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2024年にゲーマーが選ぶべきミドルクラスCPUはこれだ!
Intel Core Ultra 5 245K
ほとんどのゲームは,CPU負荷はそれほど高く,超高速フレームレートを狙わないなら,CPU性能でゲームのフレームレートが制限されることはあまりない。ほとんどのPCゲーマーにとって,価格が手頃な6コア程度のミドルクラス市場向けCPUは,価格対性能比に優れた選択肢だ。そして,IntelのデスクトップPC向け新世代CPU「Core Ultra 200S」(開発コードネーム Arrow Lake-S)シリーズから登場したミドルクラス市場向け製品が,「Core Ultra 5 245K」である。
本稿では,Core Ultra 5 245Kを中心に,年末に向けてゲームPCのリニューアルを考えているゲーマーが買うべき6コアCPUはどれなのかを,定番のベンチマークを使って調べてみよう。
6基のP-coreを搭載するCore Ultra 5 245Kを,主要な6コアCPUと比較
Core Ultra 200Sシリーズの最上位モデル「Core Ultra 9 285K」については,すでにゲーム性能に的を絞ったレビューを掲載済みだ。残念ながら高い評価は得られず,IntelもCore Ultra 200Sの性能が想定を下回っているとIntel自身が認めるなど,パッとしないニュースが相次いでいる。
伝えられているところによると,Core Ultra 200Sは,最適化がまだ十分でなく,2024年12月を目処に,性能向上を図るドライバやパッチ類をIntelが提供する計画であるという。それらによって,どこまでゲーム性能が向上するかは分からないものの,近いうちに改善する可能性はあり得るだろう。
それを踏まえたうえで,本題であるCore Ultra 5 245Kの概要を簡単に紹介しておこう。
公称TDP(Thermal Design Power,
そのほかの特徴は,すでに紹介済みのCore Ultra 9 285Kと変わらない。なので,さっそくテストの概要に移ることにしよう。使用している機材や環境,テスト内容は,Core Ultra 9 285Kのレビューと共通だ。テストを実施した時期が多少異なるために,UEFIやドライバのバージョンが一部,変わった程度である。
Core Ultra 5 245Kの比較対象として用意したのは,前世代のミドルクラス市場向けCPUである「Core i5-14600K」に加えて,AMDのRyzen 9000シリーズから「Ryzen 5 9600X」を用意した。また,購入できる6コア製品との比較という意味で「Ryzen 5 7600X」も加えて合計4製品を比較する(関連記事)
テスト用のマザーボードとしては,Core Ultra 9 285Kのレビューと同様に,Core Ultra 5 245KにはMSI製マザーボード「MAG Z890 TOMAHAWK WIFI」(製品情報ページ)を,Ryzen 5 9600XおよびにRyzen 5 7600X用として同じくMSI製マザーボード「MAG X870 TOMAHAWK WIFI」(製品情報ページ)を用意した。
MAG Z890 TOMAHAWK WIFI |
MAG X870 TOMAHAWK WIFI |
MAG Z890 TOMAHAWK WIFIは,Core Ultra 200Sシリーズ発売後にUEFIのバージョンアップが行われており,安定性や性能が多少向上したようだ。ただ,UEFIのバージョンアップにともなって,リファレンスとして使用しているG.Skill International製のDDR5-8000対応メモリモジュール「Trident Z5 NEO RGB」では,公式スペックの上限であるDDR5-6400設定では動作しなくなってしまった。ただ,DDR5-8000設定ならば,まったく問題なく動作するので,Core Ultra 5 245K,Ryzen 5 9600X,Ryzen 5 7600Xでは,同メモリモジュールのEXPOプロファイルであるDDR5-8000設定で揃えた。
しかし,Core i5-14600KだけはDDR5-8000設定だと安定しなかったので,DDR5-6000設定に押さえている。そのため,Core i5-14600Kだけは,メモリクロックが低く設定されていることに注意してほしい。
CPUクーラーにはいつものように,360mmサイズの大型ラジエータを搭載するASUSTeK Computer製の大型液冷クーラー「ROG RYUJIN II 360」を用意。積極的に冷却を行う「Turbo」プリセットで使用した。
実行するベンチマークテストは,4Gamerベンチマークレギュレーション30に準拠するが,「Fortnite」だけは,筆者の環境側に起因する問題を解決できなかったため省略した。
また3DMarkは,CPU性能評価向けに実行するテストを変更している。UL BenchmarksがCPU評価向けに推奨する「CPU Profile」テストを採用する一方で,「Fire Strike」に関しては,Fire Strike“無印”のみとした。また,DirectX 12テストの「Time Spy」とレイトレーシングテスト「Port Royal」は省略している。
ゲームテストの解像度は,3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3種類。画質は高負荷よりの設定を採用するが,すべてのタイトルで超解像技術を用いて,レンダリング負荷を低減させたうえで,CPU性能の違いを引き出す設定を採用している。具体的な設定は各タイトルで触れていくことにしたい。
性能の上下が激しいCore Ultra 5 245K
本稿で掲載するグラフ内では,Intel製CPUから「Core」を省略して,Ryzen勢は「R5」と表記していることを断ったうえで,まずは「3DMark」(Version 2.29.8294)から,CPU性能を物理シミュレーションによって測定する「CPU Profile」をテストする。
CPU Profileでは,「Max threads」から「1 thread」まで6パターンでテストを行う。Max threadsは,CPUが実行可能な最大スレッド数で実行するテストパターンだ。したがって,一般的には実行可能なスレッド数が多いCPUほど有利になる。16 threads以下は,スレッド数を決め打ちで実行するテストパターンで,今回テストしたCPUでは,Core i5-14600Kが最大20スレッドの実行に対応するのを除くと,16スレッドの同時実行は行えない。よってCore i5-14600K以外では,スレッド切り替えのオーバーヘッドが入るために,16 threadsのスコアはMax threadsよりもやや低くなるのが一般的な傾向,と理解しておくといいだろう。
結果はグラフ1にまとめた。
Core Ultra 5 245Kの性能はなかなかたいしたもので,前世代であるCore i5-14600Kと比べてMax threadsで約1.23倍,16 threadsだと約1.3倍を超えるスコアを記録している。20スレッドの実行が可能なCore i5-14600Kを2割以上も上回るのだから,Core Ultra 5 245Kの計算力は高い。
16 threadsやMax threadsのスコアは,Ryzen 5 9600Xに対して約1.7倍,Ryzen 5 7600Xに対しては,実に約1.9倍に達している。ただ,スレッド数が少なくなると差が小さくなり,1 threadだとCore Ultra 5 245KがRyzen 5 9600Xに逆転された。Core Ultra 9 285Kと同じ傾向で,Core Ultra 200Sは,マルチスレッド性能が高いようだ。
続くグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアとPhysics scoreをまとめたものだ。
Core Ultra 5 245Kの総合スコアは,Ryzen 5 9600Xにやや届かないという程度で,前世代の2製品は上回っている。CPU Profileから推測できるとおり,Core Ultra 5 245KのPhysics scoreは極めて高く,前世代のCore i5-14600Kに比べて約1.12倍,対Ryzen 5 9600Xでは約1.31倍,対Ryzen 5 7600Xだと約1.5倍に達した。Physics scoreは,CPUが実行できるスレッドを使って物理シミュレーションを行うので,この種の処理は,Core Ultra 5 245Kが得意というわけだ。
それにも関わらず,Ryzen 5 9600Xが総合スコアで上回るのは,Ryzen 5 9600XのGraphics scoreが非常に高いからである。
Fire Strikeだけを見れば,「Core Ultra 5 245Kもそう悪くはないのでは」となるが,DirectX 12を使用したゲームに近いテストであるSteel Nomadの結果(グラフ3)を見ると,評価が逆転するのが興味深いところだ。
GPU負荷が高い無印のSteel Nomadは,差が2%以内でほぼ横並びだが,GPU負荷が軽く,相対的にCPUのボトルネックが現れやすいSteel Nomad Liteになると,Core Ultra 5 245Kのスコアがほかに比べてあからさまに低い結果となった。前世代のCore i5-14600Kに対して約0.83倍,対Ryzen 5 9600Xで約78%,対Ryzen 5 7600Xでも約80%と,おおむね2割くらい比較対象よりもより低い。Core Ultra 5 245Kも,「ゲームは少々厳しいかな」という印象になるわけだ。
3DMarkの最後に,DirectX 12 Ultimateの性能を測る「Speed Way」の結果を,グラフ4にまとめておこう。
GPU性能が重要になるレイトレーシングを含む重いグラフィックスなので,まったくの横並びである。強いて言うなら,Ryzen 5 7600Xがほかより1%ほど低いが,誤差の範囲と見ていいだろう。
以上,3DMarkだとFire Strikeは立派だが,Steel Nomadは厳しいという変動の大きさが,Core Ultra 5 245Kの特徴という印象だ。そこを踏まえたうえで,ゲームの結果を見ていこう。
「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)のテストでは,グラフィックス品質を「極限」に設定したうえで,「アップスケール/シャープニング」で「DLSS」を選択して,「NVIDIA DLSSプリセット」設定を描画負荷が軽い「性能」としてテストを実行した。結果はグラフ5〜7だ。
Core Ultra 5 245Kは,3840×2160ドット時こそ,ほかより数%低い程度という平均および最小フレームレートを残しているが,2560×1440ドット以下は,勝負にならないフレームレートしか得られなかった。1920×1080ドットではCPUオーバーヘッドが100%という初めて見る値になっていたことから,GPUの描画にCPUがまったく追いついていない状況だ。なにか妙なことが起きているとしか思えない。
全体を見渡すと,Ryzen 5 9600Xが非常に優秀で,上位クラスのCPUと同程度の平均および最小フレームレートを記録している。Core i5-14600Kも悪くないものの,Ryzen 5 7600Xにも及ばず,前世代なり相応の性能といったところだ。
次の「バイオハザード RE:4」では,グラフィックス品質を「限界突破」としたうえで,GPUを用いた超解像技術「FidelityFX Super Resolution 2」を「Performance(速度重視)」に設定して,描画負荷を下げている。結果はグラフ8〜10のとおり。
バイオハザード RE:4でも,全解像度でトップを取ったのはRyzen 5 9600Xだが,Core Ultra 5 245Kは,1%以内の差でCore i5-14600Kと同程度のフレームレートを記録した。競合には及ばずとも,前世代並の性能は出ているわけだ。とはいえ,Core i5-14600KはDDR5-6000設定で,Core Ultra 5 245KはDDR5-8000設定なので,メモリ設定が同じなら前世代に及ばないとも言えよう。ここもCore Ultra 9 285Kと似た傾向と見ていい。
続く「Starfield」では,グラフィックス品質のプリセットに「高」を選択して,「アップスケーリング」に「DLSS」,「アップスケーリング品質のプリセット」に「性能」を設定したうえで,「フレーム生成」は「オフ」で計測した。結果はグラフ11〜13だ。
これまでと様相が変わり,StarfieldではRyzen 5 9600XやRyzen 5 7600Xが冴えず,Core i5-14600KとCore Ultra 245Kが良好な結果を残した。Core Ultra 245Kは,2560×1440ドットで平均および最小フレームレートが前世代を上回ったが,それ以外の解像度ではわずかに及ばなかった。フレームレート計測に操作が必要なタイトルなので,ブレを考慮すれば同程度と見ていいだろう。ただ先述のとおり,メモリ設定はCore Ultra 245KがDDR5-8000,Core i5-14600KはDDR5-6000ということを割り引く必要がある。
Starfieldは,実行可能なスレッド数が多いほどフレームレートが伸びることが分かっている。そのため,20スレッドを実行できるCore i5-14600Kが有利になり,次点がCore Ultra 5 245Kというのは理屈どおりだろう。
定番の「ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)は,グラフィックス品質のプリセットを「最高品質」に設定したうえで,「グラフィックスアップスケールタイプ」として「NVIDIA DLSS」を選択。さらに「適用するフレームレートのしきい値」として,「常に適用」を選択することでGPU負荷を下げる設定を採用した。グラフ14が総合スコアだ。
Core Ultra 5 245Kは,どの解像度もに20000台半ばというスコアを記録した。3840×2160ドットと1920×1080ドットのスコア差が約3%しかないことからして,CPUがボトルネックになっていることは明らかだ。
ただ,Core i5-14600Kも多少マシとはいえ,3840×2160ドットと1920×1080ドットのスコア差は約7%と,Ryzen勢の差に比べると小さい。Ryzen 5 9600Xは約28%,Ryzen 5 7600Xは約20%と,まずまずの差がついている。Ryzen勢でCPUボトルネックが見られるのは,2560×1440ドット以下のようだ。
いずれにしてもCore Ultra 5 245Kのスコアは低く,CoD:MW3と同じように,なにか理屈に合わない現象が起きているように見える。クロックが押さえられてしまったか,あるいはスレッドとコアの割り当てがうまくいっていないなど,なにかが障害となってスコアが伸びないのだろう。
グラフ15〜17は,FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均および最小フレームレートである。
フレームレートは,おおむね総合スコアの傾向と矛盾しない。Core Ultra 5 245Kも,最小フレームレートが極端に低いわけではないことは確認できるので,プレイの快適さは悪くなさそうだ。
続く「F1 24」では,グラフィックス品質のプリセットに「超高」を選択。「アンチエイリアス」には「NVIDIA DLSS」を,「アンチエイリアシングモード」は「性能」というGPU負荷を軽減する設定を採用した。
F1 24の平均および最小フレームレートは,グラフ18〜20だ。
Core Ultra 5 245Kのフレームレートは,前世代にも及ばず,平均フレームレートを比較すると4K解像度で約96%,2560×1440ドット以下は約93%と低い結果になった。CoD:MW3やFFXIV黄金のレガシー ベンチほど極端ではないにせよ,パッとしない成績だ。
トップを取ったのはRyzen 5 9600Xで,Core i5-14600Kが次点,Core Ultra 5 245Kを除けば妥当な結果と言えそうだ。
ゲームテスト最後の「Cities: Skylines II」では,グラフィックス品質のプリセットとして「中」を選択するととともに,「アップスケーラー」として「NVIDIA DLSS Super Resolution」の「最大性能」を選択した。結果はグラフ21〜23である。
Cities: Skylines IIは,60fps前後の平均フレームレートで横並びと言っていいほどだが,強いて言うならCore Ultra 5 245KとCore i5-14600Kがおおむね同等で,Ryzen勢はわずかに及ばない。CPU性能差が出やすい1920×1080ドットでは,Ryzen 5 9600Xに対してCore i5-14600Kが平均フレームレートで10%近く高い明確な差がついている。肝心のCore Ultra 5 245Kは,Core i5-14600Kに数フレーム及ばない程度なので,まずまずと言えるのではなかろうか。
Core Ultra 9 285Kも,Cities: Skylines IIでは良好なフレームレートを記録していたので,やはり似た傾向があるのだろう。
以上,ざっくりとゲームのフレームレートを見てきたが,Core Ultra 5 245Kは,バイオハザード RE:4やCities: Skylines IIのように,まずまずの成績を収めるゲームがある一方で,CoD:MW3やFFXIV黄金のレガシー ベンチのように,なにかおかしいと思わざるをえないほど低い性能しかでないタイトルがあるなど,極端な波があるのが問題と言えよう。
意図せずメインのスレッドがE-coreに割り振られているなど,一部のタイトルで異常な動作が起きている可能性もありそうだ。いずれにしても,現時点では,ゲーマーにCore Ultra 5 245Kを推すことはできそうもない。
PCを新調するなら,無難なミドルクラス市場向けCPUはRyzen 5 9600Xだろう。Core i5-14600Kも悪くないが,Ryzen 5 9600Xには届かないタイトルが増えてきていることは,押さえておいたほうがいいだろう。
電力性能でもRyzen 5 9600Xが強い
ミドルクラス市場向けCPUを選ぶメリットのひとつは,消費電力の少なさにある。最後に消費電力を見ていこう。
ベンチマークレギュレーション30に準拠した方法で,アプリケーション実行中におけるCPU単体の最大消費電力をまとめたのがグラフ24だ。
Core Ultra 5 245Kにおいて,ゲームで最大の消費電力を記録したのは,FFXIV黄金のレガシー ベンチ実行時の約164Wだった。先述のように,Core Ultra 5 245KはFFXIV黄金のレガシー ベンチのスコアが極端に低かったので,なにか異常な動作が起きているのではないかとしか思えない。
ただ,3DMarkを除くゲームプレイ時の最大消費電力をざっくりと平均してみると,Core Ultra 5 245Kの約132Wに対して,Core i5-14600Kは約154Wなので,20Wほど低くなっていることが分かる。前世代より最大消費電力を押えているわけだ。
しかし,Ryzen 5 9600Xの最大消費電力をざっくり平均してみると99Wで,100Wを下回っており,電力あたり性能の優秀さが際立つ。ちなみにRyzen 5 7600Xは,100Wをわずかに超えていた。
Core Ultra 5 245Kのアイドル時電力は12W弱で,最上位モデルのCore Ultra 9 285Kとほぼ変わらなかった。コア数が減ってもアイドル時電力が低下しないのは,マルチチップ構成のオーバーヘッドがアイドル時電力のベースラインをとなっているからかもしれない。
グラフ25は,アプリ実行中の典型的な消費電力を示す消費電力中央値である。
3DMarkを除くゲームにおいて,Core Ultra 5 245Kで最大の中央値を記録したのは,Starfield実行時の約115Wだった。Core i5-14600KもStarfield実行時に約154Wを記録している。Starfieldのゲームエンジンは,多数のレンダリングスレッドを回す傾向にあるようで,コア数が多い両CPUでは,消費電力が大きくなるのだろうか。
3DMarkを除くゲーム実行時の消費電力中央値をざっくり平均してみると,Core Ultra 5 245Kが約83W,Core i5-14600Kは約116Wなので,前世代に比べて消費電力は30W以上も減っている。ちなみに,Ryzen 5 9600Xは約87W,Ryzen 5 7600Xは約82Wと,こちらもなかなか優秀だ。Ryzen 5 9600Xは,Core Ultra 5 245Kよりも全般にゲーム性能が高いことを考えると,やはり電力性能比でも,Ryzen 5 9600Xに軍配があがるようである。
消費電力計測の最後に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テストの実行時におけるシステムの最大消費電力をグラフ26にまとめておこう。
ミドルクラス市場向けCPUでは,GeForce RTX 4090搭載グラフィックスカードの消費電力が,システムの消費電力の大部分を占めている。なので,ざっくり眺めても,CPUによる違いはほとんどないかな,という印象になってしまう。
明確に違いがあるのはアイドル時の消費電力で,Ryzen 5 9600XとRyzen 5 7600Xは110Wを超えている。両CPUで110Wを超えているところを見ると,「AMD X870」チップセットを含むマザーボードの消費電力が大きいのかもしれない。一方のCore Ultra 5 245Kは,アイドル時でも100Wを切っており,まずまず優秀と言えるのではなかろうか。
Intelのテコ入れでCore Ultra 200Sは化けるのか?
見てのとおり,Core Ultra 5 245Kは性能のブレが大きく,現時点でゲーマーが選ぶミドルクラス市場向けCPUとしては,お勧めとは言えないようだ。無難なのはRyzen 5 9600Xで,多くのゲームでコンスタントに良好な性能を見せてくれる。Ryzen 5 9600Xはハイエンド市場向けGPUと組み合わせても,CPUがボトルネックにならない程度の性能を持ち,価格も4万円台半ばと手が届きやすいので,現時点でのベストチョイスだろう。
ただ,Core Ultra 5 245Kは,演算性能自体はとにかく高いようだ。そのため,冒頭で述べたIntelの最適化パッチ等の提供により,大化けする可能性は十分にあると見ている。来月以降の展開に期待しておきたい。
IntelのCore Ultra製品情報ページ
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Ryzen(Zen 5)
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