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[インタビュー]梶原岳人さん&村上一馬Pに「フラガリアメモリーズ」の楽曲に込めた想いを聞く。8月開催“1stライブ&ファンミ”の新情報も!

 サンリオがおくる「フラガリアメモリーズ」(以下,「フラメモ」)の1stライブ&ファンミーティング「フラガリアメモリーズ 1st LIVE & FAN MEETING 〜Wish is …〜」が,2024年8月10日と11日に埼玉県の大宮ソニックシティ 大ホールで開催される。現在,一般チケットが発売中だ。

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「フラガリアメモリーズ」ライブ特設ページ


 本イベントは,10日に夜公演,11日に昼&夜公演の計3回行われる。前半は3DCGライブ,後半はファンミーティングの2部構成で,一度で二度おいしい内容となっている。1公演だけでも十分満足できるが,公演ごとに,3DCGライブはMCや曲順,ファンミーティングは出演者が異なるため,どの回も新鮮な気持ちで楽しめるとのことだ。

 4Gamerはイベント開催に先駆け,プロジェクトの大きな柱の1つである楽曲の魅力を,ハルリット役の梶原岳人さんと,プロデューサーの村上一馬氏にうかがった。本稿では,前半に梶原さんと村上氏へのインタビュー,後半に村上氏への単独インタビューという構成で,楽曲の解説や,制作秘話などをお届けしていく。

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梶原岳人さん
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ハルリット(CV:梶原岳人)

 なお,「フラガリアメモリーズ」の世界観やキャラクターについて知りたい人は,先に下記の記事を確認してもらいたい。

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 イケメンたちが登場する作品は数多いが,2023年にとくに注目を集めたプロジェクトがある。それが,今回紹介する「フラガリアメモリーズ」だ。本稿では,まだ知らない人はもちろん,すでに追っている人にも分かりやすく,本プロジェクトについてまとめているので,チェックしてほしい。

[2023/12/28 15:00]


もくじ

●梶原岳人さん×村上一馬Pインタビュー
 レッドブーケの各楽曲について解説!
 梶原さんのお気に入りの曲や,今後挑戦してみたい歌とは?
 8月開催の1stライブ&ファンミ新情報(1)


●村上氏への単独インタビュー
 ブルーブーケの各楽曲について解説!
 ノワールブーケの各楽曲を解説!
 8月開催の1stライブ&ファンミ新情報(2)




梶原岳人さん×村上一馬Pインタビュー
レッドブーケの楽曲について深堀り


4Gamer:
 今日は「フラガリアメモリーズ」の楽曲を中心に質問していく予定ですが,梶原さんに「フラメモ」のお話を聞くは初めてなので,まずは出演が決まったときのことをお聞かせください。

梶原岳人さん(以下,梶原さん):
 そのときはまだコンテンツの全貌は見えていませんでしたが,歴史のあるサンリオキャラクターに関わる作品なので,出演が決まり,ハルリットという役を任せていただけて,うれしい気持ちでいっぱいになりました。

4Gamer:
 ハルリット役は,オーディションで決まったんですよね。

梶原さん:
 そうです,実は今いるこのスタジオでオーディションを受けたんですよ。ここに来るのはそれ以来なので,ちょうどあのときのことを思い出しました(笑)。ハルリットともう一人別のキャラクターを受けていて,短めのセリフと歌唱があったんですが,そのときの歌がめちゃくちゃ難しくて……。テンポ感もそうだし,キーもけっこう高かったので,これをこなすのは大変だなと思いながら挑んだ記憶があります。

ハルリット(CV:梶原岳人)
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4Gamer:
 オーディションには村上さんも同席していたということですが,そのときのエピソードや梶原さんの審査で感じたことがあれば教えていただけますか。

梶原さん:
 僕もそれは聞きたいです(笑)。

村上一馬氏(以下,村上氏):
 オーディションでは,どのキャラクターを受けるかは演者さん側に決めていただきました。梶原さんが選んだキャラクターを見たとき,何でこの2人を選んだかというのが演技や歌唱から見えて,(梶原さんが受けた2キャラクターの)どちらも良かったです。いい意味で「どうしよう」と悩みましたね。

 結果,梶原さんにはハルリットをお任せすることになりました。ハローキティはロンドン出身ということもあり,英語が映えるキャラクターという意味でも,帰国子女で英語が堪能という一面も,梶原さんに決めた理由になっています。

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梶原さん:
 確かに,収録に入ってから「英語の発音はしっかりめでお願いします」というディクションがありました。なるほど,そういう意味もあったんですね。


◆レッドブーケの各楽曲について解説!

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村上氏:
 この曲は「フラガリアメモリーズ」のお披露目曲であり,レッドブーケの1曲目かつハルリットをイメージした曲という前提で制作していたので,その3つの要素をきちんと考える必要がありました。

 以前もインタビューでお話ししましたが,ハローキティもハルリットもピアノを弾くことが好きなので,1音目はピアノから始めようと決めていたんです。ピアノなどのアナログな音が“起きた出来事”だとしたら,タイトルにもある“メモリーズ”はデジタルサウンドになるのかなと。

 前奏では,“出来事”から“記憶”に移り変わるような変化を表現できればいいなと思いました。そしてサビを際立たせるために,Bメロでブレイクを入れて,サビで転調させてグッとキャッチーに。そこからテクニカルなリフ(特定の楽曲で繰り返し使われる短いフレーズ)に戻っていく……という全体の流れも,早い段階から決めていました。

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 「フラガリアメモリーズ」は,サンリオが手掛ける「人型キャラクターで贈る“新世代の本格ファンタジー”プロジェクト」だ。プロデューサーを務める村上一馬氏と,デザイナーのエン氏に,プロジェクトへの想いとこだわりをうかがったのでお伝えしよう。

[2024/05/01 19:00]

梶原さん:
 面白い……!

4Gamer:
 タイトルや歌詞に関しても,かなりのこだわりが詰まっているんですよね。

村上氏:
 はい。「EVER RED」というタイトルは,“残り続けるもの”といった意味でよく使われる「evergreen」という単語から着想しました。「フラメモ」自体が記憶や思い出というモチーフを大切にしており,物が消えても思い出だけは奪えない……といったメッセージを込めています。また,主(ロード)とフラガリアの関係性も,長く色褪せないものであってほしいという想いや,プロジェクトの姿勢としてこのタイトルにしました。

 歌詞に関してですが,例えば「ストロベリー」と出てくるのは,作品タイトルにもある「フラガリア」由来でもあります(「いちご」の学名が「Fragaria」であることや,フラガリアワールドに深く関わっている「いちごの王さま」など)。さらに「How many」「Strawberry」「鮮明に」といったリズムを活かす形の言葉選びにもこだわっています。

 Bメロの「眩しく輝く太陽」から始まるフレーズは,まっすぐなハルリットらしさを。サビは「フラガリアメモリーズ」の世界観が広く伝わるような内容を意識しました。

4Gamer:
 こちらも以前のインタビューで話しましたが,「フラメモ」は制作陣のこだわりと愛がめちゃくちゃ深いコンテンツですよね。すべてを載せきれないくらい,言葉や音の一つひとつまで細かく意味を込めて解説できるのは,そうそうないんじゃないかと思います。梶原さんは,あらためてお話を聞いていかがですか。

梶原さん:
 僕も音楽をやっているので,この曲はどうやって作るんだろうと考えるんですよ。だから「EVER RED」を初めて聴いたときも,イントロやサウンドの切り替わり,転調にも意図があるのかなと感じていました。レコーディングでも自分なりの解釈はありましたが,まさかここまで細かく考えられていたとはと驚きましたし,同時にすごく納得しました。

 あとレコーディングのときにお伝えしたんですが,僕は「一度結わったリボンには」からの流れがとくに好きなんです。サウンド的に良い意味でのフックになって耳に残るし,ハローキティを連想させる「リボン」にかけた言葉もすごく良いなって。

村上氏:
 そう言っていただけて本当にうれしかったです(笑)。印象に残るよう少し変則的な構成にしていて,伝えたいこともここにしっかり込めようと考えていました。

4Gamer:
 梶原さん的に,歌の難しさはあったのでしょうか。

梶原さん:
 すごくこだわって作られているぶん,頭の中でイメージが掴みやすかったので,むしろ歌いやすかったです。まだセリフなどもそれほど収録していない時期でしたが,違和感なく落とし込めたかなと思います。




梶原さん:
 「Your Melody」のレコーディング前に歌詞について説明していただいたんですが,こんなに意味が込められていたんだ! というのが驚きでした。まずこれって「赤ずきんちゃん」がモチーフになっているんですよね。「狼狽」という言葉にオオカミをかけていたりとか……。

4Gamer:
 メロルドの主(ロード)である,マイメロディが「赤ずきんちゃん風」のデザインというところからですね。

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梶原さん:
 「フラメモ」の世界観とマッチしつつも,そうした別視点からの描き方もあるんですよ。主(ロード)が「マイメロディ」で,この曲のタイトルが「Your Melody」というのもめちゃくちゃセンスがいいなと思いました。逆に,どういうふうに曲が作られていったのかを聞いてみたいです。

村上氏:
 歌詞で言うと,まずは今おっしゃっていただいた「赤ずきんちゃん」モチーフの言葉選びですね。「囁き」も,“オオカミが言う言葉に惑わされないで”という表現だったりします。あと後半の「どうして」と繰り返すフレーズも,「おばあちゃんの耳はどうして大きいの」「どうしてお口が大きいの」といった「赤ずきんちゃん」由来の言葉です。

 メロルドがどんな人物かはこれからボイスドラマで描いていくのですが,この曲は,それが分かる前に出す意味のあるようなものにしたいと思いました。きっと,お話が進むにつれて聴く人の感じ方も変わってくるのかなと。

メロルド(CV:林 勇)
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4Gamer:
 なるほど。サウンド面はいかがですか。

村上氏:
 サウンドとしては,ヴァイオリンが映える曲にしたいなというところから作り始めています。音楽的に,ほかにこだわっていたのは,1サビ終わりの「心なんかはいらないのに」と,2サビ後半の「もし悲しみを響かすなら」のうしろで音がぶつかる不協和音っぽいシンセ(電子回路を使ってさまざまな音を出す機械)が鳴っているところです。

 でも2サビ終わりの「僕はここから奏でてくよ」で,それがなくなるんですよね。歌詞にあわせて,心情を音の表現として落とし込められるといいなと。

梶原さん:
 うーん,こだわりがすごい……!




村上氏:
 「四つ葉綴りのラプソディ」は,プルースがメインの曲です。良い意味で“自由で余裕のあるお兄さん”感というか,ゆったりした感じが音になるなといいなと思い,アコースティックギターが印象的な緩やかな曲にしました。プルースの趣味が“幸せのクローバー探し”でして,彼の人生が四つ葉のクローバーのように幸せなものになるといいな……と,曲をとおして「四つ葉」は使っているフレーズになります。

 プルースは「ずっと今の状態が続くと良いな」というより,「日々が変化していくのも楽しいよね」という,小さな幸せや変化を楽しむような精神性なので,そこを描きたいと思いました。

 「ひと時の木漏れ日が切り絵になって差し込む」というフレーズは,木漏れ日は珍しいものではありませんが,同じ木漏れ日は存在しないので「同じように見えても日々違うものが訪れるし,それを楽しめるといいな」といったメッセージになっています。

プルース(CV:寺島拓篤)
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4Gamer:
 梶原さんは曲をお聞きになっていかがでしたか。

梶原さん:
 この曲は,このリズムでできる全部のことをやってるんじゃないかなと思いました。BPM(1分間に同じ速さで打つ拍)のなかで展開が変わっているように見えるし,違った雰囲気があるんですよね。技術的にもすごいなと思うんですが,サビまではゆったりしているのに,サビになるとテンポが上がって軽やかに聴こえるんです。僕もちょっと作り手側の目線になってますね(笑)。

村上氏:
 梶原さんのおっしゃるとおりで,この曲はただずっと緩やかではなく,起伏が人生を彩るというような表現をしています。ラストの「ラララ」は,ライブではみんなで1つになれると良いなと思い,意識した構成になっています。

 それと,プルースはよくボイスドラマで「歌いたいな」と言うんですが,そのあたりも曲にいろいろと込めていますね。


梶原さんのお気に入りの曲や,
今後挑戦してみたい歌とは?


4Gamer:
 「フラメモ」で梶原さんがお気に入りの曲はありますか。

梶原さん:
 どれも好きですが,今パッと思いついたのは「Your Melody」です。歌う側からすると,歌っていてすごく気持ちの良いラインだったなと。なんて言うんだろう,声を張りすぎず息が混じるくらいだけど,ザラッとした雰囲気も乗せられたりとか。個人的にレコーディングがとても楽しかったです。とくにAメロの細かい言葉のリズムのはまり方が気持ち良くて!

村上氏:
 確かにめちゃくちゃいいテイクでしたね。梶原さんは,もともと音域が高くても低くても同じ良いトーンで歌える方なので,どこが歌いやすいのか自己申告してもらわないと,こちらは分からないかもしれないです(笑)。

4Gamer:
 では今後,このプロジェクトで梶原さんが歌ってみたいのはどんな曲でしょうか。

梶原さん:
 そうですね……比較的デジタルサウンドが多いので,もっとナチュラル寄りだとどうなるのかなとは思ったりします。それこそ「四つ葉綴りのラプソディ」はそれに近いですが,後半はデジタルですし。僕に限らず,レッドブーケはどちらの良さも活かせるチームだと思うのでぜひ挑戦してみたいです。

村上氏:
 しかと受け止めました(笑)。

4Gamer:
 逆に,村上さんから「梶原さんにこんな曲を歌ってみてほしい」というアイデアはありますか。

村上氏:
 梶原さんの英語を活かした曲もいいなと思います。ノワールブーケの楽曲までいかなくても,英語が映える曲に挑戦してみたいです。普通のヒップホップやミクスチャーというよりも,そこにレッドブーケらしさを残したものができるといいなと。

梶原さん:
 楽しそう! でも本当に(「フラメモ」の楽曲は)幅が広いですよね。何でこんなにいろいろな引き出しがあるんだろうって。

村上氏:
 それはもう,いろいろなキャラクターがいて引っ張ってくれるからです(笑)。このキャラクターにはこういうのが合うなっていう。

梶原さん:
 僕はわりと自分の経験でしか(楽曲を)書けないんです。ファンタジーの世界や,誰かの物語を想像を膨らませて作るのは苦手なので,心からすごいなと思います。

4Gamer:
 少し戻りますが,レコーディング全体についても少し聞かせてください。村上さんも参加されていますよね。

村上氏:
 はい,基本的には。皆さんとても歌がお上手なので,レコーディング自体はいつも順調に進みます。そのなかで,例えばキャストさんがフェイク(本来の音程やリズムを崩して歌うテクニック)を入れてくださったのを採用したり,その場でより良いフレーズに変更したりなどもしています。

 どうすればよりキャラクターらしくなるか,どうすれば曲が映えるかというのは,現場でも常に追求していますね。制作者側と演じている側とではまた見え方も違うので,それがとても良い刺激になっています。

 あと「フラメモ」の楽曲はどれも色が違いますが,ライブで聴くことでもっと映えると思うので,それこそ3DCGライブで印象が変わったりするかもしれません。どんなふうに盛り上がるかが自分も楽しみですし,皆さんにも楽しんでいただけるところかなと思います。


8月開催の1stライブ&ファンミ新情報(1)
3公演とも見どころ満載! あの方々も登場!?


4Gamer:
 ちょうどライブの話が出たところで,8月開催の1stライブ&ファンミーティングについて教えてください。こちらは1回の公演で3DCGライブとファンミーティング両方を観ることができ,内容の異なる3公演が2日にわたって行われるということですよね。

村上氏:
 はい。3DCGライブは公演ごとにMCと曲順をすべて変えており,各公演で3つのブーケそれぞれに見どころがあります。ファンミーティングは,3公演全体で全キャストさんが揃う形です。

 各回で出演されるキャストさんがすべて違うので,どの回も新鮮な気持ちで観ていただけると思います。ファンミーティングは基本バラエティ寄りの内容で,お客さまに参加していただくような企画も考えています。

■出演者(敬称略)
DAY1夜公演 8月10日 DAY2昼公演 8月11日 DAY2夜公演 8月11日
梶原岳人/ハルリット役
林 勇/メロルド役
日向朔公/リミチャ役
仲村宗悟/サナー役
千葉翔也/ウィルメッシュ役
武内駿輔/バドバルマ役
寺島拓篤/プルース役
土岐隼一/ロマリシュ役
小笠原 仁/チャコ役
畠中 祐/アルペック役
松岡洋平/ハンギョン役
町本成史/ピケロ役
寺島拓篤/プルース役
島﨑信長/シエロモート役
坂田将吾/クロード役
三上瑛士/クラークステラ役
榊原優希/ルタールステラ役
徳留慎乃佑/ミュンナ役
村瀬 歩/タッサム役

4Gamer:
 どの公演も見どころがそれぞれありそうですね。

村上氏:
 あと本イベントでは,開場から開演時間までの間にハローキティとシナモロール,バッドばつ丸も会場に来ます!

梶原さん:
 えっ,本当ですか!? やったあ!

村上氏:
 来場される方は,時間が合えば会えると思いますし,ぜひ写真も撮ってあげてください。

4Gamer:
 ビッグゲストですね……!

村上氏:
 各公演で異なるサンリオキャラクターが遊びに来るので,ぜひ楽しみにしていただきたいです。

4Gamer:
 では,梶原さんからファンの皆さんにメッセージをお願いします。

梶原さん:
 フラガリアの騎士たちの物語を演じていて,ハルリットのまっすぐさや完璧なだけじゃない人間らしさを感じています。ボイスドラマでほかのみんなとの触れ合いが見られてすごくうれしかったですし,これからの成長がすごく楽しみですね。

 そして8月の3DCGライブでは,ハルリットをはじめフラガリアの騎士たちがリアルに動いているのをたくさん観られるので,ぜひ期待していてください。当日は僕もぜひ観られたらと思っています。ファンミーティングでは,キャストの皆さんと楽しい時間をお届けしますので,ファンの皆さんと良い空間を共有できればと思います。お待ちしておりますので,ぜひ会場でお会いしましょう!



 8月に開催される1stライブ&ファンミーティングのさらなる情報は,村上氏への単独インタビューでも掲載しているので,最後までチェックしてほしい(すぐ読みたい人はこちらをタップorクリックしてください)。


村上氏への単独インタビュー
ブルーブーケとノワールブーケの楽曲を深堀り


4Gamer:
 ここからは,村上さんにブルーブーケとノワールブーケの楽曲についてお聞きできればと思います。梶原さんのインタビューでも「フラメモ」の楽曲はかなり多彩だという話がありましたが,各曲のジャンルを決めるうえで,このキャストさんにはこういう曲を歌ってみてほしい,という方向性から考えることもあるのでしょうか。

村上氏:
 ジャンルというより,メロディーに求めるものはあります。例えば「青空のメモリー」で,坂田さん(クロード役の坂田将吾さん)の歌に伸びやかで綺麗なところと芯を感じる箇所があったので,クロード曲の「Key My Notes」でも,音を伸ばしたり,張り上げる箇所を入れたりしました。そういう,キャストさんそれぞれの歌の特色は反映することもありますね。

4Gamer:
 なるほど。では,村上さんが考える「フラメモ」ならではの楽曲制作はほかにどういった点がありますか。

村上氏:
 すべての楽曲を深いところまで自分たちでコントロールしているので,仕掛けを入れやすいところはあります。「この曲とこの曲に共通する部分を入れよう」など,綿密に設計しやすいんですよね。

4Gamer:
 お話を聞いていつも思うのは,「フラメモ」は作り手の匂いを感じるなということです。最初はごく少数の方で作り始めたというエピソードも,そう思わせるのかもしれませんが。

村上氏:
 そうですね。個人個人が想いを込めて作る,というのは私が目指していたことでもあります。数年後,もっと規模が大きくなって展開も増えていったら,また違う形や印象になるかもしれませんが。


◆ブルーブーケの各楽曲について解説!

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村上氏:
 「青空のメモリー」でフィーチャーしているシエロモートや,主(ロード)のシナモロールからくるキーワードとしては,しっぽや髪を思わせる「違う想いが渦巻いて」や,シエロモートがコーヒーを飲むことになぞらえた「波立つ苦さも何もかもそっと飲み干してしまえばいい」という箇所などがあります。

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村上氏:
 全体的にこの曲は,青空みたいに包み込むような優しい曲をという想いで制作しました。ただ「いつも一緒だよ」というよりは,「もし一緒にいられなくなっても,あなたが幸せなら僕はうれしいしそれを願っている」という,ほんの少し距離を感じる歌なんですよね。「幸せを願っている」というほうが,見返りを求めない騎士らしい思いだと思います。

 「空が映す彩り 四季が香る煌めき 少しずつ見上げてく景色」という歌詞がありますが,四季折々ずっと一緒にいたいけど,それよりも君に青空が続くだけでいいんだよという表現は,私としても気に入っている一節です。

シエロモート(CV:島﨑信長)
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4Gamer:
 基本的な設定に立ち返るのですが,「フラメモ」の楽曲は“フラガリアから主(ロード)に向けた”歌ということですよね?

村上氏:
 そうですね。部分的に仲間同士のことを歌っている箇所などもありますが,基本的には主(ロード)になります。

4Gamer:
 個人的な感想ですが,この歌を聞いたとき,昔大切にしていたサンリオキャラクターのぬいぐるみやグッズのことを思い出しました。

村上氏:
 ありがとうございます。「フラメモ」は,昔サンリオと触れ合ってきてくださった方が「今もまだあのぬいぐるみあるかな」とか「小さいころよくサンリオの雑貨使ってたな」みたいに,思い出してほしいといった気持ちも込めたプロジェクトなので,作り手冥利に尽きますね。少し切なく聴こえる歌かもしれませんが,「未来はきっと明るいということを僕たちは知っているよね,だって僕らが出会ったんだから」と,希望のある締めにしています。

 サウンド的には70年代の洋楽ポップ・ミュージックを意識してまして,ストリングス(主に弓で弾く弦楽器のこと)主体で,フルートや鐘の音などの神秘的で静謐な感じとバンドサウンドをうまく融合させたいなと考えました。青空の雰囲気を表現するには良いなと思いまして。

4Gamer:
 えっ,意外なジャンルが出てきて驚きました。

村上氏:
 ほかに意識したのは,サビのメロディが細かく短いモチーフの繰り返しではなく,サビをとおしてずっと流れている長いメロディというところです。サビ2周目でリズムが変わってドラムが入る構成も,よりモチーフの繰り返しっぽく聴こえない印象に影響していると思います。




村上氏:
 「Key My Notes」は,クロードがメインの曲です。シエロモート,クロード,クラークステラはとくに強い意志を持ったキャラクターたちで,一緒に歌うことに意味があるかなと思っています。クロードには超えたいと思う存在がいて,クロミと出会って騎士見習いになり,クロミを守って立派な騎士になりたいという強い気持ちも芽生えるんですよね。ボイスドラマでもそういったところは描きますが,この歌のなかだけでも気持ちの変化が表れています。

 タイトルにある「Notes」は,日記などに使用する「ノート」のほかに,音楽の「音符」という意味もあり,音についての遊びも入れました。1番では「まだ何も知らないノートに」とありますが,2番の同じ場所では「石を穿つ雨だれの音が」の「〜の音」が「ノート」と同じ言葉になっています。「ノーツ」という言葉は,タイトルも含めていろいろな仕掛けや意味を込めています。

クロード(CV:坂田将吾)
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4Gamer:
 確かに! いや,本当に面白いですね。

村上氏:
 あと「君が君らしくいられるように」というフレーズは,クロミの「なりたい自分になる」というメッセージから着想を得ていますね。

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村上氏:
 サウンド的にはやはりブルーブーケの曲なので,ストリングスが入った清涼感の広がる感じにしたいと思いました。ただやっぱり強い意思がある熱いフラガリアなので,ノワールブーケほど重くはないけど,ギターリフ(繰り返されるギターフレーズ)を入れたバンドサウンドという形になりました。




村上氏:
 「拝啓、暁染める虹よ」は,ウィルメッシュがメインの曲です。彼は文字や言葉を大切にするキャラクターなので,曲をとおして1通の手紙みたいになると良いなと思い,タイトルにも「拝啓」とつけました。

 何度か出てくる「虹」というフレーズは,主(ロード)であるウィッシュミーメルの尻尾が虹色なところからきています。また,虹は雨が降らなければ現れないですよね。「愛情も悲しみがなければ芽生えないものなの?」と思ったりもするけど,決してそうではないと。現に悲しくはないけど,それでも愛で溢れているよという想いを込めています。

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4Gamer:
 手紙をモチーフにしているだけあってロマンチックですね。

村上氏:
 そうですよね。全体的に古風というか文学的な言葉を使っています。ウィルメッシュだから丁寧に手紙を書くんですが,言葉は簡単に届かないこともあるよね,という気持ちもどこかにあるんですよ。伝わらないからこそ慎重になるというか……。

 Cメロに「書けない想いを 文字の掠れは知る」という歌詞がありますが,書きよどんだときの文字の掠れとか崩れ方とかで,気持ちより伝わることもあるなと思い,こういった表現になっています。この曲は,制作チームの皆も気に入ってくれていますね。

ウィルメッシュ(CV:千葉翔也)
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4Gamer:
 サウンド面についても聞かせてください。

村上氏:
 全体のモチーフが手紙なので,Bメロでポエトリーリーディング(詩を読み上げるような表現)を入れました。ほかの曲以上に“語り”っぽい言い回しを増やしていますし,そういったところはこの曲ならではですね。声が高いキャストさんが揃っているため,キーもほかの曲より高めにしつつも,ウィルメッシュの声が映えるような音域で作りました。

 構成としてはピアノ主体で始まってアコギ(アコースティックギター)が鳴り,ほかのブルーブーケの曲よりも少し大人っぽくしています。楽器が増えて盛り上がっていき,サビでは朝焼けのような神秘的な雰囲気を感じてほしいなと思いました。全体的にちょっと切ないメロディの曲ですが,サビでは意外にハードな感じにもなったりするのは,この曲の面白いポイントかなと思います。




◆ノワールブーケの各楽曲を解説!

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村上氏:
 「ALL SO BAD」はバドバルマがメインの曲でして,野心や信念,リーダーシップなどを表現したミクスチャーロックとなっています。冒頭は「STOMP」(ストンプ)と呼ばれる,足を強く踏み鳴らすような身体一つで作るリズムを入れています。

 その身一つで成り上がろうとするような野心家のバドバルマを表現するなら,ぜひ使いたいなと思いました。そこからギターリフ中心のミクスチャーロックに展開させています。

バドバルマ(CV:武内駿輔)
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4Gamer:
 なるほど! 言われてみれば確かに。

村上氏:
 歌詞は言葉遊びが多めです。バドバルマの主(ロード)はバッドばつ丸なので,ばつ丸が使う言葉である「ドッペン」から語感を近くした「Drop pain!」という歌詞を入れました。あまのじゃくなところもふんだんに表現しており,「×と◯」「グッドとバッド」のほか,「マサカサカサマ」という回文を入れたりしています。

 また,「YOLO」(人生は一度きりという「You Only Live Once」の略)のように,頭文字で「NOIR」となるように「No One Is Recallin’」という歌詞にしています。

 タイトルに関しては,「SO BAD」は「非常に悪い」という意味ですが,英語圏だと「〜したくてたまらない」といったポジティブ寄りの意味でも使われるんですよ。それがすごくあまのじゃくらしいなと思い,このようなタイトルにしました。

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4Gamer:
 ほかのブーケにはない遊び心が感じられますし,雰囲気がガラリと変わりますね。

村上氏:
 掛け声のところは絶対にライブで盛り上がると思うので,ぜひたくさん声を出してほしいです。あと小ネタなのですが,「一歩一歩行くしかねぇ day by day」というフレーズで,「day by day」の前に小さい「ぁ」が聴こえるようにディレクションしています。裏拍のノリを出すのと,2番で韻を踏んでいる「飽き飽き」も「あ」から始まるので,少し意識してみました。




村上氏:
 「Charcoal White」は,チャコのメイン曲です。チャコはあまり表に感情を出さないですが強い信念があり,同じく強い信念を持つバドバルマと,つかみどころのないハンギョンとの共通点があるのかな……ということで,この3人に歌唱してもらいました。

チャコ(CV:小笠原 仁)
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4Gamer:
 こちらはどのような曲でしょうか。

村上氏:
 曲自体はヒップホップテイストで,「他者に憧れてもその人にはなれないし,他者も自分にはなれない」という,自分の本心に向きあう楽曲になっています。

4Gamer:
 なるほど。この曲のこだわったところも教えてください。

村上氏:
 ラップ部分の歌詞にこだわりました。主(ロード)であるポチャッコの生まれが「ふわふわタウン」というところから,歌詞に「ふわふわしてるTown Tone」と入れています。また,「冷え冷えの実芭蕉」はポチャッコとチャコの好物のバナナアイスから,「ゆらゆらのGhost Carrot」はポチャッコの体重を表す単位の「おばけニンジン」です。ほかにも,「Dogs」「れんげ草」といった,ポチャッコを思わせるキーワードを散りばめています。

画像集 No.019のサムネイル画像 / [インタビュー]梶原岳人さん&村上一馬Pに「フラガリアメモリーズ」の楽曲に込めた想いを聞く。8月開催“1stライブ&ファンミ”の新情報も!

4Gamer:
 面白いですね!

村上氏:
 ほかにも,「You cannot wash charcoal white.」(木炭を白く洗うことはできません)ということわざに近い歌詞を入れています。この曲の「Can't Wash Charcoal White」(チャコールは白く洗えません)は,「自分の本質は変えられない」という意味で使っています。
※何かまたは誰かの性質や性質を完全に変えることは不可能であること

4Gamer:
 これもすごいですね。ラップだと歌詞を作るのがより大変じゃないですか? 使いたいキーワードや意味も重要ですよね。

村上氏:
 大変だと思います(笑)。全体のサウンド的なことなんですが,最初はオラオラと突き進むけど,サビで歌い上げる感じというか,やや切なくなる感じが特徴的ですが,これに関しては小笠原さん(チャコ役の小笠原 仁さん)の歌が,曲にすごくハマっている感じがします。

 これまでの曲全部に言えますが,やはりキャラクターの歌声は,作るうえですごく意識しているところではあります。

4Gamer:
 この記事が出るころには,レッドブーケとブルーブーケの3曲目までが公開されていますね。ノワールの3曲目はもう少し先でしょうか。

村上氏:
 そうですね。配信番組で予告したシルエットでメインのキャラクターは予想がついているかと思いますが,近いタイミングで公開されると思います。こちらもすごくこだわって作りましたので,ぜひ楽しみにしていてください。

4Gamer:
 ありがとうございます。それにしても,あらためてものすごいこだわりを持って制作されているのがよく分かりました。おそらく記事にできる5倍くらい詳しくお話ししてくださったのですが,何かもう講義を聞いているような気持ちになりました。「この詩を書いた作者の想いは……」といったような。

村上氏:
 そうかもしれませんね(笑)。

4Gamer:
 感想などもたくさん寄せられていると思いますが,ファンの皆さんには考察でぜひ盛り上がってほしいです。文字通り一言一句,そして音の一つひとつに至るまで,すべてに意味があると言っても過言ではないので。

村上氏:
 はい。イラストやボイスドラマもそうですが,制作スタッフ陣が納得できる歌詞やメロディ,音にした楽曲をお届けしたいという想いが強いんです。無駄な要素は1つもないと自信を持って言えるので,ぜひたくさん聴いて考察していただきたいです!


8月開催の1stライブ&ファンミ新情報(2)
わりとガチなパフォーマンスが見られる!?


4Gamer:
 梶原さんとのインタビューでも少し触れましたが,8月のイベントについてもう少し聞かせてください。前半の3DCGライブは公演ごとに曲順とMCを変えるとのことですが,そのほかにお伝えしたいことがあれば。

村上氏:
 ライブのMCとしては長めになる予定でして,フラガリアたちが動いてしゃべっている様子を初めてお披露目できるので,丁寧に作っています。楽曲のパフォーマンスや映像についても,今公開されているハルリットの3D LIVE「EVER RED」(外部リンク)のものより,さらにブラッシュアップします。

 めちゃくちゃダンスが難しいんですよ。ハリルットの「EVER RED」を見ていただけると分かると思いますが,フラガリアのパフォーマンスはかなり本格的なダンスになってます。私が振付の動画をチェックするとき,泣きながらやっていました……感動しすぎて(笑)。これまでに観たことのないパフォーマンスをお見せできると思いますし,演出面もファンタジーな世界観ならではのものにしたいと思います。

4Gamer:
 そうなんですか,それはすごく楽しみです! また,描き下ろしのビジュアルもすてきですよね。

村上氏:
 はい,特典付きチケットは公演ごとにデザインが異なるグッズがついてきますので,すべてを揃える楽しみもあるのではないかなと。全公演あわせると全キャストさんが揃うファンミーティングも,とにかくお客さまに喜んでいただけるイベントにしたいという想いから実現することができました。

 制作側の我々としても,1つの船出のように感じています。ファンの方にも記念の日になるといいなと思っていますし,必ず皆さんが現場に行って良かったと感じてもらえるようにします。ぜひ,観に来てくださるとうれしいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました!

――2024年6月14日収録

「フラガリアメモリーズ」ライブ特設ページ

「フラガリアメモリーズ」公式サイト

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