た時の喜びをフィーチャーしたのがStampとCardである。モンスターを倒していくと,レアアイテムとしてStampやCardを落とすことがある。Stampを街の銀行に持っていけば,対応したパラメータ強化の項目がアンロックされ,以降はゲーム内通貨の通貨で強化できるようになる。
この効果はアカウントのキャラクター全員に及ぶため,ジワジワと皆の実力が底上げされていくのが気持ちいい。一定レベルまで上げた後は,採取系素材で上限がアップするため,素材集めも怠れない。モンスターごとのCardでもパラメータを強化できる。
Stampが有料での強化なのに対し,Cardは無料。ソシャゲよろしくCardはダブるほどに強化の効果がアップするため,いくらでも欲しくなってくる。Card目当てに初期の狩り場を荒らし回るのもアリで,格下狩りでも常に射幸心を刺激される仕組みだ。
Statueもモンスターがドロップし,パラメータが底上げされる。基本的にStatueは各キャラクター固有だが,けっこうな額を支払えば全キャラクターで共有できるようになるので,お金も欲しくなってくる。同様にお金が大事になるのがBribeで,Stampのドロップ率アップや店の割引といった特典を得られる。お金はいくらあっても足りない。
そして,「指定数のモンスターを倒す」「武器なしで戦う」など,いわゆる実績的なプレイをするとMeritが得られ,強力な装備のクラフトレシピを買えるようになる。MMORPGや放置ゲームは慣れるとプレイが同じことの繰り返しになりがちだが,レシピのために変わったプレイをしてみようか,と日々のプレイに変化がもたらされる。
運の要素が強いのがAlchemyである。かいつまんで説明すると,さまざまな効果を持つ錬金術の釜にキャラクターたちを配備し,時間経過によって増えるリソースで釜を強化,キャラクターを強化する能力を持つ「Bubble(泡)」を生成していくというものだ。
Bubbleが生成できるかどうかは運頼みで,生成ボタンを押すたびにくじ引きやガチャのようなドキドキ感が味わえる。釜自体も強化でき,Bubbleの生成率を底上げできるため,キャラクターだけでなく釜でも育成の楽しさが味わえるのだから徹底している。
こうした手段を駆使すれば,キャラクターは着実に強くなっていく。例えば,「新しい狩り場を発見したけれど,敵が強くて完全放置できない」なんて状態でも,すべての強化手段を駆使すれば,キャラクターのレベルを上げてもいないし,装備を更新してもいないのに,新しい狩り場で通用するだけの実力を手に入れることもできる。
長期的な成長を見守りつつ,細々と手を入れていくことが楽しく,一つひとつの強化が劇的でないだけに,「また一つシステム理解度が深まった!」とうれしくなって,また深い沼にハマっていけるのである。
本作のジャンルは,放置系MMORPGだが,MMORPG的な側面が強いのがダンジョンだ。ソロで進めて行くのが基本の本作だが,ダンジョンではほかのプレイヤーたちとパーティを組み,次々出現する敵と10分ほどの制限時間の中で戦わなければならない。
ほかのコンテンツが数時間〜数日単位で進行するのとは対照的で,手動操作によるリアルタイムな攻略を求められるのだ。そして,ここにも巧みな導線作りがある。ダンジョンではローグライク的な要素が導入されており,毎回異なる展開や育成を楽しめるのだ。
ダンジョンでは通常の武器防具は使えず,毎回裸一貫からスタート。モンスターを倒すと,そのダンジョンでのみステータスを強化できるアイテム「RNG Item」や,ダンジョン専用の武器防具,通貨「Dungeon Credit」がドロップするので,これを用いてキャラクターを育成していく。
何を落とすかはランダムなので,プレイするたびに展開は変化する。そして,これらの強化はダンジョンが終わるとリセットされるので,多少運が悪くてもあとに響かない。
ローグライク的なルールを取り入れたことにより,毎回キャラクターを育てる面白さが味わえるというわけだ。そして,ダンジョンを終えることで「Dungeon Rank」がアップし,有利な効果を持つ「Trait(特性)」がアンロックされていく。こちらはFPSなどにおけるPerkに近いイメージで,Dungeon Rankを育てていくのもまた楽しい。
そして,ダンジョンをこなすことで,通常のキャラクターの強化にもつながっていく。ダンジョンでは「Flurbo」という専用ポイントが得られ,ステータスの底上げやパラメータを強化できるリングやペンダント,キーチェーンを購入するのに使える。
つまりはダンジョンの中と外が有機的につながっていて,どちらもプレイしたくなってくる。おまけにキーチェーンは買うまで効果が分からないガチャ仕様なため,リプレイ性も高い。
本作は何かをコツコツ育てていく系コンテンツの詰め合わせであり,膨大なコンテンツ同士を巧みな動機付けによりつないでいるのが特徴的だ。プレイヤーを惹きつけること,モチベーションを持続させることについて,真剣に考えたゲームであるという印象だ。
放置ゲームでありつつも手動操作で介入すべきところがいろいろあり,PCとスマートフォンでデータを共有できるのに加え,広告の類が存在しないため,出先で放置をセッティングしたり,ちょっとしたスキマ時間でダンジョンに潜ったりと幅広い楽しみ方ができる。
MMORPGではあるが,他者との関わりは薄め。狩り場でほかのプレイヤーを見かけてもモンスターを取り合うようなこともない。ギルドも存在しており,加入すればギルド用タレントでキャラクターを強くできるのだが,「次にどのタレントが欲しいか」を投票できるシステムがあり,関係が密になりすぎず,意思表示はできるというあたりにも配慮が行き届いている。
個人的には何かをコツコツ育てるゲームが好きなこともあり,IdleOn沼にズッポリとハマり込んでしまった。長期間にわたって遊ぶタイプのゲームではあるため,じっくりと付き合っていくのがいいだろう。
なお,冒頭にも記述したが,本作は直近のアップデートで日本語にも対応している。本記事を読んで興味が湧いた人はぜひ一度遊んでみてほしい。
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