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韓国らしいAAA級のMMORPG「Architect: Land of Exiles」を遊んだ。大冒険の時代,神の門に挑むは冒険者たち[G-STAR 2024]
本作は“AAA級のMMORPG”な規模感で制作されている大型タイトルで,実に韓国ゲーム市場らしいアプローチに笑顔にさせられた。
HYBE IMは,K-POPグループの代表格とも言えるあの「BTS」を擁する,韓国の総合エンターテインメント企業HYBEのゲーム事業部門だ。基本的にはパブッリシャであり,ゲームの配信事業が主なようである。
直近だと,同部門は「星になれ ヴェーダの騎士たち」で存在感を表した。現在はダンジョンクローラー型エクストラクションRPG(ダンジョン探索後に脱出できないと装備品をすべて失うあれ)と銘打った,PCゲーム「ダンジョン・ストーカーズ」も準備中である。
つまり畑違いの超大手企業が,本気の先鋭部門を用意し,気合の作品を送り出す。その三の太刀となるのが今作,アーキテクトだ。
数千年間,大陸の中心にそびえ立つ「巨人の塔」。
巨人族が神になるために生み出した頂きはやがて,巨人たちが歴史に消えゆくとともに存在感をなくし,世界のあるじは人間となった。
7つの王国が黄金期を味わっていたある日,巨人の塔から数百万もの怪物が現れた。国々は大災害におびえ,巨大な壁を築き,長い時間を耐え忍んだ。その恐怖も薄れてきた未来で,ひとつのうわさが広まる。
「新しい時代の力は障壁を越えて存在する」
人々は強大な力を夢想し,壁の向こう側に魅了された。はじまったのは大冒険時代。あなたは捨てられた土地に咲く冒険家都市にして,神に通ずる門「バビロン」を舞台に,神話の地へと足を踏み入れる。
といったストーリーとなる。壮大さは満点だろう。
試遊版ではまず,キャラクターメイクからはじまった。ジョブは戦士や魔法使い,弓使いなどの計5種から選べて,髪型やスキンを細かなカラーパターンから選択できたほか,顔の造形をスライダーで調整可能だった。キャラメイクについては現時点で水準を越えている印象だ。
物語の主人公であるあなたは,記憶喪失の冒険者である。この一語だけで鉄板の展開をいろいろと想像できることだろう。ゲームスタート直後は巨人の塔をはるか遠くで眺めるような位置から歩き出し,目的地のバビロンに到着するまでの物語をイベント込みで体験していく。
操作方法は(PC版の場合)W/A/S/D移動,マウスで通常攻撃や回避,ジャンプやダッシュは地形次第で,高低差をものともしないパルクールアクションに自動派生する。またMMORPGを名乗るなら標準装備であってほしいオートアタックも,しっかりと完備されていた。
バトルについては,アクション性に優れているためポチポチするだけのクリックゲーではない。昨今では形骸化していて廃れた用語であろうが,MMORPGのウリとしてなら今でも通じるであろう,ノンターゲット方式が採用されている。実際の動作を確認すればすぐに分かるだろうが,基本的に“3DアクションRPG”と見ても問題ないほどだ。
むしろ,知らなければ3Dアクションゲームと見間違えるかもしれない。戦闘時の様子はそれくらいの見た目に達している。
個人的につぼだったのは,モンスターのデザインだ。野生動物的な生ものはもちろん,なんだかよく分からないがキュートなSF味を感じるものから,生理的に気持ちが悪いモノまでさまざま(画像ではちょっと分からないかもだが,“リッカーをさらにキモくした感じ”だった)。
まっとうにファンタジーな巨大ゴーレムなどもいたが,あとで画像をお見せする“クソデカカワウソ”など,デザインワークにひとひねりのエッセンスを加えている生態系は,見るだけでも楽しめた。
ついでに記憶喪失の鍵を握るのは,意味深で神々しい人外じみた謎の美女のようだった。背景の壮大さがゲーム内容に存分に生かされていることは,15分程度の試遊でも十分に実感させられた。
試遊では序章体験以外にも,「(会場内ローカル通信の)オンラインモード」でマルチプレイの一部要素に触れられた。
なお,以下のキャラクターの後ろ姿はなにかに抵触しているように思うかもしれないが,それは間違いだ。本作の一部美女キャラクターたちはスタイリッシュな外套を羽織りつつ,ボディラインがくっきり出るピッチピチのスーツを着ているだけだ。これは撮影の色味のせいでもなく,限りなく肌色に誤認しそうな桃色のボディスーツを着ているだけだった。
実に,特定部位に対して韓国らしい攻めの姿勢を感じる。ちなみに冒頭の画像の美女(ラダさんというらしい)も下半身はこうだ。
肝心のオンラインプレイについては,ワールド内でほかのプレイヤーが自由に動き回っている。そのまま冒険,というのは時間的に厳しくて諦めたが,代わりにアクティビティを体験した。
プレイできたのは,空中をグラインダー飛行して“どれだけ輪っかをくぐれるか”に挑戦するタイムアタックレースだった。要はナイツ,もしくはパイロットウイングスだ。こうしたコンテンツにチャレンジすると,クリア後に報酬をきっちりもらえる。
この報酬内容がどれほど有用なのかは試遊相当では不明だが。「こうしたサブコンテンツにも見返りを用意する」という姿勢を考えると,“遊んで暮らす”もできるMMORPGにするのかもしれない。
悲しいことに,本稿の読後に最も多く記憶されるのは,おそらくボディスーツの後ろ姿となってしまうだろう。
これ以上の素材を見せると検索エンジンに「ダメだよ?」されかねないメディア仕草もあり,今回はこれで勘弁してほしい。
真面目にまとめると,本作アーキテクトは,久々にストレートな超大型新作MMORPGを送り出してきた印象だ。MMOの醍醐味は遊び続けないと理解しきれないし,最大の友であり罠でもあるのはフレンドの有無になりがちだ。なにより,現代でMMORPGというジャンルで勝つ難しさ。それこそ日本市場よりも韓国市場のほうが痛いほど熟知していることだろう。
こうした減算項目はいくらでも思い浮かぶが,この内容とこれを作った意気込みは満点どころじゃない。現代市場において有用とされ,最適化されてきた手軽さ・気楽さにどれだけ反する内容に仕上げるのか。またはそれらに則って,MMORPGではあるがスマートな感じに仕立てるのか。
どう出てくるにせよ,MMORPGファンは見ておくべき1作だ。
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韓国版「Architect: Land of Exiles」公式サイト
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Architect: Land of Exiles
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