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ランダムで選ばれた単語を使って言い訳。トーク力を競うゲーム「ドライアイの宇宙人にペンを盗まれたので宿題できませんでした!」とは
ランダムで選ばれた単語を使って言い訳をする,人間力を問われるユニークなゲーム
本作はクリエイティブチームあの頃のけちゃっぷらいす。が開発中の“『土壇場力』を鍛える新感覚言い訳シミュレーションゲーム”を謳うタイトルだ。PCやスマートフォンなどWebブラウザ(Google Chrome推奨)と,ネット環境を使えるプラットフォームならプレイできる。また,性質上,DiscordやZoomといった音声チャットも必要になる。
2〜6人のプレイヤーが1つのルームに入れば準備は完了。1人が制限時間以内に何らかの待ち合わせに遅れた言い訳をし,残りのプレイヤーはこれをジャッジするというのが基本的な流れになる。こうして順繰りに場の全員が言い訳をしていくのだ。
言い訳といっても,何に対して言い訳をすればいいのか分からないし,自由に言い訳をしたのではゲームにならない。言い訳をするプレイヤーの画面には「自分が何に遅れたか」というシチュエーションと,言い訳に使って良い単語の書かれたカードが2〜8個表示される。
普通のビデオゲームなら,単語カードをつないでいく文脈やタイミングの正しさ,単語カードそれぞれに決められたコストのリソース管理などのゲームシステム取り入れられるところだろう。
しかし本作には,こうした要素は一切存在しない。1人が単語カードに書かれた言葉を使ってシチュエーションに沿った言い訳をし,ほかのプレイヤーは音声チャットでこれを聞いて,「許す」か「許さない」かを決めるのだ。
たとえば「遠距離バスに遅刻した」というシチュエーションに,「缶コーヒー」「はさみ」「サッカー」「おこづかい」「ラーメン」「お祝い」「スマホ」「迷子」という単語カードが表示されたとしよう。材料が同じでも,人によって言い訳は違ってくる。
ある人が「お祝いに買うスマホを探してたら,ラーメン屋の前で迷子を見つけちゃって……」と言い訳すれば,別の人から「バス停に行くまでの道でお祝いをしてるサッカー部の人たちがいて,おこづかいをせびってくるうえラーメンまでおごらされちゃって,『缶コーヒーを買ってくる』といって何とか抜け出してきたんだよ……」と,まったく別の言い訳が出てくる。
ここで問われるのが,思ってもみなかったシチュエーションと,ランダムで選ばれた奇妙な単語を組み合わせて説得力ある言い訳をひねり出す,“土壇場力”とトークテクニックだ。言い換えれば人間力であり,プレイヤーの数だけ異なる展開があるといってもいいだろう。
ゲーム側ではまったく判定を行わないのも面白いところ。単語カードを全部使おうが使わなかろうがゲーム側は関知しないし,言い訳がシチュエーションに沿ったものであるかどうかを判定するわけでもない。あくまでジャッジするのはほかのプレイヤーだ。
場の雰囲気によっては「シチュエーションが全然生かされていないけど,トークが面白いから許しちゃおう」なんてことにもなるかも知れない。だからといって,ゲームがまったく不要なわけではない。
言い訳しなければならないシチュエーションと単語を選ぶというのは,何らかの器具の助けが必要だし,手間をかけたくもない。その点,本作ならばゲーム側がやってくれるので,言い訳を考えることに集中できるというわけだ。
本作を開発するに至ったきっかけは,開発メンバーの1人がボードゲーム好きで,一緒にプレイしていた友達と離れた場所に住むことになったことにあるそうだ。ボードゲームで遊べなくなったことから,ネットを使ってトークするゲームを作りたいと考え,このユニークなシステムを考案したという。
制作初期では「最初のプレイヤーが強いものを挙げ,次のプレイヤーはそれよりも強いものを挙げ……」といった強さ比べをするという内容だった。自分が挙げたものの強さを説明するための言い訳が必要になり,これが面白かったことから言い訳をメインで扱うことにしたそうだ。
当初は「誰が一番うまく言い訳をしたかを決める」システムだったが,これでは人の温かさが消えてしまい,何より題材である言い訳がファジーなものであるため,「明確な勝ち負けの基準を設けないこと」ことが決まり,現在の形になったという。
ビデオゲームという意味ではかなりの変化球だが,広義の“ゲーム”には含まれるユニークなシステムを持つ本作。本作とバリバリのビデオゲームが同じイベント会場に並ぶあたりがインディーゲームの奥深さであり,面白さといえるだろう。
本作はブラウザと音声チャットがあれば機種を問わずにプレイ可能なので,仲のいい友達と一緒に言い訳するのも楽しいのではないだろうか。
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